【夜間セルリアン交戦時の防犯カメラ映像より抜粋】
氏名:文武与三郎(ぶんぶ よざぶろう)男性/年齢不詳(推定20代)
身分:大道芸人/パーク要注意人物
管理権限:0
観測区域:カントーエリア
容姿:いわゆるコスプレを思わせるような、時代がかった着物と笠、竹刀に風呂敷を身に着けています。
口元には常に楊枝か煙草を咥えており、印象的な顎鬚を蓄えた青年といった風体をしています。
人物概要
文武氏はカントーエリアにてしばしば手品や竹刀のパフォーマンスなどの大道芸を行い、その投げ銭でパーク内の施設やサービスなどを利用している身元不詳な男性です。無許可でのこうしたパフォーマンスは無論違法であり、また迷惑行為にあたるため、ADLBの出動による確保が度々実行されますが、確保には成功しても事情聴取の前後に逃亡してしまうため、完全な抑止にはいまだ至っていません。また、長期間滞在しているのにも関わらず一切の出入園記録がありません。
このことから、現在は筆頭要注意人物として登録されており、優先的な確保が実施されます。
なお芸をしていない間は概ね焼酎を飲みながら酔っぱらって周囲を彷徨っているか、辺りのベンチで昼寝をしているのが大半の時間を占めています。
「今だ!」って思って捕まえようとするんだけど近付くと起きるんだよな……。狸寝入りでもしてんのかよ‐ADLB職員
人格についてですが、まず第一として上述の生活の記述から見えるように自堕落なきらいがあります。これは受け答えに表れるほか、ある程度お金が貯まるとギリギリになるまで稼ごう(これは繰り返すように違法なのですが)とせず遊び回るなどといった面から顕著にみられます。
また、諧謔を含んだ冗談をよく好み、決まった時間にテレビ街へ出ては放送される落語番組を見て、また帰路につく報告を頻繁に受けている他、彼と会話を交わしたことがある職員からは「ブラックジョークとか皮肉とか、あと品のないネタも割と笑っていた」といった情報も確認されています。
来園者の子供やAGについての関係性ですが非常に好意的であり、手品のアンコールに何度も答えたりタネを甲斐甲斐しく教える、遊び相手になったり喧嘩しているのを見ると仲裁に向かうなどといった様子が見られています。
よく見られる仲裁のパフォーマンスとしては、風船の犬を一瞬で作り、その中に大量のお菓子やじゃぱりマンを忍ばせて渡す、といったものが見られます。
そのため彼を知る人物には、よっちゃんの兄いと呼ばれ親しまれており、しばしば確保に来たADLBに対して匿われることもあります。過去、実際に彼を匿った幼児に理由を尋ねてみたところ「顔面髑髏のやべーやつとその部下に追われてるでござるよ、某を助けて欲しいでござる。拙者死にたくないでござる」と話していた、との供述を受けています。
なお余談ですが、この供述からみて、「拙者」と「某」で一人称が統一できていないため、あまりキャラクターは固められていないものであると考えられます。
事件記録:山間部を散策していた氏が中型セルリアンと接触するのが防犯カメラで確認されました。開始時には竹刀による殴打の抵抗がみられましたが、効果はやはりなくそのままへし折られました。
その後、突然胸元からまるで生成するかのように真剣を取り出して抜刀し、長時間の交戦の後切り伏せ撃退しました。
人間が単身で中型以上のセルリアンを撃退するのは非常に稀です。人間でない可能性が言及されています。
補遺:防犯カメラの映像を見たCDC職員の「ルーベ」から「あいつは人間じゃなくてAGだ」という指摘を受けたため、現地調査時にけものプラズムの検査を実施したところ、飛散していた刀片から有意な数値が検出されました。このことから、氏の確保を一旦中断し、AGであるかの真偽を検証が優先されます。
会話人物 | 会話内容 |
インタビュアー | |
身体能力について:平均的な狸属のAGとほぼ同一であり、取り立てる要素はありません。
わざ:「化生ざんまい」
男性の士族に変化するわざですが、隠神刑部などと違い、広い範囲に化ける逸話を持たないためか、その一種類を除いては一切の変身能力を持ちません。その分精度は高く、けものプラズムを検出するなどの直接手段を講じない限りは殆ど見分けることができません。ただし、犬科のAGは一瞬でこれを看破することができます。これは犬が狸の天敵であり、何に化けても一瞬で見分けて食ってしまう、という逸話から来るものであると考えられています。
また、この「わざ」に含まれるかは懐疑的ではありますが、変身中の彼女は相手に「騙されていると疑わせる」ことに異様に長けている点が見られます。手品のミスディレクションはもちろんのこと、確保時の通行人のインシデントなど枚挙に暇がなく、これも調査する余地があるとして、観察が続けられます。
野生解放能力:「斬捨て御免」
「生きたいがために立ち向かう」感情をトリガーとして発動する、刀状のけものプラズムを生成し攻撃する野生解放能力です。その最大威力や用い方は類例種と概ね共通するのですが、特異な点として、「化生ざんまい」を発動している状態であるほうがその威力が向上する、特に「斬捨てる」所作のときに命中精度が高まるなど、変身を前提にした特性が見られます。
さしずめ化狸は変身こそがその本質ということだろうか?‐主任研究員
単に変身時に振ってることが多いからって経験値の問題じゃわい‐与三郎
動物情報
「与三郎狸」は変化に長けた化け狸の化生であり、お三狐との化かし合いの逸話でその記述が見られます。
伝承についてですが、典型的な化け狸が同じく典型的な化け狐と比較してそうであるように、怪物に化けることに関してはあまり適正を持たず見劣りましたが、話術や心理戦に強く、本物の大名行列を偽物である(変化した対象である)と誤認させて化かし合いに勝ったというのが概ねの筋道として挙げられます。
これは近世で混同ないし変化が多く、お三狐と立場が逆転する場合もあれば、そもそも登場することがなく、お三狐と村人に置き換えられたものなど様々なものが存在しているとされます。
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