職業ヒーロー

ページ名:職業ヒーロー

登録日:2021/01/21 Thu 22:49:14
更新日:2024/05/24 Fri 13:29:01NEW!
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職業ヒーロー ヒーロー 僕のヒーローアカデミア ワンパンマン tiger&bunny 職業 創作 組織 アメコミ 会社 有名人 スポンサー コメント欄ログ化項目 ヒーローカンパニー 主人公はたいてい跳ね返り



ここでは、「ヒーロー」が一つの職業として成立している世界観の作品を紹介する。


ヒーローとは無私の奉仕者たるべきか?

まず、この哲学的な疑問には大抵の作品において、「YES」と解答される(明言はされずとも作品内においてそのように扱われる)ことが多い。
ヒーローは金に踊らされない、権力に縛られない、ただ自分の信じる正義を貫き通すことこそが美しい……そんな風に描かれる作品が大多数だろう。
そもそも、現実世界では金や権力へのしがらみが多すぎるのだから、フィクションの中ぐらいそんなものからは独立した清廉潔白なヒーローを見たい、というのは大抵の人が共感できる感情ではないだろうか?
また、「スーパーパワーを金もうけに使うこと」そのものに嫌悪感を示す人も多いだろう。……そこには「たまたま優れた力持っているだけなのに好き勝手やりやがって」というやっかみも少なからず含まれているだろうが。
そのため、例えば『バットマン』は大富豪がヒーローをこなしているし、『スパイダーマン』はものすごく貧乏である。
日本の作品でも『仮面ライダー』も『プリキュア』も自らのヒーロー活動で利益を得ることは原則として一切ない。
彼らは基本的に自分の持つ力を私利私欲のためには使わず、罪なき人を守るために使う。それこそがヒーローのあるべき姿である、というのは一面の真実かもしれない。


……が、まぁ綺麗ごとはともかくとしてヒーローだって人間(じゃない人も少なからずいるが)である以上、生きていく上では飯を食わなきゃいけないし、服を着なければいけないし、家賃や税金だって払わなければいけない。
バットマンみたいに大富豪ならまだいい*1が、会社員なら土日とアフターファイブ以外に自由時間はほぼないし、学生だって似たようなものである。
でも悪党は律儀にヒーローの活動時間に合わせて悪事を働いたりはしてくれないので、どうしても私生活が犠牲になってしまう。
正体を隠してヒーロー活動をしている方々にとって、これは極めて致命的な問題であり、周囲の人間からは「肝心な時に居なくなる役立たず」扱いされるケースすらままある。
一応、『パーマン』のように私生活が多少なりとも配慮されているヒーローもいないわけではないが……。
そもそも、ヒーローの行動(敵組織への暴行や施設破壊)は法律的に違法、問題行為も多く、見方を変えれば碌に仕事もせず強大な力を好き勝手に振るって暴れているだけで悪党と変わりないと言えたりもするのだ*2


そのためか、近年ではこのような事情にリアルに迫った、「職業ヒーローもの」と呼称されるジャンルのフィクション作品が少しずつ登場してきている。


ここでは、「職業ヒーローもの」の定義として、以下のように扱う。


  • 「ヒーロー」が職業として一般社会の中で認知されている(団体に所属して報酬を得ていたとしても、その団体が秘密組織の類いならば対象外)
  • 個人の趣味ではなく、「ヒーロー活動」で(直接的にか間接的にか)利益を得ている
  • 警察や軍人などの公務員の組織は対象外(そのため、職業としてヒーロー活動をしているが、『超力戦隊オーレンジャー』や『特捜戦隊デカレンジャー』のような管制の下で編成されたチームは『警察(スーパーヒーロー・フィクション)』を参照されたし)

職業ヒーローの利点・欠点

◆利点

  • ヒーロー活動で賃金を得ることができる。
  • さらには他の企業からのPRの仕事によるスポンサー料でさらなる利益を得る。
  • 公的権力によるバックアップ体制を受けられる。
  • 市民に存在を認知されることで、自分自身の知名度も上がる。
  • ある程度は、市民や街に戦闘による被害が出てしまっても免責になる場合が多い(保険会社の保障が整備される場合もある)。
  • 組織の権力によってヒーロー自身の身の安全が法的に保障される。
  • 所属するヒーローの思想的暴走が、ある程度抑制される。

