ミスター・ルーキー

ページ名:ミスター・ルーキー

『ミスター・ルーキー』は2002年に日本で公開されたプロ野球を題材にした映画である。井坂聡監督。

元プロ野球選手・長嶋一茂(現・読売ジャイアンツ特別代表補佐)が主演し、しかも彼の役柄が巨人のライバル・阪神タイガースの選手と言う設定で話題を集めた作品。興行収入は4億3000万円。

東京大学野球部出身の監督のこだわりによるスピード感のあるリアルな試合シーン、球場スタッフや応援団に至るまで本物を揃え、最大3000人ものエキストラを動員した甲子園球場の迫力ある映像が最大の見どころ。

目次

あらすじ[]

テンプレート:ネタバレ時は200X年。阪神タイガースが、甲子園のホームゲームにだけ登板する虎柄の覆面をかぶったリリーフ投手「ミスター・ルーキー」を入団させる。ミスター・ルーキーが投げるとチームは連戦連勝を重ね、優勝にあと一歩と迫るのだった。

ミスター・ルーキー、その正体は公式には一切謎とされており、瀬川監督も「甲子園の主や。」とだけ語る。だが、覆面を取れば、普段は酒造メーカーのしがない営業マン、大原幸嗣。若い頃はプロ間違いなしと言われるほどの実力であったが、甲子園出場を目前にした東東京大会決勝戦で肩を故障してプロへの道を諦め、妻子を持つ普通のサラリーマンになっていた。

ある日、幸嗣は淀川の河川敷での父兄野球でピッチャーとして登板する。しかしかつて痛めた肩のせいで立派な体格の割に球威は全くなく、簡単にヒットを打たれる。ムキになって本気を出そうとした幸嗣だったが、球を投げた瞬間肩に激痛が走りうずくまる。しかし一瞬見せた素人離れした身のこなし、ピッチングフォームを観ていた謎の中国人整体師・楊の目に留まり、彼の薦める薬『神獣霊虎膏』を塗り、彼の指示に従ってマッサージとリハビリを受けると、10年以上治らなかった肩の痛みが次第に消えて剛速球が復活するように…。その噂を聞きつけた阪神監督が、ホームゲーム限定の覆面投手として獲得に動き出す…。

キャスト[]

  • 大原幸嗣:長嶋一茂
東京出身。33歳。高校時代は都立校所属ながら強豪ひしめく東東京大会でチームを決勝まで導くが、チームのために無理して投げ続けたために肩を故障、野球の道を諦めることになる。大学卒業後大手ビール会社に就職、現在は大阪のマンションで妻子と共に暮らす。
  • ミスター・ルーキー
甲子園球場のバックスクリーン下のフェンス開閉部(本来は試合中使われることはない)から花火と共に出現する、ホームゲーム限定の守護神、瀬川監督曰く「甲子園の主」。背番号119。Max150kmオーバーの剛速球を武器に活躍し、シーズンが進むにつれ甲子園以外にも登場するようになるが次第に疲れを見せるようになる…。ちなみに甲子園のスコアボードには、
MR




