傷だらけの天使

ページ名:傷だらけの天使

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  1. (きずだらけのてんし) - 1974年10月5日から1975年3月29日まで、毎週土曜日22:00 - 22:55に日本テレビ系で放送されたテレビドラマ。全26話。愛称は「傷天」。
  2. 1997年に製作された阪本順治監督の映画、上記テレビドラマのリメイク。
  3. (きずだらけのエンジェル) - 西郷輝彦が明星に連載した自伝、1966年には西郷主演の映画も公開、主題歌のタイトルも「傷だらけの天使」である。

本項では、テレビドラマ版について述べる。

目次

内容[]

メインである修と亨の何の目的もないような日常を描く。基本的な方向性は無いに等しく、謎解きをしたり、弱者が権力者に対して反抗をしたりと、内容、メッセージはその回によって違っており、後に脚本を担当した市川森一は「13人の脚本家と監督による壮大な実験劇」と表している。

影響[]

  • 当時の若者の風俗に鮮烈な印象を与え、当時の視聴者のみならず、その後の日本のテレビドラマ界に与えた影響も大きい作品である。いまだに伝説的なドラマとして名高く、ファンも多い。恩地日出夫深作欣二神代辰巳工藤栄一ら当時の日本映画界を代表する監督陣が参加し、市川森一がメインライターを務め、毎回豪華なゲストが出演しており、各話の完成度も高い。
    • 視聴率は一桁が続き、当時の評価は必ずしも高くはなく、放送関係の、いかなる賞も受けることはなかった。再放送等により後世の評価が高い番組である。
    • 作品中に過激なシーンが多く登場することから、放送当時は「有害番組」のレッテルを貼られた。「あまりにふざけている」「下品である」「ストーリーがわからない」「テーマがない」などの批判を受けた。
  • 井上堯之バンドによる軽快なタッチのオープニングテーマ曲も有名で、いまだにテレビCMなどで流用される。ただしCMなどでの演奏は大野克夫バンドによる。
  • 衣装協力としてBIGIがクレジットされており、菊池武夫が担当。主人公の服やスタイルは、当時の若者に多大な影響を与えたと言っても過言ではない。

登場人物[]

木暮修(萩原健一)綾部探偵事務所の調査員。年齢は25歳。最終学歴は中卒。エンジェルビルの屋上にあるペントハウスに住んでいる。粗暴な性格だが、仁義に厚く、非情に徹しきれない。危ない仕事ばかり回してくる綾部には不信を抱いており、金銭的に困窮していてもなかなか仕事を受けたがらない。事務所からの指示に背いて独自の行動を取ることも多い。死別した妻との間に一人息子の健太がいるが、妻方の実家に預けている。このため子供には優しい。なお、息子の名前は高倉健と菅原文太から一字ずつを取って名づけた(これは深作欣二監督が実子をその理由で深作健太と名づけた実話が元)。この名前のエピソードは他の監督の回でも良く語られる。乾亨(水谷豊)修と同じく綾部探偵事務所の調査員。年齢は22歳(劇中、修の台詞で「俺より3つ年下」とある)。修を兄のように慕い、修に張り付いて身の回りの面倒を見ている。修よりも純情かつ手堅い気質で、将来はお金を貯めて、修と健太の3人で暮らすことを夢見ている。最終学歴は自称小卒だが、自動車修理工として働いているときもある。頭にはポマードをべったりつけ、スカジャンをいつも着ている。当時の設定としては時代遅れのスタイルとしてこの格好をしていたが、放送終了後に真似する若者が急増し、第二次ブームを迎えた。劇中、頻繁に修を「兄貴ぃー!」と呼んで登場し、ある時は連呼する。(市川森一によると、精神的なホモであると語る。)この台詞のインパクトは多大で、「水谷=チンピラ」というイメージを当時の若者に強く印象づけた。後に、水谷はこのイメージを払拭することに多くの努力と長い時間を必要とすることになる。綾部貴子(岸田今日子)綾部探偵事務所の所長。表向き、事務所の評判は良いが、裏では悪事にも手を貸し、非合法な取引なども行う悪徳探偵事務所でもある。非情な性格であり、プライドも高い。修と亨に度々危険な仕事を与えて酷使する一方、修には「貴方は本当のワルになれる」と目を掛けている。辰巳五郎(岸田森)綾部の片腕として働いている事務所のナンバー2。クールな性格を装うも、実はスケベで見栄っ張り。修と亨には常に威張っており、修たちへのギャラ(たいてい1回20万円)の一部をピンハネする。表立って口には出さないが、内心は綾部に想いを寄せている。胃下垂。頭髪はカツラであり、実際は剃髪している。(岸田がアドリブでカツラを外して土下座するシーンが第5話にある)浅川京子(ホーン・ユキ)綾部探偵事務所の電話受付。綾部を尊敬している。海津警部(西村晃)綾部の悪事の証拠を掴もうとしている刑事だが、反面で綾部とは内通しており、金品と引き換えに捜査情報を漏らすこともある。松下刑事(船戸順)海津の部下の刑事。第1話、第6話、第13話に登場。

放送リスト[]

