吸血鬼ハンターD

ページ名:吸血鬼ハンターD

登録日:2011/11/21(月) 12:45:59
更新日:2023/08/10 Thu 17:09:59NEW!
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…時に忘れ去られた者は静かに滅びを受け入れよ
この世において、全てはかりそめの客…






『吸血鬼ハンターD』は菊池秀行の長編小説であり彼の代表作。
表紙、挿絵は天野喜孝が全て担当している。


現在42巻まで発売されており、初刊である「吸血鬼ハンターD」からすでに32年が経ってもなお連載中という大長編作品である。


これまでの欧米の伝統的な吸血鬼観を踏襲しつつも、魔力と知識によって世界を支配し、数多いる魔の頂点に君臨する存在という独自の吸血鬼像は国内外問わず以後の吸血鬼作品に大きな影響を与えている。


[影響を受けた作品]


代表的なもので


  • 悪魔城ドラキュラ(ゲーム)
  • Devil May Cryシリーズ(ゲーム)
  • HELLSING (漫画)
  • BLOODシリーズ(アニメ)
  • ブレイド(コミック・映画)
  • 吸血殲鬼ヴェドゴニア
  • トリニティ・ブラッド(ライトノベル)

…等々でほとんどの後発の作品は大なり小なり影響を受けている。



[あらすじ]


…かつて1万年もの間、地上に君臨し栄華を極めた「貴族」達の世も終わりを迎え地上は再び人類の時代を迎えようとしていた…


しかしそれでもなお貴族の脅威は辺境において猛威を奮い、人々の生活を脅かし続け、それは人を超えた能力を持つ「吸血鬼ハンター」の誕生を促すことになった。


その吸血鬼ハンターの中で最強と称される一人の吸血鬼ハンターがいた。
トラベラーズハットをかぶり、背中に長刀を背負った美貌の青年の名はD。


彼は貴族と人間の間に生まれ堕ちた者、ダンピールであった…



[世界観]


その中世的な文化や魔物の存在といった世界観から間違えやすいが、吸血鬼ハンターDの時代は西暦で換算するなら、
西暦12000年代という他の文学作品と比べても屈指の超未来である。


劇中の文化や生活が中世的なのはあくまで貴族文化の名残りであり、そのため劇中では超科学の遺産がたびたび登場する。


Dの世界の時代設定はおおむね


1999年以前 人類支配を企む吸血鬼とまだ支配には早いという吸血鬼同士の戦い 


1999年 世界は核の炎に包まれる、人類衰退


2000年代 貴族、地上へと降臨、覇者として君臨する


魔物(ミュータント)放射能の影響により誕生


5000年代 OSB(外宇宙生命体)が外宇宙より侵攻、以後3000年間にわたる戦争が続く


8000年代 OSB謎の撤退、貴族側の勝利


9000年代 地球大改造計画始まる 貴族文化絶頂期へ


11000年代 人類の反乱始まる、貴族、支配者からの転落


12000年代 「吸血鬼ハンターD」開始、人類の時代
貴族、滅亡への佳境へ


…といった具合である。


1万年以上先の未来なためすでに空間や時間をも超越する技術が開発されており、運命すらも数学的に解明される程に科学は進んでいるのだが、あくまでそれを扱えるのは貴族だけであり、現在では半ばロストテクノロジーと化しており人類の生活水準は大半が中世のレベルのままである。



[登場人物]

  • D

辺境を旅する最強のバンパイアハンター
鍔広の旅人帽に曲線のかかった長刀を背負った黒衣を纏う絶世の美青年、胸には貴族の技術を無効化する青いペンダントを下げている。


貴族と人間との間に生まれたダンピール。
貴族の天敵である日光を一定時間耐えられる、貴族と渡り合える身体能力を持つなど貴族と人間両方の長所を兼ね備える。
しかし、それ故にどちらの世界にも属する事のできない孤高の狩人。


非常に寡黙であり、2行以上の言葉を話すことも稀、滅多に帽子を脱ぐ事もない。
だが、わずかな会話や時折見せる仕種から、本当は情に熱く優しい青年であり、自分が認めた相手には笑顔を見せる事がある。


すでに1千年以上生きており、どこか達観したものの見方をしている。
その卓絶した剣技と、左手に寄生する人面疽の魔力、そして彼自身に秘められた血の力によって無敵の力を持ち、その名は辺境中に轟いている。



  • 人面疽

Dの左手に寄生する謎の疽。
寡黙なDに代わって皮肉や憎まれ口をたたき、読者にDに代わって解説も行うジジィ。
実は四大元素を吸収し生命エネルギーを生成したり、この世のあらゆるものを吸収できるという作中屈指のチート能力を持つ存在。


触れた相手の思考も読みとれる事もできるがスケベでもある。


こいつがいなかったらDの旅は第1巻で強制終了していた。


  • 神祖

貴族たちの頂点に君臨する絶対的覇者。
人類の衰退以前から存在し、衰退後は地上へと降臨し貴族を栄華へと導いた。


全ての貴族から畏敬の念を持って崇められているものの、滅多に人前に姿を現すことはなく貴族の間でも半ばその存在は伝説と化している。


貴族と人間との融合による完璧な生命の誕生を目指していたようだが…


上記とは別に


  • 地球を永遠の闇に閉ざす兵器を禁止
  • 地球に落ちてくる直径1万Kmの小惑星を跳ね返す
  • 人間や貴族をあまりにも殺しすぎる貴族を粛清
  • 某創作神話的な邪神とそれを崇める貴族を粛清

などを行っている。




[重要用語]