◆欠点

  • 「法に縛られる」ため、どうしてもできることとできないことがある。やりすぎた場合責任を問われる可能性も高い。
  • 金や権力のしがらみからは逃げられなくなる。
  • ヒーローとしての資質に問題がある場合でも、ヒーローになってしまう場合がある。
  • 1つの不祥事や失敗が外部に漏れれば世間から大バッシングを受ける。
  • 規模が大きくなるとどうしてもヒーローではない人間が多数関わる形になるため、そこを狙われるリスクも増える。
  • 最悪システムその物を悪用される事すらある。
  • 組織内の結束力が高くなるが同時に組織内の派閥化によって内ゲバが起こったり、組織外の武装勢力を商売敵や悪の集団と見做して白眼視や妨害行動を行ったりして、余計な抗争に発展しかねない。

これらの利点/欠点から、職業ヒーローの存在する世界でも「あえて」プロにならずにアマチュアとしてヒーロー活動をする者もいる。
また、職業ヒーローそのものの欠点ではないが、「ヒーローが職業として成立する社会」とはすなわち「ヴィランも日常的に活発な社会」であることが多いため、ヒーローが多い=安全とは必ずしも成り立たない。
職業ヒーローものでないヒーロー作品でもヒーロー活動や超能力の使用を許可制にするかが議題に上げられ、ヒーロー同士で意見が対立する…といったシナリオがまま見られる。



職業ヒーローの登場する作品

僕のヒーローアカデミア

作中世界観では、「個性」という特殊能力が普遍的なものとなっており、この「個性」を用いて悪事を働くもの(ヴィラン)を取り締まるため(他にも事故や災害から人々を救助するため)に、「個性」の使用を許された免許保持者が「ヒーロー」と呼ばれる。取得方法は高校のヒーロー科に行くことが一般的だが、入学も日々の授業も仮免許取得も相当ハードである。
立ち位置的には警察の下位組織、もしくは嘱託を受ける民間事業者だが、実際には警察はヴィランへの「個性」使用が許されていないことから、実質的なヴィラン対策の主力である。なお、給与は原則歩合制だが、副業で稼いでいるヒーローも多い。
また、免許を持たずに「個性」を用いてヴィランを狩るものは「自警団(ヴィジランテ)」と呼ばれているが、ヒーロー制度が確立する以前ならばともかく、作中の現代においては「ヴィランの亜種」としか認識されていない。


また作中では20年以上No.1の座に君臨し続けてきたオールマイトの功績もあり非常に人気の高い花形職業ではあるが、同時に「相性の悪い相手への出撃を拒否する」「ヒーロー活動以外の副業の方に重点を置いてしまっている」など、本来のヒーローとしての在り方に疑問符が付く者も少なくない。
更には良くも悪くもオールマイトが凄すぎたためか民間人や警察関係者はおろか他のヒーローにも「オールマイトがいれば大丈夫」という認識が広まり、作中での戦いで彼が引退し、支持者層が偏っていたNo.2のエンデヴァーが繰り上げでNo.1となるも、犯罪発生率の増加を招いている。


なお、作中では専ら日本が舞台で海外ヒーローとの関わりが描かれるのは外伝や劇場版だが、ヒーローの国際派遣には膨大な手続きが必要となる。
というのもヒーローの力は内政力に直結する程であり、自国のヒーローを海外に派遣するとヴィランへの抑止力が失われてしまう危険性があるためで、過去の大規模派遣の際には必ずといっていいほど犯罪シンジケートが活発化しているらしい。


日本ではオールマイトが極道など組織犯罪を撲滅させ犯罪発生率も一桁まで減らしており、オールマイト引退とエンデヴァーのNo.1繰り上がりにより犯罪発生率が9%に上昇したことで不安視する声も出ていたが、実は海外の犯罪発生率は軒並み10〜20%を超えている
更に弱体化以前のオール・フォー・ワンが日本の裏社会を牛耳っていた25年以上前ですらアメリカの犯罪発生率は日本を上回っていたとされる
劇場版第1作「2人の英雄」で描かれていた通り、一介の銀行強盗レベルのヴィランでさえ改造車に小型ミサイルを搭載していたりと恐ろしいまでに治安が崩壊している。



