ピノキオ
原題:Pinocchio
公開:1940/2/7
時間:88分
監督:ベン・シャープスティーン、ハミルトン・ラスク
原作:カルロ・コロッディ
1995 2003(SP) 2009(SP) 2009(Pt)
ストーリー
旅するコオロギ、ジミニー・クリケットは、時計職人ゼペットの家に辿り着き、一晩過ごすことにする。その家には木でできた操り人形ピノキオがいた。その晩、ゼペットが夜空の星に「ピノキオを本当の人間の子供にしてください」と願をかけると、真夜中に青い妖精ブルー・フェアリーがやってくる。ブルー・フェアリーはピノキオに生命を与え、「善悪を判断し、善い行いをすれば人間にしてあげましょう」と言う。成り行きから、ジミニーが勲章を褒美に、ピノキオの良心を務めることになる。ゼペットは生命を持ち、自由に動いて話をするピノキオを見て、大喜び。
翌朝、ピノキオはジミニーと学校へ通い始める。登校初日、ずるぎつねのJ・ワシントン・ファウルフェローとネコのギデオンのコンビに目をつけられてしまう。2匹は糸なしで動く操り人形のピノキオを人形座に売り飛ばし、儲けようと企んでいた。「スターの暮らし」を説くファウルフェローの誘惑に乗ってしまったピノキオは、親方のストロンボリに気に入られ、人形劇のスターとなる。
しかし、ストロンボリはピノキオを金の成る木としか考えていなかったため、鳥かごに閉じ込められてしまう。そこへ、ブルー・フェアリーが現れるが、学校をサボったことを隠そうと嘘をつくとピノキオの鼻が伸び始めた。ブルー・フェアリーはピノキオに「嘘はその嘘を隠すためにどんどん大きくなる」と教える。ジミニーの説得もあり、ブルー・フェアリーからチャンスをもらったピノキオは脱出し、家に帰る。
家に帰る途中、再びファウルフェローとギデオンに呼び止められ、遊びの島・プレジャー・アイランドへ行こうと誘われる。またも誘惑に乗ってしまったピノキオは馬車に乗り、島へ向かう。悪童のランプウィックと親しくなったピノキオはジミニーの忠告に聞く耳を持たなくなってしまう。諦めたジミニーだったが、この島にいる子供はロバになってしまい、町に売り飛ばされることを突き止め、ピノキオの救出に向かう。
ランプウィックはすでにロバになっており、ピノキオにもロバの耳としっぽが生えてしまった。ジミニーはピノキオを連れて島を脱出し、家へと帰る。家に帰ると、ピノキオを心配して探しに行ったゼペットが、クジラの王様・モンストロに飲み込まれてしまったことを知る。
2人は救出に向かい、モンストロに飲まれるが、ピノキオの知恵と勇気でゼペットと共に脱出する。そして、モンストロの逆鱗に触れたピノキオはゼペットをかばい、体力を使い果たして気を失ってしまう。ピノキオが死んだと思い、悲しみにくれるゼペットとジミニー。そこへ、ブルー・フェアリーが現れ、ピノキオの行動をたたえ、本当の人間の子にする。ピノキオは目を覚まし、ゼペットと喜びを分かち合う。
そんなピノキオ達を横目に、旅を続けるため窓から出ようとしたジミニーがブルー・フェアリーの星を見上げて礼を言うと、ジミニーの胸には立派な勲章がつけられていた。
既要
心を持つ木彫りの人形ピノキオが、本当の人間になるために、誘惑に負けず、正直・勇敢であることの大切さを学んでゆく物語。ディズニーの長編アニメーション映画第2作として公開された。
製作開始当時、シナリオやキャラクターの創作は困難な仕事であった。原作が社会風刺小説であることもあり、主人公のピノキオがその象徴である悪戯っ子であり、残酷さも持ち合わせていたのである。前作・「白雪姫」(1937年)と違い、そんなピノキオを主人公にしても、観客の同情が得られないと考え、ピノキオのキャラクター性を大胆に脚色することとなった。初期のディズニーキャラクターは、人間の場合は5本指、人間ではないキャラクターは4本指であった。前作の七人のこびと同様、ピノキオの指が4本指なのは人間以外の生き物であるためである。
今やディズニーの名脇役としておなじみのジミニー・クリケットは本作のキャラクターである。原作では「物言うコーロギ」という口うるさいだけの地味なキャラクターであった(終盤、ピノキオに誤って殺されてしまう)。そのため、初稿では登場させないつもりであったが、スタッフはこのコオロギを善人にし、ピノキオの良心役兼ストーリーテラーに起用した。ジミニーの生みの親であるウォード・キンボールはコオロギであると同時に、「耳のない小さな人間」をモチーフにしたという。ジミニーは本作以降も、「ミッキーのクリスマスキャロル」(1983年)などでも活躍している。
