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ルイージ(Luigi)は、任天堂が発売したコンピュータゲームソフトのシリーズ、マリオシリーズに登場する架空の人物。
任天堂の看板キャラクター「マリオ」の双子の弟。マリオに似た外見をしているが、兄のマリオより長身で痩せ型、カイゼル髭、シャツ・帽子が緑でオーバーオールが紺色、帽子のマークが「L」であるといった相違点がある。双子の弟なので、マリオと同い年であり、『大乱闘スマッシュブラザーズDX』で見られるフィギュアの説明によると26歳前後である(ただし、マリオと同じく、厳密な設定は存在していない)[1]。ゲーム内での声優はマリオと同様、チャールズ・マーティネー(Charles Martinet)が務めている。
性格はどちらかというと穏やかで物静かである。一人称は「僕」[2]で統一されており、基本的に柔らかい口調で喋る。兄のマリオとは違い、やや気弱で臆病であり、おっちょこちょいな一面も持つ。他にも、日記を付けていたり[3]、帽子は手洗いに限る[4]といった拘りを持っていることから、マメな性格であることが窺える。お化けや怪物といった類のものが大の苦手であり、そういった存在と相対した際は激しく怯える描写が多い。スポーツ系のゲームでは、マリオ共々、平均的な能力を持つオールラウンダーとして扱われるが、マリオはパワーが若干強くなっているのに対し、ルイージはテクニックに長けているという差もある(一例として、『マリオテニスGC』では攻撃系スペシャルショットにマリオは巨大な鉄のハンマーを使用したのに対し、ルイージは巨大なピコピコハンマーを使用したなど)。
初期作品で2プレイヤー用キャラクターとして位置づけられて以来、出番が少なく活躍の場が限られることから、現在では公式にも『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズを筆頭に「永遠の2番手」などと自虐的に言及されることがある[5]。
名前は任天堂の米国法人 (Nintendo of America, NOA) の社員が付けたものである。イタリア人に多い上に語呂の良い名前を模索した結果、「ルイージ」となった。また、後の話によると、イタリア人デザイナーに多い名前でもあったとのことである[6]。「宮本茂が『マリオの類似(るいじ)やからルイージでええんちゃう』と言ったために決まったことに由来する」というのは俗説[7]。なお、当時のテレビ番組でも「類似から由来」と紹介されてしまったために、1990年代までは「類似」が真説とされていた。
明確にマリオの弟「ルイージ」として初登場した作品は、1983年のゲーム&ウオッチ版『マリオブラザーズ』[8]である[9]。ここではマリオの相棒として登場し、本体パネルに描かれたイメージイラストではマリオが赤い帽子とつなぎに青のシャツだったに対し、ルイージは緑の帽子とつなぎに赤のシャツとなっており、この頃からマリオは「赤」、ルイージは「緑」として描き分けられていた(ただし、実際のゲーム上ではモノクロ液晶のため二人とも全身真っ黒)。同年に登場した別内容のアーケード版『マリオブラザーズ』では、マリオが1プレイヤー用キャラ、ルイージが2プレイヤー用キャラという位置付けで、プレイ上の識別のためにマリオの色違い(緑のシャツに白のツナギ・帽子)となり、これがゲーム内での「緑のルイージ」としての初登場作品となる。ただし、1994年稼働のアーケード版『レッキングクルー』では緑ではなくマリオと同様の赤い服装で、ルイージはやや色が薄いというものだった。1985年発売の『スーパーマリオブラザーズ』までの初期作品では、マリオと服の色が違うだけで、姿も能力も全く特徴に違いのないキャラクターであった。
