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地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン | |
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Godzilla vs. Gigan | |
監督 | 福田純 |
脚本 | 関沢新一 |
製作 | 田中友幸 |
製作総指揮 | 森岩雄 |
出演者 | 石川博 梅田智子 菱見百合子 高島稔 藤田漸 西沢利明 |
音楽 | 伊福部昭 |
主題歌 | 「ゴジラマーチ」 「ゆけ!ゆけ!ゴジラ」 石川進 |
編集 | 田村嘉男 |
配給 | 東宝 |
公開 | 日本の旗1972年3月12日 |
上映時間 | 89分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
前作 | ゴジラ対ヘドラ |
次作 | ゴジラ対メガロ |
表・話・編・歴 |
『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』(ちきゅうこうげきめいれい ゴジラたいガイガン)は、「東宝チャンピオンまつり」の一篇として東宝が製作し、テンプレート:和暦3月12日に公開した日本映画で、「ゴジラシリーズ」の第12作である。観客動員数は178万人。89分、カラー、シネスコ。
テンプレート:ネタバレ
登場する怪獣はゴジラ、アンギラス、ガイガン、キングギドラ。
「怪獣島の仲間」として、ラドン、モスラ(幼虫)、カマキラス、ゴロザウルス、クモンガ、ミニラが過去作品からの映像で登場した。
公開時のキャッチコピーは、「宇宙のわるもの怪獣をやっつけろ!ゴジラがんばれ地球をまもれ!」
第二次怪獣ブームの真っ只中に製作された作品であり、「ゴジラが他怪獣と闘い、怪獣チャンピオンを競う」という「チャンピオンまつり」路線を確定させた作品。ゴジラは地球を守って「悪の怪獣」と闘う「正義の怪獣」という扱いとなった。劇中では大映の「ガメラシリーズ」のように、ヒーロー面を強調したゴジラのテーマソングも作られ挿入されている。ドラマ面では、ウーマン・リブ、内ゲバ、ヒッピー、教育ママゴン、怪獣ブームなど、同時代を象徴する風俗も多々採り入れられている。
当初の検討用台本では『ゴジラ対宇宙怪獣 地球防衛命令』と仮題され、登場怪獣はゴジラ、アンギラス、魔神ツール(新怪獣)、キングギドラ、ガイガン、メガロが予定された(メガロのみ次回作デビュー)。そして次の検討用台本は『キングギドラの大逆襲』と仮題され、登場怪獣はゴジラ、ラドン、バラン、キングギドラ、ガイガン、モグ(新宇宙怪獣)が予定された[1]。
この春興行前の冬の「東宝チャンピオンまつり」では、キングギドラが初登場する『三大怪獣地球最大の決戦』の短縮再編集版が盛り込まれていた。これに続く本作も当初、公開時のタイトルが『ゴジラ対キングギドラ 地球攻撃命令』と予定されたが、東宝上層部による「新怪獣ガイガンをメインにしたほうがいい」との判断から現行のタイトルに変更された。
「チャンピオンまつり」の番組に組み込まれてからのゴジラ映画の制作予算は、全盛期の1/3以下となり、大幅に削られているため、本編面では主要俳優に出演料の安い新人が使われ、特撮面では、過去の作品から大量に映像が流用されている[2]。このため、過去作品では日中シーンである映像も、劇中での夜間シーンに合わせ、フィルター夜景処理することで多数使用されている。
科学万能主義に対するアンチテーゼがあり、ハンター星雲M星人たちの「なぜだ…圧倒的な科学力を誇っていた我々が…なぜだ…」との断末魔の台詞に相対させた、主人公たちの「素朴の勝利」が作品中で強調されている。物語は「科学が発達しすぎると平和は遠のいて行くかもしれない」という警句で締めくくられる。
本作の音楽は、全て伊福部昭の曲が過去の東宝特撮作品のみならず、2年前の大阪万博の三菱未来館で用いられた「日本の自然と日本人の夢」からも流用されている。選曲はシリーズで監督助手などを勤めた所健二。流用に当たっては、伊福部の承諾のもと所が選曲を行った。伊福部はオールラッシュやダビングに立会い、ダビング時に曲を足したりもしたという[3]。
売れない劇画家の小高源吾は、マネージャー・友江トモ子がとってきた、東京郊外で現在建設中の「世界子供ランド」の怪獣デザインの仕事にありつく。「世界子供ランド」は「絶対の平和」を謳う謎めいた非営利団体の運営によって、中心にそびえる「ゴジラ塔」の頭の部分に事務局が置かれていた。「ゴジラ塔」を訪ねた小高だったが、子供ランドの会長はまだ少年であり、妙な英語訛りを話す事務局長の久保田と共に、何やら不思議な人物たちであった。彼らは「世界子供ランド」完成の暁には、「平和の敵」であるゴジラをはじめとする怪獣島の怪獣たちをすべて抹殺すると豪語するのだった。
