登録日:2017/11/11 (曜日) 22:50:00
更新日:2024/02/15 Thu 13:47:12NEW!
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湘南爆走族とは、1980年代の神奈川県湘南地域を舞台とし、主人公の江口洋助をはじめとする暴走族「湘南爆走族」メンバー五人を中心として、彼らの日常をベースとした物語を描いた漫画。
作者は吉田聡。
1982年3月、少年画報社の『少年KING』3号で読み切りとして登場し、同年12月には正式に連載が開始。1987年まで連載された。単行本は全16巻。
喧嘩やバイクバトルなどの描写、グループ間の抗争などシリアスなストーリーも見られるが、部活動や学園の様々な行事で描かれる学園ドラマ、一話完結の突拍子のない設定のギャグなど、様々な要素が詰め込まれており、どちらかといえば青春群像劇に近い。
ヤンキー・暴走族・走り屋としての不良を題材とした漫画では初期の作品ながら、同時代の青春を過ごさなくても、オートバイに乗らなかった人間でも共感できる作品であり、今でもコンビニコミックなどで再録されているあたり、その人気が伺える。
1986年にはOVAという形でアニメ化、1987年には実写映画化され、1997年にはOVAで再度実写化、2006年にはパチンコ、パチスロとなるなど、完結後も様々なメディア展開を続けていった。
2014年からは講談社より完全版が全14巻で発行。
- 当時の単行本では見にくくなってしまった当時のカラー絵を完全再現
- 連載当時の全エピソードを連載順に並べており、番外編や連載終了後に描かれたエピソードもそれぞれにまとめて掲載
- 見返し部分には登場人物やメカの設定資料が掲載
とまさに豪華仕様。今では絶版となってしまっている。
電子書籍も出回るようになったので、興味はあるけど単行本がないという方はそちらをお勧めする。
【主な登場人物】
湘南爆走族
◆江口 洋助
本作の主人公で、湘南爆走族二代目リーダー。手芸の腕はプロ級で、波打際高校第25代目総番にして、第25代目手芸部部長でもある。通称「手芸のえっちゃん」。紫色のリーゼントパーマ(通称スーパーリーゼント)が特徴。
バイクのテクニックは常軌を逸しており、バイクテクニックについては座席シートの上に逆さになって見せるという曲芸じみた乗り方までしてみせる。喧嘩の強さも相当なもので、その強さは湘南以外の地域でも「紫トサカ(リーゼント)の滅茶苦茶強い男」としてその名は知れ渡っている。
中学時代は不良とは縁遠い普通の学生であったが、手芸店へ買い物に行く際に見せた彼の曲芸師のような自転車の運転技術が後継者を探していた湘南爆走族初代リーダー桃山マコの目に留まり、彼女のお願いで二代目リーダーを襲名することになる。
成績については、中学時代は「中の上」だったが、高校では「10段階中4が二つあれば良い方」と大きく落としてしまった。字も下手で、手芸部に入部する際に書いた入部届の名前を、先代の部長に「ミエロシ ヒツジスケ」(ミエロシ羊助→江口洋助)と読まれている。
愛車はスズキGS400改。タンクのファイヤーパターンと白いシートが大きな特徴。日常ではスクーター(パッソル)にも乗る。GS400はフレームからジャンクパーツを集めて組み立てており、その経緯からかバイクの造詣にも詳しく、メンバーのバイクの調子が悪い時は彼が面倒を見ている。
波高の総番であり問題児ではあるが、他者に何も見返りを求めず、悪名を望まないので弱者を傷つけることもなく、波高の生徒からはむしろ慕われている。(向田先生曰く「(慕う生徒は)問題児ばかり」とも言われるが)
