キルバーン_(ダイの大冒険)

ページ名:キルバーン_(ダイの大冒険)

キルバーン(Kill-Vearn)は、三条陸(原作)と稲田浩司(作画)による漫画、及びそれを原作とするアニメ『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』の登場人物(声:田中秀幸)。

通称、死神キルバーン。

テンプレート:ネタバレ

目次

キャラクター概要

大魔王バーンの元へと派遣された冥竜王ヴェルザーの部下。常に使い魔のピロロと行動を共にしている。バーンの魔王軍の中にあって六大軍団には属さず、同軍における失敗者の始末やバーンパレスへの侵入者を排除する任務を帯びた暗殺者として、バーン直属のような立場で独自に活動する。

軍団長やハドラーも恐れる実力の持ち主で、アバンとも互角に渡り合った。名前の由来はkill(殺す)+ミストバーンと同じくバーンの個人名。また、真の主であるヴェルザーから「バーン暗殺」の密命を受けていたことから「バーンを殺せ(Kill Vearn)」の暗号名でもある。バーンはヴェルザーとの会話において彼のことを単に「キル」と呼んでいる。本名は作中で明かされることはなかった。

性格・人物

一人称は「ボク」で、他人を翻弄するような飄々とした口調で話す。バーンやヴェルザーに一定の忠誠を見せてはいるが、常に自分の楽しみで行動しているようなところがあり、ヴェルザーに陰口を言ったこともある。ミストバーンとは気質が対照的ながら気が合い、互いに「ミスト」、「キル」と呼び合う仲となったが、ミストバーンは彼に自分の正体についての詮索は無用と釘を刺し、両者共に最後まで自分の正体を隠していた。

陽気そうな物腰とは裏腹に、相手を策に陥れ、もがき苦しんだところを仕留めるのに何よりの喜びを感じるという、陰湿かつ残酷極まりない性格。バーンも「さしもの余も残酷さにおいてはお前に及ばん、おそらく魔界一だろうな」と評したほどである。また、非常に執念深く、恨みや怒りを抱いた相手に対しては執拗に付け狙い、どんな卑怯な手段を用いてもその命を奪おうと試みる。

彼の姿を見たということは即座に死を意味することから「死神」と呼ばれ、魔王軍の中にも彼の姿を見た者はいなかったというほどだが、劇中で一人も殺せていない。詰めの甘さがあり、アルビナスやアバンに対してその気になれば不意打ちで殺せていたような描写も存在する。また、最初のポップとの戦闘でも「深刻な事態さ」などと顔を指差し、目の前で完全に生殺与奪の権を握りながら攻撃をせずその後の魔王軍敗北の遠因も作っている。

どういった能力なのか詳細は不明だが、壁などの物体の内部から姿を現すというルーラやリリルーラとは異なる方法で登場することがあり、魔術師的な雰囲気も持つ。

外見など

常に笑いの仮面で顔を隠し、道化師のような服装に身を包む。仮面は扇状の飾りが付いており、その両端には星(左目側)、月(右目側)のアクセサリーがあしらわれている。この笑いの仮面は、彼の持つ多数の仮面の中で最も気に入っていたものである。なお、後述するアバンとの決闘では憤怒の仮面を被っている。

死神の異名どおり、大振りの鎌「死神の笛」を武器として使用する。また、アバンとの戦いの折には細身のサーベル状の武器を使用した。

劇中での軌跡

ヴェルザーの命を受け、バーンの協力者として遣わされた。だが真の使命はバーンの暗殺であり、彼の計画がしくじろうものならその場で始末する命を任されていた。その真意はバーンに一目で見抜かれたものの却って気に入られ、部下として迎えられることになる。キルバーン自身も、そのバーンの対応を「器が大きい」と評し、ミストバーンとの関係と併せて任務とは別に個人としてはバーンたちをそれなりに気に入っていた様子を見せていた。

