ゴールドソーサー2019
ゴールドソーサーの人気者
落ち込んだ青年 :
はぁ、きっと今回もダメなんだろうなぁ……。
あーあ……。
何がって、もう……。
やっぱり僕じゃきっと無理なんですよ……。
何があったの?
落ち込んだ青年 :
おおっと、すみません。
上の空だったもので、つい答えてしまいましたが……
心優しい方、もしよろしければ僕の悩みを聞いてくれますか?
ナナフォン :
僕はナナフォンといいます。
実は僕……ゴールドソーサーのマスコット、
「セニョール・サボテンダー」になりたいんです。
今も、マンダヴィル・ゴールドソーサーの、
「セニョール・サボテンダー」役の増員募集があったので、
応募しているんですが……あの動きが、どうにもできなくて。
もうすぐ、7度目の選考会があるのですが、
これで無理なら、もうきっぱり諦めたほうがいいんですかね。
やっぱり、僕なんかにサボテンダー役は無理なのかなぁ……。
そうですよね……。
自分でも自信がないのに、採用なんてとても……。
紳士的な声 :
ホッホッホゥ!
それなら、ひとつ私に考えがありますぞ。
ナナフォン :
あ、あなたは!
ゴールドソーサーのオーナー、ゴッドベルトさんでは!?
ゴッドベルト :
ホゥ、いかにも!
ところで、私の耳にも話が聞こえてきたのですが、
サボテンダーの独特の動きをとるのに苦労しているのだとか?
ナナフォン :
は、はい……。
ぜひ、人気者のセニョール・サボテンダーになって、
みんなを楽しませたかったのですが……。
ゴッドベルト :
みんなを楽しませたい、と……。
何度も諦めず挑戦し続けるということは、
きっと何か、強い想いがあるのでしょうな。
立場上、本来は手助けの類はよくないのですが、
そこまで合格したいのであれば、とある人をご紹介しましょう。
中央ザナラーンのブラックブラッシュ停留所にいる、
「リリザン」という方を訪ねるとよいでしょう。
合格に繋がる何かを得られるはずですぞ。
よければ、冒険者殿も共に赴いてあげてください。
リリザン殿は、才能溢れる人物、
冒険者として、彼から学べることもあるでしょう。
ナナフォン :
ゴッドベルトさん、貴重な情報を、
わざわざ教えてくださってありがとうございました!
では冒険者さん、さっそく行くとしましょう!
僕は先に、ブラックブラッシュ停留所に向かっていますね!
ゴッドベルト :
諦めぬ者に幸せあれ。
成功を願っておりますぞ……ホッホッホゥ!
ナナフォン :
ごめんください。
あなたは、リリザン殿ですか?
リリザン :
いかにも、私はリリザンですが……
いったい何用ですかな?
……なるほど、事情は分かりました。
ところで、あなたがセニョール・サボテンダーに、
なりたい理由をうかがっても?
ナナフォン :
はい、もちろんです!
あれは、ゴールドソーサーの開園初日に、
遊びに行ったときのことでした。
きらびやかな内装、多彩なアトラクション……
本当に時を忘れるくらい、楽しみましたよ。
でも、僕が一番感銘を受けたのは、園内で見かけた、
セニョール・サボテンダーが人々を喜ばせている姿でした。
練り歩いては人を笑顔にしていく様子に、心を打たれたんです!
僕は、性格が後ろ向きなところがあって、
意図せず相手をイラつかせてしまうことがあるんです。
そんな僕には、言葉でなく動きだけで人々を笑顔にしていく、
セニョール・サボテンダーは輝いて見えたんです……!
それ以降、いつの日か自分もああなりたいと思い、
キャストの募集があるたびに応募してきました。
いつも、結果は伴いませんが……。
リリザン :
なるほど、そんなふうに想ってくれる人がいたのですね……。
ならば、私にも役立てることがあるでしょう。
ナナフォン :
そ、そ、その動きは……まさかっ!?
リリザン :
そう……何を隠そう、私こそ、
初代セニョール・サボテンダー!
サボテンダーが好きすぎて、あの独特の動きを会得すべく、
模倣することに情熱を注いでいた私を、世の人々は、
指をさして、変人とあざ笑いました……。
ですが、あの方……ゴッドベルトさんだけは違った!
私の生き様を認め、ゴールドソーサーの開園にあたって、
仕事までくださったのです!
セニョール・サボテンダーの着ぐるみの設計から、
振り付けの類まで……私は、すべて監修しました。
身も心もサボテンダーになりきろうと、
最後の三日間は絶食し、水も飲まず、己を追い込みました。
そして、ついに迎えたオープン当日……。
初日の業務を終える直前に転倒し、二階から転落……。
いわずもがな、脱水症状でした。
どうにか命は取り留めましたが、脚には後遺症が……。
結果、長時間、サボテンダーになりきることが不可能となり、
引退に追い込まれたのです。
ですから、私がセニョール・サボテンダーだったのは一日だけ。
そこで、あなたと私は出会っていたのですね……。
……いいでしょう。
今や長くは踊れない私ですが、動きを教えることはできます。
やる気はありますか?
ナナフォン :
はい、もちろんです!
リリザン :
そちらの御仁はいかがしますかな?
はい、喜んで!
ナナフォン :
お、ノリがいいですね!
冒険者さんも一緒にぜひ!
リリザン :
では、さっそくはじめますぞ……!
時間がありませんでしたが、基礎的な動きはすべて教えました。
あとは、サボテンダーになりきる、という気持ちだけ……!
そろそろ最終選考が始まる頃でしょう。
さあ、お行きなさい、ご両人!
未回収
ナナフォン :
何を言ってるんですか、冒険者さん!
最終選考を受けるのは僕ですよ!
リリザンさん、頑張ってきます!
ありがとうございました!
さぁ、冒険者さん。
選考会場のゴールドソーサーに行きましょう!
ナナフォン :
とうとう最終選考です。
7度目の応募ですが、何度経験しても緊張するものですね。
も、もう少し具体的なアドバイスを期待してましたが……
ともかく、気合は入りました。
それじゃあ、行ってきますね!
ローランド :
エントリーナンバー6番の方、ありがとうございました。
続きまして……エントリーナンバー7番の方、どうぞ!
ええと、お名前は……ナナフォンさん、ですね。
志望動機や自己アピールがありましたら、お願いします。
ナナフォン :
……。
ローランド :
……特にありませんか?
ナナフォン :
…………。
ローランド :
ほう……あえての無言、ですか……?
ナナフォン :
……………………!
ローランド :
、たしかに……この再現度合いは……
伝説の初代セニョール、リリザン氏のようだ!
…………素晴らしい!
選考を待つまでもありません……ナナフォンさん、合格です!
ナナフォン :
……………………。
ローランド :
最後まで無言を貫いてみせる、と……。
生粋のサボテンダーということですね。
ナナフォン :
や、やりました!
まさか、その場で採用が決まるなんて……!
それもこれも、ゴッドベルトさんやリリザン師匠、
そして、最後まで付き合ってくださったあなたのおかげです!
本当にありがとうございました!
これから僕は、セニョール・サボテンダーとして、
ここで働くことになります。
もしお会いしたとしても、決して声はかけられません……。
でも、精一杯、リリザン師匠に教えてもらった動きで、
あなたのことをおもてなしいたしますからね!
それでは!
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