初めてマリオとの差別化が図られた作品は1986年発売の『スーパーマリオブラザーズ2』である。この作品では「マリオに比べてジャンプ力が高いが滑りやすい」という、上級者向けの一癖ある操作設定にされた。後に、これがマリオに対するルイージの最も基本的な性能の違いとされ、以降のアクションシリーズでもこの設定が多用されるようになる。服の色以外で初めて外見的な違いが設けられた作品は、同年公開のアニメ『ピーチ姫救出大作戦!』であり、マリオよりも細身で長身になっている。ただし、この時の服の色はシャツが黄色、帽子・オーバーオールが青だった。ゲームでは、1988年4月発売の『3Dホットラリー』の説明書で細身で長身の姿が描かれている。同年10月発売の『スーパーマリオブラザーズ3』から、服装の配色が、シャツ・帽子が緑、ツナギが紺色に、同時期に日本国外で発売された『SUPER MARIO BROS. 2(スーパーマリオUSA)』では、その配色に加えゲーム内のグラフィックでも長身で痩せ型となった。他にも、マリオと髭の形が異なる、ジャンプ時に足をバタつかせる(『スーパーマリオUSA』、『スーパーマリオ64 DS』)などの特徴が作られた。
また、初期の頃は無鉄砲という性格(『スーパーマリオブラザーズ2』の説明書より)があり、ファミコンからスーパーファミコン時代の漫画やゲームブック、および後述のアニメ映画では、基本的にマリオより兄貴肌の性格として描かれていた。ディスクシステムの起動画面や『スーパーマリオブラザーズ3』のタイトル画面でもルイージがイタズラを仕掛ける内容が描かれている。しかし、吉田戦車の漫画はまり道で初めて「二番手、報われない」ということを強調し卑屈な性格として描かれ、それがゲームでも反映されていった。少し(後にかなり)気弱な性格(初出は『マリオストーリー』のルイージの日記にある記述より。本格的に出たのは『ルイージマンション』から)、多少ドジ(『ペーパーマリオRPG』から)といった、マリオとは大きくイメージの異なるルイージならではの人物像が形成されている。長期連載となっている沢田ユキオの漫画版のルイージは、初期は兄貴肌だったが近年ではゲームに近い描写へ変化している。
他のマリオファミリーのキャラクターと同様に、ニンテンドー64世代からはボイスが付いた。初期の頃はジュリアン・バーダコフが務める。ジュリアンの場合高い声で発していたが、それに対しチャールズは低い声で喋る。『ルイージマンション』以降は控えめで気弱な性格が声でも表現されるようになる。『大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ』のDXまでチャールズのマリオの声を高い声に加工したものを流用しており、チャールズのルイージでは唯一高い声となっている。現在はどのシリーズにおいても低い声で喋るという方向性で統一されている。
ルイージの赤ん坊時代の姿。『ヨッシーアイランド』にてさらわれ役として初登場。続編『ヨッシーアイランドDS』でもさらわれ役であった。『ヨッシー New アイランド』もさらわれ役として登場。
『マリオカート ダブルダッシュ』にて、ベビィマリオのペアという形で『マリオシリーズ』本編に初登場。公式サイトの説明では、「シャイでハニカミやさんだけど、攻撃はスゴイぞ!」と書かれている。また、明確なストーリーが存在する作品では、『マリオ&ルイージRPG2』では大人マリオと共に大人ルイージが過去にタイムトラベルした際に出会い、本当に過去の自分と共演する。扱いはルイージに比べて良く、意外と大人より勇敢。泣き虫だが大人ルイージとすぐに仲良くなり、エンディングでは「一緒に(過去の時代へ)行こう」とまで言った。
『ヨッシーアイランド』(DS含む)ではベビィ服(オムツ姿)であったが、『マリオカート ダブルダッシュ』以降ではベビィマリオ同様、オーバーオール姿で登場する。音声は大人ルイージおよび大人マリオ、ベビィマリオの担当であるチャールズ・マーティネーが兼任している。