そんな中、「子供ランド」の都内オフィスの前で、小高は久保田たちに追われていた一人の女が落とした奇妙な磁気テープを拾う。その夜、小高はテープを落とした女・志摩マチ子と、その友達のヒッピー、高杉正作の訪問を受ける。彼らはテープを返してほしいと小高に頼み込む。マチ子の兄でコンピューター技師の志摩武は、子供ランドでゴジラ塔建設に従事していたが、三日前から行方不明だという。マチ子は兄が子供ランドに監禁されていると睨んでいた。子供ランドに不審を感じていた小高は、マチ子の話を受け、テープを再生してみた。しかしそのテープからは奇妙な電子音のみが流れ、一体何なのかはわからぬままだった。一方、ゴジラ塔ではテープの発信を捉え、慌てる久保田らの姿があった。
実は子供ランドの職員は、地球征服を狙うM宇宙ハンター星雲人の面々で、テープの内容は宇宙怪獣のガイガンとキングギドラを呼び寄せるためのものだった。その頃、テープの電子音に気付いた怪獣島のゴジラは異常を感じ、アンギラスを偵察に向かわせた[4]。ゴジラの命を受け、怪獣島を出発し、洋上を一路日本へ向かうアンギラス。しかし、相模湾に上陸したところで「メーサー車」を主軸とする防衛隊の攻撃に追い返されてしまった。
一方、小高らは高杉の提案で、会長と事務局長の身元の洗い出しにかかり、二人の本籍地が同じであることを知る。本籍地へ向かった小高たちは、二人が地元高校の英語教師と生徒であり、一年前に山で遭難死していることを知って驚く。ゴジラ塔で武の監禁を確認した小高はその夜、久保田らの襲撃を受けるが、トモ子の空手で撃退。しかしテープは奪い返されてしまう。事態を受けた宇宙人たちは計画の前倒しを決め、ハンター星雲から宇宙怪獣ガイガンとキングギドラを呼び寄せる。一方、怪獣島のゴジラもアンギラスをお供に、自ら東京へと向かうのだった。
ゴジラ塔へ乗り込んだ小高とトモ子だが、会長と事務局長の正体を知ることとなる。そしてそこへ、キングギドラとガイガンが到着。応援部隊の「ユニフォーム用」として監禁された一同だが、高杉とマチ子の用意したワイヤーゴンドラでなんとか脱出。武と共に「子供ランドが宇宙人の基地である」と防衛隊に必死に訴えるが、取り合ってもらえない。ガイガンとキングギドラは宇宙人の指令電波によって操られ、防衛隊の攻撃をものともせず、東京を中心に徹底的な破壊を始めた。月の瀬海岸の石油コンビナートを襲う両怪獣の前に、遂にゴジラとアンギラスが上陸する。かくして、ゴジラ・アンギラス対ガイガン・キングギドラの壮絶な流血戦が開始された。戦いの場はやがて、ゴジラ塔のある「世界子供ランド」へと移っていく。
再びゴジラ塔へ向かった小高たちはようやく防衛隊の協力を得て、科学を過信する宇宙人の虚を突き、爆薬をエレベーターに載せて最上階に運び、ゴジラ塔の破壊に成功。会長たちは醜いゴキブリの正体をさらして断末魔をあげた。指令電波を失ったガイガンとキングギドラは、やみくもにゴジラとアンギラスに襲いかかる。ゴジラとアンギラスの地球怪獣軍と、ガイガン、キングギドラの宇宙怪獣軍の最後の決戦が始まった。
人間の残像現象を固定化することで、外見を地球人に偽装しているが、正体は人間大のゴキブリのような生き物であり、非常灯の元ではゴキブリのシルエットが浮かび上がる。かつて彼らの星は地球と同様に人類が支配していたが、遥か昔に環境汚染で滅亡してしまった。やがてその環境でさえも生存可能な、知能を持ったゴキブリのような生物が君臨する。その末裔がM宇宙ハンター星雲人である。しかし、その星にも寿命が近づいて来たため、その移住先として地球に狙いを定めた。最期に正体をさらすシーンでは、本物のゴキブリが使われている。
次回作『ゴジラ対メガロ』(福田純監督、1973年)には名前だけ登場し、海底王国シートピアとは友好関係という設定だった。シートピアから応援を要請されたため、M宇宙ハンター星からガイガンを送り込んだ。特撮テレビ番組『ゴジラアイランド』(東宝、テレビ東京)にも登場している。
詳細はゴジラを参照
『怪獣総進撃』(本多猪四郎監督、1968年)で作られたものの流用。演技者は中島春雄。マブタが開閉する仕掛けが加えられた。片手は前作でのヘドラの硫酸による骨化表現が残ったままになっている。
