特別機動捜査隊

テンプレート:基礎情報 テレビ番組テンプレート:ドラマ特別機動捜査隊（とくべつきどうそうさたい）は、NET（現在のテレビ朝日）で1961年10月4日から1977年3月30日にわたって放送された刑事ドラマ番組。全801話。60分刑事ドラマでは、未だに最多を誇っており、1972年スタートで1987年打ち切りの「太陽にほえろ!」をはじめとする他の作品の話数の記録に破られていない。この他に回数に含まれない特番が2回放送されているが、このうちの1回は第1話の前週（1961年10月11日）に放送されている。放送開始日は、TBSテレビで「七人の刑事」が放送開始された日でもある。また、1963年にはテレビシリーズとは全く別の劇場版2本が東映東京で製作されている。

様々な事件の初動捜査を担当する機動捜査隊が警視庁始め各道府県警察に実際に設置されるきっかけとなった。

作品概要[]

国産初の1時間連続ドラマとしてスタート。タイトルに「特別機動捜査隊」と銘打ってるものの、基本プロットでは事件発生のいきさつから犯人逮捕までの過程に起こる被疑者間のドラマを重点を置いており、レギュラーの立石主任をはじめ登場する刑事たちは、話を転がすための進行役という扱いだった。

番組スタート当時はまだ映画の全盛期であったため、テレビを軽視していた東映は自社製作のテレビ映画にB級スターや無名の専属俳優ばかりを起用していた。そんな中、本作は「七色仮面」や「捜査本部」などのテレビ映画で実績を上げていた波島進を主演に迎え、彼と共に事件捜査にあたるメンバーには東映(大泉映画)ニューフェース出身者や大部屋俳優を起用する体勢でスタートした。

これに加え毎回ゲストには東映の役者に加え、中井義プロデューサーの古巣・新東宝の役者が多数登場した。

さらに本作の企画ではドラマにリアリティを与えるため、警視庁から実際にあった事件の素材の提供を受け、それをフィクション化するという手法が用いられた。これにより、それまでドラマではタブーとされていた事件の発生描写が細かく描かれ、そのインパクトさが視聴者を引き付ける結果となり番組は常時30%以上の視聴率をマークした。

初期は立石班のみだが、代打的存在として藤島班を設定したのを皮切りに2～3班によるローテーション(時には合同)方式に変更された。

70年代に入ってからは日活・大映の役者も積極的に起用しており、有名な他番組で人気を博した俳優も出演するようになったものの、当初からのキャスティング傾向は変わらなかった。こうした背景は後番組でも引き継がれている。

連続ドラマではあるが、全体における設定維持や伏線など一切無視した完全な一(二)話完結式だったこともあり、その傾向は後に生まれる多くの連続ドラマの基本スタイルになると同時に、刑事ドラマファンの間で長らく地味な印象を与える結果となった。

登場する刑事陣も基本設定などは一切設けられておらず(これらの傾向は「特捜最前線」や「はぐれ刑事純情派」などの後続枠にも断片的ながら引き継がれている。)、回によって刑事の役者が代わったり階級序列が逆転するなどの現象がみられる。例を挙げれば、石原刑事（吉田豊明）は岩井田刑事（滝川潤）に対して敬語を使うようになり、白石刑事（白石鈴雄）と水木刑事（水木襄）の関係式は、最初白石が先輩だったのが、後に水木が先輩になっている。

立石班、藤島班では基本的に部下、後輩を呼び捨てにすることは無かったが、三船班では主任に習い、部下や後輩に対しては呼び捨てとなった。例外はベテランの部長刑事で、三船主任も「チョウさん」と呼んで敬意を表していた。また、三船は何故か荒牧刑事（岩上瑛）は「マキさん」、岩井田刑事は「ガンさん」と呼んだ。

車両協力[]

日産自動車が番組提供及び車両協力していた関係で、劇中で特捜隊が使う覆面パトカーに日産・セドリック（30型・130型・230型・330型）が使われていた。当時の警視総監がこのドラマのファンだった為に、後に実際のパトカーにもセドリックが採用されたという。

その後、日産自動車はプリンス自動車を吸収合併したため、劇中の覆面パトカーにもグロリア（A30・230・330）やスカイライン（C10・C110）が使われるようになる。放送10年目を迎えた1971年10月6日放送の「わが道を行く」よりC10型スカイライン（通称・ハコスカ）、1975年9月3日放送の「続・刑事はつらいよ」よりC110型スカイライン（通称・ケンメリ）の覆面パトカーが登場した.（後者は映画「新幹線大爆破」にも流用された）

「特別機動捜査隊」の終了後の後継番組である「特捜最前線」をはじめ、「はぐれ刑事純情派」「はみだし刑事情熱系」「相棒」など、テレビ朝日・東映の刑事ドラマ作品には現在も日産自動車が番組提供及び車両協力しており、劇中の覆面パトカーも日産車各車が使用されている。