『スーパーペーパーマリオ』に登場。敵役であるノワール伯爵の部下、ザ・伯爵ズのナスタシアに捕まり催眠術をかけられ、ザ・伯爵ズのメンバーへと洗脳されたルイージ。使っている二つ名は、マリオたちには「ミドリ色の貴公子」、ザ・伯爵ズには「ミドリのいかずち」で、英語版での二つ名は「ザ・グリーン・サンダー(The Green Thunder)」となっており「ミドリのいかずち」に近いニュアンスである。
洗脳によって性格が変化しており、マリオへの激しい対抗心を剥き出しにして(洗脳のため記憶は無く、対抗心の理由は本人も分かっていない)、自信家で傍若無人な言動、仲間であるはずのザ・伯爵ズのメンバーにすら堂々と暴言を吐くなど、普段のルイージの性格は微塵も無い。一人称は「オレ」(ただし洗脳が解けかけた際は「ボク」と言っていた)。一方で、自作の戦闘ロボット「エルガンダー」に「鋼鉄の兄弟」や「メタルブラザー」という愛称を付けるなど、洗脳前の面影と見られる言動も時折見せる。
服装もルイージから変化していて、黒や暗色をベースとした特撮ヒーローのバトルスーツ風の衣類で、首に緑色のスカーフを巻き、顔の上半分を隠す黒い仮面を着け、帽子は色・形こそ普段のものと同じだが書かれたLのアルファベットが鏡文字になり、Lを囲む円形状の模様が白から黒に変わっている。
なお、ルイージは洗脳が解けた際にミスターLとしての記憶を失っており、マリオ達もミスターLがルイージだと気がつかなかった(「どこかで見たことがある」と思った程度)ため、ルイージはミスターLとしての活動を一切知らない[10]。それ以来、ザ・伯爵ズから勇者に追放されてしまった。その原因は、他のメンバーへの暴言や罵声が理想の世界を新たに創造する事に猛反対するように言い、世界滅亡をかき乱したからだった。
「スーパーペーパーマリオ」および後述の「「2番手」キャラクター」も参照。
長年2プレイヤー用のキャラやパーティゲーム要員としての活躍しか無く、後発キャラのヨッシーやワリオにまで主役作を先に発表されてきたルイージであるが、『ルイージマンション』で主役の座に就いた。これはニンテンドーゲームキューブ本体との同時発売タイトルでもあった。なお、日本未発売のものでは、地理学習ゲーム『Mario is Missing!』にて初の単独主役を経験しているものの、任天堂はライセンス供与のみで同作の開発・販売に関わっていない。
RPGシリーズにおける第1作目である『スーパーマリオRPG』では取扱説明書や一部のセリフ、エンディングにしか顔を見せず、『マリオストーリー』でもマリオが冒険に出ている間は、家でずっと留守番役をしている脇役ぶりであった。
しかし、『マリオ&ルイージRPG』ではマリオのパートナーとなり、それまでのRPG作品から一転して主役級のキャラクターとなる。もっとも、冒険の先々で(マリオと同じように旧知の仲であるはずのクッパにすら)「緑のヒゲ」、「頼りないヒゲ」呼ばわりされ、名前すら覚えられていなかったり、海を渡る際、マリオにハンマーで平べったく叩き潰され、サーフボード代わりにされる(しかもルイージは水面に顔をつけているので息継ぎが出来ない状態)といった扱いを受けていた。このシリーズの続編においてもマリオの良き相棒として様々な活躍を見せたが、やはり地味で臆病な面が強く押し出されている。
『ペーパーマリオRPG』では、エクレア姫を助けるために単身冒険に出ている。しかし、彼の勇姿はゲーム本編には収録されていない。仲間の話を聞く限り、旅先で迷惑ばかりかけていたとのことである。ただし、エクレア姫は無事に救出しており、それなりに活躍していた模様。作中では、彼の冒険の内容を書いた本『スーパールイージ』シリーズが(かなり話を美化した上で)発売されており、ベストセラーになっているとされる。
