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キングコング対ゴジラ | |
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King Kong vs. Godzilla | |
監督 | 本多猪四郎(本編) 円谷英二(特撮) |
脚本 | 関沢新一 |
製作 | 田中友幸 |
製作総指揮 | 清水雅 |
出演者 | 高島忠夫 佐原健二 藤木悠 浜美枝 若林映子 平田昭彦 堺左千夫 根岸明美 田島義文 大村千吉 田崎潤 松村達雄 有島一郎 |
音楽 | 伊福部昭 |
編集 | 兼子玲子 |
配給 | 東宝 |
公開 | 日本の旗1962年8月11日(日本) |
上映時間 | 97分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
前作 | ゴジラの逆襲 |
次作 | モスラ対ゴジラ |
表・話・編・歴 |
『キングコング対ゴジラ』は1962年8月11日に公開された日本映画で東宝創立30周年記念作品で送るゴジラシリーズの第3作。製作、配給は東宝。カラー、東宝スコープ。上映時間は97分。
「怪獣同士の対決」という日本の怪獣映画の流れを決定付けた作品であり、日本映画の絶頂期だったこともあって観客動員数は1255万人を記録。当時の歴代邦画観客動員数では『明治天皇と日露大戦争』に次いで第2位の記録であり、ゴジラシリーズ中では歴代最高である。後に1970年春と1977年春の東宝チャンピオンまつりでもリバイバル上映された。この映画にはアメリカの怪獣であるキングコングが登場する。
テンプレート:ネタバレ
「ゴジラの逆襲」以来、7年ぶりの、そしてゴジラ映画としては初めてのカラー作品、さらにシネマスコープの類にあたる「TOHO SCOPE」で上映された作品である。また、関沢新一のゴジラ映画デビュー作でもある。この作品で初めてゴジラの体色や、「放射火炎」の青白い色が披露された。
本作の基となったのは、『キングコング(1933年版)』以降は不遇をかこっていた特撮マンのウィリス・オブライエンによって企画された、『キングコング対プロメテウス』というタイトルの映画企画であり、これは「フランケンシュタイン博士が秘密裏に創造していた巨大クリーチャーとキングコングが戦う」というものだった。RKOに数点のスケッチを含むこの映画の企画書を提出した後、オブライエン本人も知らぬうちにいつの間にやら本作へと至ったようで、後年『キングコング対ゴジラ』の存在を知ったオブライエンは、ひどく落胆したという[1]。
梶田助監督によると、コングの権利者であるRKOは、東宝との契約に当たって、コングの名称使用料5年間分として、8000万円を要求した。東宝は当時の映画三本分の制作費に匹敵するこの莫大な支払いの見返りを充分に受け、1000万人を超える(封切)動員数を稼いだ。特撮キャメラマンの有川貞昌は制作に当たって、「とにかく久しぶりにゴジラ映画を作れるんだと、スタッフ一同とても嬉しい気持ちだった」と語っていて、円谷英二以下特撮スタッフは、ゴジラよりも新怪獣のキングコングをどのように描くかにひたすら尽力したという。
主要襲撃地点は那須、東京、富士山麓、熱海。ミニチュアで作られた熱海城がゴジラとキングコングに破壊される場面が有名である。ファロ島では本物と模型を使い分けた大ダコも登場。
河川に火を放つシーンの撮影中、本多監督は誤って斜面を30メートル滑落して負傷してしまい、このシーンと佐原健二がジープを走らせるカットは、助監督の梶田興治が演出した。
また、タイトルクレジットのバックの密林、キングコングがゴジラの口に木を突っ込むシーンや女性をさらい国会議事堂によじ登るシーン[2]などオリジナルへのオマージュ的シーンが多い(ただし本家コングの場合は宣材用に作成された物で、本編にはそのようなシーンは無い)。公開時の宣伝スチールでは、本家のコングの写真がゴジラと合成されて多数使われていた。