ワンパンマン

ヒーロー協会」という組織が存在している。一応民間組織だが、立ち位置的には警察の協力要請が出るほど大きい。
活動資金は「寄付金」という形式で集められているが、「スポンサー企業」も存在している。
S級・A~C級のランクで所属するヒーローをランク付けしており、ヒーローの活動を統括する重要な組織……なのだが、内部は相当腐敗している。
『ヒロアカ』世界と異なり、こちらは全てのヒーローを一括して一つの組織が管理しているため、権力の集中や寄付金の無駄遣い、捕えた怪人や怪物の横流しなどのかなりヤバい不祥事が横行している。
そのため、協会の活動に疑念を抱いた者たちによって、「ネオヒーローズ」という組織ができるなどの動きもある。
さらに、「ヒーロー協会」に所属するヒーロー達はヒーロー協会の会議で付けられた「ヒーローネーム」で呼び合わなければならないという決まりがあるが「どすけべ」や「ムッツリスケベ博士」等というイジメの様な酷いヒーローネームを付けられたヒーロー達が「ヒーローネーム被害者の会」を結成。協会に対し謝罪と改名の自由、場合によっては何でこんなヒーローネームにしたかの説明と慰謝料の請求を求めている。


ちなみに、主人公サイタマは当初協会に所属していなかったため、周囲からは変態・変人扱いされていた(犯罪ではないが、「協会に所属せずヒーローを名乗る」と大体白眼視される)。所属はしたが、例によってヒーローネームが「ハゲマント」という……



TIGER&BUNNY

こちらはヒーロー活動が完全に民間に委託されている世界観。
ヒーローたちは企業に所属して「戦う広告塔」となり、ヒーロースーツにスポンサー企業のロゴを背負って戦うことで、スポンサーの宣伝をする、というぶっ飛んだ世界観。アニメ放映時には現実に存在する企業からスポンサーを募り話題となった。
折紙サイクロンのように企業ロゴを映す事に全力を尽くしたり、ドラゴンキッドのように明らかにロゴを載せるためだけのパーツがデザインに組み込まれているようなヒーローがいるのもこの世界観ならではの特徴。
当然、強ければ強いほど宣伝効果も大きくなるが、同時に「企業イメージ」というものもありタレント的な人気が強く重視されている。ヒーロー達が悪人を追って活動する様子はテレビ番組化されシーズンごとに成績と順位がつけられたり密着インタビュー番組が放送されていたり、それらのために「演出」を要求されることもある。人気を考えてか素顔を出すヒーローもいるなど「正体不明で、事件を解決するとお礼の言葉も受け取らず姿を消すヒーロー」は古臭いものになりつつある。
どれだけ強かろうが問題行動が多いとヒーローとしての資質……というかそれ以前に生活が危うい。



ヒーローカンパニー

こちらも民間組織。その名の通り、ヒーローを派遣する巨大企業が舞台の物語。
なお、ヒーローというと、「事件が起きたらそれが誰でもとりあえず急行」ということが多いが、本作では完全契約制であり、契約を結んだ相手以外は基本的に助けない。
そのため、警察組織に近い面がある他の作品の職業ヒーローと違って、本作ではどちらかというと民間警備会社に近いと言える。
ヒーロー活動自体は真面目に行っているが、救助活動を行った後はちゃんと助けた相手から活動完了のサインを受け取り、報告書を会社で仕上げるまでが仕事。
社訓は「1.街を守れ2.人の命を守れ3.自分の命も守れ4.弱いものから守れ5.会社の利益も守れ6.自分の生活を守れ7.正義を守れ8.できれば平和も守れ」
あくまで平和を守るのは「できれば」であるため、ヒーローはオフの時は基本的に悪事を目にしてもスルー、また5人戦隊はコストがかかるので大事件にしか派遣しない(新人ばかりになっても)など、ブラック企業とまでは言えないが、いくらか問題のありそうな経営方針をとっている。
ちなみに悪党の側も、「ヒーロー以外の民間人は極力傷つけない」などそれなりのコンプライアンスがあったりする。



