『ハッピーバースデー~命かがやく瞬間~』(ハッピーバースデー いのちかがやくとき)は、青木和雄による児童書。1997年12月に金の星社から刊行。以降、コミック化やアニメ映画化(1999年公開)もされており、2005年には文芸書版として刊行されている。(文芸書版は『ハッピーバースデー』であり、作者は青木和雄と吉富多美)
あらすじ[]
主人公・あすかは、11歳の誕生日に母・静代の精神的虐待により声を失ってしまう。生まれてこない方がよかった、とまで思ったあすかだったが、祖父母の愛や人々との出会いによって多くの事を学び、成長していく。
文芸書版では、児童書版で詳しく描かれなかった母・静代の心の闇や、娘のあすかを愛せない理由も丹念に描いており、幅広い年齢層に読んでもらえるような内容になっている。
登場人物[]
藤原あすか(ふじわら-)この物語の主人公。公立小学校の5年生(原作では転校時に進級)。日々母親から精神的虐待を受けており、心の苦しみから逃れるために喉をつまむ癖があり、喉には痣がくっきり残っている。11歳の誕生日に兄から「生まれてこなきゃ良かった」と暴言を吐かれ、直後母親の「産まなきゃよかった」という言葉を聞いたショックから声を失ってしまう。祖父母の元での療養や、新しい人々との出会いによって命の大切さを学び、心身ともに成長していく。藤原静代(ふじわらしずよ)あすかの母親。通訳と翻訳を請け負う会社で働いている。出来が良く自分の期待以上の答えを出してくれる直人と違い、出来の悪いあすかを愛せない。幼い頃、両親が病気がちの姉・春野ばかりを心配し、実家の庭に静代の「誕生の木」だけが無いなど自分のほうを向いてくれなかった事がトラウマになっている。春野の誕生の木がモモであるため、モモが嫌い。愛されないことに一番敏感になっている為夫の母との比較に苦しむ事もある。藤原直人(ふじわらなおと)あすかの兄。レベルの高い私立中学に通っている。軽い気持ちで妹に「お前、生まれてこなきゃよかったよな」と暴言を吐くが、橋本の言葉から傷つけてしまったことを知り心から悔やむ。それ以降、声を失ったあすかを救うために動き出す。その後あすかの指摘とストレスで次々と退学する友達を見た事から自身の道を考え直し、静代の言う高校への内部進学はせず、単位制高校への進学を決める。藤原裕治(ふじわらゆうじ)あすかの父親。信託銀行に勤務し、名古屋に単身赴任をしている。「より高くより前へ」という考え方であり、自身もそう教えられて育ってきたため本人曰く「机に向かう以外は無駄な時間」だと思っている。マザコンな一面があり、静代と母を比較する事も多い。祖父あすかの祖父であり、静代の実父。ボランティアや畑仕事をしながら宇都宮でのんびり暮らしている。かつては高校の国語教師をしていた。自分たちの静代への愛情が足りなかったことが、あすかの苦しみに繋がっていると知り、申し訳ないと思っている。苗字は『堀』だが、本名は不明。祖母(堀正子(ほりまさこ))あすかの祖母であり、静代の実母。生まれつき心臓病だった長女の春野ばかりに目が向き、静代を放任していただけではなく、寂しさで泣いていた静代を叱るなどかなりきつく当たっていた。故に静代のことはよくわかっていない。堀春野(ほりはるの)静代の姉。姿があすかに似ている。生まれつき心臓病を患っており、わずか16歳で他界。穏やかな性格で、妹の静代のことも好きだったが、病気がちな為に両親を独占する事が多く、妹には妬まれていた。庭に植えられている誕生の木はモモであり、それが静代のトラウマになっている。金沢順子(かなざわじゅんこ)あすかの転校先の青葉小学校6年2組の女子生徒で貧しい経済状況と貧弱で冴えない容貌から「カナキン」と呼ばれ、いつもいじめられている。いじめの辛さから死を考えるが、あすかの説得により思いとどまる。その後一度真知子をいじめたが、学級会を機にいじめを止めた。野村真知子(のむらまちこ)順子へのいじめをしていたが、後に自分も順子と同じ目に遭ってしまう。浜本晶(はまもとあきら)あすかの友達。