新型コロナウイルス感染症の世界的流行_(2019年-)

ページ名:新型コロナウイルス感染症の世界的流行_(2019年-)
この項目では、2019年11月末に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行について説明しています。
  • ウイルス(SARS-CoV-2)については「SARSコロナウイルス2」をご覧ください。
  • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の詳細については「新型コロナウイルス感染症 (2019年)」をご覧ください。
  • 各国・各地域の具体的な流行状況については「国・地域毎の2019年コロナウイルス感染症流行状況」をご覧ください。
  • 各国・各地域の社会・経済的影響については「2019年コロナウイルス感染症による社会・経済的影響」をご覧ください。

新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) > 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) > 新型コロナウイルス感染症の世界的流行

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行
新型コロナウイルス感染症の流行状況を示した地図(適宜更新)

 感染者100,000人以上

 感染者10,000-99,999人

 感染者1,000–9,999人

 感染者100–999人

 感染者10–99人

 感染者1–9人

2020年1月12日〜2月29日にCOVID-19患者が確認された地域の拡大を示した動く地図
疾病新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)
ウイルス株SARSコロナウイルス2 (SARS-CoV-2)
最初の発生中華人民共和国湖北省武汉市

北緯30度37分11秒 東経114度15分28秒

場所世界
初発症例2019年11月17日
確定症例数88,421,128人以上
回復者数63,548,979人以上
死者数1,904,701人以上
感染地域220カ国・地域

新型コロナウイルス感染症の世界的流行(しんがたコロナウイルスかんせんしょうのせかいてきりゅうこう)とは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染によって引き起こされる急性呼吸器疾患(COVID-19)の世界的流行のことである。2019年末から流行が始まり、感染拡大を阻止する過程で、世界の体制を再編する事態となった。
ビデオまとめ (スクリプト)



目次

概要


発生源とされる武漢華南海鮮卸売市場の空撮。左手に見えるのが正面玄関。消毒チームが付近の消毒を行っている(2020年3月4日撮影)。前述の通り、潜伏性の高い新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)により引き起こされたパンデミックである。全世界が感染症の危険に晒された事で、ロックダウンや入国制限、オリンピック延期・縮小など、人類が過去に経験していない事態に陥った。パンデミックを収束させるために実施されたロックダウンなど各種政策において、反グローバリズム、反民主主義的な措置も一部必要となり、世界の体制に大きな変化を及ぼした。コロナ以後の世界では社会生活のオンライン化が顕著な反面、行動の自由では従来より大きく後退し、経済活動が大きく縮小した。外食,観光,レジャー,興行,公共交通等、未だオンライン化できない商業活動もあり、巣ごもりの状況は実体経済を着実に蝕むため、コロナワクチンの接種により行動の自由を回復する事が急務となっているが、ニューノーマル(人間活動の新たな常態)への適応も始まっている。

経緯

2019年11月22日に中華人民共和国湖北省武漢市で「原因不明のウイルス性肺炎」が初めて確認され、その後は武漢市内から中国大陸に感染が拡がり、中国以外の国家と地域に拡大していった。新型コロナウイルスの特徴はこれまでの重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)等と同様と思われていたが、過去にない潜伏性の高さから、人類の経済活動を利用して急速に感染を拡大し、2020年1月30日に世界保健機関 (WHO) は6回目となる「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態 (PHEIC)」を宣言 した。2月28日にはこの疾患が世界規模で流行する危険性について最高レベルの「非常に高い」と評価し、3月11日、テドロス・アダノムWHO事務局長はWHOの基準を逸脱してパンデミック(世界的流行)相当との認識を表明した。

パンデミック発生以降、あまりにも未曾有過ぎる事態に情報が錯綜し、世界では人種差別やイデオロギー対立などの問題も一気に顕在化した。新型コロナウイルスの流入を防ぐため、世界各国は入国制限を掛けたが、新型コロナウイルスの潜伏性の高さから流行の影響は180以上の国と地域に及び、中国、韓国、イタリアやスペインを始めとした欧州、日本、米国などでは大規模な流行が発生している。これにより、世界各国の主要都市で相次いでロックダウン(都市封鎖・移動制限)が実施され、需要やサプライチェーンを阻害したことで、コロナ・ショックと呼ばれる社会・経済的影響も引き起こしている。特に、デジタル化出来ない事業に対する大幅な需要減(特に旅行・伝統文化・イベント業界の売上高は2020年5月の前年同月比で軒並み99%減)とサプライチェーンの混乱が実体経済に深刻なダメージを与えた。その後行われた、経済活動と感染拡大防止の両立を目指した世界各国の対応は難航しており、多くの国が経済活動を再開した結果、全世界の感染者数は再び指数関数的に伸び始めている。コロナ・ショック前後の社会を区別するため、『ビフォアコロナ』『アフターコロナ』『ポストコロナ』『アンダーコロナ』『ウィズコロナ』などの用語も提唱されている。

SARS-CoV-2が研究途上のウイルスであることから、未だに先の見えない状況が続いている。2020年10月2日時点で、感染は215の国と地域で起きており、感染者34,205,773人、死者1,021,576人、回復者23,104,496人となった。また、世界の感染者数は指数関数的な伸びを続けている。WHOが、1918年に発生したスペインかぜのパンデミックと比較を行っていることから分かる通り、人類史上最悪クラスのパンデミックと言える。

新型コロナウイルス感染症の特徴

SARS-CoV-2と呼ばれるコロナウイルスは、中国の湖北省武漢市の武漢華南海鮮卸売市場で初めて同定された。SARS-CoV-2は主として、咳やくしゃみで出た呼吸器飛沫あるいはドアノブなど手に触れるものを介して、インフルエンザウイルス等と同様の経路でヒト・ヒトの間で感染する。感染から発症までの時間は通例5日であるが、人によって2日から14日までの幅がある。

「したたかなウイルス」と言われるように、宿主に感染を把握され難くなるような特性を示し、ウイルスが非常に拡散しやすい上に、突然死にも繋がりやすい。多くの場合、感染しても無症状のまま経過することが多く感染の自覚に乏しい(ウイルスのキャリアとなる)が、症状としては発熱、咳、息切れ、味覚または嗅覚の異常、寒気や悪寒、頭痛、のどの痛み、筋肉の痛みなどを伴うことがある。合併症としては、肺炎や急性呼吸窮迫症候群などを伴うことがある。死亡例では、患者は無自覚なまま血中酸素濃度が危険な水準まで低下し(無自覚な重症化)、息苦しさが現れてから病院に駆け込んでも酸素マスクの装着が間に合わず呼吸不全で死亡する例が多い。酸素マスクを装着するには数時間必要であるため、自覚症状が出ていない段階で感染者が医療機関に行く必要があるが、医療関係者でも自覚症状が無ければ重症化しているかどうかは判断し難い。

