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テレシネ (Telecine) は、フィルム映画をテレビジョン信号に変換する作業。または、その装置の事を指す。
フィルムをビデオ・DVDに変換する作業もテレシネと呼ぶ。なお、ビデオ映像をフィルムに変換することはキネコ(キネレコ)という。
基本的な原理は、フィルムに光源装置から発する光を当て、通過した光を撮像装置にて読み取り、映像信号に変換するものである。
光源装置には、ハロゲンランプ・レーザー・陰極線管(CRT)・キセノンランプ・LEDがあり、それぞれに特徴がある。
撮像装置には、撮像管・フォトマル(PMT)・CCD・アバランシェフォトダイオード(APD)があり、光源装置により適切なものを使用する。
フィルム映画をテレビジョン信号に変換して記録・放送する際には二つの大きな課題がある。
PALやSECAMの毎秒25フレーム方式では、フィルム映画のフレームレートとの差がわずか(4%)であることから、特に複雑な変換作業を行わずにそのまま各フレームを2回づつ走査して奇数フィールドと偶数フィールドとする。映像の動きは4%速くなり放映時間はその分短くなるが、鑑賞者には気づかれない無視できる範囲とみなされている。ただし音声信号も同じ割合で「早送り」されてしまうため、そのままではすべての音程が半音の2/3ほど上昇してしまう。この変化は特に音楽モノでは無視できないので、音声信号だけディジタル技術を使ったピッチ変換を行う。
毎秒24フレームのフィルム映画をNTSC方式や一部のPAL方式の毎秒30(29.97)フレームのテレビジョン方式で記録・放送するときは何らかの変換作業が必要となる。幸いなことに両者のフレームレートは4:5という単純な整数比だが、いずれにしても4枚の連続した絵から5枚の絵を作り出さなければならないことに変わりはない。
一般にサンプリングレート(この場合はフレームレート)の変換は、近傍の標本(サンプル、この場合はフレーム)からフィルタリングにより原標本間の信号を補間(予測)し、これを変換先のサンプリングレートで再標本化する。音声信号ではCDの44.1kHzとDVDやディジタルテレビジョン放送の48kHzの間の変換などで、純ディジタル技術で実用化されている。しかしながら映像信号の場合、音声信号と比較して単に1次元信号から2次元信号になった複雑さだけではなく、動画のフレーム間補間では映像中の登場人物、背景、背景中の移動物(車など)の個別オブジェクトを自動的に抽出して個々に予測・補間操作をする必要があり、現在の技術では実用化されていない。
3:2ドロップダウンと呼ばれる変換方式は、フィルム映画の4フレーム毎に1フレームに相当する絵を2回使用して5フレーム分のテレビジョン信号を作り出す。実際にはテレビジョン信号が飛越し走査を行うので、フィルム映画4フレームのうちの2フレームを各フレームについて1フィールド(1/2フレーム)分再使用する。
例えば、映画フィルムの連続した4フレームを1、2、3、4として、それぞれの奇数フィールド走査と偶数フィールド走査を1o、1e、2o、2e、...とすると、これらのフィルム映画フレームは以下のような10フィールド(5フレーム)のテレビジョン信号に変換される。
1o 1e 1o 2e 2o 3e 3o 3e 4o 4e一見してわかるように、フィルム映画の各フレームが交互に3フィールドまたは2フィールドのテレビジョン信号に変換される特徴が「3:2ドロップダウン」と呼ばれる所以である[2]。
この方式の欠点は、フィルムの速度が3フィールドと2フィールドで送り出すタイミングを切り換える瞬間にフィルムの送り出し速度が変化するのでフィルムに負荷がかかり傷めやすいというところである。そこでフィルムの速度は一定にし、カメラ側の処理を切換えてデジタル技術で3:2ドロップダウンを行う方式が生み出されている[3]。
シンテル社は、本社はイギリスにある業務用映像機器メーカーである。古くからテレシネの製造を行っており、テレシネの分野では老舗と言える。古くは、ランク・シンテルとして有名だったが、1996年にシンテル・インターナショナル・リミテッドに社名変更した。特徴としては、フライング・スポット方式と言われる、光源装置は陰極線管、撮像装置はフォトマル(C-Realityはアバランシェフォトダイオード)を採用している。