ウォルトは「白雪姫」(1937年)に登場するしゃべらないこびとのおとぼけを気に入っており、本作にも同じ要素を求めていた。その役目を担当したのはネコのギデオン。ギデオンはピノキオを誘惑するコンビで、J・ワシントン・ファウルフェローの相方である。ディズニーのライバルとも言えるワーナー・ブラザーズで一人でほぼ全役を担当していたメル・ブランクがギデオンの声を担当したが、こうした経緯の中ですべてカットされた。しかし、本作に登場するギデオンのくしゃみやしゃっくりはブランクによるものである。
AFIアメリカ映画100年シリーズでのランクイン歴がある。
映画主題歌ベスト100 (2004年):7位
感動の映画ベスト100 (2006年):38位(アニメではトップ)
アニメ映画ベスト10 (2008年):2位(ディズニーが、「シュレック」(ドリームワークス)を除く9枠を独占した)
キャラクター
初公開版 | 旧版 | 再公開版(ソフト版) | ||
ピノキオ | ディッキー・ジョーンズ | 堀江美都子 | 後藤真寿美 |
辻治樹(Buena Vista版) 常盤祐貴(Special Edition版) |
ジミニー・クリケット | クリフ・エドワーズ | 坊屋三郎 | 江原正士 / 鈴木みのる (歌) | 肝付兼太 / 田村しげる(歌) |
ゼペット | クリスチャン・ラブ | 三津田健 | 内田稔 | 熊倉一雄(Buena Vista版)
槐柳二(Special Edition版) |
J・ワシントン・ファウルフェロー | ウォルター・キャトレット | 三升家小勝 | 関時男 / 山崎しげる(歌) | 山田康雄 |
ブルー・フェアリー | イヴリン・ベナブル | 松田トシ | 小沢寿美恵 | 一城みゆ希(Buena Vista版)
天野由梨(Special Edition版) |
ストロンボリ | チャールズ・ジュデルス | 中村哲 | 遠藤征慈 | 大塚周夫 |
コーチマン | チャールズ・ジュデルス | 古今亭今輔 | 金尾哲夫 | 辻村真人 |
ランプウィック | フランク・ダロ | 畑爽 | 牛山茂 |
内田崇吉(Buena Vista版) 沼田祐介(Special Edition版) |
ギデオン | メル・ブランク(Special Edition版) | - | - | はせさん治(Special Edition版) |
フィガロ | クラレンス・ナッシュ | - | - | - |
クレオ | ルース・クリフォード | - | - | - |
モンストロ | サール・レイブンズクロフト(Special Edition版) | - | - | 原康義(Special Edition版) |
黒い吸魂鬼 | メル・ブランク | - | - | - |
アレキサンダー | ニック・カーソン | 佐々木清和 | 下川久美子 |
宮川陽介(Buena Vista版) 加藤翼(Special Edition版) |
マーティー先生 | マイケル・E・ロジャース(Special Edition版) | - | - |
結城比呂(Special Edition版) |
打っ壊しさん | 岡田吉弘 | 寺田農 | ||
ピエロおじさん | 小山武宏 | 山崎哲也 | ||
ケンカおじさん |
西本裕行 | 作間功 | ||
インディアン煙草おじさん | 吉水慶 | 中村正 |
※ジミニーの歌声は旧・新版ともに同じ俳優が担当している(江原正士ではない)。また、ファウルフェローの歌声も旧版では別の俳優が担当しているが、新版では山田康雄が担当している。
- 初公開版:1958年12月15日公開。
- 再公開版:1983年7月23日公開。1993年8月20日「金曜ロードショー」。
- 旧版:1986年4月25日発売。※旧VHSに収録(販売元:ポニー、バンダイ)
- ソフト版:1995年3月17日、再公開版に一部追録してビデオ発売。※Blu-ray・DVD・新VHS収録
※ジミニーの歌声は旧・新版ともに同じ俳優が担当している(江原正士ではない)。また、ファウルフェローの歌声も旧版では別の俳優が担当しているが、新版では山田康雄が担当している。
- 初公開版:1958年12月15日公開。
- 再公開版:1983年7月23日公開。1993年8月20日「金曜ロードショー」。
- 旧版:1986年4月25日発売。※旧VHSに収録(販売元:ポニー、バンダイ)
- ソフト版:1995年3月17日、再公開版に一部追録してビデオ発売。※Blu-ray・DVD・新VHS収録
== スタッフ ==
=== 映像制作 ===
{| class="wikitable" style="font-size:smaller;"
| 製作 || '''ウォルト・ディズニー'''
