ハドラー_(ダイの大冒険)

ページ名:ハドラー_(ダイの大冒険)

ハドラーは、三条陸(原作)と稲田浩司(作画)による漫画及びそれを原作とするアニメ『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』に登場する架空の人物である(声:青野武)。

テンプレート:ネタバレ

目次

キャラクター概要

魔王→魔軍司令→超魔生物

物語開始の時点では魔王軍の魔軍司令として登場。かつては魔王ハドラーと呼ばれ、自身の軍勢を率いて地上の平和を脅かした。その後勇者アバンに倒されるも、大魔王バーンの手により6大軍団を統括する魔王軍の司令官として復活を遂げ、ダイを始めとするアバンの使徒達と死闘を繰り広げる。その戦いの中、彼らを倒すことに自分の全てを賭けるだけの価値を見出し、最終的には魔族の体を捨てて超魔生物となるに至った(後述)。

名前の由来は怪物の「hydra」から。原作者曰く「蛇のような残酷な目の男という意味」。初登場時の風貌は「竜王」に似たものとなっている。後に原作者はプロ野球・ヤクルトに1993年に在籍したレックス・ハドラーについて、「本当にこんな名前の人がいるなんて…」と驚いていた。

人物

一人称は「俺」。かつては魔王の名に相応しい極悪非道の人物で、人間を虐殺することなど何とも思っていなかった。バーンによって復活した後もそれは基本的に変わってはいないが、上にバーンという絶対的存在を抱いたために自らの地位に執着するようになり、バランとダイを出会わないように画策するなどの策を弄するようになる。ただし戦場においては必ず自らも出陣しており、ザボエラのように自分は安全な場所にいて他人を危険な目に合わせるなどといったことは好まない[1]。ポップやクロコダインは魔軍司令時代のハドラーを「残酷だが卑怯じゃない」「ほめられた人格ではないが酷い策謀家でもない」と評している。

ダイ達によって度々敗北し、「己の地位に執着しているような者が勝ちを掴めるはずがない」と悟ると肉体改造を行い、超魔生物化してからは心機一転、ダイ打倒のみを志して戦いに望むようになる。以後は武人として全力を尽くして強者にぶつかっていくようになった。

敵方でありながらもポップに比肩する成長を見せたキャラクターであり、原作者の三条は「ハドラーがここまでの武人に成長するとは思わなかった」とコメントしている。

劇中の軌跡

魔王時代

膨大な魔力と屈強な肉体を誇り、魔力で支配した数々のモンスターを率いて地上の征服をはかる。宿敵であるアバンと何度も戦うが、両者とも殺すまでにいたらなかったことから、決着がつかなかったとも言える。作中で見られるアバンとの戦いは以下の通り。

  • カール城での初対戦
カール王国に現れ、「魔界の神への生贄」と称してフローラ王女を狙う。目的は王国の希望であるフローラを殺害し、人々を絶望に突き落とすこと。ドラゴン等の強力なモンスターを率いて王城に侵攻しフローラに迫るも、当時フローラの親衛隊員であったアバンとロカの活躍で手傷を負い、撤退する。
  • 「凍れる時間の秘法」の戦い
魔王を封じ込める秘策として、アバンは「凍れる時間の秘法」を使用。術が不完全であったため両者とも凍ってしまい、痛み分けに終わる。そのまま一年以上の時が経過。
  • ハドラー軍最後の戦い
本拠地である地底魔城に乗り込んできたアバン一行との決戦。アバンとの一騎打ちに敗れ息絶えるが、直後にバーンの超魔力によって蘇生。力を蓄えるため、十数年の眠りについた。魔王時代の技勇者アバンと渡り合うだけの格闘能力を持ち、武器は使わず素手で武闘家のような戦い方をする。その力は、一発でドラゴンを殴り殺してしまうほどである。さらに、勇者アバンとの最終決戦では拳に闘気(魔力?)を込めた一撃も見せている他、カール王城では、斬りかかっていったロカ達を掌から闘気のようなものを放って吹き飛ばす技も披露している。他、メラ系、ギラ系、イオ系等の魔法攻撃を使いこなし、イオナズンを切り札とする。

魔軍司令時代

357歳。アバンに倒されたのち大魔王バーンの力によって復活し、魔軍司令として彼に仕える。デルムリン島でアバンを倒した後、さらなる脅威と判断したダイ達を執拗に狙うものの、敗北を重ね続ける。バーンから最後通告を受け、焦ってザボエラとともに騙し討ちを行うもダイ達に敗れて重傷を負い、初めて狡猾な戦い方ばかりでは勝てないと悟る。ここに至ってハドラーは全てを捨てる覚悟を決め、最終的にはアバンの使徒を倒すために魔族の身体を捨てて超魔生物へと変貌する。