SARS-CoV-2に対しては特効のある抗ウイルス治療薬が存在せず、研究が進められている。臨床では、症状管理および支持療法を主眼とした取り組みが行われている。推奨されている予防策としては、手洗い、病気にかかっている人との距離を保つこと、さらに感染が疑われる場合には14日間の自己隔離および経過観察を取ることなどが挙げられる。

一方で、PCR検査で陽性反応が出て入院し、その後の検査で陰性となり症状も落ち着いたため退院したが、最初の発症から2週間以上経過して、再び検査で陽性となった事例も出てきており、コロナウイルスの再活性化か別の型の再感染の可能性が指摘されている。

2020年末に至り、世界各地で変異型が現れており、以前のコロナウイルスよりも感染力が強まった事が確認されている。

コロナ・ショック

経済的にも打撃は大きく、国際通貨基金 (IMF) は、2020年の世界GDP成長率が-4.4%になるとの予測を発表した。この負の成長率は2008年のリーマン・ショック時の-0.1%を遥かに超える値で、1929年の世界恐慌(当時の世界GDP成長率は-15.0%)以来の大恐慌となり、各界でコロナ・ショックとも称された。金融市場のみが混乱したリーマン・ショックよりも、実体経済が破壊され、民間企業、特に中小企業で倒産・解雇・雇止め・賃下げ・賞与減が相次いでいるという意味ではコロナ・ショックの方が性質が悪いと言われており、また失職・社会全体の機能停止・停滞にともなう精神的疾患による自殺も激増している[要出典]。感染拡大は加速し続けているため経済回復の目処も立っていない。この状況下で、20世紀末から順次整備されてきたオンライン環境を使ってシャットイン・エコノミー(家に閉じこもる経済)の実践が始まり、外出時はソーシャル・ディスタンスを確保するなど、世界経済はITを最大限活用する方向に変化して行った。デジタル化の急進によりオンラインサービスを提供するIT企業の業績は伸びており、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は期せずして経済におけるゲームチェンジャーとなった。例えばIT業界トップ企業群と言われるGAFAMの内、マイクロソフトは2020年4〜6月期でAzure関連の売上高は47%増加、Xbox関連の売上高は64%増加、Surface関連の売上高は28%増加した。この収支報告の中で、同社CEOのサティア・ナデラは「COVID-19は私たちの仕事と生活のあらゆる側面に影響を与え、この2か月間で2年分のデジタルトランスフォーメーションが見られた」と述べている。また、インターネット・インフラへの高負荷発生が報告されており、緊急時におけるインターネット・インフラの重要性が明らかとなった。世界最大のコンテンツデリバリネットワークによりインターネット通信量の15〜30%を取り仕切っているとされるアカマイ・テクノロジーズは、Webのトラフィックが最大で前年比2倍にも増加した事を確認しており、未経験のトラフィック量であるが遅延なくコンテンツ配信が行えているとのことである。この経済活動の変化は、政財界でニューノーマルとして認識された。

ワクチンの開発と接種

COVID-19におけるワクチン開発の手法には、技術的ブレイクスルーという観点で特筆すべきものが有る。本来は、人体における安全性を担保するために、数十年以上(長いものでは100年以上)の開発期間でワクチンが開発されるが、未だにワクチン開発が成功していないHIV,マラリア等の感染症が多数存在し、ワクチン開発を断念したSARS等の感染症もまた存在する。そのような高度な技術的困難が有るにも関わらず、経済崩壊を回避してパンデミックを収束させるためには1年未満という超短期で開発を行う必要があった。2020年、アメリカの製薬企業のファイザーとモデルナは、mRNAワクチンという新技術によって、従来の常識を覆してワクチン開発の期間を大幅に短縮できると主張したが、実用化はCOVID-19のワクチンが最初であり、安全性については未知数な部分が多い。今の所ファイザーとモデルナのコロナワクチンが最速での実用化となる見通しで、良好な治験結果も併せて、世界から最有力と目されている。2020年11月17日、アメリカの製薬企業モデルナは、開発中のワクチンについて94.5%の有効性があるとする暫定的な結果を発表した。2020年11月18日、アメリカの製薬大手ファイザーは、開発中のワクチンについて95%の有効性があるとする最終的な分析結果を発表した。2020年12月8日、英国で一般向けのコロナワクチン接種が開始された。日本では早ければ2021年2月中にも承認するかどうか結論が出る見通しで、これを見据え政府は2月下旬をめどに医療従事者、3月下旬をめどに高齢者、その後基礎疾患のある人などに優先して接種を開始できるよう体制の整備を急いでいる。mRNAワクチンの主成分であるRNAは保存を考えた場合には崩壊しやすいため、超低温度でのコールドチェーンの技術開発も急がれている。

また、日本企業のアンジェスからもコロナワクチンの第2段階の治験が開始されたことが発表され、2021年3月頃に第2段階の治験が完了する見通しである。その後、最終段階の治験を経てアンジェスのコロナワクチンが実用化される。2021年の中盤でようやくアンジェスのワクチンが実用化されるため、日本は他国と比較した際に、コロナワクチン開発で大きく出遅れた格好となる。

しかし、新型コロナウイルスについては感染者の把握が困難であり、最有力とされるファイザーとモデルナのmRNAワクチンでも終生免疫が出来ない傾向が観測されている事から、引き続き社会的規制の実施や、数ヶ月おきの定期的なワクチン接種が必要になると言われている。コロナワクチンの副作用は十分に検証されておらず、未だ楽観視出来ない状況にある。