ARES THE VANGUARD

クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズに登場するイベントの一つ。
アメコミ風世界観で、ギリシャ神話に基づく力を持つ「神話還り(ミュータント)」と呼ばれる神の力の持ち主が存在する異界。
神話還りの力を悪用するヴィランを取り締まるヒーローが存在し、主人公はそんなヒーローのチームの一つ「ヴァンガード隊」に所属してヴィランに立ち向かうことになる。
全体にヒロアカに近いような設定だが、こっちのヒーローは明確に「英雄庁」という省庁に属する公務員である。



THE BOYS

アメリカに数百人ものスーパーヒーローが製薬会社「ヴォート社」に在籍し活躍しているという世界観。
ホームランダー率いるセブンと呼ばれるヒーローチームをはじめとした多くのヒーローが犯罪者との戦いや人命救助といった活動以外にも食品やブランドのPRやグッズ販売、映画の出演といった一種のセレブや芸能人のような仕事をこなし、ヴォート社の広告塔の役割を持つ。
が、実際のヒーローの殆どは富と名声欲に溺れ能力が無い市民を見下している程腐敗しており、さらにはヒーロー活動の影響で年間百人もの犠牲者を出すという不祥事もやらかしている。
しかしその際にはヴォート社が金と権力を使って揉み消すか被害者達が泣き寝入りする状況に追いやっている。
そもそもヒーロー達の存在は、実は胎児の段階で「コンパウンドV」という化学薬品で人為的に超能力を生み出された偽りのヒーロー。
つまりはヒーローはヴォート社にとっては他の作品のように社員として見られてはおらず、自社の所有物もしくは金儲けのための見世物という価値しか見出していない。*3



残念女幹部ブラックジェネラルさん

作中で「異能力者として生まれたものはほとんどが怪人になるか『ヒーロー連盟』というものに所属するヒーローになるかの選択を迫られる」という旨が語られている。
ブレイブマンをはじめ、作中に登場するヒーローはほとんど連盟に所属していて給料も払われている描写もある。
組織としては割かしまっとうな部類に入るが、一度会長の座をヴィランの手の者に奪われて、ヒーローたちの知らない間に世界征服の道具にされかかったことがあった。
その後は建て直しに尽力しているようだが、上級ヒーローに問題児が多いため、会長代理を押し付けられたシリアスグラス氏が過労死寸前に陥った挙句オーバーワークの基準がぶっ壊れて無意識のうちに他人に無茶ぶりを振りまく悲しいモンスターと化すなど、その運営状況は他作品とは別ベクトルであまり健全とは言えない


実は前身となったヴィジランテ(自警団)時代のメンバーが老齢の域に入りつつも現役でご意見番をやってるぐらいには歴史の浅い組織。
おまけに本作のヒーローは基本的にヴィランを殴る事しかできない脳筋集団であり、社会に適応させるために外から呼び込んだ専門家によって辛うじて組織としての体裁を保っているという、内部では他作品に負けず劣らず悲惨な状況に陥っている。


なお「ほとんど」とは言うが上記の発言をしたキャラ自体は能力を隠して生活している一般市民であり、そのような人もそれなりの数がいるらしい。


レネゲイドウォーステージ(ダブルクロス)

通常のステージと異なり、レネゲイドウィルスやオーヴァード(超人)の存在が秘匿されていないパラレルワールドの世界設定。プレイヤーキャラクターはヒーローとなり、レネゲイドの力を悪用するヴィランと戦う……といった、王道な職業ヒーローものを遊べる。もちろん、この項目で紹介されている作品の再現だってできる。
パラレルワールドだけあって公式NPCの立ち位置もさまざまな変化があり、例えばシリーズの名物敵役である"ディアボロス"春日恭二はなんとヒーロー側のキャラクターになっている。


しかしそこはダブルクロス、そんな一筋縄でいくような世界ではない。ヒーローシステムはあくまでオーヴァードをヒーローとして「管理」した上で娯楽の要素を加えて一般人にも受け入れられるようにしているだけであり、その範囲外に存在するオーヴァードは、例え正義を掲げていたとしてもヴィランと同等の扱いを受けることになる。
そして何よりもジャーム化*4のリスクは完全には解決されていないばかりか秘匿されており、ヒーローですら一部以外はその危険性を認知していない有様。ジャーム化したヒーローは表向きは戦死かヴィラン堕ちしたとして扱われるが、実際は特殊部隊の手で秘密裏に処理されていることになっている。
一見すれば華やかではあるが、レネゲイドウィルスは自然の摂理と決して相容れないもの。それが中途半端に社会に浸透してしまっていることから、下手すれば通常ステージ以上に危うい上に成り立っているステージと言えるだろう。


