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雲仙岳 | |
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ファイル:Unzen pyroclastic and lahar deposits.jpg 雲仙岳と東側山麓のラハール跡 右の山肌が露出した山は眉山 | |
標高 | 1,483m |
所在地 | 長崎県島原市、 南島原市、雲仙市 |
位置 | 北緯32度45分41秒東経130度17分56秒 |
種類 | 成層火山・溶岩ドーム |
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ウィキプロジェクト 山 | ウィキプロジェクト 山 |
雲仙普賢岳と平成新山
雲仙岳(うんぜんだけ)は、長崎県の島原半島中央部にある火山で千々石カルデラの外輪に位置する。広義では普賢岳、国見岳、妙見岳の三峰、野岳、九千部岳、矢岳、高岩山、絹笠山の五岳からなる山体の総称。「三峰五岳の雲仙岳」と呼ばれる。行政区分では島原市、南島原市、雲仙市にまたがる。狭義ではいわゆる「三峰五岳」のうちの「三峰」を指すこともある。1792年(寛政4年)5月21日雲仙岳眉山で発生した山体崩壊とこれによる50m高の津波災害は、島原大変肥後迷惑と呼ばれる、肥前国と肥後国合わせて死者、行方不明者1万5000人という、有史以来日本最大の火山災害となった。
最高峰の平成新山(1,483m)を中心に、周囲に、普賢岳(1,359m)、国見岳(1,347m)、妙見岳(1,333m)、野岳(1,142m)、九千部岳(1,062m)が存在する。
普賢岳や平成新山の溶岩は島原温泉沖合いの橘湾 (長崎県)地下のマグマだまりから供給されている[1]。
主峰は普賢岳(ふげんだけ)だが、現在では1990年(平成2年)から1995年(平成7年)にかけての火山活動で形成された平成新山(へいせいしんざん)の方が高い。また平成新山は長崎県最高峰でもある。
古くは『肥前国風土記』で「高来峰」と呼ばれているのがこの山であり、温泉についての記述がある。雲仙はもとは「温泉」の表記で「うんぜん」と読んでいたが、国立公園指定の際に現在の表記に改められた。大乗院満明寺は行基が大宝元年(701年)に開いたと伝えられている。この満明寺の号が「温泉(うんぜん)山」である。以後、雲仙では霊山として山岳信仰(修験道)が栄えた。
また、行基は同時に四面宮(温泉神社)を開いたといわれている。祭神は、『古事記』にて筑紫島をあらわす一身四面の神である。この神社は上古には温泉神社、中古には四面宮と称されていたが、1869年(明治2年)の神社改正[要検証]により筑紫国魂神社と改称され、1915年(大正4年)の県社昇格に際して温泉神社に戻した。島原半島中に10数の分社がある。
雲仙温泉としては、1653年(承応2年)に加藤善右衛門が開湯した延暦湯が始まりといわれている。水蒸気が噴出して硫黄(実際は硫化水素)の臭いがたちこめる光景が「地獄」と形容される。キリシタン弾圧の舞台にもなった。
天気のいい日には西彼杵半島東岸および長崎半島東岸、佐賀県南部、福岡県筑後地方、熊本県西部など見通しのいい場所でその姿を眺めることができる。
標高が高いことから通信の要衝でもある。雲仙野岳には、長崎県防災行政無線や警察庁などの中継所が設置されている。