  • 貴族

吸血鬼の呼称
かつて人類の衰退後に地上へと君臨し、その人知を超えた身体能力と、魔力、そして超科学によって1万年の長きにわたって地上を支配してきた種族。


不老不死の肉体を持ち、その栄華は永遠に続くかと思われたが3000年
にわたるOSB(外宇宙生命体)との抗争と、隷属させてきた人類の反乱による疲弊、そして種としての寿命の限界によって支配者の座から退き、滅びの時を迎えている者たちである。


しかし今なお、その絶大な力は健在であり、
辺境においては依然として貴族の統治、もしくは脅威を受けている地域は多い。


ごく稀に慈愛をもって領地を治めその徳を称えられる者や、貴族の矜持をもって厳正な統治を行った者もいるが、大抵の貴族は「人類=家畜」と見なしており、気まぐれで人を襲う人類にとって災厄以外の何物でもない存在。


日光、流れ水、十字架、ニンニク、金属や白木の杭による心臓破壊など、吸血鬼としての典型的な弱点を持つため滅ぼすことは可能。
しかしこれらはあくまで霊的宗教的魔術的な弱点であるため、
地球外でならば日光を浴びても全くの平気だし、科学兵器によって肉片一つ残さず原子分解されても再生可能である。


物語のお決まりとして、中には弱点を消している者もいる。 特に日光が効かない者は多い。
それでも白木の杭まで効かなくなっている者はまずいない。


↓以下の弱点は存在しない
初めて訪問した家では、その家人に招かれなければ侵入できない
種などを見るとその粒を集めなければ気が済まない



  • 人類

長い隷属を経て貴族から支配者の地位を奪還しようとしている種族。


長い年月の間に貴族によって様々な遺伝的改良を加えられた結果、厳密な意味では我々の直接的な子孫ではない。


そのためなのか極稀に人知を超えた能力を持つ者が生まれ、彼等は貴族に対抗できるものとして「吸血鬼ハンター」へとなっていった。



  • 魔物

この世界に住まう生物。


太古の昔の核戦争によって誕生したとも、貴族によって作り出されたとも、それ以前から存在したともいわれるが


共通するのは人を襲い、脅威であること。


そのためこれらを狩る各種ハンターも存在する。


数あるハンターの中で、吸血鬼ハンターが最高位に存在するように


貴族の中にはこれら魔物たちを飼いならしている者も存在する。



  • ダンピール

貴族と人間の間に生まれ堕ちた者たち、貴族と人間の利点を併せ持つある意味で完璧な存在。


しかし、人間からは貴族と同類に見られ、貴族からは鬼子として双方から忌み嫌われ迫害される孤独な存在である。



  • 懐古趣味

多くの貴族たちが持つ特徴。


超科学技術を持ちながら未来的な建造物が少ないのは殆どの貴族がこれを持つため。


ただし、中世的なのは外見だけで、見えない部分は超科学が使われている。




かつて貴族たちが建造し生活していた都市であるが、都市機能は人類によって破壊され、今では人間たちの政治の中心となっている。


周辺から危険な魔物は一掃されており、この世界においてもっとも安全な場所と言って良い。



  • 辺境

貴族の脅威が残る田舎。


危険な魔物が跋扈し、村人が全滅するなど、何か起きても不思議ではない危険な土地。


この地に住む人々は都の政策によって勝手に引っ越すことは禁止されている。


危険なだけあって、装備はともかく射撃の腕などの人間としての実力であれば、辺境の農民は都の戦闘士を超える。


[映像化作品]


人気のある作品のために過去に2度OVAと映画化がされておりDの声優にはそれぞれ塩沢兼人、田中秀幸が配役され好評を博した。




特に2作目の「VAMPIRE HUNTER D」は川尻善昭が脚本・絵コンテ・監督を務め
Dの世界観を忠実に再現しており原作者からも好評を得ている。
手っ取り早くDの世界を堪能するにもってこいの一作である。
また、海外の映画プロデューサーに原作を売却した事を最近の後書きにて述べている。
だが、売却は10年前の話であり、脚本は未だに未完成らしく(いつも「あと3ヶ月で完成します」と言われる)、印税も催促しなければ来ないと不満を漏らしているので、次回の映像作品は白紙に近い状態と推測される。




恐ろしい美しさのダンピールのハンターを見かけた方は追記・修正をよろしくお願いします


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  • 1986年に出たOVA版は黒歴史扱いなのか? -- 名無しさん (2014-06-10 13:36:06)
  • 一作だけ読んだけど、あまりに良い余韻が強すぎて続きとか知りたくなくなった。やっぱり良い小説は短編、単作に限ると思う。 -- 名無しさん (2014-06-10 13:44:39)
  • 催促しないと印税来ないとか朝日出版ふざけんなよ!まさに悪徳貴族みたいな出版社だな! -- NDB (2014-09-04 13:07:23)
  • 悪魔城ドラキュラシリーズのアルカードも月下以降は明らかにDを意識してるよねw -- 名無しさん (2014-09-04 16:45:39)
  • ↑2 海外プロデューサーと書いていたから、朝日出版が関与しているのかは不明。ソースは、自身の作品のあとがきにて。 -- 名無しさん (2014-09-04 17:54:00)
  • OVAは当時のアニメの作画のレベルの低さとスタジオの能力もあって黒歴史、原作者も不満を述べてるし。声優の演技は別評価。だが -- 名無しさん (2015-03-25 17:58:10)
  • 最近、スピンオフ作品が出た -- 名無しさん (2015-04-15 18:27:07)
  • でも、OVA版のドリス・ランの、あの衣装は最高! -- 名無しさん (2015-06-28 10:38:12)
  • ドリスの、あのパンツは、やはり見せパンなのか? -- 名無しさん (2015-06-28 10:39:16)
  • そろそろ神祖と戦って欲しい。このまま作者が死んで未完なんてことにならないように -- 名無しさん (2020-04-11 14:37:54)

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