サブタイトル脚本監督ゲスト
1宝石泥棒に子守唄を柴英三郎深作欣二金子信雄、真屋順子、坂上忍、加藤和夫、富田仲次郎、八名信夫、桐生かほる
2悪女にトラック一杯の幸せを永原秀一
峯尾基三
恩地日出夫緑魔子、江原達怡、上野山功一、北村総一郎、相原巨典、和久井節緒
3ヌードダンサーに愛の炎を市川森一深作欣二中山麻理、室田日出男、都家かつ江、伊達三郎、大木正司
4港町に男涙のブルースを大野靖子神代辰巳池部良、荒砂ゆき、田島義文、二見忠男
5殺人者に怒りの雷光を市川森一工藤栄一加藤嘉、松山省二、木村豊幸、谷岡行二、檜よしえ
6草原に黒い十字架を山本邦彦神代辰巳高木均、大村千吉、苅谷俊介
7自動車泥棒にラブソングを市川森一恩地日出夫川口晶、高橋昌也、蟹江敬三、奥村公延
8偽札作りに愛のメロディーを柴英三郎工藤栄一有島一郎、近藤宏
9ピエロに結婚行進曲を市川森一児玉進滝田裕介、志摩みずえ、水上竜子
10金庫破りに赤いバラを渡辺由自鈴木英夫小松政夫、加納典明、浜田寅彦、川崎あかね
11シンデレラの死に母の歌を土屋統吾郎平田昭彦、服部妙子、浦辺粂子、夏木順平
12非情の街に狼の歌を鎌田敏夫児玉進土屋嘉男、水原麻記、清川新吾、佐藤京一、鈴木和夫、畠山麦
13可愛い女に愛の別れを高畠久
山本邦彦
土屋統吾郎吉田日出子、加茂さくら、田口計、加賀邦男
14母のない子に浜千鳥を市川森一恩地日出夫桃井かおり、石山雄大
15つよがり女に涙酒を篠崎好松尾和子、渡辺文雄、稲葉義男
16愛の情熱に別れの接吻を鎌田敏夫鈴木英夫高橋洋子、山下洵一郎
17回転木馬に熱いさよならを高畠久
渡辺由自
江夏夕子、中原早苗、橋本功、福田豊土、磯部勉、伊東辰夫
18リングサイドに花一輪を柏原寛司児玉進中谷一郎、ファイティング原田、今井健二、梅津栄
19街の灯に桜貝の夢を市川森一恩地日出夫関根恵子、森幹太、阿藤海
20兄妹に十日町小唄を篠崎好児玉進渡辺篤史、伊藤めぐみ、犬塚弘
21欲ぼけおやじにネムの木を宮内婦貴子工藤栄一内田朝雄、亀渕友香、根岸一正、武藤章生
22くちなしの花に別れのバラードを篠崎好児玉進篠ヒロコ、久保明、家弓家正
23母の胸に悲しみの眠りを田上雄工藤栄一根上淳、下條アトム、西尾三枝子、本山可久子
24渡辺綱に小指の思い出を市川森一児玉進坂口良子、前田吟、天本英世、吉田義夫、真山知子、長谷川弘、富田仲次郎
25虫けらどもに寂しい春を宮内婦貴子
大野武雄
工藤栄一小松方正、根岸明美、水上竜子
26祭りのあとにさすらいの日々を市川森一下川辰平、森本レオ、石田太郎、柴田美保子

スタッフ[]

  • プロデューサー:清水欣也(日本テレビ)、工藤英博(渡辺企画)、磯野理(東宝)
  • プロデューサー補:新野悟(東宝)
  • 音楽:大野克夫、井上堯之
  • 選曲:鈴木清司
  • 現像:東洋現像所
  • 撮影:木村大作、田端金重、伊佐山巌、田島文雄
  • 衣装デザイナー:菊池武夫
  • 衣装協力:株式会社ビギ(MEN'S BIGI)
  • 制作:東宝株式会社、渡辺企画

その他[]

エンジェルビル[]

修と亨が暮らしていたビル。綾部探偵事務所からビルの屋上にあるペントハウスを借りていた。

実際にロケが行われたのは、代々木駅隣にある代々木会館で、現在も当時のまま残っている。

オープニング映像[]

  • 恩地日出夫監督が演出。皮ジャンを着て、ヘッドフォンを付け、水中眼鏡を付けた修が眠りから目を覚まし、冷蔵庫の扉を開き、新聞紙をナプキン代わりに首から下げ、トマト、コンビーフ、ナビスコリッツ、ソーセージに次々とかぶりつき、口で栓を開けた牛乳で喉に流し込む。
  • 当初は最後に牛乳を画面にぶっ掛ける趣向であったが、オープニング完成後に下品であると判断され、本放送では牛乳噴射のシーンをカットし、その直前の画面をストップモーションにすることで対処された。(表現テーマは食事が性交を表し、牛乳のぶっ掛けが射精というもの。)
  • 強烈な印象を残したため、その後バラエティ番組などでオマージュやパロディが作られた。


参考文献[]

  • 傷だらけの天使傷だらけの天使脚本グループ日本テレビ放送網1974
  • 傷だらけの天使市川森一大和書房1983

外部リンク[]

  • 傷だらけの天使(Vap)

テンプレート:前後番組

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