進撃途中のゴジラが高崎観音と対峙するシーンが撮影されているが、本編では使用されていない。また予告編では、ゴジラが画面のこちらに向かって咆哮する、本編にない映像が使われている。
常連タイアップ企業のバヤリースに加え、本作では東京製綱が企業タイアップしている。一雄が「試作品」として披露し、コング輸送にも使われる新時代の鋼線は、東京製綱のワイヤーロープの宣伝でもある。
本作は1970年の「チャンピオンまつり」での再上映の際に、当時の「再上映では封切版と同じ尺で上映しない」との上映館との取り決めのため、再編集版が制作されたが、この際にオリジナルのネガフィルムをカットしての再編集が行われた。
これを受けて、1984年に発売されたビデオソフトでは、レンタル上映用の退色した16ミリポジフィルムの映像でカット部分を補ったものが「オリジナル復元版」と銘打ってリリースされた。また、初版レーザーディスクでは編集作業途中の物が誤って製品化されてしまい、回収されるという事態も起きている。
なお、現在流通している映像ソフトにおいては、その後発見されたカット部分のネガフィルムを基にした鮮明な映像が復元されている。また、2008年10月から始まった日本映画専門チャンネルでのシリーズ全作品ハイビジョン放送の際は当該部分について、DVDのマスターをアップコンバートすることで対処している。一方で、完全版の復元フィルムによる劇場での上映はいまだ実現できない状況にある。
海外版では伊福部昭の音楽はほとんど別の曲に差し替えられている他、本編のコメディシーンが大幅にカットされ両怪獣の対決の行方を予想する科学者のシーンなどが追加されている。さらに、劇中でゴジラに向かう一雄に対し、警官が必死に制止するシーンや、ふみ子が一雄の胸で「ばかばか!」と叫んで泣き崩れるシーンなどもカットされている。
浜美枝と若林映子は、この海外版の上映でアメリカ側に注目され、5年後に『007は二度死ぬ』で出演依頼を受けている。
自社提供のテレビ番組「世界驚異シリーズ」の視聴率不振に頭を痛めるパシフィック製薬宣伝部長の多胡は、南太平洋メラネシアに位置するソロモン諸島の一つ・ファロ島に伝わる「巨大なる魔神」が目覚めたという噂を聴きつけ、これを聴取率アップの決定打にしようと企む。提携先のテレビ局員・桜井と古江はたった二人ながらも探検隊に仕立てられ、ファロ島へ行くことに。乗り気でない桜井だったが、時を同じくして妹のふみ子のフィアンセ・藤田は、新開発の特殊繊維のテストをするためしばらく日本を離れるという。
一方、北極海では海水の温度上昇が始まり、調査のために原潜シーホーク号が国連派遣の科学者を乗せて現地へ向かう。彼らはそこで光る氷山を発見するが、実はそれこそが前作にて氷に埋められ行方不明となっていたゴジラが眠る氷塊だったのだ。復活したゴジラは原潜を沈め、某国基地を蹂躙した後なおも移動を続ける。生物学の権威・重沢博士は、ゴジラは帰巣本能から日本へ戻ってくると予測し、国内ではゴジラの話題で持ち切りに。そのおかげで「巨大なる魔神」の影が薄くなってしまい、多胡部長にとっては苛立ちの種にしかならないのだった。
島に上陸した桜井と古江は、島民たちの間に根強い魔神信仰があり、かつ「巨大なる魔神」が本当に実在することを知る。その日の夜、海から巨大なタコが現れ島は大混乱となるが、そこへ山奥から巨大なる魔神=キングコングが出現し、大ダコを追い払ってしまった。コングは島民が用意した赤い汁を飲み干し、島民達が捧げる祈りの歌を聴くとたちまち深い眠りに付いてしまった。桜井はコングを日本へ連れて帰ろうと発案し、これが日本で一大旋風を巻き起こす。ホクホク顔の多胡部長だが、彼は次なる宣伝のアイデアを思い付く。「キングコングとゴジラ、どちらが強いか?」