現在の平成新山を形成した噴火活動は、1989年(平成元年)11月からの橘湾群発地震に始まる。1990年(平成2年)11月17日に噴火し、それ以降噴煙活動が観測された。最初の噴火は2つの噴火孔より熱水の吹き上げと雲煙を認めるのみであった。同年12月には小康状態になって道路の通行止めなども解除になり、そのまま終息するかと思われたが、1991年(平成3年)2月12日に再噴火、さらに4月3日、4月9日と噴火を拡大していった。5月15日には降り積もった火山灰などによる最初の土石流が発生、さらに噴火口西側に多数の東西方向に延びる亀裂が入り、マグマの上昇が予想された。5月20日に地獄跡火口から溶岩の噴出が確認されたが、粘性が高かったため火口周辺に溶岩ドームが形成された。溶岩ドームは桃状に成長しやがて自重によって4つに崩壊した。溶岩ドーム下の噴火穴からは絶え間なく溶岩が供給され、山頂から溶岩が垂れ下がる状態になり、形成された順番に第1-第13ローブと命名された。溶岩ドームの崩壊は、新しく供給されるマグマに押し出されたドームが斜面に崩落することにより発生し、破片が火山ガスとともに山体を時速100kmものスピードで流れ下る火砕流(メラピ型火砕流)と呼ばれる現象を引き起こした。噴火活動は途中一時的な休止をはさみつつ1995年(平成7年)3月頃まで継続した[2][3]。火砕流が世界で初めて鮮明な映像として継続的に記録された噴火活動である(過去には、プレー山などの火砕流が写真としては多く記録されており、小規模なものの映像も撮影されている)。
普賢岳山頂からみた平成新山
噴火活動は島原半島、特に島原市と深江町に大きな被害をもたらした。被害をもたらす主たる要因は火砕流と堆積した火山灰が豪雨により流出する土石流であり、これらが流れ下るコースに当たる水無川および島原市の千本木地区が大きな被害を受けた。また、火山活動中島原大変肥後迷惑の原因となった眉山の山体崩壊が懸念されたが、今回の噴火活動では眉山が火砕流から島原市中心部を守る形となった。
島原市・深江町以外の地域については、風向きによって熊本空港で噴煙が観測され、航空機の離発着に影響を与えたことなどがあった。
特に大規模な人的被害をもたらしたのは1991年(平成3年)6月3日午後4時8分に発生した火砕流であり、取材に当たっていた報道関係者16名(アルバイト学生含む)、火山学者(クラフト夫妻と案内役、アメリカ地質調査所のハリー・グリッケン(en:Harry Glicken))4名、警戒に当たっていた消防団員12名、報道関係者に同行したタクシー運転手4名、警察官2名、選挙ポスター掲示板撤去作業中の職員2名、農作業中の住民4名の合わせて死者行方不明者43名と9名の負傷者を出す大惨事となった。この火砕流以降、島原市など地元自治体は強制力を伴う警戒区域を設定し最大11,000人が避難生活を余儀なくされたが、以降の犠牲者は1名に抑えられている。被災地域では噴火活動の終息に伴い堤防や地面のかさ上げ工事を実施し一部地域を除いて住民が再び住める環境が整えられた。
なお、火砕流で殉職した日本テレビのカメラマンが使用していた業務用ビデオカメラが、2005年(平成17年)6月になって発見された。カメラは火砕流による高熱で溶解し高度に破損していたが、内部のテープを取り出し修復することに成功した。ビデオには、避難を警告する警官らや、それを無視し火砕流が襲来する直前まで取材を続ける記者らの姿や音声が記録されていた。この映像は、同年10月16日に「NNNドキュメント'05 解かれた封印 雲仙大火砕流378秒の遺言」として放送され、現在では溶けたカメラと共に雲仙岳災害記念館に展示されている。
前兆現象が観測されていたため事前に対策会議が開かれており、関係機関の関係はおおむね良好であった。特に長崎県、島原市、島原に観測所を持つ九州大学と被災者救助のために派遣された陸上自衛隊(第16普通科連隊など)との関係はきわめて緊密であった。報道、学術、防災機関のすべてが火砕流で犠牲になったため、当時唯一火山近傍で行動できる能力を保有していた自衛隊への期待は高く、自衛隊も救援活動のため九州大学などの指導を受けつつ協同で火山観測を行い、その成果を関係機関及び地元住民への24時間のリアルタイムな情報提供したことで、民心の安定と復旧作業の進展および火山研究に大きく貢献した。自衛隊は火山観測と地元に対する支援のシンボルとして以降1995年(平成7年)12月まで1,653日間(史上最長)にもわたり災害派遣を継続した。