疫学

「SARSコロナウイルス2#ゲノム配列」および「国・地域毎の2019年コロナウイルス感染症流行状況」も参照

2019年12月下旬、中華人民共和国の湖北省武漢市で原因不明の肺炎のクラスター(小規模の集団感染)が発生したことが保健当局によって報告された。最初の患者群は主に武漢華南海鮮卸売市場との関連がみられたため、ウイルスは動物原性感染したものと考えられている。この感染を引き起こしたウイルスは、コウモリコロナウイルス、センザンコウコロナウイルス、およびSARSコロナウイルス(SARS-CoV) と密接な関連のある新たなウイルスとして、後にSARS-CoV-2と命名された。このウイルスはキクガシラコウモリ属のコウモリに由来するものと信じられている。それ以前の12月1日に、武漢華南海鮮卸売市場への曝露歴も、新型ウイルスが検出された最初のクラスターの残りの40人との接触歴もない人において、最初の症状が発生したことが報告されていたことも後に判明している。この最初のクラスターのうち、3分の2は生鮮市場(英語版)との関連がみられ、生きた動物を売っていたこともわかった。

一方、2020年11月に学術誌「Tumori Journal」で発表されたイタリアの国立がん研究所の研究によると、2019年9月から2020年3月までに採取した肺がん検査受診者(959人)の血液検体を調べたところ、11.6%(111人)の検体から新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に特異的な抗体が検出されており、2019年9月に採取した検体でも14%(23人)から検出された。このことから、湖北省武漢市で報告された前述の症例より以前から世界にウイルスが広まっていた可能性があることも指摘されている。

2020年1月31日、世界保健機関(WHO)は感染症の発生を受けて、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態 (PHEIC) を宣言した。WHOのテドロス・アダノム[疑問点 – ノート]事務局長は2月24日の時点で、世界の他の地域でこの疾病の市中感染が持続している可能性があったにもかかわらず、「かなりの数の症例を回避するため」と、ウイルスに対する中国の対応への賞賛を維持していた。

初期の段階において、症例数はおよそ7日と半日ごとに倍増した。2020年1月上旬から中旬にかけて、春節の人の移動に加えて、中国の交通の結節点である武漢から国中に感染した人々が急速に拡散したことも手伝って、ウイルスは中国の他の省にも広がった。中国は1月20日、北京の2人と深圳の1人を含め、一日に140人近く新たな患者が発生していることを報告した。後の公式データが示したところでは、1月20日までに既に6,174人のウイルス感染患者が症状を発症していたとされる。

WHOは2020年2月26日、中国で新たな感染者の報告数が減少傾向にあるものの、イタリア、イラン、および韓国で感染者数が急に増加しており、2月25日には初めて、中国以外の新たな感染報告数が中国の新たな感染報告数を上回ったと報告した。

2月26日の時点では、子どもの症例はほとんど報告されていなかった。

3月20日には、WHOの事務局長談話において「喫煙はCOVID-19の重症化リスクを高める」との発表を行っている。

死亡例

COVID-19で死亡した人に関して、症状が発症してから死に至るまでの日数は6日から41日までの幅があり、中央値は14日であることが示されている。

2020年9月30日現在、COVID-19が原因で、100万人以上の死亡者が出ている。中国の国家衛生健康委員会によると、死亡した人の大多数は高齢者であった。死亡者の約80%は60歳以上の高齢者で、75%は心血管疾患や糖尿病などの持病があった。

最初に死亡例が確認されたのは、2020年1月9日、武漢でのことだった。中国以外で最初に死亡例が発生したのはフィリピンで、アジア以外での最初の死亡例はフランスであった。さらに北朝鮮では、コロナウイルスが原因で200人の兵士が死亡したとみられている。

図表


  • 国ごとのCOVID-19の確定症例数を示した地図(百万人あたり、2020年4月28日時点)

  • 国ごとのCOVID-19の確定死者数を示した地図(百万人あたり、2020年3月20日時点)

  • 確定症例総数のグラフ

  • COVID-19の流行曲線(英語版)(報告日基準)

感染の拡大

この節の加筆が望まれています。

「中国本土における2019年コロナウイルス感染症の流行状況」および「国・地域毎の2019年コロナウイルス感染症流行状況」も参照

2019年8月

2020年6月時点の情報として、「デジタル伝染病学」に基づいたボストン大学のイレーン・ゾイジーらの研究チームによると、2018年1月から2020年4月に撮影された武漢市の衛星写真111枚の分析結果やインターネット検索エンジン百度での特定の症状が検索された頻度などから、COVID-19に特有の症状とされる「下痢」の検索数が8月に急増しており、8月には新型コロナウイルスの流行が始まっていた可能性があるとともに、下痢が「市中感染において重要な役割を果たした可能性がある」との指摘もあるが、同指摘にはCOVID-19によるものかどうか何ら客観的な事実は判明していない。

2019年9月

2020年11月現在、イタリア国立がん研究所の研究によると、2019年9月から2020年3月までに肺がん検査を受診した受診者から採取した血液を調べたところ、11.6%の受診者から新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に特異的な抗体を検出。このうち、14%は2019年9月、30%は2020年2月に採取された検体から新型ウイルスの抗体が出来ていたことが検出され、後に中華人民共和国の湖北省武漢市で報告された症例より以前から世界にウイルスが広まっていた可能性があることが後に発表された。ただし、このイタリア国立がん研究所の研究には批判が集まっており、「たとえ昨年(2019)9月にイタリアで新型コロナウイルスが存在していたとしても、必ずしもそこが起源だということにはならない」という指摘もある。

2019年11月

  • 11月17日 - 湖北省出身の55歳の男が新型コロナウイルスの中国国内での最初の症例であった可能性があるが、中国当局はデータを公開しなかったとサウスチャイナ・モーニング・ポストが報じている。

2019年12月

  • 12月8日 - 中国の湖北省武漢市の保健機関により原因不明の肺炎患者が初めて報告された。
  • 12月16日 - CDCの後の調査で、12月13日から16日にかけてアメリカ西海岸でアメリカ赤十字社に献血された血液検体39件から、新型コロナウイルスの抗体が発見された。
  • 12月18日 - イタリア国立衛生研究所(英語版)が後に実施したイタリア北部の汚水処理施設から採取した40の下水サンプルの分析によると、12月18日時点のミラノとトリノの下水サンプルから新種のコロナウイルス「SARS-Cov-2」の遺伝子の痕跡が確認され、中国が12月31日に初の新型コロナ感染を報告する以前にイタリア北部でウイルス感染が始まっていた可能性があることが裏付けられた。
  • 12月27日 - フランスでインフルエンザのような症状があった患者から、12月27日に採った検体を、後日検査したところ、新型コロナウイルスの陽性反応があった事が明らかになった。
  • 12月30日 - 原因不明の肺炎について記載された公文書を勤務先の病院で発見した李文亮がWeChatに画像として投稿した。2020年1月7日、原因が新種のコロナウイルスと特定された。
  • 12月31日 - 世界保健機関(WHO)への最初の報告が行われた。

