概要
昭和とは日本の元号の一つ。昭和元年(1926)~昭和64年(1988)を指す。近代建築史では昭和20年(1945)の太平洋戦争の終結で区切ることが多い。ただし昭和20年までといっても、現存している建物の大半は昭和10年までに偏っており、昭和15年以降になると殆ど見かけることはない。理由はお察しの通りである。
アール・デコの出現
1927年にパリで開かれたパリ万国博覧会(通称アールデコ博)の影響は早い時期にも日本に伝わっており、当時の最先端のモダンな空間としてオフィスビルや高級船舶などに使用されていった。昭和一桁台に主に流行った様式である。セセッションとの区別が非常に難しい。
スクラッチタイルの大型庁舎
鉄筋コンクリートで建てられた大型の建物が多く残るのも昭和初期の特徴である。外観をスクラッチタイルで覆い、装飾を控えめにし、内部は漆喰で白を基調とする庁舎が多く建てられた。モダニズム建築の台頭と結び付けられる。主に大学の施設や市役所、県庁舎などはこの様式が多い。堅牢であり明治期の建物と比べ年数も浅いため文化財指定が無くても現役で運用されているのも特徴である。
モダニズム建築
昭和期は装飾を極限に排し、コンクリートとガラスの直線的なスタイルで勝負するモダニズム建築が全盛を迎えた時代でもある。モダニズム建築が指す範囲は広く、アールデコ、インターナショナルスタイル、表現主義、分離派などが広義のモダニズム建築に含まれる。
帝冠様式
モダニズム建築と真逆の方向性をもつ様式も出現した。全体を鉄筋コンクリートで構成するも屋根部分を日本の伝統的な屋根にし、それ以外を洋風にするという一風変わった「日本趣味を基調とする」帝冠様式である。名前の通り大日本帝国を象徴する日本発祥の建築様式でもあるため満州で使用されるなど軍事的な色合いも強い建物であり、東京帝室博物館(現東京国立博物館)の設計コンペでは、モダニズムなのか帝冠様式なのかで大論争が起こった。
住宅の発達
鉄筋コンクリートによる華やかな建物ばかりが注目されるが住宅面でも大きな変化があった。明治大正期は一部の資産家のみに許された洋館も段々庶民的なものになり、日本家屋に不自然に洋館をくっつけた「文化住宅」が拡がりを見せる。また、地味に木造やRCを駆使した中規模、大規模な邸宅も発達しておりRC造ながらも古風なハーフティンバー様式を採用した住宅など表現の幅がかなり広がっている。
昭和時代の建物一覧
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