ピンポン_(漫画)

ページ名:ピンポン_(漫画)

テンプレート:漫画『ピンポン』は、週刊ビッグコミックスピリッツ(小学館刊)に連載された松本大洋による漫画作品、及びそれを原作とした映画作品である。藤沢市が舞台となっている。

目次

概要[]

週刊ビッグコミックスピリッツに1996年から1997年まで連載された。全55話。

ペコとスマイルの、片瀬高校の卓球部に所属する幼馴染の二人が主人公である。

ペコが「ペコ」と呼ばれる所以は、不二家のペコちゃんに似ているからではないかと推測される。事実ペコは作中で「ポコ」とも呼ばれるシーンがある(ポコちゃんは不二家のペコちゃんのボーイフレンドで、ペコちゃんと容姿が非常に似ている)。卓球は本当に強いが、自分の才能に自惚れている処があり、先輩に対しても挑発的だ。スマイルは、決して笑わないからペコがあえて「スマイル」と命名した。内気で無口だが、やはり卓球は強い。

二人は噂の中国人留学生を迎えた辻堂学園高校卓球部の偵察に出かけ、留学生のチャイナこと孔文革と対面する。チャイナと卓球をしたペコは、一点も獲れずに敗北する。

暫らくして片瀬高に、髪も眉毛も剃りあげた、スキンヘッドの高校生が参上する。海王学園高校卓球部のドラゴンである。ドラゴンは、絶対にインターハイで優勝すると宣言する。そして、インターハイが開幕した。

この物語は、卓球に全てを注ぐ熱い青年達を痛快に描いた、スポーツ根性一直線の、美しい青春讃歌である。

テンプレート:ネタバレ

登場人物[]

片瀬高校[]

星野 裕 (ほしの ゆたか)/ペコ右ペンホルダー 前陣速攻型片瀬高校1→2年生月本 誠 (つきもと まこと)/スマイル右シェークハンド カット主戦型片瀬高校1→2年生

海王学園高校[]

風間 竜一 (かざま りゅういち)/ドラゴン右シェークハンド オールラウンド海王学園高校2→3年生佐久間 学 (さくま まなぶ)/アクマ右ペンホルダー 前陣速攻型海王学園高校1→2年生

辻堂学院高校[]

孔文革(コン・ウエンガ)/チャイナ右中国式ペンホルダー ドライブ主戦型

主人公の構図[]

核を成す二人の主人公の構図は、全てを達観している冷静で理知的な男(スマイル)と、何物にも囚われずに自由に突っ走る純粋で無垢で情熱的な男(ペコ)という、静と動の対比である。

これは同じく「スピリッツ」に連載された前々作「花男」と、前作「鉄コン筋クリート」と同一の構図である。前々作、前作と合わせれば、この構図による三部作とも受け取れる。また、本作をこの構図の集大成とも受け取れる。

表現[]

緻密さと荒削りさが共存する特異な絵柄は、大変に評判になる。絵の癖が強すぎるという意見もあるが、漫画の表現において、大友克洋の『AKIRA』以来の衝撃を与えた、と賞賛される。

特に、卓球の試合の場面の描写が際立っていた。気合と力の入った白熱の描写は、それまでのどのスポーツ漫画とも異なっていた。

最終回[]

最終回は、その白熱の激戦から解放された五年後を描いている。スマイルとドラゴンは久々に再会した。大学生のスマイルは小学校の教諭を目指している。ドラゴンは卓球の日本代表から外された。

かつて卓球で燃えたライバル同士は、別々の道を歩んでいる。戦う選手の険しい表情は消え、穏やかな表情をしている。あの白熱の試合は既に昔話で、今は静かな日常がゆっくり流れていた。

そしてペコは、遥か彼方でたった一人頂点を極めていた。ドイツでプロ卓球選手として活躍しているのだ。大声援で迎える観客に、ペコはドイツ語で「ありがとう」と答える。貫禄を十分備えた選手に成長していた。

