淬血荣冠 / Bloodforged Diadem


どれだけの時が過ぎようと、彼はあの時代、剣闘士としての栄光を決して忘れない。
「ユウハシュ……」
最初の頃は、金を積んで買った奴隷を紹介する主人が、その名を観客に告げていた。
だが、彼が敵を皆殺しにし、素手で内臓を引き抜き、その血を飲み干した頃には、闘技場は彼の名を狂ったように叫んだ。
「血を好む者」「悪魔」「闘技場の豪君……」
呼び名は変わっていき、それにつれ対戦相手も強くなった。
子ども、老人、女、男、虎やライオンさえ、彼の敵となり、全て敗れ去った。
敗者の断末魔に興味はなく、「何のために戦う?」などという臨終の戯言に気を掛けることもない。彼が繰り返したのただ一つ。
殺すこと。
生きている限り、闘技場に立つ限り、彼はここで不滅の王だった。
その単純な営みは、彼にすべてをもたらした。
名を呼び観客の咆哮はローマ最大の闘技場を揺らしたが、彼は鼻で笑った。
菌かは雨のように降り注ぎ、砂と血の大地を埋め尽くしたが、彼は軽蔑した。
どの声も、金も、崇拝も、彼にとっては吐き気を催す穢れにすぎない。
唯一触れられるのは温かい血だけ。
唯一真実なのは殺戮の身。
彼が求め続けるのは、永遠に変わらぬただ一つ。
「俺は来た、俺は見た、俺は殺した」