クラス全体による順子へのいじめを見て見ぬふりをしてきたが、あすかの言葉により変わっていく。アニメ版では「晶子」という名前に変更されている。杉本めぐみ(まつもと-)飛鳥の転校先の青葉小学校と隣接している養護学校の児童。重い障害がある。休み時間にあすかが養護学校に顔を見せるようになり、楽しみが増えた。橋本敦子(はしもとあつこ)あすかが通っていた桜小学校5年1組の担任。あすかの異変に気付き、内面のケアをしようとする。その事を心配して、あすかが転校した後も、手紙などであすかの祖父母と交流している。黒沢修(くろさわおさむ)あすかの転校先の青葉小学校6年2組の担任。順子が他の生徒に対するいじめを嫌がって学校を脱走した際には、彼女の安否を気づかうよりも彼女に対する苛立ちのほうが先立っていた。また、順子へのいじめを助長するような発言さえしていた。教師でありながら泣き出したりする事もあるため、クラスの児童たちには見放されている。星なつき(ほし-・文芸書版のみの登場人物)年下ではあるが、静代の上司。見事なまでの語学力を有している。静代の心の弱さを見抜いており、キツい物言いで接する。自身も母親から愛されなかった経験があり、自身とあすか、静代と実母を重ねて見ている。
鍵となる設定[]
- 宇都宮の祖父母の家には、春野(モモ)・直人(ナシ)・あすか(アンズ)の誕生記念の木が植えてあるが、静代の木はない。静代が生まれた日に春野の手術があったから、というのが理由。いかに両親が春野のことにばかり目がいっていたかを表している。文芸書版にはその後静代の誕生の木としてコブシを植えようとする描写が登場する。
- 入院中の春野の危篤の連絡を受けた静代は、自分と両親との数少ない団欒を病院に行く事でぶち壊されるのが嫌で両親にそのことを告げなかった。結果、春野は家族に看取られず独りで亡くなった。また、この団欒を最後に静代は好物だった水蜜桃を食べず、桃嫌いは姉の死にも由来している。
その他[]
- 幅広い年齢層に読んでもらいたい、静代の背景を知りたいという感想が多く寄せられたことから、原作に加筆・修正をし『ハッピーバースデー』が刊行された。
- 原作は65万部、文芸書版は50万部を突破。
アニメ映画[]
1999年に公開。
スタッフ[]
- 原作:青木和雄
- 企画:プロデューサー:桂壮三郎
- 脚本・キャラクターデザイン・絵コンテ:四分一節子
- 音楽:中島優貴
- 監督:出崎哲
キャスト[]
原作との相違点[]
- 原作にあるあすかが喉をつまむ描写が登場しない。
- 原作ではあすかが宇都宮を発つ直前にロングヘアからショートカットに変える描写があるが、映画ではカットされ、最初からショートカットになっている。
- 原作では静代が仕事の都合からあすかが転校する設定があるが、映画ではカット。これにより黒沢が登場せず、またあすかがいじめられる描写も登場する。
- 原作で登場した祖父の死の描写がカット。またあすかの父である祐治も登場しない。
ラジオドラマ[]
2007年1月22日から同年1月26日まで、NHK-FMの青春アドベンチャーで『ハッピーバースデー』というタイトルで放送された。ストーリーは、文芸書版を元にしている。
スタッフ[]
- 原作:青木和雄・吉富多美
- 脚色:山下君子
- 音楽:内山周作
- 演出:小島史敬
- 音響効果:三谷直樹
- 技術:長谷川忠昭
- 制作統括:青木信也
キャスト[]
- 藤原さやか:永井杏
- 藤原静代:松田美由紀
- 藤原直人:松川尚瑠輝
- じいちゃん:長門裕之
- ばあちゃん:喜多道枝
- 金沢順子:新谷七聖
- 橋本先生:葛木英
- 浜本晶:河口舞華
- 大輔:海鋒拓也
- 校長:野村信次
- 順子の父:菊地一浩
- 黒沢先生:白川周作
関連項目[]
外部リンク[]
- ハッピーバースデー ビデオ紹介サイト(映画制作会社によるサイト)
- 金の星社(この文学書の出版社のサイト)
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