この頃の彼は自己の保身に汲々としており、部下であるバランが竜の騎士であると知ると、いつ自分の地位を奪われるかと不安に駆られた。さらに、ダイも竜の騎士であるということが判明し、いつバランとダイが力を合わせて自分を倒しにくるかと恐れていた。そのため、ダイの正体を知ってからもバランにはそれを隠し、彼には様々に口実をつけて勇者ダイ討伐に向かわせまいとしていた。非常に感情的になりやすくもあり、アバンやキルバーンに皮肉を言われた際には簡単に激昂し、ポップのベギラマが自分のそれの威力を上回った際にも狼狽した。

また、残虐非情な性格であり、「アバンを死なせたのは自分ではなく、優しさとかいうサルにも劣る低次元な感情だ」と高笑いしていた。さらに、自分はどうなってもよいからマアムだけは助けてほしいと哀願するポップに対し、彼の目の前でマアムを串刺しにして殺そうとした。一方では前述のザボエラとの騙まし討ちの際にポップに「(これまでは)残酷ではあったが卑怯ではなかった」、「魔王の威厳みたいなものは持っていた」と指摘され、狼狽・羞恥している。

主な武器は、オリハルコン以外では地上最強といわれる鎧の魔剣の素材をも貫く両手の甲から突き出る爪(骨)「地獄の爪(ヘルズクロー)」。

魔軍司令時代の技地獄の爪(ヘルズクロー)による格闘。これといった必殺技などは披露していないがその能力は高く、バルジ島ではヒュンケルとも殆ど互角に渡り合ったほど。および火炎・爆裂・閃熱呪文全般。魔王時代から切り札であったイオナズンと相手を焼き尽くすまで消えない地獄の炎と豪語するメラゾーマに加え、アバンを倒した褒賞としてバーンから新しい肉体を与えられた際にベギラゴンを習得し、3系統を極めている。またアバンやポップのベギラマをまともに浴びたり、バダックの作った爆弾の爆発に巻き込まれても全く無傷であるなど、高熱や爆発に対して高い耐性を持つ[2]

超魔生物(親衛騎団王)時代

超魔生物ザムザにおける「超魔生物状態で呪文が使えない」欠点を克服するため、超魔生物から魔族の姿に戻れる機能を排除した上で自分自身を超魔生物に改造した[3]。武器は「地獄の爪」に加えて、右腕に仕込んだ「覇者の剣[4]」や腕に内蔵された武器刃が連なった鎖状の「地獄の鎖(ヘルズチェーン)」も振るう。

超魔生物化したことで肉体的に強化されたばかりでなく、宿敵であるダイたちを倒すという強い決意によって、それまでの精神的な脆さが克服され、結果として大幅に戦闘能力が向上した。また心境の変化はその後に禁呪法で生み出したハドラー親衛騎団にも反映され、強大な敵としてアバンの使徒の前に立ちふさがる事となる。

この頃のハドラーにとって宿敵アバンの存在は超えるべき対象であり、「俺はアバンを倒しただけで勝ったわけではなかった」「このままアバンに負けっぱなしで死ぬのは我慢ならない」と苦笑を浮かべながら部下達に語っている。

その身体にはバーンにより、死の淵から救ったときに「万一のため」として「黒の核晶(コア)」が埋め込まれており[5]、超魔生物になったことが原因で黒の核晶が作動寸前状態になってしまう。そして、黒の核晶はハドラーの心臓よりも重要な核となっていたが、バランとの対戦でそれを体内からバランに引きずり出されたことで、いかなる回復呪文も受け付けない朽ちてゆくだけの魔獣の体となった[6]

バーンに捨て駒同然に扱われ自らの生き甲斐を否定された形となったハドラーは、バーン戦で絶体絶命の窮地に陥っていたポップ達を逃がし、バーンと一戦交えたことで袂を分かつ。そして、バーンに忠誠を誓う気にもなれず、アバンを殺した事に後ろめたさを感じてダイ一行の味方も出来なかった彼は、それならばとライバルのダイと完全決着を着けることを決める。

その後、バーンを倒すために大魔宮へと突入したダイの前に立ち塞がり、バーンに対して「自分の最後の戦いをとくと見よ。ただし何人も手出し無用」と口上を述べ、正々堂々と真っ向からダイに最後の決戦を挑む。その戦いで渾身の必殺技の打ち合いにて完全敗北し、力尽きて動けなくなったところでダイ・ポップと共にキルバーンのキル・トラップにかかってしまう。最後の力を振り絞ってなんとかダイだけは脱出させたものの、ハドラーを見捨てる事を躊躇って脱出が遅れてしまったポップと共にもはや絶体絶命の窮地に陥ってしまった。しかし、もはや最後かと思われた瞬間、死んだと思われていたアバンに救われた。

その後最後の力でキルバーンを退け、かつての宿敵であるアバンに後を託し、彼の腕の中で自らの生涯に満足しながら灰となって散った。なおこのとき死を看取ったアバンにはその灰が付着しており、それは後のキルバーン戦においてアバンを救う非常に重要な役割を担うことになる。そしてアバンを救った後、舞い散る灰がハドラーの顔の形を成し、アバンと最期に対面した後虚空へと消えていった。