テンプレート:和暦から始まったデパート屋上などでのゴジラの出演イベントでは、映画に登場する「実物」のゴジラが使われていた。この際、ファンの子供たちがゴジラの表皮のヒダ(スポンジ製)をむしり取ることが増え、その補修に伴ってヒダの流れが次第に狂うこととなった。本作のゴジラも腹周りと右太もものヒダの狂いが著しく、さらにこれに加えて、劣化した表皮の補修のためにオガ粉を混ぜたラテックスによる化粧直しが施され、全身のヒダがイガイガに埋まっている。
海のシーンのゴジラのぬいぐるみは『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(福田純監督、1967年)のゴジラを流用した。撮影中、特撮ステージに見学にきた子供たちにゴジラがサンタの格好をしてプレゼントを配った。
本作は、第1作『ゴジラ』(本多猪四郎監督、1954年)から一貫してゴジラを演じ続けてきた中島春雄による最後のゴジラ作品でもある。中島は前年に東宝をリストラされ、系列の撮影所横のボウリング場勤務となり、怪獣役は引退していた。このため、『ゴジラ対ヘドラ』(坂野義光監督、1971年)同様、本作のオファーがあったとき、中島はこれを固辞した。しかし、「中島以外にゴジラは演じられないから」と中野監督らから懇願され、引き受けたそうである[5]。
詳細はガイガンを参照
デザインは水氣隆義、造形は安丸信行。演技者は中山剣吾。当初の造形物は首や背びれが長く、撮入前に短く修正された。中野特技監督から、「恐竜は極彩色だったのではないか」、「臨戦態勢で身体を大きく見せたい」との考えによるデザイン要求があり、色彩が派手にされ、また手を鎌状にして、両手を拡げた構図が「X」状になるよう工夫された。胸の意匠には、これも中野監督の意向で十二単が採り入れられた。腹部の回転カッターは、電装モーターで刃を上下振動させて表現している。
フロンガスによるジェット噴射のギミックを仕込んだ1尺サイズの飛行モデルが作られた。この飛行形態時はガイガンは背びれを折りたたんでいる。劇中、ガイガンが破壊したショーウィンドウに置いてあったマネキンにはリカちゃん人形が使用されている。またガイガンが鍵爪で東京タワー(らしき鉄塔)を破壊するカットがある。
「ハンター星雲M星人が宇宙恐竜をサイボーグ化した」という設定(作中では言及なし)。本作が公開されると、派手なデザインのガイガンはそれまでの人気NO1だったキングギドラを圧倒する人気を子供たちから集め、翌年には次作『ゴジラ対メガロ』、さらにテレビ番組『流星人間ゾーン』(日本テレビ、東宝)にも登場する名敵役となった。
詳細はキングギドラを参照
『三大怪獣 地球最大の決戦』(本多猪四郎監督、1964年)で作られ、『怪獣総進撃』で翼を新調した造形物を流用。三つの頭が新規造形物(アトラクション用のもの、オリジナルの型から抜いたものなどの説がある)に挿げ替えられ、目玉には白目と黒目がはっきり描き込まれた。劇中でゴジラに背負い投げされるシーンがある。演技者は伊奈貫太。
1尺サイズの飛行態モデルが作られた。目が赤く点灯するが、翼も首も微動だにしない。
詳細はアンギラスを参照
『怪獣総進撃』で作られたものの流用。演技者は大宮幸悦。円谷英二が嫌った流血シーンがこの映画では積極的に採り入れられ、ガイガンの腹部カッターで切り裂かれた頭からの派手な流血がゴジラと合わせて描かれる。中野特撮監督によると当時、「ゴジラはやられてるときどうして血が出ないの?」と子供たちからの質問があり、その影響もあったという[6] 。
偵察を誤解した防衛隊の迎撃シーンやゴジラと共に海を渡るシーンで、アンギラスの顔には後のシーンでガイガンにつけられるはずの傷がすでにある。これは後処理の大変な着ぐるみの濡れるシーンをガイガン・ギドラ戦の後に撮影したためである。
造形は安丸信行。石膏を素材に、張り付け・削り出しで作られた。もう一体のゴジラともいえるこの「ゴジラ塔」と「本物のゴジラ」との明確な違いは“手の指が3本”という点である。実物大の足元部分もステージに作られた。
『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(本多猪四郎監督、1966年)に登場した「メーサー殺獣光線車」が、大・小のミニチュアのうち3尺サイズの小型ミニチュア2台を流用して登場。牽引車なしで走行し、ダメージシーンのために油をかけて燃やされている。
他に戦闘機隊や、『怪獣総進撃』の「ミサイル戦車」も登場した。「61式特車」はスチール写真のみの登場となっている。
※映画クレジット順
※以下クレジット表記無し
テンプレート:ゴジラの映画テンプレート:ゴジラ
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