矢作俊彦

ページ名:矢作俊彦

テンプレート:文学矢作 俊彦(やはぎ としひこ、1950年 - )は、神奈川県横浜市生まれの小説家。東京教育大学付属駒場高等学校卒。

目次

来歴・人物[]

17歳の時ダディ・グースの筆名で漫画家デビュー(コミックサンデー)。以後、創刊間もない週刊漫画アクションで型破りな作品を発表するが、しばらくして沈黙。「幻の作家」として伝説となる。

1972年 ハードボイルド短編小説『抱きしめたい』(ミステリマガジン)で小説家デビュー。筆名「矢作俊彦」は、同誌の編集長だった太田博(各務三郎)が命名した。

70年代を通じ短編小説、漫画を手掛ける傍ら、ラジオ・TVドラマの構成作家としても名を成し、日下武史による長編朗読劇『あいつ』(FM東京)では特に高い評価を得る。

1977年 初の長編小説『マイク・ハマーへ伝言』を上梓、日本人ばなれしたスタイリッシュな、ハードボイルド小説の旗手として、注目を集める。1980年には、漫画界の新星大友克洋との共作『気分はもう戦争』を漫画アクションに連載開始(単行本刊行は1982年)。当時、気鋭の作家同士のコンビとあって話題ともなり、現在でも読みつがれるロングセラーとなっている。

1980年代には、単独作及び司城志朗との共作で、ハードボイルド作品、冒険小説、カー・アクション小説などを発表。また、漫画家谷口ジローとも、「マンハッタン・オプ」シリーズの挿絵担当、共作漫画『サムライ・ノングラータ』などでコンビを組んでいる。

1990年代以降は活動領域を広げ、全共闘世代の今を描いた小説『スズキさんの休息と遍歴』(1990年)が各界で激賞され、NHKでドラマ化された。なお、「スズキさん」のモデルは、実際に元学生運動(第二次ブント)の活動家で「マルクス主義者」を自認し、1989年から1999年まで自動車雑誌「NAVI」編集長をつとめた鈴木正文であり、この小説は「NAVI」に連載された。

映画にも進出し、日活アクション映画の名場面集アンソロジー『アゲイン』、自作を監督した『神様のピンチヒッター』(主演:江口洋介)、近未来の新宿を舞台にした日活アクションへのオマージュ的な監督作『ザ・ギャンブラー』(主演:松田ケイジ)を公開。更に、バブル崩壊後の日本を題材にフォト・エッセイ『新ニッポン百景』を発表するなどした。

1997年の大作『あ・じゃ・ぱん!』は、偽現代日本史として、また世界の文学作品のパロディを縦覧網羅した奇書として、福田和也(『作家の値うち』では90点)など批評家から高評価される。同年より「文学界」に連載した『ららら科學の子』は、米国における同時多発テロの影響で執筆中断を余儀なくされたが、2003年に刊行。やはり福田和也が週刊新潮の「闘う時評」で激賞し、朝日新聞「回顧2003 文学」の「私の3点」に挙げるなど読書界の話題を浚う。

最近作には、、詩人堀口大學の青春を綴った作品『悲劇週間』(2005年)がある。元来、寡作であったが、近年の活躍ぶりにはめざましいものがある。

受賞歴[]

  • 1983年 - 『暗闇にノーサイド』(司城志朗との共著)で第10回角川小説賞。
  • 1998年 - 『あ・じゃ・ぱん!』で第8回Bunkamuraドゥマゴ文学賞。
  • 2004年 - 『ららら科學の子』で第17回三島由紀夫賞、『ロング・グッドバイ』で第23回日本冒険小説協会大賞。

著書[]