超魔生物時代の技魔軍司令時代の技をそのまま使う。ただし身体能力は飛躍的に向上しており、魔力も魔軍司令時代とは比べ物にならない。超魔生物としての肉体の再生能力も身につけていたが、黒の核晶を摘出した後はその能力を失う。他に地獄の鎖(ヘルズチェーン)、魔炎気による攻撃、右腕の覇者の剣に魔炎気を纏わせ敵を斬る超魔爆炎覇がある。また元々高かった高熱への耐性が、魔炎気を発する超魔生物細胞となったことで更に向上した[7]

禁呪法あまりに卑怯なために使うのを禁じられていて、使うと魔法使いの間で仲間外れにされるという呪法。ここでは、ハドラーが使った、物質に意思と人の形を与える禁断の呪法をさす。これによって生み出された禁呪法生命体は術者の精神が反映された意思を持つ[8]。禁呪法生命体は体内のいずこかにある核(コア)を破壊する、あるいは術者が死なない限り生き続けることが出来る。魔族時代のハドラーが生み出したフレイザードが狡猾で残忍かつ名誉欲に凝り固まった性格であり、親衛騎団のメンバーが騎士道精神と仲間意識や絆を重んじた性格である事は、それぞれを生み出した際のハドラーの精神状態を如実に表した例と言える。ただし、魔王時代のハドラーの腹心であったものの、紳士的で優しい性格のバルトスやかつてのハドラーの残虐性や執着心を残していたフェンブレンのように術者の性格の表に出ていない部分が反映される場合もたまにある。核は、フレイザードの場合は胴の中央付近に、ハドラー親衛騎団の場合は人間で言う心臓に相当する部分にある。超魔爆炎覇(ちょうまばくえんは)超魔生物になってからの必殺技。炎の暗黒闘気「魔炎気」を操り、それを右手の覇者の剣と身体に纏わせ、魔法剣に似た形にして敵に突進し叩き込む。凄まじい破壊力を誇り、喰らった相手は爆発と共に吹っ飛ぶ。1度目はポップの横槍で不発。2度目はダイのギガブレイク(ライデインver.)との相打ち。3度目は変身前のバランに命中せず。4度目竜魔人バランに命中せず。5度目はアバンストラッシュX(クロス)に敗れて剣を砕かれ、生命の剣による6度目はギガストラッシュに完全敗北。最後はアバンストラッシュX(クロス)、ギガストラッシュの前に敗れ去る。

補足

テレビアニメ放映前に上映された劇場版のハドラーは「6本腕の赤い邪神像」となっており、姿もキャラクター設定も大きく異なるが、声はテレビアニメと同じく青野武である。

脚注

  1. アニメでは豪魔軍師ガルヴァスを「自分と違い卑怯なことを平気でやる」と評しており、卑怯な手段は良しとしない性格であることが明言されている。
  2. アバンのベギラマを浴びた際には「ギラとイオの呪文は自分がもっとも得意とするところであり、故にこの程度では堪えない」という旨の発言をしている。またマトリフ・ハドラー・ザボエラ・ダイの4人の閃熱系呪文の力(ベギラマ・ベギラゴンそれぞれ2発ぶんずつ)の凄まじい炸裂に巻き込まれた際も、半死半生ながら生き延びていた。
  3. 本作では他にダイが「元の姿に戻れなくなるかもしれない」という覚悟で竜魔人化し、バーンも魔族の姿に戻れなくなるのを承知の上で鬼眼王化している。また、原作者は後作「サイドボーン」でも「目的の為に生来の姿に戻る機能を捨てる」意味で共通の設定を主人公に使っている。
  4. 詳細はメインの項を参照
  5. ここでいう「死の淵」がアバンに倒されたときなのか、ヒュンケルに倒されたときなのかは明確にされていない。実際、ヒュンケルに倒された後に復活した時に「その身体は何度でも復活する」とミストバーンがハドラーに話す場面があり、この復活の際に仕込んだ可能性が高いと思われるが、アバンに敗れた際に仕込んだ可能性も否定出来ない(原作者の三条もこれについては言及していない)。なお、ハドラーの肉体は物語初期の時にアバン打倒の褒美として一度入れ替わっており、この肉体をベースに超魔生物化している。また、バーンはハドラーが超魔生物化することを予測できていなかったことをミストバーンに吐露している。
  6. ただし核晶爆発直前からダイたちがバーンのカラミティウォールを喰らい全滅寸前になるまで、爆発のときまで確実にその場にいたにもかかわらずまったく登場していないため、命が尽きる寸前で喪われているであろう元の肉体の能力で復活したのではないかとバーンが述懐しており、その際の影響の可能性もあるが、明確な答えは作中では示されなかった。
  7. バーニングクリメイションを死してなおアバンを守るハドラーの魂によって破られた際、キルバーンは奇跡を否定して灰となっても超魔生物細胞が若干高熱を遮ったのだと推測した。また、ダイたちとの戦いによって魔力が低下していたとはいえ、バーンのカイザーフェニックスをハドラーが握りつぶしてかき消す描写も見られた。
  8. もとより己の意思を持っていたマキシマムなどはこの限りではない。

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関連項目



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