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バーン (Vearn) は、三条陸(原作)と稲田浩司(作画)による漫画及びそれを原作とするアニメ『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』に登場する架空の人物。アニメでの声優は内海賢二。テンプレート:ネタバレ
魔界最強の実力者にして齢(よわい)数千年余の魔族。人間が脆弱であるという理由のみで太陽の恵みを人間だけに与え、魔族と竜族を地底にある暗黒の魔界に閉じ込めた神々を憎む。「魔界の神」の異名を持ち、その規格外の力から聖母竜マザードラゴンからも神をも優に超える力を持つと言われる。勇者アバンに倒された魔王ハドラーを復活させ、新たなる魔王軍を結成、地上界に対する侵略を行わせていた。だが、バーンの真の目的は、魔界の上を覆う地上界を完全に消滅させ、彼が「素晴らしい力」と賞賛する太陽の光を魔界に降り注がせることであった。建造物として、魔界にいくつかの宮廷(第7宮廷までの存在が判明)、地上に鬼岩城、バーンパレス(大魔宮)を所有する。
名前の由来は「burning(燃える)」からで、原作者曰く「地上を焼きつくすイメージから」とのこと。
一人称は「余」だが、一度だけ「私」と発言しているシーンがある[1]。強者が弱者を支配する魔界の頂点に立つだけあって、「弱肉強食」「力こそ正義」を信念として掲げる徹底した実力主義者である。ゆえに弱者に対しては容赦なく、力で蹂躙することを楽しいと言って憚らないが、一方で強い者に対しては種族を問わずそれなりの敬意を払うと述べており、種族として軽蔑している人間であってもヒュンケルのように軍団長にまで取り立てたり、敵であるダイをも部下に誘おうとしたこともある。
「天地魔界に恐るる物なし」と自負するほどの強さに加えて、老獪な知略にも長けており、純粋な力においては自分に及ばないバランも予測しがたい面があるからという理由で一目置いたり、自分が信奉するそれとは全く違う種類の強さを持つ者として人間であるアバンの力を認めて警戒し、地上侵攻の際には真っ先にハドラーに始末を命じるなど、深い洞察力、戦略眼を持つ。また、失敗を繰り返したハドラーにも温情処置を与えたりするなど、優れた統率者としての器も端々に見せる。
ただし、魔界を太陽の光で照らすためであれば、禁呪法を扱う者でさえ恐れるという黒の核晶(くろのコア)さえも平気で扱うなど、目的のためには手段を選ばない。さらにハドラーの体内に本人に告げずに黒の核晶を埋め込んでいたり、「反旗を翻すおそれがある」として魔王軍から離れたバランの抹殺を命じるなど、部下や敬意を払うと言った相手であっても目的のために情に流され過ぎない現実的非情さ、用心深さも持っている。
額にある第3の瞳「鬼眼」により、膨大な魔力を有する。3つの心臓を持ち、1つが潰されたくらいでは死なないが、左の心臓が潰れていれば左手を再生することが出来なくなるなど、身体の機能に大きな障害が出る。数千年前に限りなく永遠に近い生命を得るべく、「魔力と知性」を残した肉体と「若さと力」を持った肉体の2つに自らを分離させた。魔力と知性を残した肉体をベースとして、皆既日食が来る度に「若さと力」を持った肉体に「凍れる時間の秘法」をかけ続け、全盛期の肉体を封印しそれを側近のミストバーンとして管理させていた。
当初は決してその姿を見せず、時折カーテン越しに影を晒すだけで、謎の存在のような雰囲気があった。彼が真の姿を初めて読者に披露したのは、ハドラーの超魔生物改造後に謁見をした時であり、ハドラーもバーンの姿を見るのはこの時が初めてだった。そしてその後、彼が再びカーテンの陰に姿を隠すことはなく、ダイ達一行の前に自ら姿を現した時にも最初から素顔を見せていた。
外見は長い顎髭を生やした白髪の老人だが、その身に膨大過ぎる程の魔力を持つ。その呪文の威力は、最下級火炎呪文のメラであってもポップのメラゾーマをも凌ぐ破壊力を見せる。また、その膨大な魔法力のために魔法力の増幅をする必要がなく、即座に呪文を放てるため、これにより2つの技を同時に出すこともできる。これはゲームでいう「1ターンに2回連続攻撃」を漫画として表現したもの。