2020年1月

  • 1月1日 - 華南海鮮卸売市場を閉鎖。
  • 1月7日 - 原因が新種のコロナウイルスであることを確認。
  • 1月9日 - 最初の死者が出た。
  • 1月13日 - 中国国外として初となる、タイでの感染者を確認。
  • 1月16日 - 日本での感染者を確認。
  • 1月17日 - CDCの後の調査により、2019年12月13日から1月17日までにアメリカでアメリカ赤十字社に献血された血液検体7389件のうち、106件から新型コロナウイルスの抗体が発見された。
  • 1月19日 - 韓国での感染者を確認。
  • 1月20日 - 広東省でのヒト - ヒト感染が確認されたことが発表。クルーズ客船「ダイヤモンド・プリンセス号」が横浜港を出港。
  • 1月21日 -  中華民国台湾、アメリカ合衆国での感染者を確認。
  • 1月22日 - マカオでの感染者を確認。
  • 1月23日 - 武漢市が人の出入りの制限を始める。香港、シンガポール、ベトナムでの感染者を確認。
  • 1月24日 - ネパールでの感染者を確認。
  • 1月25日 - 日本で武漢市在住の30代女性旅行者の感染を確認。マレーシア、フランス、オーストラリアでの感染者を確認。クルーズ客船「ダイヤモンド・プリンセス号」から香港人男性が下船。
  • 1月26日 - 広東省政府は公共の場でのマスク着用を義務付け、違反者に対する罰則を導入。北京市政府が市境を超えるすべてのバスの運行を停止すると報じた。
  • 1月27日 - カンボジア、スリランカ、ドイツ、カナダでの感染者を確認。
  • 1月29日 - アラブ首長国連邦、フィンランドでの感染者を確認。中国全土で感染者が確認。
  • 1月30日 - フィリピン、インド、イタリアでの感染者を確認。
  • 1月31日 - ロシア、スウェーデン、イギリス、スペインでの感染者を確認。WHOが国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を宣言。

世界的に防疫体制が敷かれ、武漢市に対して各国民を帰還させるチャーター便が送られると共に中国以外の国では中国を経由しているクルーズ客船から下船できない乗客も現れた(以降参照)。SARS-CoVが流行した2003年時点よりもグローバル化が進み、SARS-CoV-2感染者に無症状の場合も多いという特徴もあって、防疫が難しく、SARS-CoV-2は急速に世界中に広まって行った。また、ネットとマスメディア双方が「コロナ」の話題で埋め尽くされ、不正確な情報が大量に飛び交う「インフォデミック」状態に陥った。困窮状態にある消費者心理に付け込んだ、生活必需品の高額転売なども起きた。

2020年2月

  • 2月1日 - クルーズ客船の「ダイヤモンド・プリンセス号」から香港で1月25日に下船した香港人男性の感染を確認。
  • 2月2日 - 上海市当局などが国内の工場から買い上げたことで世界的にマスクが品薄になり、高額転売を行う者も現れた。フィリピンで中国国外初の死亡者が確認された。
  • 2月3日 - 火神山医院が完成。
  • 2月4日 - ベルギーでの感染者を確認。
  • 2月5日 - 雷神山医院が完成。日本では集団感染を起こしたクルーズ客船「ダイヤモンド・プリンセス号」が、日本政府の指示により大黒埠頭沖で14日間の隔離措置を開始した。
  • 2月6日 - CDCの検査により、カリフォルニア州サンタクララ郡で2月6日と13日に自宅で死亡した2名を検死したところ、新型コロナウイルスが発見された事が明らかになった。
  • 2月7日 - SNSで最初に新型肺炎についての報告を行った医師の李文亮が死亡。
  • 2月8日 - 武漢で60代の日本人男性1名が新型肺炎により死亡。新型肺炎による日本人初の死亡を確認。
  • 2月11日 - WHOが新型コロナウイルスの感染による疾患を「COVID-19」と命名、ICTVがこのウイルスを「SARS-CoV-2」と分類、命名した。湖北省が、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスによる死者が103人、感染者が2,097人増えたと発表。同日時点で中国本土の死者は計1,011人となり、感染者は4万2千人を超えた。
  • 2月13日 - 日本で初の死亡者が確認された。新型コロナウイルス感染の疑いがある乗客がいるとしてフィリピン、日本、台湾、アメリカ領グアムに入国拒否されたクルーズ客船「ウエステルダム号」がカンボジアに入港。渡航歴のない千葉県の20代男性が感染。
  • 2月14日 - エジプトでの感染者を確認。
  • 2月15日 - フランスで初の死亡者を確認。中国以外で3カ国目の新型コロナウイルスによる死者の確認。
  • 2月16日 - 台湾で初の死亡者を確認。中国以外で4カ国目の新型コロナウイルスによる死者の確認。
  • 2月19日 - イランでの感染者と死亡者を確認。
  • 2月21日 - 日本での感染者が100人を超えた。レバノン、イスラエルでの感染者を確認。
  • 2月24日 - アフガニスタン、イラク、クウェート、バーレーン、オマーンでの感染者を確認。
  • 2月25日 - オーストリア、スイス、クロアチア、アルジェリア、ブラジル での感染者を確認。
  • 2月26日 - 日本で2人目の死亡者を確認。韓国での感染者が1,000人を超えた。パキスタン、ジョージア、ルーマニア、ノルウェー、北マケドニア、ギリシャ での感染者を確認。
  • 2月27日 - デンマーク、エストニア、ベラルーシ、オランダ、サンマリノ、ナイジェリア、メキシコでの感染者を確認。
  • 2月28日 - アゼルバイジャン、アイスランド、リトアニア、モナコ、ニュージーランドでの感染者を確認。
  • 2月29日 - イタリアでの感染者が1,000人を超えた。カタール、アイルランド、ルクセンブルク、エクアドルでの感染者を確認。