放送開始当初は特定の自動車メーカーがスポンサーについていなかったためか、観音開きのトヨペット・クラウンの白パトや1953年式シボレーも登場していた。

スタッフ[]

企画：NET
広告代理店：博報堂
協力：警視庁（500話まで）
プロデューサー：中井義、山田正久、落合兼武、高田修作、萩野隆史、藤川公成ほか
脚本：宮田達男、大和守久正、陣出達朗、吉岡昭三、加瀬高之、藤川正太、高岡恵吾、真船二郎、伊藤美千子、内田弘三、須崎勝弥、清水孝之、池田一朗、本田明、長谷川公之、大柿康、七条門、山村美紗、豊田総治、黒城四良雄、柳節也、大垣泰、藤田豊、三浦大介、北一郎、津田幸夫、大津皓一、大川タケシ、西沢裕子、出崎亨、横山保朗、守田二郎、重宗和伸、佐東吉宣、安藤豊弘、村田武雄、押川国秋、渡辺昭洋、内山順一朗、太田泰司、小川記正、樋口静生、五条勢津子、寺森潤、鹿谷裕一、田中豪、岡田達門、佐治乾、小山内美江子、今村文人、田代淳二、元持栄美、西沢治、西島大、松井稔、高久進、三浦英輔、原島潤郎、佐々木武観、松本昭典、仲津勝良、旭丘光志、吉田進、高山由紀子、野火止道、渡辺由自、藤井邦夫ほか
撮影：内田安夫、土屋俊忠、大島国正、佐藤和夫、中町武、藤本茂、林七郎、相原義晴ほか
照明：中川勇雄、石垣敏雄、二見菊次、斉藤久、宮川雅生、吉岡伝吉ほか
録音：森武憲、大家忠男、木村哲夫、大谷清、上出栄二郎、佐藤修一、広上益弘、長井幹夫ほか
美術：有隅徳重、宮国登、佐々木丸正、河村寅次郎、森田ふみよし、野本幸男ほか
編集：山口一喜、成島一城、松谷正雄、伊吹勝雄ほか
助監督：加島忠義、坂本太郎、小笠原猛、青木弘司、稲垣信明、辻理、藤井邦夫ほか
計測：内田正司、黒須健雄、小泉貴一、中村文宣、松井由守、斉藤健ほか
記録：友成ヤエ、小橋菜菜、大橋仁子、福島勇子、杉原温子、石川和枝、波多野かずえほか
進行：山本剛正、高山篤、黒谷志朗、村口忠、沼尾和典、小池利雄、長橋勇、高谷正寛、穂鷹一興、山本康郎、武居勝彦、桐山勝、橋本鉄雄、小原武羅夫ほか
装置：東和美術、紀和美建
装飾：装美社
現像：東映化学
音楽：牧野由多可（1話～210話まで）、小林亜星（200話～750話まで、210話まではテーマ音楽のみ）、横田年昭（751話～772話まで）、ボブ佐久間（773話～801話まで）
演奏：小原重徳とブルー・コーツ、スクリーン・ミュージック、ビート・ゼネレーション
音楽製作：あんだんて
コーラス：日本合唱協会、日本混声合唱団
挿入歌：轟謙二、黒岩三代子、若山彰
技斗：三島良二、日尾孝司、久地明、足立令二郎、三島一夫
ナレーター：島宇志夫、大宮悌二
題字：彫無季
監督：関川秀雄、大岡紀、土屋啓之助、赤坂長義、仲木睦、柳生六弥、小池淳、近藤竜太郎、土屋蔵三、小川貴智雄、松島稔、奥中惇夫、北村秀敏、永野靖忠、中村経美、柴田鉄蔵、渡辺成男、龍伸之介、若林幹、天野利彦、伊賀山正光、田中秀夫、石川義寛、山崎大助、今村農夫也、鈴木敏郎、広田茂穂、畠山豊彦、吉川一義、島崎喜美男、高桑信、三堀篤、太田成徳ほか
制作：NET、東映テレビプロ→東映

キャスト[]

立石班[]

• ソフト帽がトレードマークの立石主任を筆頭とした作品当初のチーム。だがその捜査手法の地味さゆえか主役としての印象度は薄く、他の刑事陣もその他大勢の域を超えられなかった。

