MiG-15

ページ名:MiG-15

登録日:2014/10/01 (水) 18:52:00
更新日:2023/12/21 Thu 11:07:09NEW!
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ソ連 航空機 戦闘機 赤いアニヲタwiki 名機 朝鮮戦争 兵器 軍事 迎撃機 みっぐみぐにしてあげる 初陣以降は幸薄 後退翼 みっぐみぐにしてあげる←ただし朝鮮戦争に限る mig-15



MiG-15は、ソビエト連邦軍が運用した実用型第一世代ジェット戦闘機である。設計・開発は型番の通りミグ設計局。
NATOコードは「ファゴット」。



性能諸元(Mig-15bis)

機体重量(自重/全備):3,680kg/6,050kg
最大速度:1,076km/h(海面高度)
実用上昇限度:15,500m
航続距離:1,200km
エンジン:クリモフ設計局 VK-1ターボジェット1基
推力:2,700kg
武装:37mm機関砲1門、23mm機関砲2門、翼下に爆装最大500kg
乗員数/機体初飛行:1名(単座)、2名(複座)/1947年



開発経緯

本機より先に開発されたソ連初の実用型ジェット戦闘機であるところのMiG-9は、ドイツからの接収技術のろくな解析や練り込みが進まない中開発されたためにあまり性能がよろしくなく、
より高推力のエンジンを搭載した高速戦闘機の開発は急務とされた。
そもそも、ドイツのジェットエンジンはカタログスペックだけならぶっちぎりで当時最高だったのだが、それだけにソ連からすればあまりにも技術レベルが高すぎ、
そのくせ末期の物は品質が死亡認定(末期の日本よかだいぶマシではあったか?)のため、該当分野最後発のソ連からすれば参考にしづらかったのだ。
そんなこんなで、技術力・工業力ともに仮想敵国である英米に劣るソ連では、独力で強力なエンジンを作るといっても限界があった。
雛形、パクり元、オリジナル。言い方は何でもいいが、とにかくベースモデルがないことには研究も進まないのでは、ということになってしまう。


そこでソ連がどんな手を使ったかというと……メシの山で英国紳士をぶん殴った
政権与党が比較的ソ連に好意的な労働党とはいえ、技術流出を懸念しなかなか首を縦に振らないイギリスだったが、ソ連の提示した食料輸出にくやビク状態で了承。
ソ連はまんまとロールス・ロイスの開発した当時最高クラスのジェットエンジン「ニーン」と「ダーウェント」の入手に成功、
早速両方ともにドイツ人技術者の主導でリバースエンジニアリング&国情に沿った発展改良が行われる。
無論イギリスとて絶対に餌釣りに負けない!しつつエンジンの技術全てを渡したわけではなく、肝心要の金属材料は明かさなかったためモンキーモデルでとどまる筈だった。
が、ロールス・ロイスの工場を見学時、“特別製”の靴で床の金属屑を回収するなどの一部セコい涙ぐましい努力の果て、
ついに指導部の待ち望んだ高推力エンジンが誕生した。ソ連を世界最強の空軍国家の一角にしてしまった大戦犯イギリス誕生の瞬間である


新型機開発計画においてミグ設計局が選択したのは、ニーンの複製型のRD-45(後に量産向けに改良されVK-1)。
計画当初から性能で勝る(と想定された)英米の戦闘機を邀撃するためだけに絞り込んだ設計のもと、機体は出来る限り徹底的に軽量化され、高い機動力と運動性を発揮せしめることに成功する。
飛行テストで優れた性能を示したためにそのまま生産が決定され、1949年には主力戦闘機の生産を本機に一本化するという指示が下された。


特徴

第二次大戦のエンジンがだめだめだった頃の「機体の軽量化、洗練化でエンジン性能の低さを補う」手法を生かした設計になっている。
もちろんドイツから接収した先進技術を惜しげもなく注ぎ込んでおり、後退翼による優れた空力特性と高推力エンジンによる高い機動性が自慢。
形状的な特徴としては、あまり例を見ないT字尾翼を採用している。
機体軽量化のために武装は極力絞り込まれており、対戦闘機用の23mm機関砲2門と対大型機用の37mm機関砲1門のみ。
それも合計して200発しか搭載しておらず、速力を活かした一撃離脱タイプの機体といえるだろう。
また、当時の実用型ジェット機の大半は直線翼であり、空力特性で絶対的に優越な本機に勝る機体は西側には存在しなかった。
まぁ、さすがに防御性能や総合火力で勝る機体はあったが、航空機の要といえること機動性に関しては本機が当時最強だったのは疑いないだろう。


