開発日誌“中つ国の美術”

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優れた芸術家は、自らが望む作品を描くべき時と、作品が望むことをすべき時を知っています。そして大抵の場合、あることを行うとそこから、次に為すべきことが導き出されてきます。ロード・オブ・ザ・リングスオンラインにおける中つ国の制作にもそれがありました。ホビット庄はどのようにブリー郷をデザインするかを私たちに教えてくれましたし、エレド・ルインと霧ふり山脈を作る際の決定は、フォロヘルへのアプローチに直接影響を与えました。デザインは無から生み出されるものではなく、どんなものでも他のどこかとつながっているのです。私たちがこれまで取ってきた、確かな形で世界を広げていく助けとなるこの手法は、今でも変わるところはありません。

こうして中つ国は成長し、私たちのエピックストーリーはついに、エレギオンや柊郷の門、そして想像を絶する偉大な「ダンジョン」……ドワロウデルフ、カザド=ドゥム、モリア……の入口まで達しました。ドワーフのわざによる壮大な都市は、オークや、そして「深く掘りすぎた」場所より解放された悪により蹂躙され、いまや廃墟となっています。が、私たちがモリアに求めるもの――見たことも経験したこともないようなダンジョンの冒険――を作ろうとした時、今まで私たちが開発してきたものは役に立ちませんでした。

トーリンの館は、つるはしと山を与えられたドワーフに何ができるかに関するちょっとした経験ではありました。しかしトーリンの館はカザド=ドゥムの都市と比べれば、単なる前哨地、樫に対するドングリのようなものです。作ったときは壮大に感じたものですが、時とともに、それは単なる始まりに過ぎないとわかりました。

モリアの準備段階において、トーリンの館はデザイン上の良き初期資本となりました。私たちが開発したドワーフの文化的なテーマは、その後の仕事の基盤となっています。しかしこれまで使用してきた技術は、すでに限界であることが分かりました。私たちのダンジョンの技術は、面白い環境を作ることができるものの、モリアに必要な信じられないほど大きな空間は無理だったのです。私たちはドワーフの住宅地、ゴブリン町、サルヌーアに行った様々な解決策を、どうモリアに流用できるかという観点から研究しました。しかしそれらの解決策はいずれも、私たちの目標にとって最適とは言えないものでした。私たちは最終的に、地形エンジンにダンジョンを作る能力が必要だという結論に達しました。こうしてデュアル・ハイトマップ技術が作られたのです。

現在、私たちは基本的に二つの地形を重ねています。一つは上向き(あなたが立っているもの)、もう一つは下向き(天井)です。これらを交差させることで、壁を作り、空間を完成させることができます。これは野外空間管理において素晴らしい展望を与えてくれるとともに、アセット管理が地形技術に組み込まれ、作った空間を満たすために何千ものユニークな建築物アセットを必要とすることなしに面白い屋内環境を作れるようにもなりました。この全く異なるツールでの内部空間制作にワールドビルディング・チームが慣れてくるにつれ、彼らはこの新しいおもちゃを使い、驚くほどの創造性の爆発を見せるようになりました。これで「どう」モリアを作るかは解決しました。次に必要なのは「何を」です。

モリアはどのようなところでしょう?まずは本を読みこみ、すべての詳細をできるだけ抜き出します。最初の大きな階段は二百段、ガンダルフが思い出せずにいた分かれ道、「大樹の幹に似せて彫られ」た柱の並ぶ第二広間、これらのすべてを忠実に再現しなくてはなりません。しかしそれと同じくらい重要なのは、旅の仲間が見た狭い道と合致するモリアの残りの部分を想像することです。ガンダルフは山の下に、監視者がやってきたであろう地下水があるのをほのめかしました。それはドワーフの都市が水の供給を必要としていることに結びつき、私たちは「浄水場」、ドワーフの建設した水路と揚水機と危険な水のエリアを作りました。ドワーフはミスリルを求めるあまり深く掘りすぎ、ドゥリンの禍を目覚めさせてしまいました。それはどこで掘られ、どのような忌まわしい洞窟がそのような生き物を抱えていたのでしょう?そこには他にどんなものがいたのでしょう?モリアは小説だけでは解決されない謎に満ちており、それが霧ふり山脈の下の世界を具体化する際の道しるべとなりました。

モリアの外観を作るにあたって、コンセプトアート・チームには都市の様々な側面をまとめてもらいました。様々なエリアの概要、その都市の全盛期のコンセプト、像などの名所、ドゥリンの玉座、柱や建物の建築学的考察など、都市をそれらしく満たしてくれる思いつく限りのものを。これらは私たちが最初にトーリンの館で切り開いた「ドワーフ」スタイルに近づき、そして最終的に、以下のようなコンセプトへと具体化されました。

ここには私たちが作りたかったモリアの、すべての要素が詰まっています。雄大な建築学的要素を持った巨大な自然洞窟や大きく切り立った空間、バルログを呼び覚ました傲慢をかすかに感じさせる、自身の文化へのドワーフたちの並外れた賛美……そのすべてがここにあります。他のコンセプトが世界の詳細を開発するにあたり、このコンセプトはモリアの基本的な性質を決定しました。

仕事が進むにつれて、他の要素もうまくおさまっていきました。たとえば光源の大部分は、自然に大きくなった結晶が放つものです。これはプレイヤーにこれから行くところが長い間見捨てられた都市であることを知らせてくれます。馬は坑道に入るのを拒否するものの、プレイヤーは騎乗移動と快速移動の恩恵を楽しみたい。そこでカザド=ドゥムの旅にはどのような獣が適しているか考えるのに時間を費やしました。十分に納得でき、かつ中つ国の既存のデザインとフィットするものとして、赤角山の山羊を住まわせました。野牛はバイソンですが、赤角山の山羊はマウンテンゴートとして設定されました。これは中つ国の動物相デザインを増補する好機です。既存のデザインを論理的に敷衍し、すでに存在する世界の雰囲気を損なうことなく、新しいアイディアを取り入れています。

私たちは皆、ロアに対する強い責任を感じており、一般的な中つ国のヴィジョンにフィットするアートを作ろうと努力しています。モリアでは二重にそれを実感することになりました――一つにはヴィジョンに忠実であり続けるという責任を、そしてもう一つには、持てる力を尽くして雄大なヴィジョンを実行する責任を。私たちは作ったものを誇りに思っています。皆さんがそれらの世界、モリアを見るのが待ちきれません!

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