女性からの人気は高く、文化祭では彼を尋ねて他校からの女生徒が訪れていた。一方の本人は女には奥手で、他の女の子への断りの言葉を伝えようとして、うまく伝えられない不器用な面を見せた。後述する手芸部で知り合った津山との関係についても同じことが言えるのだが、それは後述する。
ファンブックの作者インタビューで、主人公の江口が手芸を趣味とさせたのは、バイクや喧嘩とは別の、もうひとつの居場所を作らせたかった為だということが語られている。
◆石川 晃
二代目湘南爆走族親衛隊長。太い眉毛に3色メッシュの入ったリーゼントが特徴。通称「弾丸小僧」。実家は八百屋で、父親は元ヤクザ。母と妹がおり、こちらも眉毛が太い。仲間からは「アキラ」と呼ばれている。
元・赤潮中学の番格。血の気が多く短気な性格で、中学時代は力のぶつけどころが分からず、誰彼構わず暴力を振るって孤立。家族を泣かせてばかりで友達も居らず、年上の不良と付き合いがあるのみだった。
波打際高校に入学後、一匹狼である彼が唯一憧れ、参加を夢見ていた初代湘爆が解散し、無名の江口が二代目を継いだ事に納得がいかず、(一方的に)リーダーおよび波高番格の座を賭けてタイマンを挑むが、実力だけでなく不良としての在り方でも敗北。江口の器の大きさに惚れ込み、二代目湘南爆走族に参加。
その後は自分を変えようと努力し、以前のように見境無く暴力を振るう事も無くなり、家族との仲も良好となっている。
だが、決してその顔が消えたわけではなく、喧嘩の際にはその頃の顔を覗かせることもある。江口洋助と石川晃の関係は「光と影」に例えられる。
愛車はホンダCB400T改。ライト周りの風防、ハンドルのアップ絞り、白の三段シートといろいろ手を加えている。暴走族で連想される「パラリラ」という音を出すための三連ホーンも後ろに装着しており、チームの走りで露払いの役割も担っている。
そんな彼の趣味は人生ゲームで、仲間で集まるたびにゲームに興じているが、周りが飽きる中で一向に飽きが来ていない模様。機械音痴らしく、家電品を触るとなぜか壊してしまう。中学時代の寂しさを紛らわすためにギターを覚えてかなりの腕になっていたが、高校に入ってからはめっきり腕が落ちてしまった。
◆丸川 角児
湘南爆走族特攻隊長。モヒカン頭とキャッツアイのサングラスが特徴。通称「踊るケンカ屋」。団地住まいで、劇中では母親に弟と妹が登場。仲間からは「マル」と呼ばれている。
元・師用中学の番格。普段はひょうきんな性格で、中学時代の後輩や友人からの信頼も厚い。下級生女子などから人気はあり、作中では毎年正月には特定の女の子から年賀状をもらっていることも明らかになっている。反面、本気になろうとした女関係では良い目にあったことがなく、何度か女の子を紹介してもらっては上手くいっていない。
愛車はカワサキKH400改。ロケットカウルと呼ばれる車体前面を覆う風防が大きな特徴で、他にも三段シートを取り付けていたり、カウル、タンク、サイドカバー、フェンダーをアイボリーホワイトに塗装していたりと、石川以上に大きく手が加えられている。
モヒカン頭は初代特攻隊長譲りだが、これは喧嘩するのなら俺から狙えという、特攻隊長としての決意表明であり、ヘルメットまでもモヒカン仕様である。
ケンカの腕も相当だが、事故で大怪我を負った状態でなお立ち上がり、友人のために数十人相手に一人で立ち向かおうとするなど、その闘志は相当なもの。また、先に述べた中学時代の後輩からは卒業後も様々な情報を仕入れることもある。
よく音楽をイヤホンやヘッドホンを通して聴いており、通称の由来ともなっている。また、考え事をすると口から飲んでいたものを戻す癖がある。
◆原沢 良美
湘南爆走族リーダー補佐(兼旗持ち)。アフロリーゼント、口髭、体格の大きさ(原作の設定では182cm)が特徴。通称「怒涛の怪腕」、仲間からの呼び名は「ハラサー」。