2020年3月

  • 3月1日 - アルメニア、チェコ、ドミニカ共和国での感染者を確認。
  • 3月2日 - インドネシア、サウジアラビア、ヨルダン、ラトビア、アンドラ、ポルトガル、チュニジア、モロッコ、セネガルでの感染者を確認。
  • 3月3日 - ウクライナ、リヒテンシュタイン、アルゼンチン、チリでの感染者を確認。
  • 3月4日 - ポーランド、ハンガリー、スロベニアでの感染者を確認。
  • 3月5日 - パレスチナ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、南アフリカ共和国での感染者を確認。
  • 3月6日 - ブータン、スロバキア、セルビア、バチカン、カメルーン、トーゴ、コスタリカ、コロンビア、ペルーでの感染者を確認。世界全体の感染者数が10万人を超えた。
  • 3月7日 - モルディブ、モルドバ、マルタ、パラグアイでの感染者を確認。
  • 3月8日 - バングラデシュ、ブルガリア、アルバニアでの感染者を確認。全世界での感染が確認された国・地域が100に到達した。
  • 3月9日 - ブルネイ、キプロス、ブルキナファソ、パナマでの感染者を確認。
  • 3月10日 - モンゴル、トルコ、北キプロス、コンゴ民主共和国、ジャマイカ、ボリビアでの感染者を確認。
  • 3月11日 - 世界各地での流行についてWHOがパンデミック相当との見解を示した。コートジボワール、ホンジュラス、キューバ、セントビンセント・グレナディーン、ガイアナでの感染者を確認。
  • 3月12日 - アメリカがイギリス以外のヨーロッパからの入国を30日間停止すると発表。スーダン、ケニア、ガボン、ガーナ、トリニダード・トバゴでの感染者を確認。
  • 3月13日 - カザフスタン、コソボ、エチオピア、モーリタニア、ギニア、グアテマラ、アンティグア・バーブーダ、セントルシア、ベネズエラ、スリナム、ウルグアイでの感染者を確認。
  • 3月14日 - ルワンダ、セーシェル、中央アフリカ共和国、赤道ギニア、コンゴ共和国、ナミビア、エスワティニでの感染者を確認。
  • 3月15日 - ウズベキスタン、バハマでの感染者を確認。
  • 3月16日 - ソマリア、タンザニア、ベナン、リベリアでの感染者を確認。中国共産党は支援の医療従事者を湖北省から徐々に撤退させる方針。武漢に在った16か所の臨時病院を10日までに休業した。
  • 3月17日 - モンテネグロ、ジブチ、ガンビア、バルバドスでの感染者を確認。
  • 3月18日 - キルギス、ザンビア、エルサルバドル、ニカラグアでの感染者を確認。
  • 3月19日 - イタリアの死亡者数が中国の死亡者数を上回り、世界最多になった。モーリシャス、チャド、ニジェール、カーボベルデ、ハイチ、フィジーでの感染者を確認。
  • 3月20日 - エリトリア、ウガンダ、マダガスカル、ジンバブエ、パプアニューギニアでの感染者を確認。
  • 3月21日 - 東ティモールでの感染者を確認。
  • 3月22日 - モザンビーク、ドミニカ国、グレナダでの感染者を確認。
  • 3月23日 -  ミャンマー、シリア、ベリーズでの感染者を確認。
  • 3月24日 - ラオス、リビアでの感染者を確認。
  • 3月25日 - マリ、ギニアビサウ、セントクリストファー・ネイビスでの感染者を確認。
  • 3月26日 - アメリカの感染者数が中国、イタリアを上回り、世界最多になった。
  • 3月30日 - ボツワナ、ルガンスク人民共和国での感染者を確認。
  • 3月31日 - ソマリランド、ブルンジ、シエラレオネでの感染者を確認。
    • ロシア政府はアメリカに対し医療器具等を人道支援すると発表し、4月1日に軍輸送機が出発した。

2020年4月

  • 4月2日 - マラウイでの感染者を確認。世界全体の感染者数が100万人を超えた。
  • 4月4日 - 西サハラでの感染者を確認。
  • 4月5日 - 南スーダンでの感染者を確認。
  • 4月6日 - サントメ・プリンシペでの感染者を確認。
  • 4月10日 - イエメンでの感染者を確認。世界全体の死者数が10万人を超えた。
  • 4月11日 - アメリカの死亡者数がイタリアを上回り、世界最多になった。
  • 4月16日 - 世界全体の感染者数が200万人を超えた。
  • 4月18日 - 日本での感染者が1万人、死者数は200人を超えた。
  • 4月28日 - 世界全体の感染者数が300万人、世界全体の死者数が20万人を超えた。アメリカの感染者数が100万人を超えた。
  • 4月29日 - タジキスタンでの感染者を確認。世界保健機関(WHO)の100回目の報告が行われた。
  • 4月30日 - コモロ連合での感染者を確認。

2020年5月

  • 5月10日 - 世界全体の感染者数が400万人を超えた。
  • 5月13日 - レソトでの感染者を確認。
  • 5月21日 - 世界全体の感染者数が500万人を超えた。
  • 5月27日 - アメリカの死者数が10万人を超えた。

2020年6月

  • 6月11日 - アメリカの感染者数が200万人を超えた。
  • 6月20日 - ブラジルの感染者数が100万人を超えた。
  • 6月23日 - 世界の感染者数が900万人を超えた。
  • 6月28日 - 午後7時前、世界の感染者が1000万人を超えた。

2020年7月

  • 7月9日 - アメリカの感染者数が300万人を超えた。
  • 7月17日 - ブラジルの感染者数が200万人を超えた。
  • 7月17日 - インドの感染者数が100万人を超えた。
  • 7月23日 - 世界全体の感染者数が1500万人を超えた。アメリカの感染者数が400万人を超えた。
  • 7月30日 - アメリカの死者数が15万人を超えた。

2020年8月

  • 8月7日 - インドの感染者数が200万人を超えた。
  • 8月8日 - アメリカの感染者数が500万人を超えた。ブラジルの感染者数が300万人を超えた。死者数も10万人を超えた。
  • 8月10日 - 世界全体の感染者数が2000万人を超えた。
  • 8月23日 - インドの感染者数が300万人を超えた。
  • 8月31日 - アメリカの感染者数が600万人を超えた。

2020年9月

  • 9月1日 - ロシアの感染者数が100万人を超えた。
  • 9月3日 - ブラジルの感染者数が400万人を超えた。
  • 9月5日 - インドの感染者数が400万人を超えた。
  • 9月7日 - インドの感染者数がブラジルを抜き、世界第2位となった。
  • 9月16日 - インドの感染者数が500万人を超えた。
  • 9月17日 - 世界全体の感染者数が3000万人を超えた。
  • 9月22日 - アメリカの死者数が20万人を超えた。
  • 9月26日 - アメリカの感染者数が700万人を超えた。
  • 9月28日 - インドの感染者数が600万人を超えた。また、世界全体の死者数も100万人を超えた。