その頃、藤田を乗せた貨物船が北海道沖でゴジラの潜航波により沈没するという事件が発生し、慌てたふみ子はすぐさま現地へ向かう。だが藤田は一足先に根室港で下船したため命拾いしていたのだ。折しもゴジラは松島湾から上陸し本土を南下している途上で、ふみ子を乗せた電車も運転を中止してしまう。逃げ惑う人々の中で一人はぐれてしまったふみ子を救ったのは、事情を知って追ってきた藤田だった。
自衛隊によってゴジラ対策が急がれる一方、洋上ではコングが眠りから覚めてしまい、本土へ向けて北上を開始。千葉沖から上陸したコングは、あたかも本能に導かれるように南下するゴジラを目指して進み出した。そしてついに中禅寺湖で初対決する両者だが、緒戦はゴジラの放射能火炎に分があり、悠々と構えるゴジラを前にコングは引き下がるを得なかった。
しかし自衛隊による「100万ボルト作戦」のために急ぎ築かれた首都圏防衛用の高圧線が闘いの行方を思わぬ方向へ導く。これにより電流を苦手とするゴジラの首都圏侵攻は食い止めたものの、キングコングは高圧線に触れたことで、ゴジラへの強力な対抗手段である帯電体質を得たのだ。東京へ侵入したキングコングは電車を掴み上げて女性を一人手にするが、それは何と避難の最中にまたも藤田とはぐれてしまったふみ子。美女にご満悦のコングは警戒網が張られた都内を進行し、ふみ子を手にしたまま国会議事堂へとよじ登る。迂闊に攻撃も出来ない自衛隊だが、駆け付けた桜井はファロ島の音楽と麻酔弾を使い、コングを眠らせる作戦を思い立つ。コングは再び眠りに付き、ふみ子も無事救出される。
そしてコングは藤田の開発した特殊繊維を使い、富士山麓へ運搬されることが決まった。そこには都心を回避して移動していたゴジラの姿が。再び合いまみえた両雄は、激しい戦いを繰り広げる。果たして勝者は……
詳細はキングコングを参照
頭部造形は利光貞三、胴体は八木寛寿、八木康栄による。演技者は広瀬正一。
ゴジラとキングコングを互角に戦わせる為に、本家である米国版キングコングと比較してかなり巨大化した設定(米国版が身長7.2メートルなのに対して当作品では身長45メートル)にされている。後楽園で講道館や荻窪線の車両を襲撃するシーンなどがある。
体毛は希少で高価なヤクの毛を取り寄せ、開米栄三が茶色に手染めして植え込んでいる。アップ用とアクション用の二種類の頭部が作られ、眼窩には、演技者の目をそのまま使うものと、透明素材で覆ったものとある。2尺ほどのミニチュア人形、棒操り形式のアップ用の上半身ミニチュアも作られた。長い腕を表現するため、マジックハンド形式で腕を継ぎ足す方法が採られているが、腕関節が2か所あるような不自然さが残っている。
RKOは、コングのキャラクターについて、「顔は原典と違うものにして欲しい」など細かい注文をつけた。が、出来上がった造形物に対してはかなり不満を持っていたようである。
胴体はのちに尻尾を着け、頭を挿げ替えて『ウルトラQ』の「大猿ゴロー」に改造され、さらに『キングコングの逆襲』でプール撮影用のコングの胴体に使用されている。
鳴き声は後に1967年公開の「キングコングの逆襲」に登場するコング,ウルトラQに登場したラゴン(遅回し)や『ウルトラマン』のガボラ(アレンジ)等にも使用されている。
中島春雄によると、広瀬正一はキングコングを演じるにあたって、撮入前に円谷監督から「猿らしい動きを」と、かなり厳しい演技指導を受けている。コングは劇中で横になっている場面が多いが、寝た姿勢でいる間に暑さでぬいぐるみ(着ぐるみ)の内側に汗が溜まり、広瀬は中で半身を汗に浸からせた状態になっていたそうである。中島も広瀬も武道の心得があり、コングがゴジラを一本背負いするシーンや、コングがトンボを切って一回転するシーンなど、立ち回りはすべて両人が打ち合わせて行い、円谷監督は黙って任せてくれたという。