『スーパーマリオ64』では出番がなかったが、リメイク版『スーパーマリオ64 DS』では操作キャラとなり、ゲーム中では64版に登場したスケスケマリオ(透明マリオ)の能力を受け継いだ「透明ルイージ」に変身することができる。また、彼特有の能力として、短時間の水面歩行などもある。しかし、ゲーム中の解説(看板)によれば、透明ルイージは影が薄いから、水面歩行は水に浮くほど存在が軽いから可能なのである。また、同作品では敵キャラだけでなく味方キャラ(キノピオ、赤ボム)からも見下されている(キノピオの中には彼を尊敬する者もいるが)。
『スーパーペーパーマリオ』では、ヨゲン書に書かれた予言の成否を左右する重要な人物として登場。そのため、ノワール一味に洗脳されたり、洗脳が解けた後はマリオ達の仲間となって同行するが、最後で再び洗脳されるなど、その立場は二転三転する。洗脳されている間は、先述のように自ら「ミスターL」と名乗り、専用メカ「エルガンダー」(後に「エルガンダーZ」へと強化)と共にマリオ達の前に立ちはだかる。
『スーパーマリオギャラクシー』では、最初は「ファントムギャラクシー」内の館に幽閉されているが、救出した後はいくつかのパワースター探しを手伝ってくれるようになる。しかし、パワースターを見つけるのはいいものの、毎回のように向かった先から帰れなくなっている。迎えに行って彼が見つけ出したスターを受け取ると、マリオの後ろでちゃっかりポーズを決めるというお茶目な行動も見せる。また、スターを120個集めると、ルイージをプレイヤーキャラとして使うことが可能になる。しかし、シナリオはマリオのものと変わっていないため、場面によってはルイージが同時に2人登場することとなるのだが、ルイージ本人はそれを「自分によく似た人」としか思っておらず、ほとんど気に留めていない。そのため、マリオのとき同様、褒めることもあれば文句を言うこともある。
『ルイージマンション2』では再び主役に復帰し、同時に任天堂が公式にルイージ生誕30周年を記念して2013年を「ルイージの年」と称し、ルイージを例年以上に活躍させる事を宣言した。『ルイージマンション2』は2013年内に国内でミリオンセラーを達成するという、任天堂内で誰もが予想だにしなかった結果を出した[11]。
また、通常のタイトルからの別バージョン扱いではあるが、『New スーパーマリオブラザーズ U』の有料追加コンテンツとして登場し後に単独発売された『New スーパールイージ U』、『ファミコンリミックス2』内に特典として収録された『スーパールイージブラザーズ』など、アクションゲーム作品での主役も勝ち取っている。
『大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ』では、『X』までは全て隠しキャラクターとして登場。このシリーズでは、特にネガティブ色・イロモノ色が強く扱われており、戦闘時に見せるモーション・表情がコミカルかつ奇天烈である(そもそもルイージが初めて「永遠の2番手」と呼ばれたのが本シリーズ1作目である)。
『X』での各キャラ固有の強力必殺ワザ「最後の切りふだ」では「ネガティブゾーン」という、奇妙なダンスを踊るルイージを中心に奇妙な球状空間を形成する(さらにアレンジされた『ルイージマンション』のテーマ曲まで入る)技を繰り出し、「最後の切りふだ」までも後ろ向きという“ルイージらしさ”をプレイヤーに見せつけた。
単なる2プレイヤー用、パーティゲーム用のキャラとしてではない、独自の活躍を見せる機会は確実に増えてはいるものの、ルイージ自身は既に任天堂から公に言及されている通り、控えめで臆病で地味なキャラクターである事が公式設定となっており、任天堂もこの方向で作品作りを進めている[12]。
最新作の『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS/Wii U』では発売前から参戦が発表され、初めて最初から選べる基本キャラクターとして登場した。最後の切りふだが「オバキューム」に変更されている他、ジャンプ時に足をばたつかせるようになった。
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