恵介「あの……処女はいませんか」
恵介がそう言うと、奴隷商人は一瞬虚を付かれたような顔をした。
奴隷商人「それはつまり……ふむふむ、分かります、そういうことですな?」
恵介「ええまあ」
バレたか、と思いながら恵介は頷いた。
恵介は最初にセックスする相手は処女じゃないと嫌だという考えの持ち主だった。
でもまあそういう人は自分だけじゃないんだろうなとも思った。
奴隷商人「取り揃えておりますとも……数は少ないですが。お見せしましょう、こちらへどうぞ」
4人の娘が連れてこられた。
どの娘もひどく怯えているようなのが印象的だった。
それは恵介からすると意外だった。
町で性奴隷らしき娘を見かけることは度々あったのだが、
彼女らは見た感じそれほど悲壮感のある風ではなかったのだ。
とにかく恵介はその中から一人を選び、何百枚かの金貨をその場で支払い、奴隷娘を購入した。
奴隷娘と二人、徒歩で自分の家に向かう。
恵介は自分が購入した奴隷娘を眺める。
年齢は自分と同じぐらい、16,7だろうか。
きれいで可愛らしい娘だ、日本に居た時同じ学校に居たとしたら、学年一か学校一の美少女と言われただろう。
その娘とこれからHができると思うと期待で胸は高まるが、しかし……
(なんでこんなに絶望したような表情なんだろう)
恵介は彼女の表情が気になって仕方なかった。
奴隷という身分だから、そりゃまあいつも陽気ではいられないだろうが、それにしても気になった。
「あの……ええと……」
「は、はい」
あるきながら恵介が声を掛けると、娘はおずおずと恵介に返事をする。
「君の名前は?」
「あ……申し遅れました、ターシャと言います」
「ターシャ。いい名前だね」
「そう、ですか」
ターシャはすごく悲しそうな顔で微笑む。
(なんだろう、本当に)
恵介は考えた。
(やっぱりあれか、この子は今日会ったばかりの俺とHするのが嫌なんだろうなあ)
(まずは打ち解けるように努力するか……)
「おなかすいてない?」
恵介はターシャに声をかけた。
「え、あ、その……」
「そこの店で食事していこう。好きなもの頼んでいいよ」
「……ありがとう、ございます……」
ターシャは涙ぐんでそう答えた。
その表情にはあまり喜びの色は見られなかった。
(なんか想像したのと違うなあ)
恵介はそう思った。
二人食事を終えて再び恵介の家を目指す。
「あの……」
ターシャが口を開いた。
「なんだい」
恵介はできるだけ優しい口調で答える
「いつ、行いますか」
「それは……」
恵介にしてみれば、一刻も早くHしたかった。
だがターシャの気持ちを踏みにじるのも、恵介の本意ではなかった。
「俺は、早いほうが良いんだけど」
「……分かりました」
ターシャは目を閉じて頷いた。
「いいのか?」
「わたしは、奴隷ですから、ご主人様に従います」
ターシャは悲しそうな笑顔でそう言う。
「……いいんだな?」
「怖いことは、早く終わらせたい……です……」
「そうか……悪いな」
「ご主人様は……悪くないです」
二人は恵介の家についた。
恵介はターシャを寝室に連れて行く。
ターシャはベッドがあるその部屋を見回し、それから泣きそうな笑顔で言った。
「普通の、部屋ですね」
「え、ああ」
「こんな部屋だと、まるで私達これから、セックスするみたいですね……」
(え?)
二人の間に誤解があると恵介はこの時初めて気づく。
ターシャはなぜか泣き出してしまう。
「ちょ、ちょっと待って」
「は、はい、すいません……見苦しくて……」
「あのさ、俺はさ、君とセックスをするつもりだったんだけど、そこのとこ正しく伝わってるのかな」
「えっ……それではわたし、処女ではなくなってしまいますが……」
「いや、それは別にいいんだ……というか、何だと思ってたの」
「それは、具体的には分かりませんが、何かの儀式に……」
「儀式?」
「処女の生血が大量に必要だとか、生きたまま取り出した処女の心臓を祭壇に捧げるとか、そういうことかと……」
「どこから生まれたのその誤解」
「だって、ご主人様は魔法使いの方と聞きましたし、セックスならたくさん調教を受けて、男の人にご奉仕する方法を知っている娘を買ったほうが良いに決まっていますし」
「生贄を必要とするような魔法は知らないよ……」
(この世界にはそんな常識があったのか……あの奴隷商人も誤解してたっぽいな……)
「では、もしかしてわたし、死ななくても良いのですか」
ターシャはすがるような目で恵介を見ながら言った。
「もちろんだ。生きてて、俺とたくさんセックスしてほしい」
「本当ですか、嬉しいです!」
ターシャは初めて嬉しそうな笑顔を見せる。
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二人はセックスする。(具体的な描写は省略)
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セックスを追えた二人。
ターシャは全裸で窓際に立ち、外の町を見ている。
「外の人におっぱい見られるぞ?」
「気になりません」
ターシャは幸せそうに答える。
「ご主人様、わたしこれからもご主人様にご奉仕できるんですよね?」
「ああ、期待してるよ」
「わたしもう処女じゃなくなってしまったけど、それでも抱いていただけるんですか」
「ああ、安心しろ」
「よかった……」
「さっきから何を見てるんだ?」
「外の町を、星空を。とってもきれいです」
「どれどれ」
恵介はターシャの横に立ち窓の外を見る。
「きれいでしょう?」
「ターシャのほうがきれいだよ」
「そういういいセリフは、わたしのような奴隷ではなくて、恋人に言ってあげてください」
「今はお前が恋人だ」
恵介はターシャを抱きしめる。
ターシャは少し驚いたような表情をするが、すぐに安らいだ表情で恵介に身を預ける。
end
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