詳細はゴジラ (架空の怪獣)を参照
頭部造形は利光貞三、胴体は八木寛寿、八木康栄による。演技者は中島春雄、手塚勝巳。
逆三角形のシルエットを持つキングコングに対応して、三角形のどっしりした体型に造形されたが、これは円谷英二の指示によるもので、何度も顔の手直しが行われ、耳元まで口の裂けた、横に広い面相になっている。背びれが簡略化され、前作まであった耳介も省略されて、足の指も4本から3本になり、これは『メカゴジラの逆襲』までのゴジラの基本形となった。手のひらもかつてなく大きく、小指には演技者の指が入っていない。体色は墨汁でつけられたが、撮影時のコンディションで茶系と青系に見える。
本作から胴体の素材にウレタンが使われ、軽快な動きが実現した。また、顎に電動モーターが仕込まれ、リモコンで開閉するようになった。目が黄色いのも特徴である。次作『モスラ対ゴジラ』では、プール用撮影のゴジラに使われた。
劇中で腕を左右に振って「パコンパコン」と鳴らす仕草を見せるが、これは当時人気のあったプロレスラー、豊登の十八番の芸を採り入れたものである。
詳細は海魔大ダコを参照
ファロ島近海に生息。ある晩島に上陸し村を襲うが、そこに島に住むキングコングが現れ対決するも岩を投げつけられ追い払われてしまう。作り物と本物のタコを使い分けて撮影された(このシーンは『ウルトラQ』第23話「南海の怒り」に流用された)。
後年刊行された書籍によれば、本物のタコが登場するシーンは肝心のコング対ゴジラの場面よりも好評であったとまで言われている。また余談だが、円谷英二はゴジラ第一作の頃に巨大なタコが登場する企画を考えていたとも言われ、それが年月を経て本作の大ダコに帰結したと見ることもできる。
撮影に使われたタコは、マダコであるが、特撮で大ダコを表現する方法がスタッフ会議でもなかなか思い浮かばず、撮影スケジュールも終盤になってから、ならば本物を、という円谷のアイデアでの起用となった。そして、三浦半島には海から上陸して畑で見つかるタコがいるという話を聞いたスタッフがロケに行き、現地にオープンセットを作り、捕らえてきたタコを焼き鏝で下から突いて、その刺激で反応させて動かし、撮影したという。なお撮影終了後、そのタコはスタッフの腹に納まったそうだが、これに関して助監督の中野昭慶は「あれは慰安旅行も兼ねていたのでは」と語っている。
コングと絡む場面のタコは、特美スタッフによってラテックス製のものが作られた。村瀬継蔵によれば、小さな吸盤は本物のタコのものを石膏で型取りして作ったが、型抜きする頃には腐敗臭がものすごく、体中に臭いがついて大変だったそうである。人間を絡めとって投げるシーンは、人形アニメの手法で撮影された。人形アニメートは「円谷特殊技術研究所」で高野宏一、中野稔らが行った。
大ダコは後の作品である『フランケンシュタイン対地底怪獣』、『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』にも登場している。詳細は各作品の記事を参照。このシーンは海外でも大受けをとり、円谷は「アメリカではコングよりタコのほうが評判が良かった。この二作ではとにかくタコを出してくれとアメリカの興行から注文を受けた」と語っている。
ファロ島のジャングルに生息するトカゲ。全長1メートルで、「ピーピー」と鳴く。「チャンピオンまつり版」ではカットされている。鳴き声は『ウルトラマン』のピグモン、『帰ってきたウルトラマン』のロボネズ、『ジャンボーグA』のデッドファイヤーに流用された。
テンプレート:ネタバレ終了
テンプレート:ゴジラの映画テンプレート:キングコングテンプレート:ゴジラテンプレート:本多猪四郎監督作品
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