|-
| 原作 || '''カルロ・コッローディ'''
|-
| 脚本 || テッド・シアーズ、オットー・イングランダー、ウェッブ・スミス、ウィリアム・コトレル、ジョゼフ・サボ、アードマン・ペナー、オーレリアス・バタグリア
|-
| 音楽 || '''ネッド・ワシントン'''、'''リー・ハーライン'''、'''ポール・J・スミス'''
|-
| キャラクター・デザイン || ジョー・グラント、アルバート・ハーター、ジョン・P・ミラー、キャンベル・グラント、マーティン・プロヴェンセン、ジョン・ウォルブリッジ
|-
| イメージボード || ドン・クリステンセン
|-
| ピノキオ(人形)担当作画監督 || フランク・トーマス (アニメーター)|フランク・トーマス
|-
| ピノキオ(人間)担当作画監督 || ミルト・カール
|-
| ゼベット担当作画監督 || アート・バビット
|-
| ジミニークリケット担当作画監督 || ウォード・キンボール
|-
| フィガロ、クレオ担当作画監督 || エリック・ラーソン
|-
| ランプウィック担当作画監督 || フレッド・ムーア
|-
| ストロンボリ担当作画監督 || ビル・ティトラ
|-
| モンストロ担当作画監督 || ウォルフガング・ライザーマン
|-
| レイアウトチャック || チャールズ・フィリッピ、ヒュー・ヘネシー、ケンドール・オコーナー、テレル・スタップ、ソー・パットナム、マクラーレン・スチュワート、アル・ジンネン、ブルース・ブッシュマン、アーサー・ハイネマン、チャールズ・ペイザント
|-
| ピノキオ(人形)担当原画 || オリー・ジョンストン
|-
| J・ワシントン・ファウルフェロー、ギデオン担当原画 || ジョン・ラウンズベリー
|-
| 原画 || レス・クラーク、チャールズ・オーガスト・ニコルズ、ジャック・キャンベル、バーニー・ウルフ、ドン・ダグラディ、ドン・ラスク、ノーマン・テイト、ジョン・ブラッドベリー (アニメーター)|ジョン・ブラッドベリー、リン・カープ、アート・パーマー<br />ジョシュア・メダー、ドン・トービン、ロバート・マーシュ、ジョージ・ローリー、ジョン・マクマナス、ドン・パターソン、プレストン・ブレア、マーヴィン・ウッドワード、ヒュー・フレイザー (アニメーター)|ヒュー・フレイザー、ジョン・エリオット<br />ウォルト・ケリー、ケン・オブライエン (アニメーター)|ケン・オブライエン
|-
| 美術監督 || ケン・アンダーソン (美術監督)|ケン・アンダーソン、ディック・ケルシー、ジョン・ハブリー
|-
| 背景 || クロード・コーツ、マール・コックス、エド・スター、レイ・ハッファイン
|-
| 仕上 || マーセリット・ガーナー
|-
| 撮影 || ボブ・ブロートン
|-
| 録音 || ウィリアム・E・ギャリティ
|-
| 音響効果 || ジム・マクドナルド
|-
| 編集 || ロイド・L・リチャードソン
|-
| 助監督 || フォード・ビービ、ルー・デブニー、ジム・ハンドレ、グラハム・ヘイド、マイク・ホロボッフ、ラリー・ランズバーグ
|-
| キャラクター彫刻制作 || ワウ・チャン
|-
| コンセプトデザイン || グスタフ・テングレン
|-
| J・ワシントン・ファウルフェロー、ギデオン担当演出 || ノーム・ファーガソン、T・ヒー
|-
| 演出 || ビル・ロバーツ、ジャック・キニー、ウィルフレッド・ジャクソン
|-
| 監督 || '''ベン・シャープスティーン'''、'''ハミルトン・ラスク'''
|-
| 制作 || ウォルト・ディズニー・プロダクション
|-
|}
=== 日本語版制作 ===
≪1959年版≫
{| class="wikitable" style="font-size:smaller;"
|-
| 総指揮 || ジャック・カッティング
|-
| 台本 || 田村幸彦
|-
| 訳詞・音楽監督 || 三木鶏郎
|-
| 編集 || 上田忠雄
|-
| 録音 || 国際ラジオセンター
|-
| コーラス || ダークダックス|ダーク・ダックス<br />リズム・シスターズ
|-
|}
≪1983年版≫
{| class="wikitable" style="font-size:smaller;"
|-
| 総指揮 || ブレーク・トッド
|-
| 翻訳・演出 || 金田文夫
|-
| 訳詞 || 島村葉二
|-
| 協力 || テアトル・エコー
|-
| 音楽協力 || 日本コロムビア|コロムビア・レコード
|-
| 録音 || 東亜映像録音株式会社
