サーターの社会についての考察
オーランス社会についていろいろ読んでいると、weregild という単語がよく出てきます。これは Norse (ノルマン語)で、「人(were)の金(gild)」という意味だそうです(詫びに払う金みたいなものらしい)。
したがって、オーランス文化は基本的にノルマン(ヴァイキング)+ゲルマン+ケルト、という感じなんではないかと思います。オーランスってオーディーンに似てるし。
自由民たち
氏族は領土をもっていて、その領土をめぐって争いが起こることもあります。もちろん「ゲルマン民族大移動」みたいに領土を捨てて移動することもあるみたいですけど。
領土のなかに「ステッド」というもんがあります。これは「農場」というような意味で、ひとつのステッドには1~2家族(20人ぐらい?)が住んでいます。日本の惣村とちがい、オーランス人はバラバラに住んでいます(散村)。
オーランス人のほとんど(85%)は「カルル」(自由農民)か「コッター」(小作農民)です。ただ、農民といっても武器をもって戦うことが期待されています(荒野のブルーとかは自分で追い払わねばならない)。非常時に召集される農民の戦士の一団を「フュルド」(民兵団)といいます。
ただ、農民の戦士では実力はたかが知れているので、族長お抱えの専業戦士「近侍戦士」というのがいて、氏族の領土のパトロールを行っています。
村
ステッドの大きいのが「村」と呼ばれます。氏族の中心のステッドは、危機の際に氏族の者全員が立てこもれるようになっていて、柵砦といった感じになっています。氏族の中心地には氏族の寺院が置かれていることも多いです。
氏族と部族
氏族より大きな集団は、一時的なものにすぎません。氏族が社会の中心です。
カルルとコッターは民会で投票する権利があり、投票によって族長が選ばれます。
族長は世襲ではありません。カルルとコッターは、一度選んだ族長の決定には従う義務があります。
族長は6人の助言者を選び、7人で「内なる輪」の評議会を作ります。
部族は氏族の連合体です。部族に属する氏族は、不満があれば部族から抜けることもできます。部族の王は、氏族の評議によって氏族の族長の中から選ばれます。部族の王も評議会を作ってその助言をうけます。
部族の連合体として「サーター高等評議会」というのもありました。サーター王家がその評議長をつとめていましたが、現在では存在しません。
都市
もともとオーランス人は都市を作りません。サーターに都市があるのは、サーター王が部族に共同して都市を作らせたからです。都市は部族から独立していますが、実際には近隣の部族からの干渉を受けます。都市には氏族の館なんかが置かれて通商を行っていたりします。
PC
PCは氏族の近侍戦士である、とすると動きやすいと思います。ウロックスとかフマクトとかの危ないカルト(笑)に入っていても容認されます(農民はほとんどオーランスとアーナールダのみを信仰しています)。それでパトロールしたり、略奪の指揮を執ったり、評議会からトラブルの処理を命じられたり、農民からいろんな依頼をされたりするわけです。
サーターの王権
サーター王と呼ぶのは俗称であって、正確な称号は「クィヴィン族の公王」(Prince)(すなわち「クィヴィン族の第一人者」)、また「戦王」(Warlord)といいます。そこから推測されるサーターにおける王権というのは、
(1)サーター王は、部族の評議会で第一の発言権を持つ。その発言は伝統的に評議会で尊重されるが、必ず従わねばならぬわけではない。アラコリングの法では「部族の王」(Rex)以上の地位は規定されていないからである。(ちなみに部族の王は“神々の王”オーランス(Orlanth Rex)の信者のことを言います)
(2)サーター王は、部族連合軍を指揮する権限を持つ。ただし、部族の軍はそれぞれ部族の王が指揮する。
といったものではないかと思います。
王権は世襲制のようです。というか、おそらく「サーターの炎を灯せること」がサーター王の証なのでしょう。
王家の財産
サーター王家はボールドホームを所有します。ボールドホームにはサーターの24部族の出先の館があり、評議会が開かれていました。
サーター王は、氏族の族長、部族の王と同様に、「近侍戦士」を抱えています。伝統的に、この近侍戦士にはテルモリ族が含まれます(彼らはサーター王家のみに忠誠を誓っていました)。この近侍戦士は超部族のもので優秀な戦士が集まってきているとはいえ、その戦力から言えばあまり王権は強いとは言えないでしょう。
建国王サーターとの盟約から、エルフ、ドワーフ、トロウルとの取り引きがありました。
サーター王家は王の道、いくつかの橋などを所有します。また王家が建てた砦がいくつかあります(ターカロール砦、ジャロラー砦、王の塔など)。
王家の税収
サーターには「税」というものはなかったと思われます。というのは、税を取るというのは邪悪な「皇帝」のすることだからです。
ではその収入はどこからきたかというと、すべての部族は、王家に対し伝統的に毎年いくらかの「貢物」(Tribute)を送るしきたりがあったのです。
また、各都市はサーターによって作られたので、各都市からも貢物が送られたでしょう。
もちろん、ルナーの征服後には、帝国風の「税」というものが導入され、また都市は地方長官の支配下におかれました。理由もなしに収入の何割かを奪われる「税」というものに、サーターの人々は憤慨しています。
財産
サーターにおいて、財産は「牛」(笑)に換算されます。
品物も「牛何頭分の品」という風にいわれますし、食料も「牛何頭分の食料」といわれます。
略奪
略奪には2種類、「牛争い」(Cattle Raid)と「略奪」(Raid)があります。
(1)牛争い
「オーランスは盗みを禁じ給わぬ。」ということで、氏族同士で牛を強奪しあうのは、健康的な若者のスポーツの一種とみなされています。牛の強奪は、友好的な氏族に対して行ってもその友好関係を損ねることにはなりません(一般的には)。
強奪には、あまり仰々しい武装をしていってはいけません。また大人数でいってもいけません。あまり度がすぎると、「略奪」とみなされて氏族全体から反撃を受けます。
牛の強奪は、ふつうこっそりと見つからないように行います。見つかった場合も小競り合いにはなりますが、ふつうは殺し合いまでは発展しません(もちろん、小競り合いで死んでもそれはその者の責任です)。
(2)略奪
略奪は、氏族の総意で、他の氏族の領土などの財産を奪い取る目的で行われる「侵攻」です。通常、近侍戦士と100名以上からなるフュルド(民兵団)、女たちなどからなる看護人などが同行して行われます。
略奪は、係争(Feud)の解決手段として行われます。オーランス曰く、「暴力というのも一つの手だ」。
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