ただ黎明期故に、高速機動や高高度飛行中に突如スピン状態に陥るという、ガチでシャレにならない欠陥を内包しているが、速度計とエアブレーキの連動でマッハ0.92を超えられないようにして対処している。
それ以外にも大小様々な欠点を抱え込んでいたが、何だかんだでこれを上回る機体の早期開発は不可能であろうということ、
また英米の主力戦闘機にも十分対抗可能であろうという点が評価され、本国のみで約11,000機が生産されている。
その欠陥も改良で徐々に潰されており、最多量産タイプのMiG-15bisともなると、当時の大抵のジェット戦闘機を凌駕する性能を発揮できるほどになった。
大量生産され、なおかつ性能面でも程良かったことから、衛星国や友好国に多数が供与されており、練習機としてではあるが2004年まで運用していた国すらある。
ライセンス生産品も加えた生産数は17,412機にもなり、言うまでもないだろうがジェット戦闘機としての生産数世界最多である。


ちなみに、世界初の音速超過飛行を経験したチャック・イェーガー曰く、「F-86とMiG-15が殴りあったら?そんなのパイロット次第だよ」とのこと。
実際、彼は模擬戦において鹵獲された本機でF-86をぶちのめし、機体を交換してF-86で本機をぶちのめしている。
とはいえ、これは総合性能で互角のF-86だからこそ。レシプロ機で相手しようとしても速度差で蹂躙されて終了である。
でもコルセアでこいつ落としちゃう人外が出てくるのから、人類はやはり侮れない。



戦歴

朝鮮戦争において、中国義勇軍に供与された機体が実戦投入されたのが公式的な初陣といえる。
国連軍が北朝鮮軍を蹂躙している間は、旧式機しか持たない北朝鮮側に対し絶対制空権を維持していた国連軍が圧倒的に優位にあった。
しかし、50年10月。中国義勇軍の参戦に伴いMiG-15が鴨緑江を越え、国連軍の航空部隊を襲い出したことで状況は一変する。


例えば、俺らのトラウマB-29といえば、冗談のような防御火力と高高度性能を併せ持った戦略爆撃機であるが、本機参戦までは昼間低高度爆撃で都市から軍から余さず消し飛ばしていた。
しかし、絶対的速度差のある本機に対しては自慢のFCSも通用せず、護衛ごと追い回されては叩き落とされ、何とか帰投できても修復不能で廃棄処分と、
それまでの神通力がまったく通じないところまで追い込まれ、年を越した頃には昼間任務から除外されてしまった。


護衛として北朝鮮空軍の数少ない旧式戦闘機をフルボッコしていた直線翼型ジェット機群も、本機の圧倒的な機動性能には抗しえず、逆に蹂躙される始末。
慌ててアメリカは実戦配備されだしたばかりのF-86を増加・投入、巻き返しを図る。
その後もお互い改良型を繰り出しては殴りあい、制空権は南北へめまぐるしく移動しまくった。


実戦投入時期や開発時期の類似性からよく比較される両者だが、総合的な性能はほぼ互角と言っていい。
火力面では邀撃に特化した本機の方が単発火力で勝るが、F-86は第二次大戦期からの伝統である12.7mm機銃の多銃型であり、面投射能力と命中精度で勝る。
最大速度はF-86がほんの少し上だが、全備重量で1.5倍近く差があるため上昇力と運動性能では圧倒的に本機に分があった。
装甲防御は言うまでもないが、本機も高い運動性で「当たらなければry」が可能なため、実質的には大した差はない。だいたい、どっちも当たれば墜ちる。


にも関わらず、キルレシオ(米軍調べ)では4:1で本機が圧倒的に不利。これには中国軍の技量の低さ、米軍の優秀なレーダー管制、F-86のレーダー照準器、
濃密な弾幕で「当たりゃいいんだよ、当たりゃ」が可能な攻撃特性が主な理由として挙げられる。稼働率?あーあー聞こえない。
実際、本家ソ連空軍の運用する本機は米軍ともしばしば互角に渡り合った。(バレると大惨事なんだから出張るのは)いかんでしょ。
……まぁ、それを指摘しちゃうと第三次世界大戦待ったなしなので、国連軍内部でも暗黙のうちにスルーされていたらしい。
「やけにロシア訛りのキツい中国人エースがいるなぁ」みたいなノリで、みんな誤魔化してたんだとか。