|-
| コーラス || ミュージック・クリエイション
|-
|}
== キャラクターとしてのピノキオ ==
原作におけるピノキオ(ピノッキオ)に関しては『ピノッキオの冒険』参照。
* 『ハウス・オブ・マウス』で、ミッキーマウスと共演。ペインとパニックにより、悪の道に反れたり、良心役のジミニー・クリケットと離れたりしてしまうが、自分の力で、危機を乗り越える。
* 『キングダムハーツ』では、自分の心を奪われるが、ジミニーの呼びかけから我に返る。
* シンデレラ城ミステリーツアーでの登場は、肖像画のみ。
* イッツ・ア・スモールワールドでは、イタリアの男の子がピノキオ人形を持っている。
* 東京ディズニーシーではパーク内の1エリアであるメディテレーニアンハーバーの代表的キャラクターとなっている。
* 東京ディズニーシー・ホテルミラコスタの外装、内装はピノキオの原作の舞台であるトスカーナ地方をモデルの1つとしており、それに因んで、立体駐車場の各階のシンボルキャラクターにピノキオの登場人物が用いられている。
=== テレビでの放送 ===
* 1993年8月20日に金曜ロードショーで放送された。
* 2009年11月21日にディズニー・チャンネルで放送された。
* 2011年12月30日にWOWOWで放送された。
* 2013年10月20日にDlifeで放送された。
* 2016年2月24日にNHK BSプレミアムで放送された。
=== 出演作品 ===
* ピノキオ(1940年)
* ロジャー・ラビット(1988年)
* ハウスオブマウス(2001年)
* キングダム ハーツ(2002年)
* 東京ディズニーランドの東京ディズニーランドのアトラクション|アトラクション
** ピノキオの冒険旅行
** イッツ・ア・スモールワールド
** シンデレラ城ミステリーツアー
* Kinect: ディズニーランド・アドベンチャーズ
== 挿入歌 ==
* 星に願いを(When You Wish Upon a Star)
* リトル・ウッドゥン・ヘッド(Little Wooden Head)
* 困ったときには口笛を(Give a little Whistle)
* ハイ・ディドゥル・ディー・ディー(Hi-Diddle-Dee-Dee)
* もう糸はいらない(I've Got No Strings)
2003年6月6日発売の『ピノキオ -スペシャル・エディション-』DVDのPRソングとして『星に願いを』を矢沢永吉がカバーしたものが使用された。
== 脚注 ==
{{reflist}}
== 関連項目 ==
* アメリカン・アニメーションの黄金時代
* ディズニーの短編映画#フィガロの短編映画シリーズ|フィガロの短編映画シリーズ - 本作で脇役として登場したフィガロがミッキーファミリーに招かれ、数作の短編映画作品に出演している。
* ジミニー・クリケットのクリスマス - 本作で準主人公及びストーリーテラーとして登場したジミニーの名前を冠する。
* ディズニー・オン・アイス
== 外部リンク ==
* {{bcdb title|14|Pinocchio}}
* ピノキオ紹介サイト[http://www.disneystore.co.jp/amuse/character/ha/pinocchio.html ディズニーストア公式サイト「キャラクターブック」]
* {{Allcinema title|19326|ピノキオ}}
* {{Kinejun title|7667 |ピノキオ}}
* {{Amg movie|38183|Pinocchio}}
* {{IMDb title|0032910|Pinocchio}}
{{ディズニーの長編アニメ映画}}
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:ひのきお}}
Category:1940年のアニメ映画
Category:アニメ作品 ひ|のきお
Category:小説を原作とするアニメ映画
Category:児童文学を原作とするアニメ映画
Category:ディズニーのアニメ映画
Category:ピノッキオの冒険
category:アメリカ合衆国のファンタジー映画
category:ファンタジーアニメ映画
Category:玩具を題材とした映画作品
category:人形を主人公にした物語
category:アメリカ合衆国のミュージカル映画
Category:アメリカ国立フィルム登録簿に登録された作品
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