元・近遠中学の番格。メンバーの中で最もオッサン臭く、あるエピソードでは桜井の父親と間違われたことも。江口と初対面時に喧嘩を売るが、蹴りの一撃で倒される。江口と石川のタイマン後、誰よりも早く江口に頭を下げて二代目湘爆に参加した。
実家は工務店で、時々家の手伝いで現場に出ている。父親にはなんだかんだで頭が上がらない。
父親がうるさいため免許は持たず、いつも桜井のバイクに二人乗りし、旗持ちをしている。一度手芸部の女子と一緒に免許を取ろうとしたこともあるが、江口が面白半分で暴れた挙句派手に事故ったことで立ち消えになった。四輪免許はチーム内最速で取得し、卒業式には車(日産ローレル)で乗り付ける。
女子に関しては硬派な考え方だが、一度渚という女子と良い仲となる。彼女とは引っ越しで離れてしまいその後の経過は描かれていないが、愛用している褌には「渚命」とでかでかと書かれていたりする。
◆桜井 信二
湘南爆走族・その他。角刈り頭とサングラス、防塵マスクが特徴。普段は全く表情がわからない扮装をしているが、素顔は糸目で温厚そうな顔をしている。元・近遠中学の番格で、原沢とは中学以来の付き合い。仲間からは「サクライ」と呼ばれている。
実家は「相模新聞」の東海岸販売所で、時折家の手伝いで集金や営業を行っている。
メンバー5人の中で唯一肩書きや通称を持たないが、本人いわくチームの隠し味で、結構味のあるエピソードが多い。
愛車はスズキGT380。フロントブレーキがディスクブレーキに換装されている以外はほとんどノーマル。江口たちのマシンと比べて型が古いものを中古で購入したためか、終盤で完全にエンジンが壊れてしまい、何とか直そうと江口たちが奮闘するエピソードもある。
原沢といい勝負の硬派で女性慣れしておらず、丸川とナンパに興じた際には大声と切羽詰ったような顔で迫るという、不審者そのものの行動に出てしまった。一方で、手芸部の後輩や同級生の飯村、原作終了後も続きが描かれた「ひまわりの君」のエピソードなど、女の子関係で良いエピソードが多い。
波打際高校手芸部
◆津山 よし子
波打際高校手芸部副部長。黒ぶちメガネと、薄いブラウンの髪が特徴。
真面目な性格で手芸部後輩部員からの信頼も厚いしっかり者。部長でありながらサボりがちな江口を常にサポート、時には引っ張っていく「影の部長」で、彼女には江口も頭が上がらない。
彼女と江口とのエピソードもこの作品の主軸の一つ。お互いに意識しあう、友達以上恋人未満の微妙な関係であったが、卒業目前にして淡い恋を実らせた。
◆三好 民子
波打際高校手芸部会計。ウェーブのかかった黒髪が特徴。通称「タミー」だが石川は「民さん」と呼ぶ。
手芸部では、少ない運営費の中、部を切り盛りしている凄腕会計。積極的な性格で、喧嘩している石川を止めようとすることも度々ある。授業中はよく寝ており、中学時代は「眠り姫」というあだ名もあったほど。
石川とは高校で顔を合わせてから互いに意識しあっており、紆余曲折の末に付き合うことになる。卒業後も付き合いは続けていく模様。
一方、石川と付き合っているにも関わらず、1ヶ月の間に束になるほどラブレターをもらうなど、作中きってのモテキャラでもある。
◆嶋田 こずえ
手芸部部員。学年は江口らの一つ下。韮崎(渾名・スジエモン)と言う彼氏がいる。つぶらな瞳が特徴。
湘爆メンバーだろうと遠慮なしに話しかけており、後半は石川に「江口さんにそっくり」と称された。江口の後任として、波打際高校第26代手芸部部長に就任する。
◆大久保 春子
手芸部部員で、嶋田の同級生。食い意地が張っている為か、かなり太ましい体型をしている。ギャグパートではその体型から繰り出されるパワーで活躍する。
波打際高校関係者
◆向田 正平
波打際高校の教師で生活指導主任。通称「ムキタ」。角眼鏡と太い体格が特徴。
