CEL-2-1999/EMはその性質から侵入することも、遠距離攻撃による駆除も不可能でしょう。これまでも、これからも。 野生AGコード231番の回収作戦は放棄すべきで、有限の資源はより多くを守る隠蔽措置に注がれる必要があります。 ‐理事会役員「白群」 |
「よう、藍沢ちゃん。少しお願いがある、」
「な、なんでまたそんなことを……?」
「」
「早く引き返して、みんなのところに帰れなくなっちゃうよ」
「いいっていいって。忘れっぽい連中ばかりでよ、俺一人居ないくらいじゃあ気づきゃあしねえよ」
「それでも、あなたが大切に思ってた人だって……」
「あーそいつらには悪いと思ってる。でも俺だってもう覚えてねえんだ、だから、どちみちそいつのとこには帰れねえ」
「……」
「嬢ちゃん、主役交代だ」
・『指揮者』は進行を務めるだけでなく、その進展の都度記述をノートに追加していた。それが妨害されている間、演劇に進行はなかった。
「自己犠牲たあな。人もまだまだ捨てたものじゃないよなぁ、レイ」
「あーまあ、拾えたもんでもないけどねえ。それより、先の作戦だが確証はあるんだろうね?」
「確証はないが確信はある。俺を信じてくれ」
「はは、そいつぁ無理な相談だ。それくらいならまだそこらの終末論のがまだ、信用しがいがあるってものさ」
「ふん、そうかい」
「おいおい、拗ねるなよ。あたしの命は君の先導にかかってるんだぜ?やる気出してくれよ~」
「わかってるさ。そこまでガキじぁゃないよ」
「よーしいい子だ。」
「だが俺も人間だ、うっかりミスするかもな?」
「ふへ、しっかり集中してほしいとこさね……見えてきたな。」
「随分趣味のいい新型アトラクションじゃないか。これだけギラギラしてりゃ例え昼間でも目印にもってこいだな。」
「だろう?」
「お涙頂戴のフィナーレは涙がちょちょ切れそうになるよな。だが私に言わせりゃ食傷気味なのさ」
「だからそうだな。例えばこんなのはどうだ?「Acta est Fabula(芝居は終わりだ)、自由あれ」ってな」
黒いカラスは奪い取った『台本』に筆を走らせる。短い、短いたった一行の言葉。
それが劇団にとっては何よりも致命的な、銀の弾丸だった。
『指揮者』は今までに聞いたことのないような甲高い悲鳴をあげると自ら核をくり抜き、『黒子』と『演者』は蜘蛛の子を散らしたように逃げ去った。そうして後には『劇場』だけが残る。
「悪くない幕引きだったんじゃあないか、トリにあんたのダンスショーが付けばほぼ完壁に近い。」
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