ただし、若さと力を封印している関係上、身体能力は全盛期よりも著しく低下しており、本人もそれを自覚しているため、魔界の名工であったロン=ベルクに「光魔の杖」という護身用の武器を作らせて所持している。それでも他の戦士たちと比べれば桁違いの強さではあり、ヒュンケルのブラッディースクライドを片手で受け止めたり、超魔生物化したハドラーや双竜紋のダイと鍔迫り合いできるくらいのパワーは有している。相手がよほどの強者でない限り、ほとんどは暗黒闘気と圧倒的な呪文による攻撃だけで勝負が付いてしまうため、光魔の杖を実際に使用する機会は少ない。
この姿でもダイ一行との初戦では彼らを圧倒し、完膚なきまでの敗北に追いやった。しかし最終決戦時には双竜紋を得たダイとの戦いで老人の姿では勝てないと悟り、封印していた全盛時の肉体と合体、真・大魔王バーンとして分離する前の状態に戻る。
アニメ版ではその姿が晒される以前の打ち切りのため、影と声のみの登場であった。
〔技〕 超圧縮した暗黒闘気、カイザーフェニックス、カラミティウォール(光魔の杖が必要)、凍れる時間の秘法。その他マホカンタ等の防御呪文やメラ、イオラ等の下級呪文、ベホマ等の回復呪文も操れる。ミストバーンに預けていた全盛期時代の肉体と合体した真なる姿。老バーンの膨大な魔力と知性に若々しい強靭な魔族の肉体が合わさって比類なき実力を誇る。この姿では最大3つの技を同時に出すこと(ゲームの「1ターンに3回連続行動」を表現)ができるため、奥義「天地魔闘の構え」が使える。額の「鬼眼」から発した光線の力により、自身と一定以上の実力差がついた時点で相手を「瞳」と呼ばれる宝玉にして内部に閉じ込めることができる。バーンの下に辿り付いたダイの仲間のうち、ダイ、ポップ、アバン、ヒム、ラーハルト以外は戦わずして皆この状態にされ、その後ダイとポップ以外の残りの仲間もダメージを受けて瞳にされていった。
弱点はほぼないと言っても過言ではないが、敢えて挙げるならば「天地魔闘の構え」の三段行動の直後に体が硬直し、数秒間ながら身動きが取れなくなることである。全ての敵を一撃で葬ってきたバーンは、この弱点に気付いていなかった(後述)。
老人時は長いローブを羽織っていたが、この姿では袖の無い軽装を身に纏っている。シリーズ中でも屈指の美形として描かれており、魔族では珍しく人間と同じ肌の色をしている[2]。レオナの気丈さに惚れ込んで手元に置こうとしたが彼女に受け入れられることはなく、逆に肉体を傷つけられるという屈辱を味わっている。
全盛期の肉体を再び使用した際には、精神面にも変化が現れた。激高して声を荒げたり、相手の挑発に乗せられ不覚を取るなど、常に冷静沈着だった老人時と比べて感情的になりやすくなり、人間の若者でいう「血気にはやる」面が見られた。また、敵に対しても敬意を表したり評価したりする度量の広い発言もほとんどなくなり、逆に相手を見下したり嘲笑するような言動が多くなった。このような点から、己自身の強さ(特に天地魔闘の構え)に絶対的な自信を持つあまり、いささかながら力に溺れ思慮に欠ける傾向が見られた。
〔技〕 老バーンの使える技全て、フェニックスウィング、カラミティエンド、天地魔闘の構え「鬼眼」の力を全解放し肉体に上乗せした魔獣の形態。元の10倍近い巨大な姿であり、頭部に本体、腹部に巨大な鬼眼を持つ。かつての魔王軍の拠点であった動く城「鬼岩城」はバーンが自分のこの姿をイメージして建造させたものだという。この姿になると二度と元には戻れないため、ダイとの戦いまで一度も使わなかったが、全てを捨て自分を倒すためだけに竜魔人となったダイを倒すべく、バーンも魔族の姿を捨ててこの姿になった。
この形態になってからは魔法やカラミティエンドなどの技は使わず、殴る蹴る爪で突くなど単純な攻撃のみになったが、その力は竜魔人となったダイをも圧倒し、ドルオーラすら通用しないほどの強靭さを誇った。魔力の源である腹部の鬼眼が弱点であるようだが、攻撃が近づくと硬質の目蓋で覆ってしまうため、真魔剛竜剣による渾身の一撃も不発となる。しかし、変身前に胸に刺されたダイの剣をそのままにしていたことが災いし、そこを始点としてダイに真っ二つに切り裂かれて石化・爆散するという壮絶な最期を迎える。本体の上半身のみが石化した状態[3]で残り、太陽を背に宇宙空間に消えていった。
ここでは作中で使われた術だけを記述する。
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