江口他湘爆メンバーを校則違反で追いかけることが絶えない。一度江口を退学にさせようと激闘を繰り広げたが、津山のフライングチョップと江口の頭を後頭部に続けざまに受けて記憶が飛び、有耶無耶になった。それ以降は(描かれる限りでは)現行犯でお仕置きをするくらいになったが、そのきついお仕置きから江口たちからは恐れられている。
◆徳竹 俊二
波打際高校の教師。中肉中背で眼鏡をかけている。真面目な性格であり、江口が苦手。
イベントに熱くなりやすい性格なのか、体育祭ではどこのテレビ番組だと言わんばかりのテンションで開催宣言を行い、避難訓練では生徒そっちのけで熱くなっていた。
◆白鳥先生
波打際高校の教師にして手芸部顧問。歌舞伎の連獅子のような風貌をしている。
名目上の顧問なのか部に顔を出すことは少ないが、文化祭準備に差し入れを持って来たりと生徒たちを優しく見守っており、江口についても人をまとめる手腕を高く評価している。
風貌についてはメイクであり、メイクをとった素顔もある回で拝む事ができる。
◆大仏 (おさらぎ)
顔が大仏そっくりの体育会系教師。
かなりの武闘派らしく、卒業直後のお礼参り返り討ちの連勝記録を作っている猛者。
体育祭の棒倒しでケガ人続出した際には焦るどころか自らも参戦しようとするが、完全に火が付いた江口によって蹴り飛ばされた。
◆小泉 洋市
波打際高校生徒会長。マイクを持つと小指を立てる癖がある。
体育祭の棒倒しで男子総出の喧嘩祭りになっている時に一人熱い実況をしていたが、大仏に強制的に参加させられ悲惨な目に遭う。また、部の予算会議で江口と向き合う羽目になったり、卒業式の答辞の最中に石川にイタズラされたりと、酷い目にあうことが多い。
◆飯村 冴子
江口と同じクラスの少女。学級委員長。江口に恋心を抱き三年間過ごすも、津山に遠慮し傍観することしかできず、修学旅行時に一緒に外出しようと誘ったのが、唯一の精一杯だった。
3年時に江口に告白しようと決心し、桜井に相談するも結局何も出来ずに終わる。最後は桜井のバイクに載せて貰う中、泣きながら江口への想いの3年間に別れを告げる。
湘南爆走族OB・OG
◆茂岡 義重
湘南爆走族OB。初代湘爆親衛隊長であり、元波打際高校総番。現在はラーメン屋「じえんとる麺」の店主となっている。通称シゲさん。
現・湘南爆走族メンバーの溜まり場がじえんとる麺になっているせいか、最も登場頻度が高いOB。メンバーの悪乗りに巻き込まれることも多い。本人が全く知らない所で、店が周辺の不良達の聖地のようになってしまっていて、この店でラーメンを食べることが一種のステイタスとなっている。
喧嘩でもバイクテクでも負けたことがなく、何においても無敵を誇っていたが、初代リーダーのマコとのバイク対決で敗北を喫し、初めて相手を認める。後にマコと結婚した。
◆桃山 マコ
湘南爆走族初代リーダー。抜群のライダーテクニックを持ち「バイクに乗らせりゃ関東一」とは、江口以前は彼女の代名詞であった。茂岡の作ったチームに自らリーダー希望で勝負を挑み、自信があった茂岡をいとも簡単にブッチぎって湘爆初代リーダーを襲名。
引退後は東京の短大を卒業し、OLをしていた。その後湘南に戻り茂岡と結婚。
地獄の軍団
◆権田 二毛作
湘南の第二勢力である地獄の軍団で二代目総長を務める。園都成(そのとなり)高校生徒会長兼ボクシング部の主将でもある。岸本葵という同じ高校の女生徒と付き合っている。
高校1年で総長に就任して以来、海岸線にその名を轟かすほどのツッパリとなったが、バイトが趣味と意外な一面もあり、彼の青春はタイムカードで刻まれているともっぱらの噂。実際、夏休みの殆どをバイトに明け暮れ、夏休み明けに遊ばなかったことを後悔しているシーンもある。
