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『博士の愛した数式』(はかせのあいしたすうしき)は、小川洋子の小説(ISBN 4-10-401303-X)である。
2003年8月新潮社刊。第1回本屋大賞および第55回読売文学賞受賞。
交通事故による脳の損傷で記憶が80分しか持続しなくなってしまった元数学者「博士」と、博士の新しい家政婦である「私」とその息子「ルート」の心のふれあいを、美しい数式と共に描いた作品。
本屋大賞受賞、2006年1月の映画化の影響をうけ、2005年12月に文庫化(ISBN 4-10-121523-5)されるやいなや新潮文庫では史上最速の2ヶ月で100万部を突破した。
数学者エルデシュを描いた『放浪の天才数学者エルデシュ』(原題は「数字だけを愛した男」、ISBN 4-79-420950-9)が参考文献として挙げられており、エルデシュは「博士」のモデルと言われることもある。
テンプレート:ネタバレ
家政婦紹介組合から『私』が派遣された先は、80分しか記憶が持たない元数学者「博士」の家だった。こよなく数学を愛し、他に全く興味を示さない博士に、「私」は少なからず困惑する。ある日、「私」に10歳の息子がいることを知った博士は、幼い子供が独りぼっちで母親の帰りを待っていることに居たたまれなくなり、次の日からは息子を連れてくるようにと言う。次の日連れてきた「私」の息子の頭を撫でながら、博士は彼を「ルート」と名付け、その日から3人の日々は温かさに満ちたものに変わってゆく…。
2006年1月21日公開。監督は小泉堯史。
「私」の視点で描かれた原作に対し、映画では中学校の数学教師になった29歳のルート(原作に準ずれば教員生活7年目)が、あるクラスの最初の授業で博士との思い出を語るというものになっている。また、原作では深く描かれなかった博士と未亡人の関係についても触れていること(二人が不義の関係にあった事を窺わせる叙述)などの違いはあるが、原作をほぼ忠実に映画化している。興行収入12億円のヒット作となった。
映画公開に合わせて、講談社発行の漫画雑誌『BE・LOVE』に2005年12月から全4回で連載された。作画はくりた陸。
2006年2月には、講談社コミックスDXとしてまとめられ、出版されている。ISBN 978-4063721300
大阪の毎日放送(MBS)の開局55周年記念企画として、MBSラジオで2006年3月19日の19:30~21:00にラジオドラマとして放送された。脚色は倉持裕、出演は柄本明、中嶋朋子、武井証ほか。ラジオドラマ版では、ドラマの鍵となる阪神タイガースのエピソードも織り交ぜる。1992年9月11日の阪神対ヤクルト戦で、直後に二塁打と判定された“代打の神様”こと八木裕選手の“幻の本塁打”のシーン(MBS制作の音源を使用)も登場する。なお、このドラマはTBSラジオでも同年3月25日の19:00~20:30に放送された。
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