2020年10月

  • 10月1日 - アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領をはじめとする数人の共和党関係者の感染が発覚。ホワイトハウスでクラスターが発生したと見られる。
  • 10月3日 - ソロモン諸島での感染者を確認。インドの死者数が10万人を超えた。
  • 10月7日 - ブラジルの感染者数が500万人を超えた。
  • 10月10日 - ブラジルの死者数が15万人を超えた。
  • 10月11日 - インドの感染者数が700万人を超えた。
  • 10月16日 - アメリカの感染者数が800万人を超えた。
  • 10月19日 - アルゼンチンの感染者数が100万人を超えた。世界全体の感染者数も4000万人を超えた。
  • 10月21日 - スペインの感染者数が100万人を超えた。
  • 10月22日 - フランスの感染者数が100万人を超えた。
  • 10月24日 - コロンビアの感染者数が100万人を超えた。
  • 10月28日 - マーシャル諸島での感染者を確認。
  • 10月29日 - インドの感染者数が800万人を超えた。
  • 10月30日 - アメリカの感染者数が900万人を超えた。
  • 10月31日 - イギリスの感染者数が100万人を超えた。

2020年11月

  • 11月7日 - アメリカの感染者数が1000万人を超えた。フランスの死者数が4万人を超えた。
  • 11月8日 - 世界全体の感染者数が5000万人を超えた。
  • 11月10日 -  バヌアツでの感染者を確認。
  • 11月11日 - イタリアの感染者数が100万人を超えた。イギリスの死者数が5万人を超えた。
  • 11月14日 - メキシコの感染者数が100万人を超えた。
  • 11月19日 -  サモアでの感染者を確認。
  • 11月20日 - インドの感染者数が900万人を、ブラジルの感染者数が600万人を、それぞれ超えた。メキシコの死者数が10万人を超えた。
  • 11月24日 - イタリアの死者数が5万人を超えた。
  • 11月26日 - 世界全体の感染者数が6000万人を超えた。
  • 11月27日 - ドイツの感染者数が100万人を超えた。

2020年12月

  • 12月4日 - 世界全体の死者数が150万人を超えた。
  • 12月8日 - アメリカの感染者数が1500万人を超えた。
  • 12月10日 - トルコの感染者数が統計修正により100万人を超えた。
  • 12月11日 - 世界全体の感染者数が7000万人を超えた。
  • 12月15日 - アメリカの死者数が30万人を超えた。
  • 12月19日 - インドの感染者数が1000万人を超えた。
  • 12月20日 - イギリスの感染者数が200万人を超えた。
  • 12月21日 - 日本の感染者数が20万人を超えた。
  • 12月22日 - 南極にあるチリのオヒギンズ基地で36人の感染があったことをチリ軍が公表。6大陸全てで感染が確認される。同日、ペルーの感染者数が100万人を超えた。
  • 12月24日 - イタリアの感染者数が200万人を超えた。
  • 12月26日 - 世界全体の感染者数が8000万人を超えた。
  • 12月28日 - ロシアの死者数が統計修正により18万人を超えた。

2021年1月

  • 1月1日 - アメリカの感染者数が2000万人を超えた。

世界全体の感染者数と死者数

新型コロナウイルスの全世界の感染者数と死者数の推移を表したグラフを以下に示す。2020年2月1日には感染者が1万人を超え、2月11日には死者が1,000人を超えた。3月7日には感染者数が10万人を超え、3月19日には全世界での感染者数が20万人を超えた。そして3月23日には、全世界での感染者数が30万人を突破した。7月27日13時時点において全世界で1645万人以上の感染者と65万人以上の死者が確認されており、現在も増加している。

2月末時点では、発生国となった中国本土が感染者数と死者数の多くを占めていた(「中国本土における2019年コロナウイルス感染症の流行状況」も参照)。なお、2月13日に感染者数が急増したのは、中国湖北省が新型コロナウイルス感染の認定基準を変更したからである。

3月16日には、中国本土以外での感染者数が中国本土での感染者数を超えた。

一方、中国国家衛生健康委員会は2月14日、検査で陽性であっても発熱や咳のような症状がなければ感染者として発表しないという基準に変更している。

また、3月15日に北京大学の姚洋国家発展研究院長は論文で「地方当局者は『新たな感染者を1人でも出せば処分する』という指令を受けている」と異例の指摘をしている。湖北省では3月18日-19日に新たな感染者が確認されていないが、中国は感染症鎮圧の目標達成を装うために統計データを改ざんしていると指摘されている。

4月18日までのイギリスの死者に介護施設で亡くなった人は含まれていない。これからは入所者に症状が出れば全員検査し、正確なデータも間もなく公表する。

世界におけるCOVID-19の症例数  (
  • 歴)

    死亡        症例数

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 最近15日

日付症例数死者数
2020-12-2376,858,546(+0.75%)1,711,499(+0.68%)
2020-12-2477,539,906(+0.89%)1,725,098(+0.79%)
2020-12-2578,203,356(+0.86%)1,736,900(+0.68%)
2020-12-2678,797,776(+0.76%)1,747,100(+0.59%)
2020-12-2779,231,893(+0.55%)1,754,574(+0.43%)
2020-12-2879,710,750(+0.6%)1,762,093(+0.43%)
2020-12-2980,209,050(+0.63%)1,771,835(+0.55%)
2020-12-3080,783,035(+0.72%)1,784,109(+0.69%)
2020-12-3181,477,457(+0.86%)1,798,120(+0.79%)
2021-01-0181,963,699(+0.6%)1,808,152(+0.56%)
2021-01-0282,582,228(+0.75%)1,818,910(+0.59%)
2021-01-0383,326,479(+0.9%)1,831,703(+0.7%)
2021-01-0483,934,193(+0.73%)1,840,028(+0.45%)
2021-01-0584,476,592(+0.65%)1,848,737(+0.47%)
2021-01-0685,193,484(+0.85%)1,862,132(+0.72%)
出典: 世界保健機関 (WHO) コロナウイルス疾患ダッシュボード

著名人の感染

感染者、死者共に敬称は省略するものとする。

著名人の死者

詳細は「2019年コロナウイルス感染症で亡くなった著名人の一覧」、「Category:2019新型コロナウイルス感染症で亡くなった人物」、および「:w:List of deaths from the 2019–20 coronavirus pandemic」を参照

