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テンプレート:文学白髪鬼(はくはつき)
本項では上記のうち黒岩涙香、及び江戸川乱歩の翻案小説について説明する。
『白髪鬼』(はくはつき)は、女流作家マリー・コレリ(Marie Corelli, 1855年 - 1924年)の『ヴェンデッタ(復讐)』(Vendetta, A Story of One Forgotten, 1886年)を基にした日本の翻案小説。殺害された後、埋葬された墓の中で蘇生し、恐怖のために白髪と化した一人の男の復讐譚である。
原作者マリー・コレリはイギリスの作家。22才の時の処女作以来、数十冊の著作はどれも大ベストセラーとなり、凄惨小説の最高作家として英国大衆文壇の女王であった。「Vendetta」は22才の時に書いた2作目の作品。
黒岩涙香が『白髪鬼』の題名で翻案。「萬朝報」に1893年(明治26年)、大好評の内に終了した『鉄仮面』の翌日から連載された(6月23日~12月29日)。まず、「死して蘇生した男がイタリアに居ると知り、その自伝を入手したので明日から連載する」との予告を掲載。物語は、白髪鬼となった男の手記実伝として書かれ、前作『鉄仮面』をも上回る大人気を博した。
江戸川乱歩版は1931年(昭和6年)、黒岩涙香の翻案を同題名のまま更に翻案した長編小説である。雑誌『富士』に掲載された。乱歩は自身の説明で、涙香作品を更に翻案した理由として、昭和初期、一般読者には涙香の『白髪鬼』の文語体が既になじみ薄いものとなっていたこと、彼が少年の頃に耽読した涙香作品の中でも『白髪鬼』がいたく気に入っていたこと等を挙げている。再翻案に際し、乱歩はあらすじを変えるなど独自の改変をおこなっているが、涙香の遺族の承諾を得て作品名は同じにしている。戦前の春陽堂発行の文庫本には涙香版と乱歩版の二つがあり、乱歩版には「乱歩の白髪鬼」と付けられていた。
テンプレート:ネタバレ
原作/黒岩涙香版/江戸川乱歩版(説明は涙香版)
(江戸川乱歩版)九州の子爵・大牟田敏清は、無二の親友と恃む川村と、美貌の妻・瑠璃子と共に、この世の幸福の絶頂を味わっていた。しかし、瑠璃子と川村の2人は謀って敏清を殺し、埋葬する。
墓の中で甦った敏清は、墓所内で味わったおぞましい恐怖のために自分の姿が白髪の醜い老人と化していたのを知る。敏清が自分の家に戻ってみると、妻であるはずの瑠璃子が朗らかに笑い、親友であるはずの川村が瑠璃子と深い関係を持っていることを知り、また、彼らが謀って自分を亡き者にしたことを悟った。妻と親友に裏切られた敏清は、2人への復讐を固く誓う。復讐を誓った時点で、敏清は既に人間をやめてしまった。ただ、復讐に燃える一匹の鬼であった。
敏清は墓所内で見つけた海賊の財宝を利用して綿密な復讐計画を立て、里見重之として戻ってくる。そして、その計画に則ってじわじわと彼らを追い詰めていくのだった…。
違いは多々あるが、法を無視しても復讐を肯定するか、それを犯罪者とするかは大きな違いである。
涙香版の白髪鬼は「忠臣蔵」や「曾我兄弟」、「巌窟王」に勝るとも劣らない痛快な復讐譚である。男の自伝として書かれ、もの凄い迫力で、姦夫姦婦を死の淵に追い詰めていく。復讐を遂げた主人公は善人であり、その心には一抹の寂しさが残るが逮捕されることはなく、新しい土地へ旅立つ。
下記アメリカのTV映画「天国からの復讐/悪女の構図」では、舞台を現代に変えてあるが、主人公は妻であった悪女を生きたまま埋葬。復讐を遂げた善人が逮捕されることはない。「目には目を、歯には歯を」の血が原作と涙香版には流れている。
乱歩版の白髪鬼は、捕らえられ終身懲役の刑を受けた主人公が、刑務所の教悔師に話すところから物語は始まる。更にテレビドラマになると、白髪鬼は名探偵・明智小五郎に主役の座を奪われ、追われる犯人になってしまう。
涙香版は全編、メラメラと燃えたぎる復讐心で書かれているのに比べて、乱歩版には常に犯罪者の暗さが漂っている。
マリー・コレリ“Vendetta, A Story of One Forgotten ”の日本語訳本
黒岩涙香『白髪鬼』
江戸川乱歩『白髪鬼』
黒岩涙香による翻案を原作とした映画化作品
江戸川乱歩による翻案を原作とした映画化作品
江戸川乱歩による翻案から登場人物を借用して創作した映画
黒岩涙香による翻案を原作としたテレビ映画
江戸川乱歩による翻案を原作としたテレビ映画/テレビドラマ
マリー・コレリの他の小説の映画化は、1915年の「Wormwood」から 1969年のインド映画「Intaquam」まで14作品を数えるが、『ヴェンデッタ』の映画化として彼女の名をクレジットした作品の記録は見あたらない。
上記のように、少なくとも、マリー・コレリの『ヴェンデッタ』は日米で10回以上映像化されているのだが、彼女の名は1度も原作者としてクレジットされていない。
小説や漫画、映画に、この物語から派生した作品も数多く作られている。
テンプレート:Lit-stub
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