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富士火山による火山弾(浅間大社)
富士山の噴火史(ふじさんのふんかし)では、富士火山の噴火の様子と変遷を概説する。
富士山は高さと山体の大きさに於いて日本最大の活火山である。富士山は最近10万年で急速に大きく成ったと考えられており、その意味では「若い火山」に分類される。現在見えている山の外観は約1万年前から噴火活動を開始した新富士火山であり、その下に約70万年前から活動していた小御岳(こみたけ)火山と約10万年前から約1万年前に噴火した古富士火山が存在する。
富士山の断面図。ピンク色が小御岳、深緑色が古富士、薄緑色が新富士の各火山体を現す。
約10万年前まで、小御岳火山古富士火山の溶岩流のあと約4,000年間平穏であったが、約5,000年前から新しい活動時期に入った。現在に至るこの火山活動を新富士火山と呼ぶ。新富士火山の噴火では、溶岩流・火砕流・スコリア・火山灰・山体崩壊・側火山の噴火などの諸現象が発生しており、「噴火のデパート」と呼ばれている。また新富士火山の火山灰は黒色である事が多い。新富士火山の噴火は地層的にも新しく、また8世紀以後には日本の古文書に富士山の活動が記載されており、噴火について貴重なデータを提供している。
諸説あるが、古記録によれば新富士火山の噴火は781年[1]以後16回記録されている[2]。噴火は平安時代に多く、800年から1083年までの間に10回程度、1511年等に噴火や火映等の活動があった事が複数の古文書の分析や地質調査から明かとなっている。一方、文書によっては、1560年頃、1627年、1700年に噴火活動があったとされているが、信頼性は低い。また噴火の合間には平穏な期間が数百年続くこともあり、例えば1083年から1511年まで400年以上噴火の記録がないが、記録文書が散逸し残されていないだけで、噴火活動自体が無かったとは断言出来ない。実際に、1435年~1436年には火映が記録されている。
自去三月十四日迄四月十八日、富士山巓自焼、昼則烟気暗瞑、夜則火花照天、其声若雷、灰下如雨、山下川水皆紅色也
駿河国富士山、昼夜恒燎、砂礫如霰者、求之卜筮、占曰、于疫、宜令両国加鎮謝、及読経以攘災殃
五月、甲戌、廃相模国足柄路開筥荷途、以富士焼砕石塞道也
富士郡正三位浅間大神大山火、其勢甚熾、焼山方一二許里。
光炎高二十許丈、大有声如雷、地震三度。歴十余日、火猶不滅。焦岩崩嶺、沙石如雨、煙雲鬱蒸、人不得近。大山西北、有本栖水海(みずうみ)、所焼岩石、流埋海中、遠三十許里、広三四許里、高二三許丈。火焔遂属甲斐国堺。
駿河国富士大山、忽有暴火、焼砕崗巒、草木焦殺。土鑠石流、埋八代郡本栖并剗両水海。水熱如湯、魚鼈皆死。百姓居宅、与海共埋、或有宅無人、其数難記。両海以東、亦有水海、名曰河口海;火焔赴向河口海、本栖、剗等海。未焼埋之前、地大震動、雷電暴雨、雲霧晦冥、山野難弁、然後有此災異焉。
甲斐国言、駿河国富士山神火埋水海
詳細は「宝永大噴火」を参照
大量のスコリアと火山灰を噴出。この噴火は日本最大級の地震である宝永地震の49日後に始まり、江戸市中まで大量の火山灰を降下させる等特徴的な噴火であった。1708年 (宝永5年) 鳴動1923年 (大正12年)あらたな噴気1987年 (昭和62年山頂のみで有感地震宝永大噴火後、富士山では大規模な火山活動は無かったが、江戸時代晩期から、昭和中期にかけて、山頂火口南東縁の荒巻と呼ばれる場所を中心に噴気活動が存在した。
この活動は1854年の安政東海地震をきっかけに始まったと言われており、明治、大正、昭和中期に掛けての期間、荒巻を中心とした一帯で明白な噴気活動が存在した事が、測候所の記録や登山客の証言として残されている。
この噴気活動は明治中期から大正にかけて、荒巻を中心に場所を変えつつ活発に活動していたとされる。活動は昭和に入って低下し始めたが、1957年の気象庁の調査においても50℃の温度を記録していた。その後1960年代には活動は終息し、現在山頂付近には噴気活動は認められていない。
しかしながら、噴気活動終了後も山頂火口や宝永火口付近で地熱が観測されたとの記録も存在する。以上のように、富士山がつい近年まで噴気という火山活動の諸形態の一つを続けていたという事実は、富士山が現在も息づいている活火山である事の証拠である。
宝永大噴火は宝永地震の49日後に発生している。南海トラフや相模トラフを震源とする地震や、近隣地域の地震の前後25年以内に富士山を変化させる何らかの活動が発生しており、活動とは関連性があると考えられる[3]。また、噴火活動と連動した活動ではないが、1331年の元弘地震(M7)や1792年、1891年美濃地震では地震の震動で山体崩壊や大規模な斜面の崩落が発生した事が記録されている。
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