六大軍団が健在であった頃はダイたちとの戦いにおいてあまり前面に出ることはなかったが、彼らがバーンパレスに乗り込んでからは、そこに仕掛けた数々の罠を駆使して抹殺にかかる。ダイがハドラーと決着を付けた瞬間の隙をついて最高傑作の罠である「ダイヤ9」に陥れ、助けに飛び込んだポップもろとも焼き尽くそうとしたが、長い沈黙を破って駆けつけたアバンに罠を破られ、自身も斬りつけられて仮面を割られる。そのことに激怒し、以後はその感情を表す憤怒の仮面を被ってアバンを付け狙い、完全決着用の魔界の遺物「ジャッジ」を使ってアバンを亜空間に閉じ込めた。ここでも「決闘」と称しながらファントムレイザーや事前に改造を施したジャッジといった罠を持ち出し、危なくなるとピロロを使って嘘の命乞いまでするなど卑劣な手段を駆使したが、最後は罠をアバンに逆利用され、自らの罠で首を刎ねられ敗れ去る。

正体

その正体は使い魔のピロロが操る機械人形、すなわちロボットであり、ピロロこそがそれを操る本当のキルバーンであった。この事実は原作の最終回でピロロが皆の前に現れ正体を明かしたことで明らかとなった。

バーンやミストバーンも彼の正体には気付いてはいなかったようである。操り人形ゆえに心臓を刺されるなど、通常の生物なら致命傷となる攻撃を受けても一切支障はない。胴体や首の切断などの著しい損傷を受ければ機能停止に陥るが、本体が無事ならば魔法の粉をかけることで修復がきく。人形は遠隔操作も可能で、たとえ人形と本体がジャッジの異空間を隔てていても操作に支障は出ない。また、その目を通した映像は全て本体のピロロに送られる。

全身を巡る魔界の強酸性を持つ高温のマグマ成分[1]が原動力となっており、生半可な氷系呪文では凍りつかないため、実質氷系呪文が無効である。またこのマグマ成分が彼を攻撃した武器に付着するため、攻撃に使った武器は腐食される。その威力はドラゴンキラー程度の武器は一刺ししただけで溶けてなくなってしまい、最強の剣の一つであるオリハルコン製の真魔剛竜剣といえども腐蝕して切れ味が鈍るほどに強力[2]

仮面の下には黒の核晶が隠されており、ヴェルザーからは先述の条件を満たしたときにこれを用いてバーンを始末するよう指示を受けていた。顔面を叩き割り核晶を起爆するのがこの機械人形を完全に破壊する唯一の方法とされるが、当然攻撃した者も爆発に巻き込まれまず助からない。また、黒の核晶の弱点である「凍結による停止」が、前述のマグマ成分の影響により事実上不可能に近いため、回避手段が大幅に限られることになる。それゆえ、原作のラストで機械人形の核晶が作動した時、ダイとポップが取った最後の手段が「爆発に巻き込まれることも省みず、爆発物を持って被害が及ばない遠くへ運ぶ」というごく原始的な方法であった。

