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珍道中シリーズ(英語Road to...、「…への道」の意)は、ビング・クロスビー、ボブ・ホープ、ドロシー・ラムーアを主役にした、アメリカ合衆国の7本のコメディ映画のシリーズである。「ロードもの Road pictures」ともいう。
本作品群は、いずれも冒険、喜劇、恋愛、そして音楽を組み合わせたものであり、ミュージカル映画としての側面も持っている。
最小限のプロットはギャグ、およびクロスビーとホープが撮影中に放つ大量のアドリブに重点を置いたものであり、「バリ島」までの各作品ではヒロインのラムーアを巡ってクロスビーとホープが恋のさや当てを繰り広げるパターンも繰り返される(たいていの場合、勝ちを収めるのはクロスビーで、最後にホープがぼやくという流れである)。
大量の楽屋落ちは、ほかのハリウッドの俳優への目配せや、パラマウント映画へのジャブに満ちている。パラマウント社は『ミサイル珍道中』以外の全作の製作配給元である。
作中には、ボブ・ホープが「第四の壁」を破る瞬間がたびたび登場する。一例として『バリ島珍道中』では、壁を破ったあとに、カメラ目線で観客に向かって、「(クロスビーが)もうじき歌うぜ、お客さん。さあ、席を立ってポップコーンを買ってきな」と言い放つ。
また、ハリウッド映画における「ご都合主義」を逆手に取ったギャグも多い。敵に囲まれる危機を迎えたクロスビーとホープが、次のシーンでは「どうしてあそこで無事だったんだろうね?」「説明しても信じてもらえないだろう」とまともな危機脱出の説明もなしで無事に進んでしまうようなくだりは、その最たるものであろう。
ギャグやおふざけは多いが、挿入される音楽の質は高く、作曲家のジミー・ヴァン・ヒューゼンや作詞家のジョニー・バークらが優れた挿入歌を多く作り、主としてクロスビーの歌唱で流された。その中には後世に残るスタンダードとなったバラードの例も多い。代表は「モロッコへの道」の挿入歌「ムーンライト・ビカムズ・ユー」、「南米珍道中」の挿入歌「バット・ビューティフル」などであろう。
なお、『ミサイル珍道中』以外の全作品が製作国(米国)に於いてパブリックドメインとなっている。
※日本では次の作品も加えて、「8本のシリーズ」とされ、8番目に公開された。クロスビーとラムーアは出演していない。
1977年、8作目(日本でいえば9作目)の「珍道中シリーズ」として、若返りの泉への道(Road to the Fountain of Youth)、つまり『若返りの泉珍道中』が企画されたが、その年、クロスビーが心臓発作で亡くなってしまった[1]。そのさらに2年後、ホープがジョージ・バーンズとともに新作映画を撮る可能性をアナウンスしたが、それは実現しなかった[2]。
フォックス放送のテレビアニメシリーズ『ファミリー・ガイ』には、3作の「珍道中シリーズ Road to...」があり、オリジナルの「ロードもの」のパロディにしたものである。ブライアンとスチューイを主人公とし、各話、『ロード島珍道中 Road to Rhode Island』、『ヨーロッパ珍道中 Road to Europe』、『ルパート珍道中 Road to Rupert』と題されている。『ドイツ珍道中 Road to Germany』はすでにアナウンスされているが、まだ放送されてはいない。
ドリームワークス社の映画『エル・ドラド 黄金の都 The Road to El Dorado』(2000年)は、タイトルからわかる通り、「珍道中シリーズ」から名づけられている。
『スパイ・ライク・アス』(監督ジョン・ランディス、1985年)は本シリーズへのオマージュである。ボブ・ホープがワン・シーン、カメオ出演している。
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