魔女と夜明けへ 前夜

ページ名:無限ループって怖くね?

まどろむ私は夢を見ていた。

私はどこか広い屋形の小さな黒猫で、栗毛の女性に優しく抱き寄せられている。

暖かい温もりと、鼻腔をくすぐって逃げていく、甘い香り。とても心地よくて、これが明晰夢だとわかってても、いや、わかってるからこそ目が覚めたくないものだと思った。

それでも、いつまでも夢の中で意識を保つことはできずに、ゆっくりと眠るように目は覚めていく。

ああ、どうか終わらないで。

 


残念なことに夢からは覚めた。瞼を開き、目を凝らし、視線だけを上下する。

あるのはベッドと見知らぬ天井、それと十字架なんかを模したインテリアたち。

とりあえず、自分が今居るのは教会か何かなのだけを理解した。そしてそれが夢の中の景色とも、自分の家ともつかないどこかであることも……。いや、厳密には「違う」と確信しているだけで、そこがどうだったか、いや、実在するのかすらわからない。

 

「おはよう、ヘ-ゼル。目覚めの気分はどうかしら?」

 

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