靖国_YASUKUNI

ページ名:靖国_YASUKUNI

テンプレート:現在進行

靖国 YASUKUNI

監督

李纓

製作

張会軍
胡雲
蒋選斌
李纓

製作総指揮

張雲暉
張会軍
胡雲

撮影

李纓
堀田泰寛

編集

李纓
大重裕二

配給

ナインエンタテインメント
アルゴ・ピクチャーズ

公開

2008年1月18日アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
(サンダンス映画祭)[1]
2008年2月11日テンプレート:GER
(ベルリン国際映画祭)
2008年3月22日テンプレート:HKG
(香港国際映画祭)[2]
2008年5月3日 日本

上映時間

123分

製作国

日本の旗 日本
テンプレート:CHN

言語

日本語


『靖国 YASUKUNI』(やすくに)とは、靖国神社に関する2007年製作の日中合作によるドキュメンタリー映画である。

目次

あらすじ[]

テンプレート:ネタバレ内容は、日本在住の中国人映画監督である李纓が1997年から10年間にわたり靖国神社を取材した映像を収めたもので、靖国刀(1933年から終戦まで日本刀鍛錬会によって靖国神社で作られていた軍刀)の最後の刀鍛冶職人と、主に終戦記念日を中心とした靖国神社の境内の映像が、ナレーションなしで映し出されている。

小泉純一郎元首相による靖国神社参拝の様子や台湾人による抗議活動の映像もあるが、大日本帝国軍の軍服を着て参拝する集団や、小泉元首相を支持するアメリカ人が星条旗を持って境内に立つ姿といった、通常の報道映像ではあまり写されない様子が映し出されている。また靖国批判を境内でしたために中国人と間違われて暴行を受ける日本人の若者の姿も収録されている[3]。テンプレート:ネタバレ終了

作品に対する評価[]

本作を試写会で観た唐沢俊一によれば「中国人の撮った靖国像だから、もっと諸悪の根源として徹底追及の視点で描いているのかと思ったら、そこらへんを“非常にうまく”回避している映画になっていた」上に「靖国を賛美する人と反対する人の姿を同一視線で記録することにより、賛成とか反対とかという視点でなく、今の靖国をめぐる日本人(及び諸外国人)の混乱をありのままに描き、結論は観た人の考えにまかす、といった姿勢を基本にしている」という[4]。

新右翼団体「一水会」顧問の鈴木邦男は「靖国神社を通し、〈日本〉を考える。『戦争と平和』を考える。何も知らなかった自分が恥ずかしい。厳しいが、愛がある。これは『愛日映画』だ!」[5]と絶賛した。

有村治子は、この映画の企画の段階で靖国支持者の主張は対象にしないとされており、反靖国・中国の歴史認識の主張そのものを取り上げている映画であると指摘。また本作は、知られざる事実として「靖国の御神体は日本刀である」としているが、有村が靖国神社に確認したところ、それは事実ではないことが判明し、ドキュメンタリー映画としても程度が低いと批判している[6]。靖国神社からも御神体は「神剣及び神鏡」であり、本作は間違いであると直接の指摘があった。

また、3名のキャストのうち、菅原龍憲、高金素梅の両名は靖国神社に対し台湾人の合祀を取りやめるように求める訴訟の当事者であり、残る1名の刀鍛冶職人は、自分の映像の使われ方について納得しておらず削除を求めている。そのため「中立性がない」「肖像権について問題がある」などと本作を批判する者から指摘されている。

キャスト[]

  • 菅原龍憲
  • 高金素梅
  • 刀鍛冶職人

映画をめぐる背景の概略[]

この映画は、釜山国際映画祭で上映されたほか、2008年3月に開催された香港国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞したが、中国人監督による靖国神社に関する映画作品として文化庁所管の独立行政法人から助成金を受領しているなど、公開前から注目を集め、雑誌でや国会で疑問が呈されるなど政治問題化するとともに、公開延期や肖像権侵害の問題など言論の自由についての問題へと発展した。

日本芸術文化振興会による助成金問題[]