レンタヒーロー

セガが放った渾身のバカゲーの1つ。
『スーパー・エナジー・コンバット・アーマー』というパワードスーツを、契約したバイトであるレンタヒーローに貸し出し、定期的な貸出料を徴収する代わりに、仕事を斡旋。
依頼料の類は、レンタヒーロー本人が満額を受け取れる……というシステム。
営業元である『センセーショナル・カフェテリア(通称セカ)』の営業戦略の失敗により、本物のパワードスーツを製造・運用できる技術を持ちながら、需要・供給共にゼロに等しい有様で、主人公は半ば巻き込まれる形で、レンタヒーロー第一号として活動していく事になる。


パワードスーツの性能は非常に高いものがあり、拳銃強盗や武装ギャング集団を圧倒する学生バイト、川に落ちた子供を難なく救助する副業中年サラリーマンなど、格好良いのか締まらないのか分からないが、ともあれ超人的なヒーローが、作中に複数存在している。
運営元であるセカも、専用の通信道具を配布し、本部を偽装して秘密基地化したりと、やたらに手の込んだヒーロー集団の運営をしている。


上記の通り、小遣い稼ぎ目的の学生や、副業としてのサラリーマンなど、レンタヒーローそのものは、ただの『力を持った一般人』に過ぎない。
終盤に対決する事になるギャングの一団は、この構造を徹底的に狙い撃ちにした戦略で、レンタヒーローを壊滅寸前まで追いつめてくる事になる。


レンタヒーローの1人に目をつけ、家族を人質に取り、本部へのパスとなるブレスレットを奪い、本部に奇襲を仕掛ける事で、パワードスーツを奪取してしまう。
バイトに過ぎない一般人と、荒事に慣れた本物のギャング。どちらがよりパワードスーツの力を引き出せるか……答えは自明の理だった。


こうして、セカの業務は混乱し、正規レンタヒーロー達も「本物の命懸けなんてできない」と、その大半が怯んで動けなくなってしまうのだった。




しかし、だからこそ、敵の急襲に最後まで抵抗を続け、生死の境をさまよう最大の重傷を負ってしまいながらも「自分がやらねば」と、本物のヒーローとしての使命に目覚める主人公、最新試作型のアーマーを主人公に『最後の希望』として託すセカ、命懸けで最後の強化パーツを主人公へと届けようとする研究員、「お前たちが余計な事をしたからだ」とセカやレンタヒーローを糾弾しながらも、己が身を擲って主人公の援護を続ける市警の警部など、終盤の熱い展開が引き立ってくる。



1000円ヒーロー

レートの数だけ1秒間に金を消費して戦う(=金がなければそもそも変身できない)ヒーローが活躍する世界。
ヒーローの所属先は二つあり、一つは民間ヒーロー協会「シャインクリーズ」、もう一つは政府機関「指定災害特別防衛省」である。
民間のヒーローは怪人の対処以外にも日常の「平和」を守るべく各々の意思で変身できるが、一度の変身は一律で100秒までと決められている。
対する政府ヒーローは「秩序」を守るために許可が下りなければ変身できないが、変身時間の制限がなく、ベルトも政府ヒーロー用の特別仕様になっている。
当然強いヒーローほど高給で、最高戦力とされるレート100ともなると平均年収は億を超えるという。
レート1ヒーローでも生活に支障が出ない程度には給料はもらえるが、副業をしているヒーローも少なくない。
主人公の日朝千はレート1000という圧倒的な強さを持ちながら無所属であり、極貧生活を送っている。