被害の背景には、当初発生した小さな火砕流が衝撃的だったことから取材競争が過熱し、十分な知識を持たない報道関係者が、取材のため「定点」と呼ばれた山と火砕流を正面から望める地点に入ったことがある。これにより報道関係者は消防・警察も立ち入らない危険地帯に多く滞在することとなった。また一部の報道関係者が、避難して無人となった人家に不法侵入するなど騒動を起こし、6月1日にはテレビ局の取材班による盗電も発生していたため、不安を憶えた地元住民が住居に帰ったり、命令を受けた消防団員、警察官が事件再発を防ぐために設けられた警戒本部に出動させられた。結果、火砕流は「定点」に居座った報道陣のみならず、消防団員、警察官、地元住民を飲み込んで犠牲者を出すことになった。[4]
犠牲者発生以降の6月7日に災害対策基本法に基づく警戒区域が設定され、無許可の立ち入りが禁止された。これ以降は報道関係者が警戒区域内に入ることはほとんど無かったが、その後も自衛隊の情報独占に不満があると主張するジャーナリストらが許可なく警戒区域内に侵入し書類送検される事例もあり、報道のあり方が問われる事件となった。
報道機関はヘリコプターでの取材もしばしば行い、火砕流発生のたびにヘリが飛び立った。一部ではリモコンヘリによる取材も試みられた。大火砕流が発生する前に、溶岩ドームの成長などをヘリで上空取材していたが、溶岩ドーム(当時桃太郎さんと愛称で呼ばれていた)の爆発が何時起きても不思議ではなく、事故がなかったのは幸いであった。取材用ヘリの最高時速は220km位で、火砕流の駆け下る速度よりは早いが、取材中は80~100kmまで減速しているために、火砕流に巻き込まれる可能性も十分にあった。
大火砕流から3日後の6月6日に陸上自衛隊のV-107が各社報道関係者を取材搭乗させたが、火山灰によるエンジントラブルでたばこ畑に緊急着陸(不時着)した[5] 。各社報道陣は撮影を続けながらも駆け足で水無川河川敷の安全地帯まで逃げたが、大きな火砕流には遭遇せず全員無事であった。
天皇・皇后陛下は最大の火砕流発生後の1991年(平成3年)7月10日に被災地を見舞った。その際、付き人を最低限の人数にとどめ、昼食も簡素な食事とした上で、時間の許す限り被災者を見舞う時間を設けた。
国・県・市などは基金を設立し、避難所生活の改善や住宅再建補助など約100項目の生活支援を行っている。また、直接間接被害額は約2,300億円に達したが(1996年(平成8年)、島原市調べ)、長崎県や日本赤十字社などに230億円の義援金が寄せられた。こうした義援金も、被災者の住宅再建等や復旧事業に使われた。
また、NHKでは被災者を勇気付ける目的も込めて、土曜ドラマ「がんばらんば」を制作した[6]。
山頂付近になお不安定土砂(火砕流堆積物)が多数存在しており、豪雨時には土石流となり下流の集落、国道などへ流下してくることから、山麓では治山、砂防事業によるダムの設置、緑化工事、導流堤の設置など、大規模な防災施設の設置が進められている。
気象庁では2003年(平成15年)に雲仙岳をランクA「とくに活動度が高い火山」に分類し、2007年(平成19年)からは噴火警戒レベルを導入している[8]。ただし1997年(平成9年)以降は、小さな噴気活動や火山性地震は継続しているものの、噴火活動は発生していない。
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ar:جبل أونزينca:Mont unzency:Unzennl:Unzen (vulkaan)pl:Unzen (wulkan)pt:Monte Unzenro:Unzen (vulcan)sk:Unzen
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