本作は、文化庁所管の独立行政法人「日本芸術文化振興会」の芸術文化振興基金から750万円の助成金を得て製作された。これについて自由民主党国会議員の一部から、「助成基準にある『政治的な宣伝意図を有しないもの』に該当しないのではないか」と疑問を呈され、物議をかもすことになった。

稲田朋美を始め、議員連盟「伝統と創造の会」と「平和を願い、真の国益を考え靖国参拝を支持する若手国会議員の会」(会長・今津寛。以下「平和靖国議連」)など一部国会議員が、助成金基準に合致しているかどうかの確認のために文化庁を通じて試写会を要請した。配給会社は当初は「検閲」と反発したが、全国会議員を対象にするという条件で承諾し、3月12日に国会議員80人が参加した試写会が開かれた。稲田は「検閲の意図は全くないが、政治的に中立な映画かどうかは若干の疑問を感じた。イデオロギー的なメッセージを強く感じた」と述べた[7]。

この試写会について稲田は「(2008年3月27日の)朝日新聞が報じたような『(私が)事前の(公開前)試写を求めた』という事実は断じてない。助成金を問題にする前提として対象となる映画を見たいと思うのは当然であり、映画の『公開』について問題にする意思は全くなかったし、今もない。『事前の試写を求めた』という歪曲について朝日に訂正を求めているが、いまだ訂正はない」としている[8]。その後、朝日新聞は4月11日に「記事内容に誤りはなく訂正はしない」との内容証明郵便を出した[9]。

また、週刊朝日への稲田の寄稿[10]によれば「文化庁に映画を見たいとお願いした、助成した側だから(当該映画の)DVDくらいあると思っていた。助成の妥当性だけが問題だから公開の前後という意識はまったくなかった」とし、加藤紘一がテレビ局から提供されたDVDを見て「素晴らしい映画だと感想を述べていた」ことをあげ、「検閲とは国家機関が表現内容を調べて取り締まることを目的とするものだ。伝創会は自民党一年生議員の勉強会にすぎず、むしろ、問題にしたのは国家の助成だ、内容の取締りを問題にしないから、およそ検閲を議論する余地はない。『萬犬虚にほえる』の類だ」と主張し、文化庁に「事前に試写したいと申し入れていない」と、映画を検証のため見たいといったが、試写会といったものを要求したわけではないと批判した。稲田は事前に映画を見たかったが、検閲を摺る意図は無かったと主張した。

その一方、自身のブログ[11]で「映画の最後でいわゆる『南京大虐殺』にまつわるとされる真偽不明の写真が多数映し出され、その合間に靖国神社に参拝される若かりし日の昭和天皇のお姿や当時の国民の様子などを織り交ぜ、巧みにそのメッセージを伝えている」「映画『靖国』では、この百人斬り競争の新聞記事を紹介し、『靖国刀匠』をクローズアップすることにより、日本軍人が日本刀で残虐行為を行ったというメッセージを伝えている」といった、自身が「百人斬り訴訟」の原告側弁護人として参加した立場での意見を表明している。なお稲田自身も議員になる直前の2005年夏、靖国神社境内で白いスーツを着て声明を読み上げる姿が映画に映し出されている[12]。

参院文部科学委員会で水落敏栄(自民)の「客観性に欠け、政治的背景がある映画に助成金を出してよいのか」との質問に対し、文化庁の高塩至次長は「日本映画とはわが国の法令により設立された法人が製作した映画。(助成交付の)基本方針をもとに審査が行われ、助成が決定した」と答弁した。水落は、「助成対象が「日本映画とされているにもかかわらず、映画の共同製作者や製作スタッフの大半が中国人で明らかに中国映画で客観性に欠けており、助成金は返還してもらいたい」と述べた[13]。

