「なるほど、なら今回は予算組から何までいっそ君に託しちゃおうかな!」
「はい。その厚い信頼には必ず、相応の成果で応えてみせるつもりです」
「期待してるよお~?██クン、僕もできりゃあ楽をしたいしねえ」
少しの会話だけを挟んで、目の前の男は2,3束の書類を俺の手に落としてガキみたいに脳足りんな笑みを向けた。
俺は軽く会釈を終えると室長室を後にして、まだ未定の予算表を眺めながら自分のロッカーへと向かう。
ああ、まだ抑えねばならないというのに思わず口角が上がってしまう。あたりを見渡して一度冷静さを取り戻す。よし。
今回は何に使おうか……これだけの規模ならば多少誤魔化したところで、ましてや、あのうすのろのことだ。全く気にも留めやしないだろう。あんなのでも室長というのだから全くもってお笑い種だ。
目を覚ます。酷く寒いし頭は痛むわ前後の記憶もない。ああ、こりゃあ酔い潰れたんだろうな。ゆっくりと瞼を開く。
そこには池があった。
水面には、水面には全く見たこともない顔が映っていた。
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