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宇宙犯罪シンジケート | |
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制作順No. | 60349 |
本国初放映 | 1968年1月12日、第46話 |
Kirk_offers_a_piece_of_the_action.jpg | |
脚本 | デイヴィッド・P・ハーモン ジーン・L・クーン |
監督 | ジェイムズ・コマック |
西暦 | 2268年 |
地球の船として100年ぶりにエンタープライズが訪れた惑星 - そこで彼らが見たのは、地球の1920年代のギャング世界にそっくりの文化だった。
カーク、スポック、マッコイを出迎えたギャングたち
惑星シグマ・イオシア2号星に到着したエンタープライズ。この辺境惑星には、艦隊の誓いが出来る前の2168年に、宇宙船ホライズンが訪れていた。ホライズンは惑星を離脱した後に行方不明となり、近年になって宇宙艦隊はホライズンに装備されていた旧型の通信機からの電波をようやく受信することができたのである。ウフーラ大尉は、惑星からの音声通信が入ってきていることをカークに報告する。声の主は、ベラ・オクミックスと名乗る男であり、階級は、自称「ボス」であった。彼は、歓迎委員会を準備して5分後にカークと会見することを約束した。ホライズンがこの惑星を訪れたのは、「不干渉の原則」に関する艦隊の誓いが出来る以前だったことから、カーク、スポック、マッコイは、当時は初期の産業革命程度だったこの惑星の文化にホライズンが及ぼした影響について考える。転送で1920年代のシカゴに非常によく似た街に降り立った彼らは、ギャングの格好をした二人組の男にトンプソン・サブマシンガンを突きつけられた。
『本』
オクミックスの使いだという二人の男は、上陸班のフェイザー銃と通信機を取り上げた。オクミックスのところへ向かおうとしたところで、一行は、曲がり角から突如突っ込んできた車から銃撃を受け、二人組のうち一人は息絶え、もう一人は「クラコの野郎!」と悪態をつく。車はそのまま走り去っていった。歩いていく途中、二人の若い女性が男に近づいてきて、ボスが街灯の電球を代えてくれないだの洗濯物を取りに来ないだの文句を付け始めた。男の名はカロといい、ここではボスが上納金を取る代わりに色々な面倒を見ると説明した。
カークたち三名は、オクミックスのオフィスへと通された。彼は、「世界一デカい縄張りのボス」であり、この世界には他に10ぐらいの縄張りがあるという。彼らを襲わせたクラコも、そういった縄張りのボスの一人ということだった。スポックは、20年代のシカゴのギャングについて書かれた本が部屋に置いてあるのを見つける。発行は1992年。ホライズンが置いていったものであり、この本こそが、人の真似をするのが上手なこの惑星の文化に影響を与えたのだった。
オクミックスは、他のボス達との縄張り争いに決着をつけるために、カーク達の「ドンパチ(フェイザー銃)」を供与して欲しいと申し出、もし8時間以内にこれを承諾しなければ、彼らを船に送り返す-ただし棺桶に入れて-と脅迫した。
オクミックスは、上陸班の三人を倉庫へと閉じ込め、奪い取った通信機でエンタープライズに呼びかける。彼は、応答したスコットに「ドンパチ」100個と使用法のわかる者を寄越すよう要求し、拒否すれば船長の命は無いと告げた。
倉庫の中で、ギャング達がカードゲームに興じる傍ら、カーク達はこの社会の行く末を案じていた。この社会は団結して一つにまとまるべきで、さもなくば完全に崩壊してしまう、というのがスポックの意見だった。カークは、この星の文化を変えてしまったのが連邦の船である以上、この事態の処置はエンタープライズが責任を持って行うべきだと考えた。彼は、ギャング達の気を引くため、即興ででっち上げたフィズビンというカードゲームを彼らに教え、その隙を突いて気絶させる。カークは、スポックとマッコイに放送局から船に連絡して転送してもらうよう命令した。
Spock_on_the_radio.jpgAMラジオを使ってウフーラと話すスポック
カーク自身は、オクミックスを連れて後から船に戻るつもりだったが、途中でクラコ配下のギャングに捕まってしまう。一方、ラジオ局の一室を乗っ取ったスポック達は、AM放送を使って船と連絡を取ることに成功する。