(英数字・五十音順)

  • 岡江久美子(女優)
  • 志村けん(コメディアン(ザ・ドリフターズ))
  • 末芳枝(声楽家)
  • 善竹富太郎(大藏流の狂言師)
  • 高木椋太(シャンソン歌手)
  • 高田賢三(ファッションデザイナー、KENZOブランド創設者)
  • 續寿菴(刻字彫刻家、毎日書道展審査会員)
  • 松下三郎(全日本柔道連盟元副会長、講道館理事)

著名人の感染・発症者

「日本における2019年コロナウイルス感染症の流行状況#感染が公表された著名人」も参照

(英数字・五十音順)

  • ELLY(ダンサー、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)
  • DJ・ルメイユ(プロ野球選手〈ニューヨーク・ヤンキース〉)
  • J・K・ローリング(作家、ハリー・ポッターシリーズの著者)
  • P!nk(シンガーソングライター)
  • Ryoji(ミュージシャン、ケツメイシメンバー)
  • SWAY(ラッパー、DOBERMAN INFINITY)
  • Toru (ONE OK ROCKのギター担当)
  • 赤江珠緒(フリーアナウンサー)
  • アダム・ピアース(プロレスラー)
  • 阿部サダヲ(俳優)
  • 天木じゅん(女優)
  • 荒波翔(元プロ野球選手、野球解説者)
  • アリッサ・ミラノ(女優)
  • 有村昆(映画評論家)
  • アルベール2世 (モナコ公)
  • アレクサンドル・ルカシェンコ(初代ベラルーシ大統領)
  • アロルディス・チャップマン(プロ野球選手〈ニューヨーク・ヤンキース〉)
  • アントキの猪木(お笑いタレント)
  • アントニオ・バンデラス(俳優)
  • 飯島寛騎(俳優)
  • 石田純一(俳優)
  • 伊藤隼太(プロ野球選手〈阪神タイガース〉)
  • イドリス・エルバ(俳優)
  • 伊野尾慧(Hey! Say! JUMP)
  • 今泉佑唯(元欅坂46、女優)
  • 上杉柊平(俳優)
  • 上野聖和(お笑いコンビ・土居上野メンバー)
  • 歌広場淳(ゴールデンボンバーのBe-su担当)
  • 内海崇(お笑いタレント、ミルクボーイ)
  • ウンベルト・リスポリ(騎手)
  • エド・オブライエン(ミュージシャン、レディオヘッドのギタリスト)
  • エドムンド・ソーサ(プロ野球選手〈セントルイス・カージナルス〉)
  • 遠藤章造(お笑いタレント、ココリコ)
  • 大城卓三(プロ野球選手〈読売ジャイアンツ〉)
  • 大家志津香(AKB48)
  • 岡田隆之介(俳優)
  • おばらよしお(お笑いコンビ・エグスプロージョンメンバー)
  • オルガ・キュリレンコ(女優)
  • オレグ・ワシリエフ(フィギュアスケート選手、サラエボオリンピック金メダリスト)
  • 甲斐翔真(俳優)
  • カイラ・ブラックストン(スポーツキャスター)
  • 片岡篤史(元プロ野球選手、野球解説者)
  • 加藤シゲアキ(NEWS)
  • 金崎夢生(サッカー選手〈名古屋グランパス〉)
  • カラム・ハドソン=オドイ(プロサッカー選手、サッカーイングランド代表)
  • 宮藤官九郎(脚本家・俳優)
  • クリストファー・クロス(シンガーソングライター)
  • 黒沢かずこ(お笑いトリオ・森三中メンバー)
  • 黒沢ともよ(声優)
  • ゲイリー・ホルト(ミュージシャン、スレイヤー、エクソダスのギタリスト)
  • コディ・ウィットリー(プロ野球選手〈セントルイス・カージナルス〉)
  • 小宮璃央(俳優 当時『魔進戦隊キラメイジャー』主演として出演中)
  • 小山慶一郎(NEWS)
  • ゴラン・イワニセビッチ(テニス指導者、バルセロナオリンピック銅メダリスト)
  • ゴリけん(芸人)
  • こんどうようぢ(モデル)
  • 酒井高徳(サッカー選手〈ヴィッセル神戸〉)
  • 榊原徹士(俳優)
  • 坂本勇人(プロ野球選手〈読売ジャイアンツ〉)
  • サッシャ(DJ)
  • 佐藤楓(乃木坂46)
  • 佐藤大樹(FANTASTICS from EXILE TRIBE)
  • 佐野勇斗(M!LK、俳優)
  • 澤田有也佳(朝日放送テレビアナウンサー)
  • ジェイミー・ノーブル(プロレスラー)
  • ジャイール・ボルソナーロ(第38代ブラジル大統領)
  • ジャクソン・ブラウン(シンガーソングライター)
  • ジャンボたかお(お笑い芸人、レインボー)
  • ジュニオール・フェルナンデス(プロ野球選手〈セントルイス・カージナルス〉)
  • 庄司智春(お笑いタレント、品川庄司)
  • ジョン・テイラー(ミュージシャン、デュラン・デュランのベーシスト)
  • 白鳥久美子(お笑いコンビ・たんぽぽメンバー)
  • 白間美瑠(NMB48)
  • 杉浦太陽(俳優)
  • 洲崎貴郁(お笑い芸人、ラニーノーズ)
  • 鈴木ふみ奈(グラビアアイドル)
  • スティーヴ・ディジョルジオ(ミュージシャン、テスタメントのベーシスト)
  • 住吉美紀(フリーアナウンサー)
  • ズラタン・イブラヒモビッチ(プロサッカー選手、ACミラン)
  • 関俊彦(声優)
  • セルジオ・ペレス(F1ドライバー〈レーシング・ポイント〉)
  • 千賀健永(Kis-My-Ft2)
  • 高田川親方(元大相撲力士、元関脇・安芸乃島)
  • 高鳥修一(政治家、衆議院議員)
  • 田北香世子(AKB48)
  • 田嶋幸三(日本サッカー協会会長)
  • 田中裕二(お笑いタレント、爆笑問題)
  • ダニエレ・ルガーニ(プロサッカー選手、サッカーイタリア代表)
  • チェルシー・グリーン(プロレスラー)
  • チャーリー・ブラックモン(プロ野球選手〈コロラド・ロッキーズ〉)
  • チャールズ (プリンス・オブ・ウェールズ)(イギリス王室)
  • チャック・ビリー(歌手、テスタメントのボーカリスト)
  • ちゅうえい(お笑い芸人、流れ星)
  • 塚原直貴(元陸上選手、北京オリンピック、4×100mリレー銀メダリスト)
  • つるの剛士(俳優)
  • ディオスダド・カベジョ(ベネズエラ制憲議会議長)
  • デヴィッド・ブライアン(ミュージシャン、ボン・ジョヴィのキーボーディスト)
  • ドナルド・トランプ、メラニア・トランプ(第45代アメリカ合衆国大統領、大統領夫人)
  • 富川悠太(テレビ朝日アナウンサー)
  • ドミトリー・ペスコフ(ロシア大統領報道官)
  • トム・ハンクス(俳優、映画監督)
  • 永石拓海(サッカー選手〈セレッソ大阪〉)
  • 中川大志(俳優)
  • 長坂拳弥(プロ野球選手〈阪神タイガース〉)
  • 梨田昌孝(元プロ野球選手、野球解説者、元東北楽天ゴールデンイーグルス監督)
  • 錦織圭(プロテニス選手、リオデジャネイロオリンピック銅メダリスト)
  • ヌルスルタン・ナザルバエフ(元カザフスタン大統領)
  • ノバク・ジョコビッチ(プロテニス選手、北京オリンピック銅メダリスト)
  • パウロ・ディバラ(プロサッカー選手、サッカーアルゼンチン代表)
  • 白鷹山亨将(大相撲力士、十両、高田川部屋)
  • はなわ(お笑い芸人)
  • 馬場ふみか(モデル、女優)
  • 速水けんたろう(元「歌のお兄さん」)
  • ビクター・エスピノーザ(騎手)
  • 平井善之(アメリカザリガニ)
  • 平野佳寿(プロ野球選手〈シアトル・マリナーズ〉)
  • 広瀬すず(女優)
  • フアン・オルランド・エルナンデス(ホンジュラス大統領)
  • 福士申樹(タレント、ジャニーズJr.)
  • 藤浪晋太郎(プロ野球選手〈阪神タイガース〉)
  • 藤原“31才”広明(4人組バンド・SUPER BEAVERのドラム)
  • 舩津徹也(サッカー選手〈ザスパクサツ群馬〉)
  • 船津稜雅(超特急)
  • プラシド・ドミンゴ(オペラ歌手、三大テノール)
  • フラビオ・ブリアトーレ(実業家、元ベネトンF1・ルノーF1チーム代表)
  • フレディ・フリーマン(プロ野球選手〈アトランタ・ブレーブス〉)
  • フローレン・ジェルー(騎手)
  • ヘアニネ・アニェス(ボリビア暫定大統領)
  • ベイビーフェイス(ミュージシャン、音楽プロデューサー)
  • ペトロ・ポロシェンコ(第5代ウクライナ大統領)
  • ポール・デヨング(プロ野球選手〈セントルイス・カージナルス〉)
  • ボリス・ジョンソン(第77代イギリス首相)
  • 眞島秀和(俳優)
  • まちゃあき(お笑いコンビ・エグスプロージョンメンバー)
  • マドンナ(歌手)
  • マリアンヌ・フェイスフル(歌手・女優)
  • 丸岡いずみ(フリーアナウンサー)
  • マルッティ・アハティサーリ(第10代フィンランド共和国大統領、ノーベル平和賞受賞者)
  • ミゲル・サノ(プロ野球選手〈ミネソタ・ツインズ〉)
  • ミチェル・ランゲラク(サッカー選手〈名古屋グランパス〉)
  • 八木将康(俳優・劇団EXILEメンバー)
  • ヤディアー・モリーナ(プロ野球選手〈セントルイス・カージナルス〉)
  • 山口もえ(女優)
  • 山崎裕太(俳優)
  • 山田健人(お笑い芸人、ラニーノーズ)
  • 山本恵里伽(TBSアナウンサー)
  • 山本圭壱(極楽とんぼ)
  • 山本裕典(俳優)
  • 山本里菜(TBSアナウンサー)
  • 横浜流星(俳優)
  • 与座よしあき(お笑いタレント、俳優・元お笑いコンビ・ホーム・チームメンバー)
  • 吉岡秀隆(俳優)
  • 吉沢悠(俳優)
  • 吉田仁人(M!LK)
  • 与田祐希(乃木坂46)
  • ユナク(SUPERNOVAのメンバー)
  • ラジバンダリ西井(タレント・元お笑いコンビ・ダブルダッチメンバー)
  • ランス・ストロール(F1ドライバー〈レーシング・ポイント〉)
  • ランス・アーチャー(プロレスラー)
  • ランド・ポール(政治家、アメリカ合衆国上院議員)
  • ランヘル・ラベロ(プロ野球選手〈セントルイス・カージナルス〉)
  • ルイス・セッサ(プロ野球選手〈ニューヨーク・ヤンキース〉)
  • ルイス・ハミルトン(フォーミュラワン、メルセデスAMG王者)
  • ルセフ(プロレスラー)
  • ルネ・ヤング(スポーツキャスター)

