明治時代の結婚に関する民法の特色(明治の結婚 明治の離婚より)
- 家族(戸籍を共にする者 )の統率者として「戸主」をおく。戸主は家長権をもって家族全員を支配・指導すると同時に扶養する義務を負う。また、祖先の祭祀を司祭し、家産を一人で継承する。
- 戸主は、原則として年長の男子であるが、死亡・生死不明・隠居などで交替する。女性のみの世帯では年長者が「女戸主」となり、入り婿の場合も妻が戸主となることがある。
- 婚姻(法的な結婚)や養子縁組をするときは、男が30歳未満、女25歳未満の場合は父母の同意とともに、戸主の同意も必要とする。
- 戸主が死亡した際には、長男子1人のみに家督と家産の単独承継を矯正する(拒否はできない)。
- 妻は、すべての財産や決定権を夫に吸収されて「法的無能力者」となる。このため、所有権・管理権・相続権・(子に対する)親権など一切が与えられない。
- 離婚は夫婦の協議のみでできる。ただし25歳未満の場合は、親の同意を必要とする。協議できないときは、どちらかからも離婚の訴えを起こすことができる。※1
- 戸主が死亡した場合、最年長男子(すなわち長男)が単独で相続人となり、例外を認めない。
- 死亡した戸主に、嫡出の男子がないときには、嫡出の女子に先んじて庶子(父が認知した婚姻外の子)の男子が家督相続人となって、家の全財産を相続する。
- 家族員(戸主以外の人)が死亡したときには、普通の「遺産分割」の規定がある。しかし、家族員が大きな遺産を作ることはまれであったから、適用されることは滅多になかった。
※1
法定離婚原因は、8項目については夫婦共通であったが、姦通については「妻が姦通をなしたるとき」「夫が姦淫罪に因りて刑に処せられたるとき」と大きな差があった。戦前の刑法では、妻の姦通だけが処罰され、離婚原因のひとつになっていた。
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