化粧指数

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某日。

ウチは上司である九洲梨の命で、とある顔見知りのところへ出向いていた。

開発局、サンドスター研究所、室長室。身分ばかりが高いあんにゃろの元へ。

扉の前につく。コンコン、とノックを3回ほど繰り返す。反応はない。

……いつもこうだ。やむを得ない、足に全力を込める。

 

「呼び出しておいて居眠りでもこいてんのかボケナス!」

全力で扉を蹴り出す。最近はもっぱらこっちのほうがノックになってる節があるように思えてならない。

がたんっという物音がしたあと、ざーーーっと何かが散らばる、あるいは山が崩れたかのような音がする。

そうしてしばらく待った後にようやく、扉は開いた。

「やあ、大層なノックの仕方だね。……正直取立屋か何かだと思って心臓に悪いからやめてくんないかな」

「そんならちゃんとノックしてるときにでてきたらえーねんドアホ。……なんか疲れたから飲み物貰うで」

崩れた資料の山に埋もれて苦笑する彼を尻目に、冷蔵庫から炭酸飲料を取り出す。よく冷えていて、走ってきて乾いた喉に染み渡りそうだ。

「あ、待ったそれは……」

 

[おじさん専用だよ]とあるが知ったこっちゃない。当て付けも兼ねて一気に飲み干してやる。……少々薬臭い。ドクぺみたいな味がする……?

「それは幻肢痛を意図的に起こす薬品を飲みやすくテストするために作った試作品なんだ……調整に苦労したのにい」

 

 

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