最後のページで、あくびをするスマイルと笑うドラゴン、そして最高峰の舞台で白熱の試合をしているペコという対比で、物語は幕を閉じる。

前話まで何十週にも渡りインターハイの準決勝、そして決勝戦を克明に描いて、いきなり後日談を描いて最終回を迎えたため、衝撃の最終回と話題を呼んだ。

評価[]

1997年と1998年に、手塚治虫文化賞の候補に挙げられる。惜しくも受賞は逃したが、数多くの選考委員から高い評価を得た。

山本直樹の『ありがとう』と並ぶ、1990年代の「スピリッツ」の金字塔との評価もある。

単行本[]

小学館・ビッグコミックススペシャル。全5巻。
  • 第1巻(1996年9月1日発行。ISBN 4091847366)
  • 第2巻(1997年1月1日発行。ISBN 4091847374)
  • 第3巻(1997年4月1日発行。ISBN 4091847382)
  • 第4巻(1997年8月1日発行。ISBN 4091847390)
  • 第5巻(1997年10月1日発行。ISBN 4091847404)

映画[]

漫画の連載終了から4年以上が経過した2002年初頭、映画の公開が発表される。

内容、キャスト、配給、宣伝の何れを取っても邦画の常識を覆した大ヒット作品として記憶されている。この映画から邦画バブルが始まった歴史的作品となった。

・特異なキャラクターが登場する漫画の映画化とあって、果たして忠実に映像化できるのかという不安も囁かれたが、出演者たちの熱演はそれを覆した。ただ、映画という決められた時間内では難しかったのか、原作ほどキャラクターの細部まで描き切れていないという批判も漫画ファンの中に存在する(例:スマイルの失踪、ドラゴンの内面描写など)。

・卓球の試合シーンは主にボール、コート共にフルCGで作られており、これによって迫力の卓球シーンを描くことに成功している。劇中音楽は、主題歌を担当したスーパーカーを初めとして、石野卓球やブンブンサテライツなどのミュージシャンらがそれぞれ提供しており、作品を盛り上げる。

・この映画の原作との最大の違いは、キャプテン大田のキャラクターである。大人計画出身俳優の荒川良々が演じたこのキャラクターは、原作とは異なる丸坊主の太っちょといったいでたちで、原作には無い彼の持ち味を生かしたコミカルなシーンが地味ながらもいい味を出している。また、キャプテン大田主演の宮藤官九郎脚本によるこの映画のサイドストーリー「ティンポン」が存在しており、こちらの内容は本編のパロディとなっている(DVD二枚目に特典映像として観られる)。

・原作者の松本大洋本人が劇中にわずかではあるが出演している。

出演[]