と表記される。
  • 大原優子:鶴田真由
ケアマネージャーを目指し、夫と息子に尽くす普通の妻だが性格は男勝り。若い頃は歌手を夢見ていた。
  • 楊:國村隼
逆立った金髪、黒づくめ、丸サングラスの謎の中国人。六甲スポーツという甲子園に出入りしている用品会社の社員だが中国整体師でもある。
  • 小嶋典子:山本未来
幸嗣の同僚。
  • 椎橋純子:さとう珠緒
ワイドショーのリポーター。カメラマンの矢部とのコンビでルーキーの正体を探る。
  • 矢部:吹越満
  • 平松コーチ:中原丈雄
強面のピッチングコーチ。存在感はあるがあまりしゃべらない。
  • 多田:嶋尾康史
現在のタイガースの4番打者。前年までは5番だった。4番ではあるが前年までの不動の4番だった武藤と比べると幾分頼りない。背番号1、ファーストしか守れない所から察するに元々は投手だったのだろう。ヒッティングマーチは和田豊のものである。
  • 大原俊介:米田良
幸嗣と優子の一人息子。9歳。物心ついた頃から大阪に住んでいるので両親と違い大阪弁で話す。勘が鋭く、野球少年である。
  • 成田社長:神山繁
  • 武藤秀吾:駒田徳広
東京ガリバーズの4番打者。ミスター・ルーキー最大のライバル。背番号42。前年に阪神からFA移籍し日本中の阪神ファンを敵に回したが、それに全く動じない剛胆ぶり、あまりに強気な放言・パフォーマンスなどドカベンの岩鬼正美のような豪快なキャラクターである。夏頃の時点で36本ものホームランを放っていること、阪神との決戦前の新聞に「武藤、三冠王へ前進」との記事があることから、作中の日本プロ野球界におけるずば抜けた強打者であることが分かる。高校時代唯一自分から三振を奪った投手・大原幸嗣のことをプロ入り10年以上を経た現在でも強烈に記憶しており、ルーキーの球筋に何かを感じる。東京の高校出身だが終始一貫して関西弁なので、東京の私立強豪校に野球留学、甲子園で活躍した後地元の阪神に入団、という球歴なのだろう。
  • 江川常務:宅麻伸
大阪支社の責任者。ガリバーズファンであり、古賀ら大阪営業部が推すタイガースがらみの企画に全く理解がない。名前が江川である所以か。大阪支社の営業部長。根っからの阪神ファンであり、常に黄色い物を身につけている。若干怪しい関西弁でしゃべる。
  • 瀬川監督:橋爪功
阪神タイガース監督。背番号83。スケベで貴金属好きだが策士であり、吉田義男と野村克也を足して2で割ったようなキャラクター。かなり小柄。
  • 矢作:矢作公一
幸嗣の入団テストの際、球を受けた大柄な捕手。背番号50。
  • ホステス:木内あきら・村田和美 他
古賀と幸嗣が瀬川監督をクラブで接待する際、監督に付いたホステス。
  • プロ野球選手たち:大阪ガス硬式野球部・NTT西日本硬式野球部・三菱自動車京都硬式野球部
阪神をはじめとする、広島・横浜・ヤクルトの各球団の選手、コーチらは全て本物の社会人野球選手が揃えられ、リアルな試合シーンを演出した。各選手の背番号は基本的に全て本来の所属チームでの背番号である。中でも当時大阪ガスに所属していた能見篤史は阪神の中継ぎ投手として出演し、後に阪神に入団した際大阪ガス時代同様背番号14を背負い、結果として劇中での姿が実現することになった。

ゲスト出演者[]

  • 広澤克実
現役選手として登場。試合シーンはなかったが記者からのインタビューに答える。
  • 藪恵壹
東京ガリバーズとの最終決戦に先発投手として登板。
  • 矢野輝弘
最終決戦で先発マスクをかぶる。だがルーキー登場の時にはすでに交代していた。
  • 八木裕
最終決戦で大声援に応え代打ヒットを放つ。
  • 桧山進次郎
3番左翼として試合に出場するが凡退。
  • ランディ・バース
瀬川監督の切り札、「もう一人のミスター」。
  • 吉田義男
伊藤史隆アナ、中邨雄二アナとのコンビで解説に登場する。
  • 田淵幸一
最終決戦で楠淳生アナとのコンビで解説に登場。
  • 太田房江
大阪府知事として最終決戦の応援に訪れる。
  • 道上洋三・國定浩一・仲田幸司
最終決戦で声援を送る阪神ファンとして登場。

※甲子園球場のボールボーイ、球場スタッフ、球場警備員、売り子、阪神タイガース私設応援団員は全て本物である。

スタッフ[]