立石主任：波島進（班長・1-498話、112話以降は藤島班・三船班と交代もしくは合同で出演）
妹尾部長刑事：佐原広二（20話まで出演）
橘刑事：南川直（24話以降部長刑事に昇格・藤島班の一員としても出演。三船主任登場時のみ一員として出演）
荒牧刑事：岩上瑛（21話以降出演・三船班の一員としても出演）
桃井刑事：轟謙二
内藤刑事：巽秀太郎 (藤島班の一員としても出演)
岩井田刑事：滝川潤 (藤島班・三船班の一員としても出演)
村上刑事：小嶋一郎 (藤島班の一員としても出演)
松山刑事：松原光二 (藤島班、三船班の一員としても出演)
村井刑事：生方功
汐見刑事：笹川恵三
三宅刑事：石黒三郎
石山刑事：石山克己（藤島班・三船班の一員としても出演、途中芸名を石山勝巳へ改名）
佐久間婦警：伊藤敏子

藤島班[]

• 元々は波島進のスケジュールの都合から主任の代役を立てたのをきっかけに設定された。たたき上げの刑事たちによる人情味溢れた捜査手法が持ち味となった。立石班の俳優陣が東映役者チームなのに対し、こちらの初期のメンバーは新東宝出身が占めていた。イレギュラーという扱いであるためメンバーの変動が著しく、スタッフもそれを把握していなかったのか、役者が代わる、別の刑事役で出るといったケースが目立った。

藤島主任：中山昭二（班長・112-497話、立石班・三船班と交代もしくは合同で出演、レギュラー降板後もゲストとして度々出演した。）
安藤警部補：永井玄哉
南川部長刑事：菅沼正（141話以降出演）
小杉刑事：三島耕（141話以降出演）→柴田秀勝（181話から出演）
佐伯刑事：三島耕
大村刑事：森山周一郎（154話以降出演）
笠原刑事：伊達正三郎（141話以降出演、立石班・藤島班・三船班・高倉班・矢崎班5つの班全てで出演した唯一の刑事）
久保田刑事：木川哲也→亀石征一郎
森田刑事：北原隆（157話以降出演、三船班・立石班・高倉班の一員としても出演）
佐野刑事：木川哲也
松井刑事：高津住男→小嶋一郎
香取刑事：綾川香
山崎刑事：高島英志郎（三船班の一員としても出演・芸名も高島弘行→高島新太郎に改名）

三船班[]

• ハードボイルドな印象ゆえか、アクの強い面々が揃っている。主任自身が犯人に狙われるエピソードがあったかと思えばメンバー全員が時代劇の登場人物に扮する話があったりとバラエティ性のあるチームだった。

三船主任：青木義朗（班長・413-800話、立石班・藤島班・高倉班・矢崎班・日高班と交代もしくは合同で出演）
関根部長刑事：伊沢一郎（藤島班、高倉班・日高班の一員としても出演）
荒木部長刑事：細川俊夫（506話まで出演）
松木部長刑事：早川雄三（558話から出演・高倉班の一員としても出演）
佐久間刑事：生井健夫
田坂刑事:倉石功（矢崎班・日高班の一員としても出演）
畑野刑事：宗方勝巳
倉岡刑事:倉岡伸太朗（602話以降出演）
石原刑事：吉田豊明
水木刑事:水木襄
山口刑事：山口暁（藤島班の一員としても出演）
鷲見刑事:柴田昌宏
立花刑事:立花直樹
村井刑事:北村晃一
浜田刑事：矢吹渡（高倉班の一員としても出演）
神谷刑事：石山雄大
椿刑事：山口嘉三
白石刑事：白石鈴雄
戸川刑事:一の瀬令奈（日高班の一員としても出演）
片桐刑事:森るみ子
木塚刑事:藤山律子（日高班の一員としても出演・661話以降出演）

高倉班[]

• 科学と理論をウリにした捜査チーム。当時の映画スターの相次ぐテレビ進出に便乗して東映時代劇の若手スターだった里見浩太朗を主任役に起用。主任以外は立石・藤島両班の刑事で構成されてるため、エリートと叩き上げの対立劇が前面に押し出された。三船班との合同捜査の回では主任のみエンディングで紹介された。

高倉主任：里見浩太朗（班長・512話-646話、三船班と交代もしくは合同で出演）
荒木部長刑事：金井大（517話以降出演）

矢崎班[]

• 武闘派刑事で構成されており、扱う事件の対処もアクション中心なものがほとんどだった。

矢崎主任：亀石征一郎（班長・654-801話、三船班・日高班と交代もしくは合同で出演）
谷山部長刑事：和崎俊哉（日高班の一員としても出演）
森岡刑事：神田隆
岩本刑事：萩原信二（712話以降出演）
桂刑事：佐竹一男
岩下刑事：岩下憲
保田刑事：船水進
中村刑事：水村泰三
神谷刑事：山口あきら
三宅刑事：三宅良彦
三浦婦警：中原美樹

日高班[]

• 立石班のオマージュ的な存在、最後の一年のみの出演。

日高主任：葉山良二（班長・757-799話、三船班・矢崎班と交代もしくは合同で出演）
田代刑事：日高晤郎
御木本刑事：森哲夫（779話以降出演）
片桐刑事：笠達也