なお本体のピロロは正体を明かした結果、マアムに殺され地上破滅を食い止められている。

使用した武器・罠など

死神の笛柄の部分が笛になっている巨大な黒い鎌。刃の部分に細工があり、風を切る音による催眠効果で気づかれないうちに相手の感覚を奪ってゆく「罠」として機能する。鬼岩城戦終了時点でのポップを完全に術中に捕らえることができたが、バランには全く通じなかった。キル・トラップ/殺しの罠/死の罠大魔宮にしかけられた、トランプのカードに対応した魔法的トラップ。物理的なトラップと異なり、呪文による魔法攻撃となる。ただし対戦したアバンによると、この手の魔法トラップは術者が精神的な「実行命令」を下さねば発動しないものがほとんどであるため、術者は何らかの手段で常にトラップを「監視」せねばならないという弱点がある。ゲームに登場した「歩くとダメージを受けるフロア」であるバリア同様、「トラマナ」の呪文で機能を停止させることができる。ただし、アバンの破邪力を極大化したトラマナだからこそ通用したのであり、生半な魔力の術者では破ることはできないと考えられる。ダイとハドラーに対して使ったのは闘気技や物理攻撃をどんな威力だろうと弾き、魔法以外の干渉を受け付けない特性を持った魔界最強の炎を召喚し標的を八方から包み焼く「◇の9(ダイヤ・ナイン)」であり、本人曰く「自信作」。その炎はポップの魔力でも押さえ込んでおくのが精一杯で、完全に吹き飛ばすことはできなかった。他のトラップは事前にアバンとレオナによってほとんど潰されたため詳細は不明だが、キルバーンによれば小粒なものでも、確実に敵の戦力を削げる罠に仕上がっているらしい。「殺しの罠」「死の罠(256話)」と表記が異なるが「ジャンプコミックス・パーフェクトブック」では「殺しの罠」となっていた。ファントムレイザー頭部の飾りに仕込まれた13本の見えない刃で敵を囲む。重力の影響を受けずに浮遊する完全不可視の刃・ファントムレイザーを各所に設置し、相手の移動により「当たってもらう」ことでダメージを与えることができるという、戦闘中でも使用可能なインスタント・トラップ。ほんの少し接触しただけでもアバンが使用していた剣を簡単に切断したり、キルバーン自身の首を跳ね飛ばしてしまうほど切れ味は鋭い。刃の位置がわかるのは設置者のみ[3]。たとえ使い切っても、本体のピロロがいれば何度でも補充可能。バーニングクリメイション直訳すると「燃え盛る火葬」。魔界のマグマと同じ成分という、キルバーンの「血液」の性質を利用した彼の切り札。自身に流れる血を含んだ身体の部位に魔法力で点火し、大火球となったそれを標的に対して投射する。最終決戦時アバンとの戦いにて、自身の腕を切断して使用した。アバンに直撃したものの、死してなおハドラーが灰となってアバンを守っていたため、破られる[4]。ジャッジ(決闘用マシーン)古来、魔界の者が決闘で完全決着をつけるために用いたマシーン。その手にした大鎌で、決闘者を専用の異次元空間に引きずり込む。決闘の終了時には敗者の首をはね、勝者のみが現実空間に帰還することができる。このマシーンに引きずり込まれた者たちの決闘を外部から妨害することは一切不可能であるが、外部との情報の共有などは可能。キルバーンは、かつてデザインを気に入ったためにこれを手に入れたと述べており、アバンへの復讐のためにこれを利用することとなった。本来は決闘を中立に取り持つマシーンであるが、キルバーンはこれを自分の味方として改造しており、いざとなれば敵を巻き込んで自爆するようにしていた。※デザインは読者が考えた物を基にしている。

補足

読者による人気キャラクター投票の第2回では、ヒュンケルやクロコダインなど、ダイ側についたキャラクターを除いた魔王軍の中にあって唯一10位以内に入っており、読者人気も高かった。

後に『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2』では死神スライダークというモンスターが登場。スライムをあしらったデザインのプレートアーマーに全身を包んだ何者かという姿だが、ロボットのような外見や頭部形状がキルバーンに類似しているなど、いくつかの共通点が見られる。

脚注

  1. ロボットであることは極秘とされていたため、彼自身は「マグマの血液」と言っていた。
  2. ただしアバンと戦った際、キルバーンを何度も斬ったはずの彼の武器は特に溶けた様子が見られなかった。
  3. なお、設置位置を認知する方法自体は明かされていない。通常はキルバーンだが、アバンが異空間から戻ってきた際に新たに放った13本とは別に、アバンの体に刺さっていた1本を目の前に仕掛けられても見破れなかった。
  4. キルバーン本人は「奇跡」を否定し、ハドラーの体は高熱を発する超魔生物細胞でできていたため、灰となっても若干高熱を遮る役目を果たしただけに過ぎない、と推測した。

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