カラフル_(小説)

テンプレート:文学『カラフル』は、森絵都の小説。及びそれをもとにした映画。

ストーリー[]

テンプレート:ネタバレ死んだはずの「ぼく」の魂にむかって、天使が言った。「おめでとうございます、抽選にあたりました！」。天使によると、「ぼく」は生前、大きなあやまちを犯して死んだ、罪な魂であり、通常ならば輪廻のサイクルから外されてしまう。しかし、幸運にも抽選で当たり、再挑戦のチャンスを得た。再挑戦とは、「ぼく」が失敗した下界で、だれかの体を借りて一定期間修行をする（この修行を、天使業界では「ホームステイ」という）ことで、修行が順調に進むと、「ぼく」は前世の記憶をとりもどすことができ、前世で犯したあやまちの大きさを自覚した瞬間にホームステイは終了する。

「ぼく」が乗り移ったのは「小林真」という自殺したばかりの14歳の少年。ところが、真は絵を描くのが得意な以外は、親友と呼べる友だちもいない、冴えないヤツだった。父親は自分だけよければいい偽善者で、母親はフラメンコの先生と浮気中。兄の満は無神経な意地悪男。しかも、好きな女の子（桑原ひろか）は、中年オヤジと援助交際中ときた。

ホームステイの気楽さも手伝って、のびのびとふるまう「ぼく」（真）に、周囲は「前より明るく、話しやすくなった。」という。しかし、生前の真の記憶にもなかったチビ女、同級生の佐野唱子だけが唯一、真が「ぼく」である気配を感じとり、自己啓発セミナーに参加したりしたのではないかと疑う。

やがて、真にも早乙女くんという友だちができる。早乙女くんも真と同様、「イケてない」生徒だったが、隣に誰かがいるというのは、振り向くたびにじんとなるほどうれしいことで、真はもう、自分がみじめだとは思わなくなる。

やがて「ぼく」は、ホストファミリーへの、真が生前もっていた誤解に気がつく。偽善者だと思っていた父親は、正義感があり、家族思い。母親は薄汚れた大人というよりも、むしろ分別も節操もない子どもみたいな人。兄の満は、真の生還をきっかけに医師をめざそうとしていた。「ぼくのなかにあった小林家のイメージが少しずつ色合いを変えていく。それは、黒だと思っていたものが白だった、なんて単純なことではなく、たった一色だと思っていたものがよく見るとじつにいろんな色を秘めていた、という感じに近いかもしれない。（文庫版p178-179より引用）」

「あどけない娼婦」だと思っていた桑原ひろかも、実は「泣いたり、笑ったり、苦しんだり、苦しめたりとめまぐるしい多彩な少女（同、p188）」だった。真はひろかを慰めながら、こう思う。「この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷ってる。どれがほんとの色だかわからなくて。どれが自分の色だかわからなくて。（同、p187）」

ホームステイにタイムリミットが訪れ、必死に自分の前世の罪を思い出そうとする「ぼく」（真）は、試験前の人気のない校舎の美術室で佐野唱子と会う。唱子に「小林くん、すごく変わったけど、でも根っこのところは変わってない」「小林くんの描く絵は変わらなかった」「小林くんの絵。その独特の色づかい。筆のタッチや、キャンバスに向かう目つきまで、やっぱり小林くんは小林くんだったよ」（同、p229-230）と言われた「ぼく」（真）は、前世の罪が殺人（＝自殺）で、自分は自殺した小林真の魂だと気づく。

参考文献

小山由絵．Amazon.co.jp『カラフル』レビュー．

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小説[]

• 理論社から1998年7月に出版される。ISBN 4652071639
• 第46回産経児童出版文化賞受賞。

映画[]

2000年秋に公開された。

キャスト[]

• 小林真：田中聖（KAT-TUN）
• 母：阿川佐和子
• 父：滝田栄
• 満：景山悠希
• プラプラ：曽我家文童
• 佐野唱子：真柄佳奈子
• 桑原ひろか：駒勇明日香
• 沢田先生：柳葉敏郎
• 医者：江藤潤
• 援助交際の中年男：林家こぶ平
• フラメンコの先生：筧利夫

スタッフ[]

• 原作：森絵都
• 監督：中原俊
• 助監督：武正晴
• 脚本：森田芳光
• 音楽：池辺晋一郎
• 製作者：酒井治盛
• エクゼクティブプロデューサー：齊藤曉
• プロデューサー：高橋康夫、萩原貫司
• アソシエイトプロデューサー：倉田喜久雄、伊藤浩之、吉岡和彦
• 製作：NHKエンタープライズ21、タイトル・プロデュース
• 配給：ムービーテレビジョン

ラジオドラマ[]

1999年、NHK-FM内番組『青春アドベンチャー』において放送された。全10話。脚色は丸尾聡。主人公の小林真（ぼく）は多賀基史、プラプラは井上真樹夫が声を担当した。

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