バーチャルリアリティ

ページ名:バーチャルリアリティ

バーチャルリアリティ (Virtual Reality) とは、実際の形はしていないか、形は異なるかも知れないが、機能としての本質は同じであるような環境を、ユーザの感覚を刺激することにより理工学的に作り出す技術およびその体系。日本語では、「仮想現実」、「人工現実感」、「疑似体験」等と訳されることもある。

バーチャルリアリティは、コンピュータなどによって作り出された世界(サイバースペース)をユーザに提示するものと、現実の世界を何らかの方法で取得し、これをオフラインで記録するか、オンラインでユーザに提示するものとに大別される。前者は、コンピュータグラフィックスの技術と深く関係している。また、現実と区別できないほど進化した状態を表す概念として、シミュレーテッドリアリティ (Simulated reality) があるが、これはSFや文学などの中で用いられる用語である。一方、後者の技術としては、とくにユーザが提示対象に対して遠隔地にいる場合、バーチャルリアリティを用いた空間共有が必要となり、テレイグジスタンス、テレプレゼンス(en:Telepresence)、テレイマージョン(en:Teleimmersion)と呼ばれる。また、ユーザが直接知覚できる対象物に対して、コンピュータがさらに情報を付加・提示するような場合には、拡張現実や複合現実(en:Mixed reality)と呼ばれる。

ファイル:VR-Helm.jpg

米国海軍で利用される VR パラシュート訓練機

目次

概要[]

バーチャルリアリティは、3次元の空間性、実時間の相互作用性、自己投射性の三要素を伴う。インタフェースは通常、視聴覚を利用するが、触覚、力覚、前庭感覚など、多様なインタフェース(マルチモーダル・インタフェース)を利用する。1968年にユタ大学の アイバン・サザランド によって HMD (ヘッドマウントディスプレイ、頭部搭載型ディスプレイ) が提案されたもの[1]が最初のバーチャルリアリティであるとされる。視覚のバーチャルリアリティとしては、1991年にイリノイ大学の Thomas DeFanti らによって提案された CAVE [2] (en:Cave Automatic Virtual Environment、没入型の投影ディスプレイ) が有名である。

基礎となる技術と応用[]

バーチャルリアリティの技術を構成する要素には、コンピュータ科学、ロボティクス、通信、計測工学と制御工学、芸術や認知科学などが含まれる。また、その応用は、科学技術における情報の可視化(en:Scientific visualization)、ソフトウェアの構築、セキュリティ、訓練、医療、芸術などと幅広い。例えば、VRに関するIEEEやACMの国際会議などでは次のようなセッションが準備されている。

  • 情報の取得と提示のシステム
  • 分散処理システム・インテリジェントシステム
  • 人物や物体のトラッキング
  • ヒトの知覚
  • インタラクションと共同作業
  • シミュレータ
  • 拡張現実、複合現実
  • ナビゲーション
  • CSCW (en:Computer supported cooperative work)
  • CHI/HCI (en:Human-computer interaction)

先駆者および著名人[]

  • Daniel J. Sandin
  • フレデリック・ブルックス
  • Henry Fuchs
  • アイバン・サザランド
  • Mark Bolas
  • Scott Fisher
  • 舘暲
  • トーマス・デファンティ
  • Morton Heilig

「仮想現実」という訳語について[]

Virtualとは「実質的な」という意味であり、バーチャルリアリティという語には「現実世界の実質的で本質的な部分をユーザに提示する技術」という意味がこめられている。そのような意味で仮想現実という訳は本来不適切といえる。またバーチャルリアリティの訳語として「仮想現実」という言葉が一般に普及したことから、文脈を無視して「バーチャル」の語を、「仮想」(または、擬似)という意味で和製英語的に使われることが多いが、これはさらなる混乱をもたらす場合がある。

例えば "Virtual Money" とは電子マネーのことであり、決して偽金のことを指すわけではない。また、よく引合に出される例として「仮想敵国」という言葉があるが、決して Virtual Enemy ではないので注意が必要である。

国立国語研究所「外来語」委員会の言い換え提案でも、英語 virtual は「表面上は違うが実質そのものである様子で、実質上と訳される」のに対し、外来語「バーチャル」は、「現実そっくりだが仮想の世界である様子」として用いられ、英語と意味が大きくずれていることが認められている。

東京大学の舘教授は、2005年の日本バーチャルリアリティ学会第10回大会において、バーチャルリアリティの訳語として、「ファイル:Vr kanji.png現実」という語を提案した。ファイル:Vr kanji.pngはこのために提案された国字で、立心偏に實(実の正字体)と書き、「ジツ」または「ばーちゃる」と読む[3][4]

『バーチャルリアリティ』を題材とした作品[]

映画[]

  • 『マトリックス』シリーズ
  • 『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』
  • アヴァロン
  • 『トータル・リコール』
  • 『スタートレック』のホロデッキ
  • 世にも奇妙な物語 映画の特別編『結婚シミュレーター』
  • 『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』
  • 『バーチュオシティ』

小説[]

  • ウィリアム・ギブソン『ニューロマンサー』『クローム襲撃』『モナリザ・オーヴァードライブ』
  • 岡嶋二人『クラインの壺』
  • 高畑京一郎『クリス・クロス 混沌の魔王』
  • 山田悠介 『Aコース』『Fコース』
  • 森博嗣『有限と微小のパン』

漫画[]

  • 花沢健吾『ルサンチマン』
  • 筒井哲也『リセット』
  • 佐倉ケンイチ『ドラゴンドライブ』
  • GetBackers-奪還屋-(エピソード「IL奪還作戦」以降、「バーチャルリアリティ」や「仮想現実」の言葉が、頻繁に出てくる)

ドラマ[]

  • 世にも奇妙な物語 91'秋の特別編『バーチャル・リアリティ』
  • バーチャルガール
  • Sh15uya

アニメ[]

  • 電脳コイル

ゲーム[]

  • 龍騎兵団ダンザルブ
  • メタルギアシリーズVR訓練
  • サルゲッチュシリーズバーチャルスペース
  • .hack//シリーズ

関連項目[]

  • 仮想世界
  • 拡張現実
  • テレイグジスタンス
  • Second Life
  • meet-me
  • サイバースペース
  • サイバーパンク
  • インタラクティブアート

外部リンク[]

英語[]

  • IEEE Computer Society
  • ACM SIGGRAPH
  • ICAT
  • Presence

日本語[]

  • 日本バーチャルリアリティ学会
    • バーチャルリアリティとは (日本バーチャルリアリティ学会)
  • 日本VR医学会

脚注[]

  1. Sutherland, I.E. "The Ultimate Display." Proc. IFIP 65, 2, pp. 506-508, 582-583.
  2. Cruz-Neira, C., Sandin, D.J., and DeFanti, T.A. Surround-Screen Projection-Based Virtual Reality: The Design and Implementation of the CAVE. In Proceedings of SIGGRAPH '93 Computer Graphics Conference, ACM SIGGRAPH, August 1993, pp. 135-142
  3. 舘 暲: 第10回日本バーチャルリアリティ学会記念大会 大会報告 -第10回を記念する新字(ばーちゃる)の提案, 日本バーチャルリアリティ学会誌, Vol.10, No.4, pp.18-19 (2005.12)
  4. 日本バーチャルリアリティ学会第11回大会 大会長挨拶 2007年11月24日閲覧


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