ツギハギ漂流作家

ツギハギ漂流作家とは、週刊少年ジャンプで2006年10号～32号まで連載された漫画作品である。作者は西公平。

概要

未開の地での冒険活劇をしたためた「漂流録」というジャンルが出版物の95%を占める世界で、漂流作家である吉備真備（きびの まきび）の冒険を描いた物語である。細かい設定は何故かWikipediaに記事があるのでそちらを参照。

全3巻で打ち切り。率直に言って、評判は芳しくない。しかし、ネット上でよく見かける『どこかの海賊漫画みたいなキャラで、どこかの未開のものを追い求める漫画みたいな展開』という評価だけでは、この漫画を正確に表現しているとは言いがたい。

この漫画全体を覆っている不条理さ・理不尽さ、主人公を筆頭とする登場人物の不愉快さの前には、その内容やキャラがパクリかどうかは大きな問題ではない。たとえば、通りがかる作家を20人殺害したジジイが「人騒がせ」で済まされた上に、その後主人公の支援者として再登場する展開などを見るに、打ち切りも已む無しと言える。ギャグみたいな漫画なのに人命は妙に軽い。

名言

最終話の主人公のセリフ「何が嫌いかより何が好きかで自分を語れよ!!!」は、本作唯一にして最大の名台詞であり、今も各地で目にするが、実際このセリフが飛び出すまでの過程はちゃんと読んでもらいたい。せめて一度はこの漫画を通して読んでから使うべきである。

…と書いても読んでもらえない気がするのでネタバレを書くが（以下反転）

このセリフは猫嫌いと犬嫌いに分かれて本気で殺しあってる村人を止めるための叫びである。

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セリフだけ広まった結果

いまだに上記の名言だけが拡散し続けており、読んだことがなくてもセリフだけ知っている人が年々増えているようだ。

と同時に、主人公がルフィに似ていると言われていたせいか（作品全体で見るとそこまで似てるとも思えないのだが…問題のコマに限って言えば口の描き方が非常によく似ている）、元の画像だけでなく、ルフィに言わせるコラ画像もかなり流布している。しかも何種類もある。

原作の知名度があまり高くないことも災いし、ルフィの画像しか知らない人や、そもそもルフィのセリフだと誤解している人まで出てきた。

パロディの多いライトノベル『のうりん』でも、このセリフが出てくる場面がある。そのアニメ版第8話ではツギハギ原作の顔をベースにしつつも、若干ルフィ成分を加えた感じの顔で言わせており、原作のコマだけでなくコラ画像からも影響されていることが伺える。

続き、2014年3月19日発売、『週刊少年ジャンプ』創刊45周年企画のゲーム『ジェイスターズビクトリーバーサス』で、キャラクター図鑑のルフィのボイス「通常24」に、なぜかONE PIECEと一切関係ない「何が嫌いかより何が好きかで自分を語れよ！」が……

こちらもコラ画像に影響されたことは火を見るより明らかであるが、コラだと知っていてわざとやったのか、それともコラ画像を本物と勘違いしたものか、判断する材料は存在しない。

もっとも、ONE PIECEかツギハギのどちらか片方だけでも読み込んでいたなら、これがONE PIECEのセリフではないことは気付くはずである。わざとやっていると考えるほうが自然だろう。

しかし、少なくともジャンプ作家である西公平先生に許可を取った形跡はない。

これは問題があったようで、このセリフは発売3ヶ月後のアップデートで差し替えられた。

本作の登場人物は歴史上の人名が使われているが、作者の西公平先生はその後歴史漫画家としても活動している。

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