  • 星野裕 / ペコ:窪塚洋介
  • 月本誠 / スマイル:ARATA
  • 風間竜一 / ドラゴン:中村獅童(2代目)
  • 孔文革 / チャイナ:サム・リー
  • 佐久間学 / アクマ:大倉孝二
  • 田村 / オババ:夏木マリ
  • 小泉丈 / バタフライジョー:竹中直人
  • 大田/ :荒川良々
  • 多胡 / :近藤公園
  • 五味 / :平野貴大
  • 真田 / :末満健一
  • 孔のコーチ / :翁華栄
  • ムー子 / :三輪明日美
  • 小学生のペコ / :小泉拓也
  • 小学生のスマイル / :小沼蔵人
  • 小学生のアクマ / :北山小次郎
  • 橋の上の巡査 / :松尾スズキ
  • 選手Aの父/ :山下真司
  • 選手Aの母 / :石野真子
  • 大学生カップル / :大浦龍宇一
  • 大学生カップル / :田中千絵
  • ゲームセンターのカップル / :津田寛治
  • ゲームセンターのカップル / :馬渕英里何
  • スタッフ / :佐藤二朗
  • 服部まこ / :水谷妃里
  • 片瀬高校女子生徒 / :加賀野泉
  • 片瀬高校女子生徒 / :原田夏希
  • 片瀬高校卓球部員 / :守山歩
  • 片瀬高校卓球部員 / :西原亮
  • 片瀬高校卓球部員 / :鈴木清貴
  • 片瀬高校卓球部員 / :小山内勝
  • 片瀬高校卓球部員 / :上地慶
  • 片瀬高校卓球部員 / :大江聡
  • 片瀬高校卓球部員 / :斉藤直行
  • 片瀬高校卓球部員 / :樋田洋平
  • 海王学園高校卓球部員 / :虎牙光揮
  • 海王学園高校卓球部員 / :秋永裕司
  • 海王学園高校卓球部員 / :中村郁雄
  • 海王学園高校卓球部員 / :小川毅史
  • 海王学園高校卓球部員 / :平多康朔
  • 海王学園高校卓球部員 / :田村賢二
  • 海王学園高校卓球部員 / :周防進
  • 海王学園高校卓球部員 / :仲島武士
  • 生徒 / :冨田翔
  • 生徒 / :佐藤幹雄
  • 生徒 / :佐々木哲平
  • 少年太郎 / :小池城太朗
  • ラストの少年 / :染谷将太
  • クラスメイト / :田代惇一
  • クラスメイト / :吉川陸
  • クラスメイト / :伊藤善博
  • クラスメイト / :真貝晋史

スタッフ[]

  • 原作:松本大洋
  • 監督・VFX:曽利文彦
  • 脚本:宮藤官九郎
  • 主題歌:スーパーカー「YUMEGIWA LAST BOY」
  • 製作:アスミック・エースエンタテインメント、小学館、東京放送、ビーエス・アイ、日本出版販売、IMAGICA
  • 配給:アスミック・エースエンタテインメント

テンプレート:Manga-stubテンプレート:Movie-stub

外部リンク[]

  • 映画版公式サイト

fr:Ping-pong (manga)

Smallwikipedialogo.pngこのページには、クリエイティブ・コモンズでライセンスされたウィキペディアの記事が使用され、それをもとに編集がなされています。使用された記事はピンポン (漫画)にあり、その著作権者のリストはページの履歴に記録されています。


特に記載のない限り、コミュニティのコンテンツはCC BY-SAライセンスの下で利用可能です。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。


最近更新されたページ

左メニュー

左メニューサンプル左メニューはヘッダーメニューの【編集】>【左メニューを編集する】をクリックすると編集できます。ご自由に編集してください。掲示板雑談・質問・相談掲示板更新履歴最近のコメントカウン...

龍村仁

龍村 仁(たつむら・じん、1940年-)はドキュメンタリー監督、元NHKディレクター。有限会社龍村仁事務所代表。目次1 経歴2 作品2.1 ドキュメンタリー2.2 CM2.3 その他3 参考文献4 外...

龍の牙-DRAGON_FANG-

テンプレート:統合文字『龍の牙-DRAGON FANG-』とは、2007年11月22日にDVDが発売される日本の映画。監督は久保田誠二。製作は株式会社クリエイティブ・ホールディングス。目次1 概要2 ...

龍が如く_劇場版

『龍が如く 劇場版』(りゅうがごとく げきじょうばん)は、PS2のゲームソフト「龍が如く」を、『着信アリ』『妖怪大戦争』などを手掛けた映画監督の三池崇史が実写映像化した作品。2007年3月3日から東映...

龍が如く_〜序章〜

『龍が如く 〜序章〜』(りゅうがごとく じょしょう)は、PS2のゲームソフト「龍が如く」を、「着信アリ」「妖怪大戦争」などを手掛けた映画監督の三池崇史が実写映像化した作品。2006年3月24日にDVD...