なお産経新聞は「(日本軍が中国人を斬首したとされる)中国側が反日宣伝に使っている写真などが使われ、政治的中立性が疑われている映画に助成金が支出されたのではないか」として助成金の適否の再検証を求め、「伝統と創造の会」が試写会を要請したのは「あくまで助成金の適否を検討するためで、税金の使い道を監視しなければならない国会議員として当然の行為である」と主張している[14]。問題の写真について、主にいわゆる南京事件に対し疑わしい立場からの指摘がなされているが、稲田らが問題にしたのは写真の信憑性ではなく、「もしコラージュであったとしてもそのような写真を使うことが、助成金の支出について政治的中立性を満たしているか」との疑問を呈したものであった。

この問題に関する製作側からのコメントとして、4月29日の『ニュースの深層Evolution』で、配給会社アルゴ・ピクチャーズの宣伝担当者が「助成金を申請した理由はお金の問題ではなく、靖国神社は否定的な意味で中国と韓国で話題になっており、いい方向に持って行くためにも中国、韓国、日本のお金を出しあった映画にしたかった」という李監督の発言を紹介した。

映画公開延期問題[]

試写会をきっかけにして、週刊新潮が「映画は『反日的』」と論評した。

この論評が発表されたのち、上映を予定していた映画館に対する右翼団体の街宣車による抗議活動や電話による公開中止を求める抗議があった[15]。2008年4月12日からの公開を予定していた東京都の4映画館と大阪府の1映画館は「周辺の商業施設に迷惑をかけることになる」として上映の中止を決めた[16]。また名古屋での5月3日からの公開も延期になった[17][18]。

この事態に対し、4月1日に渡海紀三朗文部科学大臣が「あってはならないこと。非常に残念であり、再発しないよう(文科省として)何かやっていかなければならない」と発言した[19]。また稲田も、「私たちの行動が表現の自由に対する制限でないことを明らかにするためにも、上映を中止していただきたくない」との談話[20]を出している。

これらの公開中止の動きに対し、新聞協会[21]などが、言論が萎縮してしまうと憂慮する談話を発表した。また4月18日には日本の右翼活動家を対象にした試写会が開催されたが、そこでは「労作」「駄作」と賛否両論あり、意見は大きく分かれた[22]。なかには「自分達も靖国神社に関する映画を作るべきだ」という意見もあった。

映画演劇労働組合連合会[23]などは、表現の自由を守って上映を行うよう抗議声明を発した[24]。一方、映画演劇労働組合連合会は『プライド・運命の瞬間』『ムルデカ17805』については上映反対運動を行っているため、イデオロギーからの二重基準による訴えではないかという批判も受けた[25]。

結果として、当初予定よりも3週間遅れとなった5月3日に東京の独立系映画館で公開された[26]。続いて全国のいくつかの映画館で公開されることも発表されたが、肖像権が問題になった刀工が在住する高知県では公開しないとされた。

肖像権問題[]

3月27日の国会質疑の中で有村治子は「直接電話で確認をとったところ、出演者の刀鍛冶職人は、自身の映像の削除を求めている」と発言した。これに対して李監督は、国会議員の政治的圧力によって変心させたものではないかと反発した。

こうした一連の動きを経て行われた報道機関によるインタビューの中で、刀鍛冶職人は、この映画の主な登場人物となることについて承諾しておらず、完成品の映画も見ていないと語っている。それによれば「『美術品として純粋に靖国刀匠、匠のドキュメンタリーを撮りたい』という若い中国人の青年の申し出に、刀をつくる自らの映像を撮影することは承諾した」が、靖国神社についての映画において自身の肖像が入ることを承服していないとしている。本人は「作品から自分の映像を一切外して欲しい」と語っているが、これまでのところ製作側に正式な削除要求の申し入れはされていない。製作側もこれまで対応措置を取っておらず、名前もキャスト一覧に掲示されたままである。

2008年4月11日付の産経新聞や毎日新聞などのすべての全国紙、4月10付高知新聞夕刊、4月10日放送TBS「ニュース23」のインタビューなどをはじめ、他の複数の報道機関のへの直接取材では、刀匠は「削除して欲しい」「監督にだまされた」と語っていることを文字および映像で伝えている。しかし『AERA』のみ、「刀匠は監督に削除を要求したことはなく、今後も要求するつもりはないと語っている」との記事を掲載している。

