氷点

ページ名:氷点

テンプレート:Otheruseslistテンプレート:文学『氷点』(ひょうてん)とは旭川市出身の作家、三浦綾子が発表したベストセラー小説。

1963年に朝日新聞社が募集した懸賞小説の入選作で、翌年から朝日新聞朝刊に連載され好評を得た。「続・氷点」は1970年5月12日から1971年5月10日まで朝日新聞に連載された。共に度々ドラマ化されている。

北海道旭川市を舞台に人間が生まれながらにしてもつ罪「原罪」を、クリスチャン作家の立場から追求した。

物語の舞台となった旭川市の外国樹種見本林には、三浦綾子記念文学館がある。同文学館には『氷点』の資料も数多く展示されている。

テンプレート:ネタバレ

目次

あらすじ[]

以下のあらすじは原作に即したものであり、ドラマでは若干異なる部分もある。

旭川市在住の医師である辻口啓造は、妻の夏枝が村井靖夫と密かに逢引中に、佐石土雄によって3歳の娘ルリ子を絞殺される不幸に遭う。結局のところ夏枝と村井の間に大したことはなかったのだが、これに勘付いた啓造は内に妬心を秘めることになる。

ルリ子の代わりに女の子が欲しいとねだる夏枝に対し、啓造はそれとは知らせずに佐石の娘とされる幼い陽子を引き取る。一つにはキリスト教の教え「汝の敵を愛せよ」を実践したいという気持ちもあったが、実の娘に手をかけて殺した男の娘とも知らずに育てさせ、頃合を見て真実を知らせて落胆する夏枝を見たいという、妻の背信行為に対する屈折した復讐心からの行動であった。なお、陽子という名前は夏枝がつけたものである。

陽子は、真実を知る啓造からはやや冷たくされるものの、夏枝の愛情を受けて、殺人者の血を引くとは思われない程に明るく素直に育っていった。陽子が小学1年生になったある日、夏枝は書斎で啓造の書きかけの手紙を見付ける。その内容より陽子の出自、すなわち自分の実娘の殺人者の娘である事や、何も知らずに陽子を育てていることに気付いてしまう。

そして、陽子の首に手をかけたのであった。かろうじて思いとどまるが、もはや陽子に素直な愛情は注げずに、学芸会用の服を用意しない、給食費を渡さないなどの嫌がらせをしてしまう。夏枝のこの種の行動は後々まで続くこととなる。一方の陽子は、牛乳配達の手伝いをしていた小学4年生のときに、自分が辻口夫妻の実の娘ではない事を悟る。母の気持ちを察した陽子は、牛乳配達の仕事も辞めてしまうが、心に様々な傷を負いながらも飽くまで明るく生きようとする。

辻口夫妻の実の息子である徹は、そのとき中学3年生であったが、常々母の妹に対する態度を不審に思っていた。そんなある日、両親の言い争いから真実を知ってしまう。両親に対するわだかまりを持ちつつ、陽子を幸せにしたいと願う。その気持ちは時を経るにしたがって異性に対するそれへと膨らむが、陽子のために自分は兄であり続けるべきだという考えから、大学の友人である北原邦雄を陽子に紹介する。

徹が陽子への思いを捨てきれずに葛藤する一方、陽子と北原は互いに好意を持ち、文通等で順調に交際を進める。しかし、陽子が高校2年生の冬、彼女に対し複雑な思いを持つ夏枝は、陽子がルリ子を殺した佐石の娘であるということを本人と北原に向かって暴露する。その事実を突き付けられ、追い詰められた陽子は……。そして陽子の本当の出自とは……。

表題の「氷点」は、何があっても前向きに生きようとする陽子の心がついに凍ってしまう瞬間を表している。その原因は、単に継母にひどい仕打ちを受けたという表面的なものではなく、人間が生まれながらにして持つ「原罪」に気付いてしまったことであると解釈される。

映像化[]

1966~1989年[]

  • 1966年 1月23日 - 4月17日、NETテレビ(現テレビ朝日)で連続ドラマ化(2006年11月8日からCS放送のテレ朝チャンネルで再放送)。出演は新珠三千代、内藤洋子、芦田伸介、市原悦子、田村高廣、北村和夫。
新珠三千代が継子・陽子いじめの悪女・夏枝を演じ演技派女優としての評価を高めた。徹役を務めた岸田森が、この作品でTV本格デビュー。最終回の視聴率が42.7%(ビデオリサーチ・関東地区調べ)という大ヒット作となった。特に北海道では、当時北海道テレビが未開局(1966年当時の既存局は北海道放送と札幌テレビ放送の2局のみ)のため、本来の放送時間帯とは異なる日曜日の昼過ぎの放送だったが、非常に人気を博した。
  • 1966年 3月26日、大映から山本薩夫監督で、映画化。出演は若尾文子、安田道代、船越英二、山本圭、津川雅彦、森光子、成田三樹夫、鈴木瑞穂。
  • 1971年 1月4日 - 3月12日、TBS・花王 愛の劇場でドラマ化。出演は小山明子、安井昌二、西山恵子、池田秀一、久保明。
  • 1971年 10月25日 - 1972年 1月24日、「続・氷点」がNET系にて再びドラマ化。出演は南田洋子、島田陽子、二谷英明、近藤正臣、細川俊之、田村亮、草笛光子。
  • 1981年 3月30日 - 6月26日、毎日放送の昼ドラマ枠・「妻そして女シリーズ」で放送。出演は野際陽子、近藤洋介、荻島真一、加賀まりこ、飯塚雅弓。
  • 1981年 4月9日、よみうりテレビの「木曜ゴールデンドラマ」として単発ドラマ放送。出演は紺野美沙子、三田佳子、中村敦夫、長門裕之。
  • 1988年、台湾中華テレビで連続ドラマ化。役名が全員中国語に(たとえば、辻口が頼に)。
  • 1989年 4月6日 - 4月7日、テレビ朝日開局30周年記念ドラマとして、2夜連続で放送。出演はいしだあゆみ、高嶋政宏、野村宏伸、万里洋子、津川雅彦、高木ブー、泉ピン子、上條恒彦、世良公則、高橋ひとみ。