カークは、クラコのオフィスへと連れて来られた。オクミックスの無線を盗聴してその行動を掴んでいたクラコは、カークのことも既に知っていた。クラコはカークに、自分達に力を貸すよう要求するが、カークは拒否し、小部屋へと閉じ込められる。これを知ってエンタープライズに通信を入れたオクミックスは、スポックとマッコイがいつの間にか船に戻っていることに少し戸惑うが、この際それは問題ではないことを悟ると、取引を持ちかける。船長の救出に協力する代わりに、欲しい物を提供するというものだった。スポックは仕方なくこれを承諾する。
一方カークは、ラジオのワイヤーを使った罠を部屋に張り巡らし、助けを求める振りをして警備のギャングを倒し、マシンガンを奪って部屋から脱出した。
スポックは、船のフェイザー砲を麻痺にセットするようスコットに言い付け、マッコイと共にオクミックスの下へ転送降下するが、敵対行為を取らないという約束にもかかわらず、銃を構えたギャングが二人を取り囲んだ。
ギャングたちに向けてフェイザーを撃つカークとスポック
「艦長日誌 ミスター・スポック記録。ドクター・マッコイと私は、かつて地球に存在したギャング社会を真似たシグマ・イオシア文明のボスに再び捕われの身となった」再び捕われ、フェイザー銃を奪われる二人。スポックはオクミックスに、この惑星が一つに統合されることの必要性を説くが、オクミックスの興味は自分がそのボスになることだけだった。そこへ突然、銃を構えたカークが入ってきて、形勢は逆転した。カークは、クラコを捕まえて巨頭会談を開かせることを提案する。オクミックスの部下から奪った服を着て、カークとスポックは車でクラコのオフィスへと向かう。カークにとって、20世紀の車を運転するのはなかなか骨の折れる仕事だった。建物の前で、どうやって中へ入るか思案する二人の前に、近くで遊んでいた少年が、協力するから自分も一枚加わらせて欲しいと願い出る。カーク達は承諾し、少年がドアの前にいる見張りの気を引いてくれたおかげで中に入ることができた。が、クラコの前で背後から二人の部下に銃を向けられてしまう。
Kirk_in_control_of_the_mob.jpg机に足をのせてギャングを操るカーク
カークはクラコに、連邦は組織をそっくり頂くから手を貸せば分け前をやると持ちかけた。話に乗るクラコ。カークは船に連絡を入れ、クラコを転送収容させる。転送室で狼狽するクラコだが、もはや為す術はない。カークとスポックは車でオクミックスのオフィスに戻る。クラコの部下達は、これはオクミックスの仕業に違いないと思い、抗争の準備を始める。オクミックスのオフィスに戻ったカークは、他のボス達に電話をかけるようオクミックスに命じ、相手の位置が確認できたところで転送ビームで次々とその場に集めさせた。クラコも含め全員が揃ったところで、カークは、今後は組織が一つにまとまり、上がりの40%を連邦が上納金として取ると宣言する。が、ボス達は、エンタープライズには実は大した人数も戦力もないのではないかと疑い始める。そこへ、クラコの部下達が抗争を仕掛けてきたため、カークはエンタープライズにフェイザーを発射させ、全員を麻痺させてその威力を見せ付ける。
カークを信じざるを得なくなったボス達は、組織を統合することに全員一致で賛成、オクミックスが新しいボス、クラコがその右腕となり、連邦が毎年40%の上納金を集めることで話が決まった。
惑星を離れるエンタープライズ。カークの解決方法にスポックは今一つ納得しかねる様子だったが、カークは、40%の上納金は宇宙財務省に納め、イオタの文明がより正しい方向に発展していくために利用することを提案する。
一方、浮かない顔のマッコイ。カークが理由を尋ねると、どうやら通信機をオクミックスのところに忘れてきたらしい。人真似の上手いイオシア人がもし通信機の技術を解明したら…今度は彼らが地球へやって来て、分け前を要求するかもしれないな、と心配するカークであった。
「やいてめぇら、石みたいにぶっ立ってろ!」
「今のはどういう意味か、説明していただけますかな?」
「石みてぇに動くなってことよ。手を頭に乗せな。でないと乗せる頭がなくなるぜ」
「そんな物騒なものは必要ないだろう」
「何か文句あんのかよ?」
「私が?」「この野郎、とぼけたツラしやがって」
「何だって?」
「おめぇみたいのは信用できねぇんだ!」
「俺の縄張りのボスだ。世界一の縄張りだぞ。いやしかしな、でけぇのを持ってると苦労も多いんだ。乞食どもが掠め取りに来やがったよ」