  • マイク・ハマーへ伝言 (1978年)
  • リンゴォ・キッドの休日 (1978年)
  • 神様のピンチヒッター (1981年)
  • マンハッタン・オプⅠ (1981年)
  • マンハッタン・オプⅡ (1982年)
  • 死ぬには手頃な日 (1982年)
  • ブロードウェイの自転車 (1983年)
  • さまよう薔薇のように (1984年)
  • マンハッタン・オプ1/凝った死顔 (1985年)
  • マンハッタン・オプ2/笑う銃口 (1985年)
  • マンハッタン・オプ3/はやらない殺意 (1985年)
  • 真夜中へもう一歩 (1985年)
  • 舵をとり風上に向く者 (1986年)
  • コルテスの収穫・上 (1987年)
  • コルテスの収穫・中 (1987年 下巻は未刊)
  • ヨーコに好きだと言ってくれ (1987年)
  • スズキさんの休息と遍歴 またはかくも誇らかなるドーシーボーの騎行 (1990年)
  • 東京カウボーイ (1992年)
    • 連作短編集。最終作「スズキさんの生活と意見」で「スズキさん」が再登場。
  • 仕事が俺を呼んでいる (1993年)
  • 火を吹く女(横木安良夫:写真1995年)
  • ポルノグラフィア あるいは廊下の隅の永遠 (横木安良夫:写真 1996年)
  • 夏のエンジン(1997年)
  • あ・じゃ・ぱん! (1997年)
  • ららら科學の子 (2003年)
  • The Wrong Good-bye/ロング・グッドバイ (2004年)
  • 悲劇週間 (詩人・堀口大學の青春を綴った作品2005年)

司城志朗との共著[]

  • 暗闇にノーサイド (1983年)
  • ブロードウェイの戦車 (1984年)
  • 海から来たサムライ (1984年)
  • サムライ・ノングラータ (2007年) - 海から来たサムライを全面改稿。

エッセイ集[]

  • 複雑な彼女と単純な場所 (1987年)
  • ドアを開いて彼女の中へ (1993年)
  • 新ニッポン百景 衣食足りても知り得ぬ「礼節」への道標として (1995年)
  • 16号線ワゴントレイル あるいは幌を下げ東京湾を時計まわりに (1996年)
  • 新ニッポン百景'95〜'97衣食足りても知り得ぬ「礼節」への道標として (1998年)
  • ツーダン満塁 (2002年)
  • ライオンを夢見る (安珠:写真2004年)

その他連載[]

連載休止、未刊行の著作が多数あり、一部を流用して別の作品としてに世に出るものもあれば、陽の目を見ない作品もある。

  • 百愁のキャプテン- 朝日新聞出版「論座」連載(2001年2月号~2003年7月号)。『アマ★カス』として刊行予告。
  • 引擎 engine- 新潮社「ENGINE」連載(2004年2月号~)。
  • ウリシス911- 小学館「きらら」連載(2005年3月号~2007年3月号)。『私を月まで連れてって』として刊行予告。
  • 常夏の豚- 文藝春秋「文學界」連載中(2007年1月号~)。
  • チャイナマンズ・チャンス- 角川書店「野性時代」連載中(2008年3号~)。

漫画原作[]

  • ハード・オン (平野仁 1981年)
  • 気分はもう戦争 (大友克洋 1982年)
  • サムライ・ノングラータ (谷口ジロー 1991年)
  • 気分はもう戦争2.1 (藤原カムイ2002年)
  • 鉄人 (落合尚之2002~2003年)

漫画(ダディ・グース名義)[]

  • 少年レボリューション―ダディ・グース作品集 (編集者:赤田祐一2003年)

映画監督作品[]

  • アゲイン(1984年)
  • 神様のピンチヒッター(1990年)
  • ザ・ギャンブラー(1992年)

研究本[]

  • 別冊野生時代矢作俊彦(1995年)

外部リンク[]

  • 矢作俊彦【暫定】オフィシャルサイト -小説版『気分はもう戦争』が順次公開され、また映画化が予告されている。
  • 矢作俊彦と司城志朗のページ ハードボイルドな部屋


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