フランケンシュタイン対地底怪獣

ページ名:フランケンシュタイン対地底怪獣

フランケンシュタイン対地底怪獣

原題

Frankenstein vs. Baragon

監督

脚本

馬淵薫

製作

田中友幸

製作総指揮

清水雅

出演者

高島忠夫
ニック・アダムス
水野久美

音楽

伊福部昭

撮影

小泉一

編集

藤井良平

配給

公開

1965年8月8日(日本)

上映時間

90分

製作国

日本の旗 日本

言語

日本語

次作


『フランケンシュタイン対地底怪獣』(フランケンシュタインたいバラゴン)は1965年8月8日に公開された東宝とベネディクト・プロによる初めての日米合作怪獣映画である。上映時間は90分。

テンプレート:ネタバレ

目次

物語[]

第2次世界大戦末期、陥落寸前のドイツから日本にあるものが運ばれ、広島に移送された。永遠の生命力を持ち、それをもとに不死身の兵士を作ろうとする秘密の作戦であったが、それは原子爆弾の爆発で消滅したと思われた。

それから時は流れ、1960年。広島周辺に徘徊していた謎の少年が、国際放射線医学研究所のボーエン博士と助手の戸川季子達に保護される。少年は短期の内に巨人化する。彼は終戦末期に日本に運ばれたもの、すなわち、「フランケンシュタイン」の不死の心臓が人間の形を取ったものだったと判明。時同じくして、秋田の油田を襲った地震の最中、巨大な怪獣らしきものが目撃される。中生代の終わりに地下にもぐって大絶滅を切り抜けた恐竜バラナスドラゴン=バラゴンであった。

巨人化したフランケンシュタインはマスコミの横暴な撮影に暴れ病院を脱走、富士山周辺へと北上する。同じくして甲信越で起きる謎の災害に、世間はフランケンシュタインの仕業であろうとの念を持ち、自衛隊の出動などの強行策が実施された。フランケンシュタインへの疑惑を晴らそうと富士山麓の樹海に入ったボーエン博士や季子達の前にバラゴンが現われ、謎の災害はこの怪獣の仕業だったのだとわかる。あわや季子らはバラゴンの餌食かと思われた時、フランケンシュタインが立ち塞がった。

概要[]

内容は、フランケンシュタイン(本来はフランケンシュタインの創造物〈怪物〉)が地底怪獣バラゴンと闘うというものである。当初、米国のキングコングとフランケンシュタイン博士の創造した巨大モンスターが闘う映画企画を東宝が取得し、フランケンの要素が『フランケンシュタイン対ガス人間』(『ガス人間第一号』の続編企画)や『フランケンシュタイン対ゴジラ』へと企画は二転三転し、シナリオのゴジラの出番が新怪獣バラゴンへ変更される形でこの映画に結実した。

原案はアメリカのSF作家ジェリー・ソウルが担当、ソウルは米国側スタッフとともに医学監修として来日し、撮影にも立ち会った。[1]

なお、本作はアメリカのベネディクト・プロとの合作であるため、最初からの海外での上映が予定され、海外の上映時間の規定を満たす為、アパートで季子に別れを告げるフランケンシュタインの場面が追加撮影された。

また、二見書房刊の「大怪獣ゴジラ99の謎」によれば、この作品には少なくとも3種類の結末があると言われている。

  • バラゴンを倒したあとでフランケンシュタインが地割れに呑み込まれるもの(劇場公開時の結末、いわゆるオリジナル版)。
  • 大ダコが出現する場面が追加されたもの。
  • フランケンシュタインとバラゴンが同時に地割れに呑み込まれるもの[2]

大ダコ出現版は海外版のために撮り直されたという説がファンの間で浸透していたが(スタッフすらそう思っていた)、東宝発売のDVD付属の解説書によれば、海外公開版もオリジナル版の結末であり、日本のテレビで放映されたものが大ダコ出現版の初公開である。大ダコ出現版は特撮だけでなく、人物が描かれる本編も撮り直されている。ビデオ発売などでは大ダコ出現版が使用され、オリジナル版の方が幻の存在となりつつあったが、現在ではDVDにて2種類のバージョンが視聴できる(大蛸出現シーンに流れるBGMは『キングコング対ゴジラ』の大蛸出現シーンに流れた曲をそのまま使用)。

登場怪獣[]

フランケンシュタイン[]

身長:20メートル

太平洋戦争の末期、絶対に死なない兵士を造るためドイツから広島へ送られた「フランケンシュタインの心臓」が15年後心臓から幹細胞的に自ら人間状へ再生した。その後放射線医学研究室に保護されたが短期間の内に数メートルにも巨大化し研究室を脱走。そのまま北上し富士山麓で地底怪獣バラゴンと対決する。何故か体にあわせて衣服も大きくなっており富士山麓にいた時点では毛皮をまとっていた(スチルではボロ布)。

着ぐるみを使用せずに古畑弘二、中尾純夫にメイクを施して演じている。

バラゴン[]

