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テンプレート:漫画『神の左手悪魔の右手』(かみのひだりてあくまのみぎて)は、楳図かずおの恐怖漫画作品。「ビッグコミックスピリッツ」に1986年から1989年に連載されたほか、特別短編『おふだ』がある。また2006年に映画化された。
恐怖漫画の第一人者が描く、純粋ホラー・エンターテインメント。絵そのものは緻密で美しいが、残酷なシーンが多く、血をみるのが苦手な人は注意されたし。
主人公・想のまわりで起こるのは、いつも恐ろしい出来事ばかり。一体、何が夢で、何が現実なのか? 想も、読者も、分からない! テンプレート:ネタバレ
この作品のストーリーは、どこまでが夢でどこまでが現実なのか、容易な線引きを許さない構成をとっている。
想は眠っても必ずヌーメラウーメラに変身するわけではなく、想の姿のままで、出来事を解決することもある(女王蜘蛛の召使いに向かっては、これは夢だから、「お前を殺したっていいんだ」と、大バサミで胸を突き刺す)。カラスや姉になることもあり、夢から覚めるとき、しばしば夢の中から物を何か現実に持ち帰る(錆びたハサミ、女王蜘蛛)。
『錆びたハサミ』では、想は一矢先生の写真にふれただけで、一矢先生になって過去の恐怖を追体験してしまう。
『黒い絵本』では、病気の娘の父親が絵本を書きながら、そのストーリー通りに殺人を繰り返すのだが、父親はヌーメラウーメラによって、絵本の中の住人にされてしまう。いや、父親は最初から、娘の絵本の住人だったのだろうか。
さらに、霊魂という一般的な観念も、楳図の手にかかると、途方もなく複雑なものにされてしまう。霊とは一般的には死者の魂であるが、『影亡者』のエピソードでは、人が死ぬと霊になるだけでなく、霊もまた死ぬという。あの世の向こうに、もうひとつのあの世があり、影亡者は、もうひとつのあの世の住人らしい。
ギャグ、SF、少女物と多彩な経歴をへた円熟期の楳図かずおによる、ホラー度100%の純粋恐怖漫画である。スプラッター・シーンや霊魂といった恐怖物に一般的なテーマも多く、エンターテインメントとしての完成度が高い。
楳図かずおが子供というテーマに特別な思い入れをもっていることはよく知られているが、『神の左手悪魔の右手』もまた、子供ならではの恐怖感を巧みに描いている。消しゴムに穴をあけて守護霊や悪魔にしてしまうなど、まさに、子供の感覚であろう。
物語の最後のエピソード『影亡者』にいたって、ようやく、周囲は想の言うことが悪夢ではなく事実であると理解する。他方で眠りから覚めた想は、「そしてぼく夢の中で、お姉ちゃんになっていたんだよ。」「それでね、ヌーメラウーメラにもなったんだよ。それからね、影亡者をやっつけちゃったんだ。」「でも、みんな夢なんだよね」と語りだし、子供感覚から脱して大人への一歩を進む。だが、影亡者の脅威に現実にさらされ、想の発言を事実と知っている周囲の大人たちは、現実感覚の喪失にとまどうばかりである。
子供的な現実と夢の未分離状態を、強引に大人の前に提示し、大人の現実感覚を揺さぶる手法を駆使したこの作品は、まさに楳図的な意味でのホラー作品と呼べるであろう。
2006年7月22日公開。元は那須博之が監督を担当したが、監督の急死により金子修介に引き継がれた。『黒い絵本』をベースに書かれた物語だが、主人公はソウ(小林翼)ではなく、姉のイズミ(渋谷飛鳥)。楳図かずお本人も1シーンで出演。R-15に指定されている。
de:Kami no Hidarite Akuma no Migite
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