本機が西側諸国に与えた衝撃は大きなものだったはずなのだが、喉元すぎれば何とやらなのか、一過性で終わってしまう。
その後、戦闘機の汎用化と対地攻撃能力付与(という旨のミサイル万能論)を重視した米軍の戦闘機は大型化・重装化を繰り返し、ベトナム戦争で本機の後継機である軽量高機動型の
MiG-17やMiG-19、MiG-21との交戦で苦汁を舐めることとなってしまった。
まぁ、MiG系列も改良と世代推移で大型化していったんだがな!


なお、初陣以降はろくな戦場に恵まれず、出撃できても新鋭機にボコられるなど幸と影の薄い人生(?)であった模様。



バリエーション

○I-310
開発計画におけるナンバリングでありプロトタイプ。


○MiG-15
開発時機体名称。いわゆる初期生産型。


○MiG-15bis
機種内最多生産数を誇る改良正規生産型。エンジンをVK-1に換装して速度性能を高めたほか、諸々の欠陥を潰すことに主眼が置かれた。


○MiG-15P
bisの機首吸気口上部にレーダーを装備した全天候タイプ。


○MiG-15bisT
bisベースの標的曳航機。


○MiG-15UTI
機種転換・操縦訓練用の複座型高等練習機。全生産数の1/3を占める生産数を誇り、一部の国では少なくとも約10年前まで現役だった。
何故かNATOコードが新規登録されており、「ミジェット」という。


○MiG-15SP
UTIベースの全天候タイプ。レーダーはP型と同様。


○MiG-15T
UTIベースの標的曳航機。


○MiG-15R
23mm機関砲を撤去し、偵察用カメラ1基を組み込んだ偵察型。偵察能力は「ないよりマシ」レベル。


○MiG-15SB
両翼に爆弾架を装備した戦闘爆撃機型。元が邀撃機なので爆装能力は低く、後継機配備後の使い道として考案されたとかなんとか。


○S-102
チェコスロバキアでライセンス生産された機体で、仕様はMiG-15相当。


○S-103
bis相当のチェコ製ライセンス品。


○CS-102
UTI相当のry


○Lim-1
MiG-15相当のポーランド製ライセンス生産機。


○Lim-2
bis相当のポーランド製ry


○SBLim-2A/B
Lim-2ベースの複座型。


○SBLim-1
UTI相当のry


○J-2(殲撃二型)
中国に対し供与されたMiG-15。国内新規生産なし。


○JJ-2(殲教二型)
UTI相当の殲撃二型。ソ連から技師を招聘し、瀋陽飛機公司で生産された。



創作におけるMiG-15

フライトシムだとIl-2では初期仕様だと使用できないが、MODを導入することで使用可能になる。
MODとかマンドクセ、な人はWar Thunderをやるという手もあるので検討して、どうぞ。


筆者はシミュゲーにあまり詳しくないので、そっち方面わかる人がいたら追記オナシャス!



余談

「地球は青かった」の名言を残したユーリイ・ガガーリンは1968年に本機で墜落事故を起こし事故死している。
ガガーリンは英雄としてもてはやされるも、それが原因で激変した環境に対応できずそれまで口にしなかった酒を飲むようになり
自傷行為に走るなど徐々に変わってしまった時期もあった。後に立ち直るもののこの件の影響は大きく、
事故当初も飲酒による墜落が疑われた。それでも飛行前のメディカルチェックは合格しており死後の調査でもそれを裏付けるものは出なかった。
その後事故は別の飛行物体を避けようとしたものの飛行不能に陥り墜落したと結論がだされた。


だが半世紀以上経って当時彼の同僚だった人物が、事故は無断発進した別の戦闘機を避けようとしたものの避けきれず飛行不能に陥り墜落、
無断発進した戦闘機のパイロットはガガーリン同様ソ連邦英雄でその人物の名前を公表しないこと条件に事故の真相を語った。




追記・修正は本機でF-86を邀撃してからお願いします。


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  • セイバーがジムならこいつはザクⅡ? -- 名無しさん (2015-03-11 19:18:09)
  • アメリカはキルレシオ10:1!ホルホルホル… と長らく主張していたが、ギロリと睨まれて後に4:1に修正したんだっけかね -- 名無しさん (2017-05-10 00:54:20)

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