※現在、日本語吹き替えの「乞食」の部分は、放送では加工されている。原語では"some punk"。
「君を助けようと思って来たんだ!」
「お前らに助けてもらうこたぁねえ!」
「ミスター、あなたの理論は相反していますね」
「野郎、ふざけるな!」
「大声を出すなよ。これ以上手を煩わせると、コンクリートの箱の中にぶちこむぞ?」
「それで海へ沈めるのか?」
「あぁ、そうだ」
※「コンクリートの箱に~」は、原語では
"you'll be wearin' concrete galoshes."(コンクリートの靴を履かせるぞ)
"You mean cement overshoes?"(それは、セメントの靴のことか?)」
セメントの靴を履かせるという表現はマフィアの俗語で「水に沈めてやる」という意味。スコットはこれを言い間違えた。
「これは面白いな。一つ作らせよう」
「船長、船長は宇宙船の優れた指揮官ですが、タクシーの運転手としては、非常に未熟ですね」
「そんなに下手かな?」
「まあ待て。赤子に教えられ、だ」
「誰が赤ん坊なんだい?」
「君のことだよ」
「僕が赤ん坊だって?」
「そう、赤ん坊だ。しかしまあ、仲良くしようじゃないか。座りたまえ」
※赤子に教えられの部分は原語では"Out of the mouth of babes."(子供は鋭いことを言う、という意味の慣用句)
「また車で?」
「歩くより早いぞ」
「しかし、危険です」
「車が恐いのか?」
「車ではなく船長の運転が恐いんです」
「文句ばっかり言ってないで早く乗れ」
※カークの最後の台詞は原語では"I've got the hang of it now."(コツはもう掴んだよ)
「調子に乗ってやがると殴り込みかけてメッチャメチャに…! トホホ…母ちゃん…」
「俺達ァもう遠慮なく組織を頂くぜ。いい子になって力を貸しゃあ分け前をくれてやる。嫌なら終わりだ、もう面倒は見ねェ。判ったかィ」
「手を休めずにさっさと次の番号を回しな!!」
カーク:「ドクター、彼らの言葉を借りると何シケたツラしてるんだ。」
※原語では「何シケたツラしてるんだ。」の部分は"What's your beef?"
マッコイ:「大した問題じゃないのかもしれないんだがねえ、それに君には言いにくいことなんだが。」
カーク:「何だ。」
マッコイ:「周りが落ち着かなかったんで。」
カーク:「どうした。」
マッコイ:「下に忘れてきたらしいんだよ。」
カーク:「忘れた?」
マッコイ:「多分オクミックスのうちだ。」
※「オクミックスのうち」は原語では"Bela's office"(ベラのオフィス)
カーク:「何を忘れたんだ。」
マッコイ:「私の通信機だよ。」
カーク:「オクミックスのうちに?」
スポック:「船長。イオシア人が利口で真似の上手な人種なら、多分通信機を分解して…」
カーク:「ああそれは間違いない、通信機の作用を学ぶだろうな?」
※原語では「通信機」の部分は"transtator"(トランステイター)。トランジスタの未来版と思われる。
スポック:「通信機の構造は、我々の装備の基本をなすものです。」
カーク:「その通り。」
スポック:「あの構造をもって兵器にでも…」
マッコイ:「そう心配することはないだろう…」
カーク:「ないだろう? 重大問題だ。地球の運命に影響するぞ。」
マッコイ:「どうしてだ。」
カーク:「今度は、彼らが分け前を要求するかもしれないぞ? 地球へやってきて。」
メイウェザーのハードカバー本、シカゴ・ギャング
USSホライズンの模型
リマスター版は、北米では2007年4月28日、日本(NHK-BS)では2008年2月16日に放映された。このエピソードでは、新たな特殊効果が必要とされるような場面はそれほど無かったが、シグマ・イオシア2号星の外観はCGIの映像でより地球に近いものとなった。また、エンタープライズから地表にフェイザーが発射される場面は、漫画風だったオリジナルの描写が手直しされた。
括弧内は日本語吹き替えや字幕。
イオシアン(イオタ人)、シグマ・イオシア2号星(シグマ・イオタ2号星)、ベータ・アンタレス4号星
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TOS: タイムマシンの危機 | スタートレック:宇宙大作戦 (デジタル・リマスター版) | TOS: 宇宙暦元年7・21 |
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