齋藤武市

齋藤 武市(さいとう ぶいち、1925年1月27日 - )は日本の映画監督。埼玉県秩父市出身。早稲田大学文学部卒。1948年、松竹大船撮影所に助監督として入社。小津安二郎に師事する。1954年、先輩の...

黛りんたろう

テンプレート:Otheruses黛 りんたろう(まゆずみ りんたろう、1953年 -)は、NHKのドラマ番組ディレクター、演出家、映画監督。目次1 来歴・人物2 手掛けたドラマ3 劇場公開作品4 著書...

黒部の太陽

テンプレート:予定黒部の太陽(くろべのたいよう)は、木本正次による小説作品、ならびにこれを原作とする日本の映画作品。1968年公開。当時、世紀の難工事と言われた黒部ダム建設の苦闘を描いている。目次1 ...

黒蜥蜴

テンプレート:文学『黒蜥蜴』(くろとかげ)は小説。江戸川乱歩の代表作の一つである。宝石等の財宝を盗む女賊と名探偵明智小五郎が対決する推理小説である。初出は連載小説として雑誌『日の出』に1934年1月号...

黒田義之

黒田 義之(くろだ よしゆき、1928年3月4日 - )は、映画監督。目次1 経歴・人物2 主な監督作品(特技監督・助監督含む)3 主なテレビ監督4 主な脚本作品経歴・人物[]1928年、愛媛県松山市...

黒田秀樹

黒田 秀樹(くろだ ひでき、1958年4月30日 - )は、日本のCMディレクター、映画監督。大阪府出身。黒田秀樹事務所代表。目次1 プロフィール2 主な作品2.1 CM2.2 映画2.3 PV3 関...

黒田昌郎

黒田 昌郎(くろだ よしお、1936年 - )は日本のアニメーション演出家。東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。東映動画で「狼少年ケン」、「おばけ嫌い」、「ジャングル最大の作戦」、「タイガーマスク...

黒澤明

くろさわ あきら黒澤 明ファイル:Akira Kurosawa.jpg生年月日1910年3月23日没年月日テンプレート:死亡年月日と没年齢出生地日本の旗 東京府荏原郡大井町職業映画監督家族長男・黒澤久...

黒沢清

テンプレート:Otheruses黒沢 清(くろさわ きよし、1955年7月19日 - )は、日本の映画監督、脚本家。東京藝術大学大学院映像研究科教授。兵庫県神戸市出身。六甲中学校・高等学校を経て、立教...

黒木瞳

ののっぺらぼう鏡あべこべの世界絶対ムリ行きたない怖顔合わせおうちで暗い一番怖がりとしてもお願い申し上げください一緒よろしくね↓未来おうちで暗い見たい行きたです特に記載のない限り、コミュニティのコンテン...

黒木和雄

黒木 和雄(くろき かずお, 1930年11月10日 - 2006年4月12日 )は、映画監督。宮崎県えびの市生まれ。宮崎県立小林中学校(旧制)、宮崎県立都城泉ヶ丘高等学校、同志社大学法学部卒業。少年...

黒土三男

黒土三男(くろつち みつお、1947年(昭和22年)3月3日 - )は、日本の脚本家・映画監督。熊本県熊本市出身。目次1 経歴2 作品2.1 TVドラマ脚本2.2 映画監督・脚本3 関連項目4 外部リ...

黒い雨_(映画)

黒い雨監督今村昌平脚本今村昌平石堂淑朗原作井伏鱒二製作飯野久出演者田中好子北村和夫市原悦子三木のり平音楽武満徹撮影川又昂編集岡安肇配給東映公開日本の旗1989年5月13日1989年9月17日上映時間1...

黒い雨

テンプレート:Otheruses黒い雨(くろいあめ)とは、原子爆弾炸裂時の泥やほこり、すすなどを含んだ重油のような粘り気のある大粒の雨で、放射性降下物(フォールアウト)の一種である。主に広島市北西部を...