三船班・日高班・矢崎班のいずれかに所属 入江刑事：池田駿介
三船班・高倉班・日高班・矢崎班のいずれかに所属 住吉刑事：住吉正博

その他[]

金子捜一主任（番組降板時は捜一係長）：神田隆
西本捜一係長（120話まで捜一主任）：鈴木志郎（500話まで出演）
田中捜一係長：山田禅二（503-801話）
仲原鑑察医：仲原新二
水野鑑識課員：田川恒夫(途中で田川勝雄に改名)
西田鑑識課員：西郷昭二→西郷隆
鑑識課員：北峰有二、上田侑嗣、新田五郎

映画版[]

スタッフ[]

脚本：大和守久正
音楽：菊池俊輔
監督：太田浩児
協力：日産自動車、日立製作所

キャスト[]

荒牧刑事：南廣
桃井刑事：亀石征一郎
内藤刑事：千葉真一
橘部長刑事：織本順吉
立石主任：安部徹

その他の出演：松尾和子、河野秋武、中原ひとみ、室田日出男、ほか

ネット局[]

• NETテレビ（現・テレビ朝日）
• 北海道放送→北海道テレビ（1968年11月～）
• 青森放送→青森テレビ
• 岩手放送（現：IBC岩手放送）→テレビ岩手
• 秋田放送
• 東北放送→宮城テレビ（1970年10月～1975年9月）→東日本放送（1975年10月～）
• 山形放送
• 福島中央テレビ
• 新潟総合テレビ（1968年12月～）
• 信越放送
• 山梨放送
• 静岡放送（1966年～）→テレビ静岡（1970年7月～1977年4月、毎週日曜22：30～）
• 北日本放送
• 北陸放送
• 福井放送
• 名古屋放送（現：名古屋テレビ）（1962年～）
• 毎日放送（～1975年3月）→朝日放送（1975年4月～）
• 西日本放送→瀬戸内海放送
• 四国放送
• 南海放送
• 高知放送
• 山陽放送→岡山放送
• 中国放送→広島ホームテレビ
• 山陰放送
• 日本海テレビ
• 山口放送→テレビ山口
• 九州朝日放送
• 長崎放送
• 熊本放送→テレビ熊本
• 大分放送→テレビ大分
• 宮崎放送→テレビ宮崎
• 南日本放送→鹿児島テレビ
• 沖縄テレビ

エピソード[]

• 番組3周年には、異例の試みとして作品内の事件の犯人が誰なのかを当てる「懸賞付き犯人当てクイズ」が行われた。この企画は後に後番組の末期でも行われている。
• 番組10周年を目前にして立石主任役の波島氏と藤島主任役の中山昭二が降板した。特に波島氏の方は三船班メインという番組の路線変更に難色を示したからだと言われている。この番組の降板から間もなくして波島氏は芸能界を引退した。
• 長らく再放送の機会に恵まれなかった本作であったが、2006年6月より東映チャンネルにてニューマスター版による再放送が開始されたが、編成等の事情により第212話を最後に2007年3月を以って放映を打ち切られた。（但し、第2話～117話、135話、146話、180話、195話、198話、202話、203話、211話は原版紛失や原版の損傷が激しいなどの理由から、欠番扱いとなっている。）
• 日高晤郎の役名は代田刑事の予定だったが田代刑事に名前が決まった。プロデューサーが「君は代打の刑事だから代田で行こう」と日高に言ったが日高が「代打の刑事が代田じゃそのまますぎるので、代打の代と打を逆さにして打を田に変えて田代刑事にしたい」と伝えその案が通り田代刑事に名前が決まった。
• 放送開始当時はライバルと言われていた「七人の刑事」と良く比較されていたが、「七人の刑事」の舞台は警視庁の内勤が主であったのに対し本番組はパトカーを使用した現場勤務が中心としている。この番組内容にしたのは「七人の刑事」への対抗意識もあったとされている（出典:CBSソニー発売CD「懐かしのテレビ・ラジオ番組主題歌大全集」解説書）。なお「七人の刑事」と本番組は同じ曜日での放送であったが放送時間が2時間ずれており、両者はライバルであったとは言え純然たる裏番組ではない。

番組の終焉[]

• 地味なキャスティングと中身の濃い作風で長寿番組の座を維持し続けてきた本作も、1977年3月で15年半の歴史に幕を閉じることになった。当時NETテレビが、春からテレビ朝日に局名を代えるに辺り視聴率面で低迷していた番組を全て打ち切るという大胆策に出ることになり、本作もその対象となったのがきっかけである。これに対し東映はレギュラーキャストと主要スタッフを全て変更し本作のテイストを引き継いだ「特捜最前線」を後番組に据えた。

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