この齟齬について、月刊誌『創』6月号は、「『AERA』記者によると、刀匠は当初、映画が完全に出来上がって上映寸前になっていることを認識しておらず、頼めば変更ができるかと思っていた。ところがそうでないことを記者が説明したところ、『ああ、それなら削除を求めない』と語った」との記事を掲載した。

また、作品のパンフレットに掲載されている制服姿の青年は現役自衛官であり、やはり本人は一切掲載について知らされていなかった[6]。

さらに、靖国神社側も「撮影許可の手続きが守られておらず、事実を誤認させるような映像などがある」などとし、撮影の許可を与えた記録はないうえ、上記の肖像権の問題もあるとして、一部映像の削除を要請する内容証明郵便[27][28]を配給元に発送したが、配給元は公開中止までは求めていないとして[29]、要請部分が削除されることはなく、そのまま公開されるに至っている。

脚注[]

テンプレート:脚注ヘルプ

  1. ↑ sundance.org/festival/film_events: Yasukuni [1] (Screenings: "Fri. January 18, 6:30pm, Peery's Egyptian Theater, Ogden")
  2. ↑ 第三十二屆香港國際電影節: 靖國神社 [2]
  3. ↑『中国人監督が「靖国」映画制作』 産経ネット2008年2月8日配信 2008年4月2日閲覧
  4. ↑唐沢俊一裏モノ日記2008年2月27日
  5. ↑当該映画のコメントより引用
  6. ↑ 6.06.1 2008年3月27日の参議院内閣委員会における有村治子の質疑より
  7. ↑産経ニュース2008.3.12
  8. ↑産経ニュース2008.4.9
  9. ↑ 週刊朝日 2008年4月25日
  10. ↑ 週刊朝日 2008年4月25日
  11. ↑http://www.inada-tomomi.com/diarypro/diary.cgi?date=20080409
  12. ↑ 週刊朝日2008年4月25日
  13. ↑産経ニュース2008.3.25
  14. ↑(産経新聞2008年4月2日付社説「主張」)より引用
  15. ↑ 朝日新聞 2008年4月1日朝刊
  16. ↑日経ネット『映画「靖国」、東京での上映中止・配給会社「言論の危機」』 2008年4月2日閲覧
  17. ↑「靖国」、名古屋で上映延期 日経ネット2008年4月4日閲覧
  18. ↑「靖国」映画五月上映中止決定名古屋シネマテーク 日本会議愛知県本部西三河支部幹事長・杉田謙一ブログ
  19. ↑『「何らか対応を」映画「靖国」上映中止で渡海文科相』 産経ネット 2008年4月2日閲覧
  20. ↑ 朝日新聞 2008年4月2日朝刊より引用
  21. ↑靖国の上映中止「看過できない」・新聞協会が談話 日経ネット 2008年4月2日、2008年5月14日閲覧
  22. ↑ 「駄作」「労作」…右翼系団体の活動家ら「靖国」試写会(2008年04月18日21時09分 @ asahi.com)
  23. ↑映演労連のホームページ - Eien Roren on the Web
  24. ↑映画「靖国」に関する抗議要請文(pdf)
  25. ↑ 2008年4月23日 産経新聞
  26. ↑映画「靖国」、一般上映始まる・当初予定より3週遅れ 日経WOMAN 2008年5月14日閲覧
  27. ↑靖国神社が映画会社に送付した内容証明郵便 靖国神社ウェブサイトより (PDF) 2008年5月14日
  28. ↑靖国神社が映画会社に再度送付した内容証明郵便 靖国神社ウェブサイトより (PDF) 2008年5月14日閲覧
  29. ↑「靖国」上映中止せず、配給会社が意向表明 日経ネット 2008年4月15日、2008年5月14日閲覧

関連項目[]

外部リンク[]

  • 映画『靖国 YASUKUNI』オフィシャルサイト
  • キネマ旬報DB - 映画情報
  • BBC: Japan shies away from shrine film(英語。2008年4月11日、by Chris Hogg)
  • 映画『靖国』特設サイト(製作者側からの本作をめぐる動きの情報と記録)


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