江口と出くわすといつも喧嘩になるが、お互いに一目置いている良きライバル関係である。普段の江口とのサシの勝負は連戦連敗で、初期は湘爆を策略で陥れようとしたりするなど小物臭が漂っていたが、チームの面子をかけて一度だけ本気で戦ったタイマンでは、両者ボロボロになってなお決着がつかなかった。
愛車はヤマハRZ350(初期型)だったが、江口とのタイマンレースで大破・全損し、必死になって稼いだバイト料でカワサキGPz400に買い換える。
◆瀬島 渉
地獄の軍団・副総長。常に「呪」と書かれたマスクをかけている。園都成高校の生徒では無いが、常に園都成高に来ていて権田の身の回りの世話をしている。総長の権田がワンマンであるため、理不尽な命令が多く苦労が絶えない。
横須賀ハッスルジェット
◆真紫 準
走り屋チーム「ハッスルジェット」のリーダーで、学年は江口らの一つ上。工員生活をしながら夜学に通っていた。バイクの腕前では江口と肩を並べている。愛車はカワサキ750RS(通称Z-II)。
江口と同タイプの人間であることから一目で意気投合するも、地獄の軍団の仕掛けた陰謀で一度は湘爆と敵対関係に入る。しかし権田の謝罪を受け誤解は解けるものの、江口から「けじめ」として横浜港まで街道レースを行うことを提案され、レースを通じて江口、権田と友情を分かち合った後、アメリカに旅立つ。
その後、時系列は不明だが、大型トラックに乗ってアメリカを旅しているシーンが描かれている。
◆雅 ヨーコ
ハッスルジェットレディスのリーダーで真紫の恋人。学年は不明だが定時制の高校に通っている。自身もカワサキZ400FXを乗りこなす。
夢を追いアメリカへ旅立つ真紫の帰りを待つ一方で、手紙で近況のやり取りを行っている。
後述するブラディヒールとの抗争でも登場し、ハッスルジェットのメンバーと共に喧嘩を止めるために現れた。
武羅帝卑異流(ブラディヒール)
◆南雲 光男
ブラディヒール元総長。横須賀のハッスルジェットとは、好敵手であり友好チームで、リーダー同士も重視するモノ、追い求めるモノは違うが親友同士であった。
「マシン」を重視していてサーキットのレースにも興味を持っていたが、バイクレースの全日本選手権ノービス級に出場した際に雨によるクラッシュにより両足を負傷し、チームから姿を消す。
◆立花紅子
ブラディヒール総長。先代の総長がレース事故をきっかけとして失踪して以来、彼の復帰を願うためにチームの存続を望み、南部連合の夢を追うようになる。その中でチームが暴力主体のチームに変貌してしまうが、自身は恋人との思い出と酒に溺れていくようになってしまった。
しかし、彼女を訪ねてきた雅の一喝から自分の器を超えたチームの現状を目の当たりにして、湘爆との抗争中にチームの解散を宣言。今まで血を流させてきたチームに涙ながらに謝罪した。
◆火影彫二
ブラディヒール副長であり、ブラディヒールの実質的な指揮官。ボサボサでありながら逆立った髪と、痩せこけた頬が特徴的。
彼もまたチームの存続を望むが、その方法として前総長が掲げていた夢である「南部連合」の名目で、湘南中のチームを潰しながらチームを維持させる道を選び、ブラディヒールを走り屋チームから武闘派チームに変えていく。
その方法で次々と湘南のチームを潰していくが、最終的に湘爆との戦いで江口とのタイマンに敗れ、その戦いを最後にチームも解散となってしまう。彼のとったチーム存続の手段やセリフの数々から冷酷な野心家としての印象が強いが、最後のセリフのシーンで見せた険のとれた表情から、彼もまたチーム存続の情念で動かされていたのかもしれない。
◆財津愛
火影の腹心であり、武闘派となったブラディヒールの実質No.2のような存在。通称「韋駄天」で、自身の特攻服には「韋駄天愛」の文字が入っている。