URSAシリーズ[]URSAシリーズは、URSA(あーさー)、URSA Gold(あーさーごーるど)、URSA Diamond(あーさーだいあもんど)がある。「フィルムらしい画像が得られる」と評価が良く、日本のポストプロダクションでは多く採用された。URSAを元に、画質の向上・フィルムの走行系のレスポンスなど、数々の改良が行われた。
C-Reality(しーりありてぃー)は、URSAシリーズの後継機種として、設計を一新し発売された。デジタルHD信号に対応している為、SDテレシネの後続機種として日本のポストプロダクションに数機導入されている。光源装置から出た光は、ミラーを反射する事無く撮像装置に入り、その分、光のロスが少なくなっている。
また、C-Realityの機能をベースに、高解像度化・高速化を行ない、OLIVER(おりばー)と言うフィルム上にある傷・ゴミの影響を低減できる機能を追加したC-Reality/DSX(しーりありてぃーでぃーえすえっくす)も発売されている。
ボッシュ社・フィリップス社とテレシネ事業は各社を渡り歩き、現在は同社で開発・販売を行っている。光源装置はキセノンランプ、撮像装置はラインCCDを採用しており、特徴としては、拡散光効果によりフィルムの傷などを低減している。
Spirit Data Cineシリーズ[]Spirit Data Cine(すぴりっとでーたーしね)は、高解像度でのテレシネを目的としたテレシネである。コダック社のレンズを採用し、設計思想はフィルムスキャナーに近く、高解像度でのスキャンが可能な構造である為、「キレのある映像」が得られると言われている。C-Realityとはライバル関係にあり、日本のポストプロダクションにも数機導入されている。
ラインナップとしては、Spirit DataCine(すぴりっとでーたしね)、Spirit HD DataCine(すぴりっとえいちでぃーでーたしね)、Spirit 2K DataCine(すぴりっとにけーでーたしね)、Spirit 4K(すぴりっとよんけー)と解像度ごとにある。
ソニーは、デジタルシネマ関連の製品を発売しており、テレシネ分野にも進出していた。
VIALTA(FVS-1000)[]VIALTA(ビアルタ)は、1990年代~2000年代にかけてソニーが開発した、テレシネである。光源装置はLED、撮像装置はCCDを採用している。LEDは多数個使用されており、光学拡散装置によりフィルムの傷が低減されるとしている。フィルム走行系には、スプロケットによる間欠走行方式や、独自のSOPS(Sony Optical Picture Stabilizer)により、走行中のフィルムの揺れが低減されている。日本のポストプロダクションには数機導入されているが、現在は発売していない。ソニー製品の中で2番目に大きい製品である(1番は、テープカート)。
イマジカは、日本のポストプロダクションであるが、自社でのサービス用にテレシネを開発し、自社で運用していた。
ムービートーン[]ムービートーン(Movie-Tone)は、1985年にイマジカが開発したテレシネの名称である。ウエットゲート方式を採用し、フィルムを走行させるゲートを有機溶剤で満たすことにより、フィルム上の傷を低減する効果がある。レジストピンを使用しサーボモータにて、映写機の間欠走行運動を再現し、フィルム走行中の画面の揺れが最小限になっている。ネガフィルムでのテレシネが可能であり、それまでポジフィルムでのテレシネが一般的であったテレシネ業界に、新たにネガテレシネを定着する事となった。現在では、イマジカウエストで運用されている。
東京現像所は、日本のポストプロダクションであるが、自社のサービス用にテレシネを開発し、運用している。
シネトーン[]シネトーン(Cine-Tone)は、1985年に同社でサービスを開始したテレシネの名称である。ウエットゲート方式を採用し、フィルムを走行させるゲートを有機溶剤で満たすことにより、フィルム上の傷を低減する効果がある。レジストピンを使用しサーボモータにて、映写機の間欠走行運動を再現し、フィルム走行中の画面の揺れが最小限になっている。ネガフィルムでのテレシネが可能であり、それまでポジフィルムでのテレシネが一般的であったテレシネ業界に、新たにネガテレシネを定着する事となった。
家庭用テレシネ機にはエルモトランスビデオS8/R8というテレシネ機が有名である
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