2001年[]

7月12日 - 9月20日、「氷点2001」としてテレビ朝日木曜ドラマ枠で放送。舞台は現代の鎌倉に変更。アイテムも手紙の代わりに電子メールを使用する。

キャスト[]
  • 辻口夏枝:浅野ゆう子
  • 辻口陽子:末永遥
  • 辻口啓造:三浦友和
  • 辻口徹:鳥羽潤
  • 村井靖夫:吉田栄作
  • 藤尾辰子:戸田恵子
  • 高木雄二郎:益岡徹
  • 神山繁
  • 松崎由香子:高木りな
  • 北川弘美
スタッフ[]
  • 脚本:中園ミホ(1・2話、3~10話は脚本協力)、相内美生(3・5~10話)、小野沢美暁(4、7話)
  • 演出:阿部雄一(1・2・5・10話)、今井和久(第3・4・6・7・9話)、植田尚(8話)
  • プロデューサー:杉山登(テレビ朝日)、志村彰、次屋尚(MMJ)
  • 音楽:羽毛田丈史
  • 主題歌:鬼束ちひろ「infection」
  • 制作:テレビ朝日、MMJ
サブタイトル[]
  1. 娘、陽子を私は憎んでいる!!
  2. 娘をいじめ始める母
  3. 殺意
  4. 15年間育ててくれてありがとう
  5. 母の浴衣が着たかった…
  6. お兄ちゃんに抱きしめられた夜
  7. 涙をみせない怖い少女
  8. そんなにあの子が大切ですか
  9. 涙の遺言
  10. お願い、死なないで
放映ネット局[]

テレビ朝日、北海道テレビ放送、青森朝日放送、岩手朝日テレビ、東日本放送、秋田朝日放送、山形テレビ、福島放送、新潟テレビ21、北陸朝日放送、福井放送、長野朝日放送、山梨放送(日本テレビ系・時差ネット)、静岡朝日テレビ、名古屋テレビ放送、朝日放送、瀬戸内海放送、広島ホームテレビ、山口朝日放送、四国放送、愛媛朝日テレビ、高知放送、九州朝日放送、長崎文化放送、熊本朝日放送、大分朝日放送、鹿児島放送、琉球朝日放送

2006年[]

テレビ朝日系列でスペシャルドラマとして11月25日・11月26日放送。主役の陽子役(9代目)に石原さとみ。徹役にNEWSの手越祐也。

キャスト[]
  • 辻口陽子:石原さとみ
  • 辻口夏枝:飯島直子
  • 島田辰子:岸本加世子
  • 辻口徹:手越祐也(NEWS)
  • 村井靖夫:北村一輝
  • 松崎由香子:本上まなみ
  • 北原壮太:窪塚俊介
  • 三井達哉:中尾明慶
  • 相沢順子:貫地谷しほり
  • 加納由美:安田美沙子
  • 三井恵子:賀来千香子
  • 和田刑事:小野武彦
  • 佐石土雄:吹越満
  • 辻口ルリ子:永井穂花
  • 辻口徹(少年期):十川史也
  • 辻口陽子(少女期):森迫永依
  • 高木裕介:陣内孝則
  • 辻口啓造:仲村トオル
  • 辻口陽子(老年期):竹下景子
  • 北原壮太(老年期):津川雅彦(1966年大映版に北原役で出演)
スタッフ[]
  • 脚本:野依美幸
  • 音楽:アンドレ・ギャニオン
  • 主題歌:元ちとせ「六花譚(ロッカバラード)」
  • 制作統括:早河洋
  • チーフプロデューサー:五十嵐文郎(テレビ朝日)
  • プロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)、梶野祐司(ホリプロ)
  • 協力プロデューサー:牧義寛(シネハウス)
  • 監督:藤田明二(テレビ朝日)
  • 制作協力:ホリプロ、シネハウス
  • 制作:テレビ朝日
放送日・サブタイトル・視聴率[]
各話放送日視聴率
前編2006年11月25日12.6%
後編2006年11月26日17.3%

その他[]

  • 日本テレビ系で放送されている「笑点」の題名は、この作品のパロディとしてつけられた。
  • 1989年のドラマ化に際しては、玉置浩二の同名シングル曲「氷点」がテーマソングとなった。2006年のスペシャルドラマ版でも、使用された。

外部リンク[]

  • 三浦綾子読書会
  • 三浦綾子記念文学館
  • テレビ朝日|氷点

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