神話戦士ギガゼウス

地球防衛とヒーロー活動を営む法人「ゼウス技研」に所属し、地球侵略を目論むヘルザスターと戦うヒーロー達の活躍を描いた関西ローカルの特撮ドラマ。
劇中では防衛事業部防衛第一課「ゼウス隊」が登場し、5日おきのシフト制でギガゼウスへと変身してヘルザスターの怪人「魔陀羅獣」と戦いを繰り広げている。
ゼウス技研はギガゼウスを開発したり、魔陀羅獣を「去勢*5」して味方につけるなど確かな技術を持つものの、法人として活動している以上は戦いだけを繰り広げている訳にもいかず、実戦部隊であるゼウス隊員達も取引先との商談に駆り出されたり、時には作戦行動にもタイアップが絡んできたりと世知辛い姿がたびたび描かれる。
また、ゼウス隊隊長の剣剣介こそ8年前にもヘルザスターと戦った手練だが、当時の仲間達が尽く戦線復帰しなかったため新入隊員を募集した結果、常識知らずなゆとり世代の若者ばかりが集まってしまい、「指示がなかった」という理由で戦わない、強敵への対策をテーマにした作戦会議の真っ最中にイヤホンで音楽を聴いたりビーフストロガノフを食べ出す、挙句にゼウス技研の極秘情報を自身のブログに記載等とかなりグダグダな事態が次々に発生することに。
それを纏める剣も「正義のヒーローとしてしか生きられない」と自他ともに認める不器用な人物であり、そんな彼らの成長劇が物語の中心である。



番外

天体戦士サンレッド

作中の描写を見る限り、「ヒーロー協会」という組織が複数のヒーローの活動を統括・支援している……のはほぼ間違いないのだが、給与が発生している描写が一切ない(現代科学を超越したガジェットを提供しているのは確認できるが)。
少なくとも、主人公のサンレッドは自身の認識としても周囲からの扱いとしても「無職のヒモ」であり、本人は「(フロシャイムから川崎を守るのが仕事と言われて)仕事と言うか生き様というか」と語っている。
ただ、「名古屋のヒーローをクビになった」「海外から招集された」というような描写も多々あり、単なるボランティア活動ともまた違うようで、作中世界観でヒーローがどのような扱いなのかは謎が多い。
またヒーローから怪人に転職すること(またはその逆)も可能であり、ヒーローと怪人が根本的に異なる種族というわけでもなさそうである。
なお、ラッカマンは税理士が付くほどの稼ぎがあるが、これは彼が地元とタイアップして商品展開しているため。やはりヒーロー業そのものは無給なのだろうか…?
その一方で、「ヒーロー派遣会社」の存在も確認でき、職業として成り立っているような描写もある。


ちなみに敵対組織であるフロシャイムは給料が存在することがほぼ確実、かつ盆休みを始めとした福利厚生もしっかりあるホワイト組織である。ただし収入源は静岡支部の家賃収入以外一切不明。



Get Ride! アムドライバー

官製ヒーローながら職業ヒーローに極めて近い状況が成立しているアニメ。
謎の機械生命体バグシーンの出現に対抗して政府により強化スーツをまとったヒーロー「アムドライバー」が組織されるのだが、
対バグシーン戦争の長期化・膠着状態が続いた結果、アムドライバーはやがてショービジネスのスターのような存在へと変質していった。
アムドライバーの活躍は逐一テレビで放映され、人気のアムドライバーには専属のスポンサーが付き、最新鋭装備が優先的に配備され、そして新装備でさらに活躍し…という一種のエンターテイメントめいた戦争がテレビの中で繰り広げられるようになった。
しかし、バグシーンとは人類共通の敵とそれを倒すヒーローを用意することで政権の支持率を高めるマッチポンプだったことが曝露されてクーデターが勃発。
アムドライバーも政府側、クーデター側、クーデターは許せないが政府には従えない独立愚連隊の3派に分裂、ショービジネスのヒーローたちは「本物の戦争」に巻き込まれていくことになる…



美少女戦士だった人。

かつて美少女戦士として名を上げていたヒロインが、年齢の都合で引退を勧告される。
そして、後継ヒロインのフォローを中心にする福利厚生のしっかりした特務機関に働くことになる。
最初は「現役ヒロイン」だった頃のプライドが邪魔をして失態続きだったが、徐々に日の当たらない裏方の大切さに気付いていく。


作中の描写はヴィランに対しての対策・ぶつかり合いより、
後継ヒロインのマネージメント・組織内でのいざこざの仲裁・女性という立場ゆえの特有の悩みに立ち向かう展開が中心となっている。


ギャグ中心の秋田書店からの「美少女戦士だった人。」、
秋田書店版から一部のキャラがスライドされながらも、設定が練り直されて
一新したストーリー中心で展開していく集英社からの「美少女戦士だった人。zero」が発行されている。