湘爆の丸川とは中学時代の同級生で、当時はいじめられていたところを当時番格であった丸川に助けられていた。のちに転校するもそこでブラディヒールに入り、火影にバイクの才能を見出される。
横浜から湘南へ進出する際に丸川に警告に現れ、その後は湘南の暴走族と戦い続け、湘爆戦では先鋒隊として立ちはだかる。江口とはバイク勝負でタイマンを張るが完敗、その後はブラディヒールの戦いが終わったことを告げに現れる。ブラディヒールの火影に見いだされた恩義から、最後まで火影を裏切るまいとしていた。
その他
◆桃山 勘吉
神奈川県警第803交通機動隊に所属する警官。暴走族が大嫌い。
初期は片腕が鉄製だったりロケットパンチを放ったりとほとんどサイボーグだったが、途中からマトモな人間になっている。通称「モモカン」「鬼の桃山」。
湘爆の初代リーダーであるマコの父親。マコを引退させるため、泣く泣く江口の2代目襲名の後見人になった。かといって江口たちの取締りを緩めるはずもなく、江口たちからも恐れられている。
◆江口 啓助
江口洋助の兄。ごく普通のサラリーマンだが喧嘩が強く、劇中でほぼ負けなしの江口洋助も兄との喧嘩ではいつも泣かされている。江口の家のパートで時々登場しているが、弟のバイクのガソリンを勝手に抜いたり、まんじゅうを弟の分も食べたりと、微笑ましくも割と横暴。
用語
▼湘南爆走族
正式名称「PURPLE HIGHWAY OF ANGELS 湘南爆走族」。通称「湘爆」。
茂岡義重らが中心になり結成したグループで、初代リーダーは桃山マコ。初代の構成メンバーは23人で、湘南近辺で一目置かれ、他の暴走族から入団を誘われても無視する程の猛者達や、横浜で小規模ながら気合の入った走りをしていた暴走族『無明』のメンバー達が、茂岡の顔と桃山マコの魅力の下に湘爆を結成。
結成当時の時代背景として、単車チームは暴力全盛を極めていたが、喧嘩で名を上げた猛者達が女リーダーの下「走り専門」の看板を掲げるというかなり異色の存在であった。
二代目の構成メンバーは5人と少ないが、江口洋助に心酔した湘南地区の中学校の元番格達という精鋭揃いで、湘南で第1勢力を誇っている。
『湘爆だー! 当たると痛ぇぞー!!』というセリフと、同じコマ内に大きく強調される一つ星が象徴的で、初代から二代目にかけて作中で幾度となく使用されている。走りがメインのチームで自分達から喧嘩を売ることはほとんど無いが、いざ勝負事になったらバイクでも喧嘩でも負けることはないという、シンプルながら絶対の自信を表した一言である。
二代目メンバーが丸々所属する波打際高校では問題児集団として先生から睨まれているが、一般生徒に暴力を振るうことは(あまり)ないために、一般生徒たちからはそこまで恐れられていない。リーダーの江口が所属している手芸部の女子たちに至っては対等どころか、結構ぞんざいに扱われている。同校のツッパリ男子達からも「波高出身」というだけで威張れるのもあって慕われるが、彼らが悪ノリで暴れだしたときは真っ先にターゲットとなるため、恐れられてもいる。
最終回にシルエットだけだが、三代目リーダーらしき人物が登場しているが、構成メンバーなどは不明。
▼地獄の軍団
前身は「地獄の番人」。暴力全盛の時代に暴力でのし上がって来たケンカチームの名門中の名門であり、湘南の第2勢力。単射の数で70台以上、メンバーが80人以上の大所帯のチーム。
湘爆結成式での妨害に失敗以来第2勢力に甘んじている。結成当初から目の上のタンコブである大の赤星(湘爆)嫌いである。権田がバイトに精を出しているせいか、他のメンバーもバイトに精を出しており、いざとなれば当時高価だったビデオカメラを購入できるほどリッチなチームでもある。
▼ハッスルジェット
横須賀の暴走族。真紫準によって結成され、そのリーダーシップによって急成長を遂げたチーム。二輪170台、四輪30台の大所帯で、地獄の軍団も一目を置いていた。