  • 監督:井坂聡
  • 製作総指揮:伊地智啓(ケイファクトリー)
  • プロデューサー:田村三勇 赤井淳司 清水啓太郎
  • 原案:佐藤佐吉
  • 脚本:井坂聡、鈴木崇
  • 企画:大木達哉
  • 撮影:佐野哲郎
  • 音楽:和田薫
  • 音楽プロデューサー:高橋信之
  • 主題歌:『バカだから』
作詞・作曲:トータス松本 唄:ウルフルズ
  • 特別協賛:アサヒビール
  • 協賛:カネボウ
  • 協力:大阪商工会議所、大阪ロケーション・サービス協議会、阪神グループ
  • 「ミスター・ルーキー」製作委員会:朝日放送・IMAGICA・衛星劇場・江崎グリコ・角川書店・ソニー・デサント・電通関西支社

漫画版[]

『阪神タイガース救世主伝説 ミスター・ルーキー』角川コミックス・エース ISBN 978-4-04-713576-5漫画:桑沢篤夫 脚本:井坂聡、鈴木崇

2003年10月発売。映画脚本を元に作られているため映画に非常に忠実な出来になっている。映画では描かれなかったセ・リーグ制覇の後、ホークスらしきチームと日本シリーズで戦うくだりが僅かながら描かれている。

その他[]

この作品では、実際に桧山進次郎、広澤克実、八木裕、矢野輝弘、藪恵壹ら当時の阪神タイガースの現役選手と後に阪神現役選手になる能見篤史も社会人時代に1度エキストラで出演し‎、田淵幸一、吉田義男、ランディ・バースなどのOBが出演したり(吉田・田淵の2人はユニフォームは着ずに朝日放送の解説者役で出演。なお、田淵はABC専属解説者ではなくTBS専属解説者である)、甲子園でのロケーションも実施されるなどタイガースとの全面協力体制によって製作された。また、社会人チームや阪神戦中継で定評のある朝日放送(ABC)の協力も得て、当時社会人チーム選手だった能見篤史(現阪神投手)や道上洋三などのABCアナウンサーも出演した。

しかし、掛布雅之など一部の阪神OBは阪神に在籍していなかった選手が阪神のユニフォームを着ることに対して強く反発し、この映画への出演要請を断っている(特に主人公が阪神の永遠のライバルである巨人のOBの一茂(一茂はヤクルトのOBでもある)だったことが更に強い反発をよんだと言われている)。

読売ジャイアンツと中日ドラゴンズの名称使用許可がおりなかったため(「『阪神が優勝する』と言う内容に巨人側が難色を示した」と言う説があるが、同じような「中日ドラゴンズが優勝する」と言う内容のハリウッド映画「ミスター・ベースボール」には許可を出しているので実際のところは不明)、映画ではジャイアンツによく似た球団名「東京ガリバーズ」を使用している。また中日ドラゴンズは写さず、その他の球団については名称をいじった形跡はないので許可が下りたものと思われる。

ちなみに、実際のルールでは出自不明のままプロ野球選手になることや、プロ野球選手の「二足のわらじ」(本作にあるような、昼は会社員、夜はプロ選手、という二股)は禁止されている。

また阪神が勝利した場合には翌日の初回上映が1800円から1000円になった。

2003年の夏以降、阪神の史上稀に見る独走での優勝が現実味を帯びてくると、同映画のDVDへの追加注文が増加した。同年8月25日には地上波でテレビ朝日(ANN)系列・朝日放送製作キーステーションで「夏休み特別企画・阪神タイガース優勝祈念特番」として「月曜時代劇」と「テレビのチカラ」を休止してこの映画が放映された。阪神タイガースの特番がテレビ朝日系列でゴールデンタイムに放送されるのは極めて異例。

映画の最後には、やはりタイガースの映画にふさわしく六甲おろしがフルコーラスで歌われた。

2007年12月31日に他局のTBS(MBS)系BSデジタル局のBS-iにて朝日放送・テレビ朝日での未公開分含めた部分を含めた放送が流れた。

外部リンク[]

  • 映画製作会見


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