帰ってきた天装戦隊ゴセイジャー last epic

神秘の力「天装術」を用い、悪しき魂から地球を守る護星天使達の活躍を描いたスーパー戦隊シリーズ第34作『天装戦隊ゴセイジャー』の後日談にあたる作品。


元々ゴセイジャーは地上では市民に紛れて暮らしており、戦いに巻き込まれた地球人に対しては記憶消去の天装術「メモリーウォッシュ」を使用し、戦いに関する記憶を消して元の生活に返すスタイルを取っていた。
しかし、ある時謎の電磁波によってメモリーウォッシュが使用できなくなってしまう。
ゴセイレッドことアラタがそうとは知らずに天装術で銀行強盗を撃退したことで世間にゴセイジャーの存在が露呈し、やむなくマスコミを招いて正体を公表した結果、彼らは人々から絶大な支持を獲得する。
その人気に目をつけた芸能事務所「芸能のサカイ」にスカウトされ、ゴセイジャーはタレント活動も行いつつ、事務所を通して舞い込んできた依頼に基づいて人助けを行う職業ヒーローとして活動することとなった。


天装術をフル活用して日々人助けに励むゴセイジャーの姿に、世間の人気はますます高まっていくが…

全ての元凶は、『ゴセイジャー』本編の黒幕ブラジラの置き土産「キングビービ虫」。
かつて同業者に疎まれて悪評を流され、人気女優から嫌われ者へと転落してしまった星野ユメコに憑依し、ゴセイジャーに彼女と同じ苦しみを味わわせた上で抹殺するための下準備としてあえて彼らを人気者に仕立て上げていたのだった。


その狙い通り、偽の依頼にまんまと誘き出されたゴセイジャーは強盗の濡れ衣を着せられ、キングビービの虫の力で悪意を増幅された市民は壮絶なバッシングを展開。
事務所の人々からも掌を返され、職業ヒーローとして広く知られていたが故の苦境に立たされることに。
どうにかキングビービ虫を追い詰めたゴセイジャーであったが、人間であるユメコを盾に取られたこと、そしてユメコを歪めたもの自体は純粋な人間の悪意であったことに苦しめられ、駆けつけたマスコミからも「人類の敵」として嬉々として糾弾を浴びせられてしまう。


しかし、ゴセイジャーの協力者である天知望による必死の説得で人々は正気を取り戻し、ユメコも守ってきた人々に後ろ指を指されながらも彼女を本気で救おうとするゴセイジャーの姿を見て己の過ちに気づく。
ユメコの改心によって弱体化したキングビービ虫は彼女から引き剥がされ、撃破された。
全てを終えたゴセイジャーは今度こそメモリーウォッシュで地上から自分達の痕跡全てを消し去ると、望や応援してくれたみんなに別れを告げ、静かに地上を去るのだった。


スーパー戦隊シリーズの長い歴史において、世間から正体も含めて広く認知される職業ヒーローとしての戦隊が描かれたのは現状この作品のみであるが、上記の通り「世間に広く知られ人気を獲得している」という点はゴセイジャーを追い詰める最悪の武器として機能してしまった。
TV本編においては「限りない可能性を秘めた存在」として描かれた人間の負の側面が徹底的にヒーローを苦しめる姿は、ある意味ヒーローという存在の重荷と不安定さを象徴したものと言えるかもしれない。



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*1 ただしバットマンことブルース・ウェインは本業の方でも非常に多忙である。立ち位置的に定時に縛られず多少時間の融通を利かせやすいところはあるが…。
*2 実際、無私で人々の為に戦うヒーローが暴走して民間人に牙を剥いたり、人々の為に無償で力を使っていたのに「自分達と違うから」と言う理由で一方的に殺されてしまう作品もある。
*3 実際マイノリティのファン層を増やすために盲目のアジア人のデアデビル風のヒーローを加入させようとしたり、セブンのメンバーであるクイーン・メイヴが同性の恋人がいたことが判明した際には同性愛を意識したアピールを増やすなどヒーローの持った悩みや欠点を様々な方面で金儲けの道具にしている。
*4 レネゲイドウィルスの侵蝕率が高まり、人間としての理性を失った怪物になること。現在の技術では治療不可能。
*5 本作では、力の源であるダーク魔陀羅を摘出して無害化することを指す

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