総長の真紫がアメリカに旅立ったことで解散。チーム内にレディースも存在し、そちらは総長と恋仲の雅ヨーコが頭を張っていた。
▼武羅帝卑異流(ブラディヒール)
横浜の暴走族。南雲光男総長の時代は、お互い走りを看板にした横須賀のハッスルジェットとは、好敵手であり友好チーム。
全日本選手権ノービス級に出場しクラッシュをした南雲はチームから姿を消し、残された恋仲の立花紅子が後を継ぐが、南雲の復帰を夢見た彼女は、彼の夢であった理想郷「南部連合」設立を目指し、副総長である火影彫二の暴走により「ケンカチーム」と変貌を遂げてしまう。喧嘩では手段を選ばぬ残虐な姿勢と人海戦術で湘南の暴走族を次々と潰し、遂には地獄の軍団までも手にかけて湘南の統一=南部連合結成まであと一歩と迫ったが、湘爆に叩きのめされ解散した。
▼壱軸冠蝶(いちじくかんちょう)
作中後期に度々登場する湘南の暴走族。初代湘爆が解散しメンバーが江口が一人になった時に襲撃したり、権田のボクサー復帰の際に殴り込みをかけたりと、汚い手を使いながらも、湘南のチームでは、湘爆や地獄に本気で攻撃をしかけているのはこのチームのみである。
権田二毛作が事故を起こして入院した時、「壱軸新聞」なるものを作って町中に貼って回り、権田が入院したことを広めたりするなど、同じケンカチームゆえか湘爆よりも地獄を狙っている様な描写も見受けられる。
余談
◎吉田氏のヒット作であるこの作品、作者自身のその後の作品にもいろいろ関わっている。
- スピンオフ作品として、江口達と同じ時期に高校生だった5人組の活動を描いた『湘南グラフィティ』が、1988~1989年にヤングキングで連載された。
- 1995年からヤングキングで連載された『荒くれknight』は、この作品のセルフオマージュとしての趣が強い。
- 2017年からビッグコミックで連載されている『そのたくさんが愛のなか。』は、38年後の湘南が舞台。権田がレギュラーとして登場するほか、番外編では湘爆メンバーのその後が描かれた。
◎ファンブックの作者インタビューでは「湘爆メンバーのマシンはあえて400ccで固めている」との事。当時の時代背景として、バイクの中型免許(~400cc)が浸透したこと、大型二輪免許の取得は今と違って一発受験によるもので、合格率も数%とかなり非現実的だったことが理由として挙がっている。
◎不良マンガに多大な影響を与えたことは先述のとおりだが、意外なところではプリキュアに影響を与えていたりもする。具体的には第4作目のYes!プリキュア5。プロデューサーの鷲尾天は理想の五人組として湘爆メンバーを挙げており、プリキュア5人のチームを構想するにあたってもっとも参考にしたことを、プリキュア5のファンブック内で語っている。
追記、修正は、紫色の景色を見てからお願いします。
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▷ コメント欄
- マジックリンとかサンポールとか後一つ度々出てくるチームがあったよな -- 名無しさん (2017-11-11 23:20:22)
- ↑ 非故烈斗(ピコレット)だっけ? 初期によく出てきた連中。 -- 名無しさん (2017-11-12 02:03:44)
- 何気にプリキュアに影響を与えているという。 -- 名無しさん (2017-11-12 10:55:51)
- ↑マジですか!? それは知らなかったwww -- 作成者 (2017-11-12 11:47:52)
- C三さんもおねしゃす -- 名無しさん (2021-09-29 00:14:35)
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