テンプレート:Mainデザインは渡辺明、頭部造形は利光貞三、胴体は八木寛寿、八木康栄、背びれは村瀬継蔵による。演技者は中島春雄。海外輸出作品を意識して、狛犬のイメージで顔が作られた。額の一本角は村瀬によるポリ樹脂製で、電飾が仕込まれ発光する。リモコンで口の開閉のほか、塩化ビニール板のカバーで覆った眼球が中で左右に動く。この眼球の黒目を黄色い縁取りで囲み、中心に黄色い点が描き込まれているが、これは同年制作の『怪獣大戦争』のゴジラと同じ技法。

公開当時のパンフレットには「モグラの親玉」と表現されている。この年、新幹線が開通し、「ひかり号」が劇中本編にも出ており、バラゴンがこれを襲うイメージ写真も作られたが、こちらは劇中で描かれなかった。また、宣伝素材では直立した姿勢で写ったものが多数あるが、劇中では二本足で歩行することはない。口から吐く赤い熱線は作画合成で処理された。また自衛隊特車部隊が1尺サイズのミニチュアで登場するが、バラゴンを直接攻撃するシーンは無かった。

抜け殻状態のバラゴンのぬいぐるみを、人間形態のフランケンシュタインが担ぎ上げ振り回すといったアクションスタイルは、翌年の『ウルトラマン』で、ウルトラマンと怪獣の格闘の基本パターンの基礎となった。このバラゴンの胴体は撮影終了後に円谷プロに貸し出され、高山良策や佐々木明の手によって様々な怪獣に改造された。

FC版ゴジラではバランやモゲラ(味方に回るのはゴジラVSスペースゴジラから)と共に何故かゴジラやモスラの敵に回っている。得意の光線技を不意打ちで使用する等、反則技を持つ。

大ダコ[]

富士の湖に生息。バラゴンを倒した直後のフランケンシュタインに襲い掛かりそのまま湖にひきずりこみ姿を消した。このくだりはTVで初めて放映された。造形物は『ウルトラQ』第23話「南海の怒り」のスダールにそのまま流用され、その後『サンダ対ガイラ』の大ダコに使用された。

スタッフ[]

本編[]

  • 製作:清水雅
  • 製作補:森岩雄
  • 企画:藤本真澄
  • 原作:ジェリー・ソウル
  • 脚本:馬淵薫
  • 音楽:伊福部昭
  • 撮影:小泉一
  • 美術監督:北猛夫
  • 録音:小沼渡
  • 照明:小島正七
  • 編集:藤井良平
  • チーフ助監督:梶田興治
  • 監督助手:橋本幸治
  • 製作担当者:山田順彦
  • 整音:下永尚
  • 音響効果:西本定正
  • スチル:田中一清
  • 現像:東京現像所
  • プロデューサー:田中友幸
  • 監督:本多猪四郎

特殊技術[]

  • 特技監督:円谷英二
  • 特技撮影:有川貞昌、富岡素敬
  • 美術:渡辺明
  • 照明:岸田九一郎
  • 造形チーフ:利光貞三
  • 繰演:中代文雄
  • チーフ助監督:中野昭慶
  • 製作担当者:小池忠司
  • フランケンシュタイン:古畑弘二、中尾純夫
  • バラゴン:中島春雄

特殊視覚効果[]

  • 合成:向山宏
  • 光学撮影:真野田幸雄、徳政義行

キャスト[]

  • 川地堅一郎:高島忠夫
  • ジェームス・ボーエン:ニック・アダムス (en) (声・納谷悟朗)
  • 戸上季子:水野久美
  • 河井大尉:土屋嘉男
  • 田所警部補:佐原健二
  • 大阪府警幹部:伊藤久哉
  • 遠井田鶴子:沢井桂子
  • 巡査:向井淳一郎
  • 農夫:古田俊彦
  • 病院事務長:佐田豊
  • 週刊誌記者:渋谷英男
  • 元木:山本廉
  • TVディレクター:加藤春哉
  • TV照明マンA:中山豊
  • TV照明マンB:大村千吉
  • TVカメラマン:西条康彦
  • 大学教授:石田茂樹
  • 新聞社社員:田武謙三
  • 技師:津田光男
  • トンネル工夫:広瀬正一
  • 新聞記者A:野村浩三
  • 新聞記者B:岡部正
  • 新聞記者C:橘正晃
  • 住宅の主人:沢村いき雄
  • 杉山警部:大友伸
  • 岡山県警本部長:田崎潤
  • 大阪府警署長:藤田進
  • 自衛隊幹部:緒方燐作
  • 自衛隊老幹部:小杉義男
  • リーセンドルフ博士:ピーター・マン(声・熊倉一雄)
  • 須賀博士:中村伸郎
  • 広島衛戍病院軍医:志村喬

関連項目[]

遣独潜水艦作戦

脚注[]

  1. 東芝EMIのCD「東宝怪獣映画選集7」解説より。
  2. DVDのオーディオコメンタリーで有川貞昌は、このようなシーンは撮影されていないとコメントしている。

fr:Frankenstein vs. Baragonno:Fuharankenshutain tai baragon

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