動物の感染

「SARSコロナウイルス2#動物への感染」も参照

  • 宝貝(中国語版)
  • ブロンクス動物園 の トラ5頭、ライオン3頭、猫2匹
  • 日本国内の感染した患者から預かった犬2匹

病原体

詳細は「SARSコロナウイルス2#病原体」および「新型コロナウイルス感染症 (2019年)#病理」を参照

2020年1月7日の中国中央テレビ報道によると、この肺炎の病原体は新型のコロナウイルスである。

世界保健機関(WHO)の発表によれば新型コロナウイルスによる肺炎の致死率は3%程度と推定されている。これはSARSの致死率の9.6%よりも低い。なお、スペインかぜが世界的に大流行した時の致死率は、不正確ながら2.5%以上と推定されている。

この新型コロナウイルスはSARSと異なり、肺炎が起こる前にも感染するとされている。

人工ウイルス仮説

新型コロナウイルスについて人工ウイルス仮説が提唱されているが、科学的に妥当な説は未だに提唱されていない。1月30日、インド工科大学の科学者らは、新型コロナウイルス (2019-nCoV)のスパイク領域に4箇所挿入されたシークエンスがあり、それが「HIVエイズウイルスのシークエンスの一部もしくはそれに類似したものである、とする解析論文を科学誌『BioRxiv』(バイオアーカイヴ)に発表し、「ウイルスがこのような独自な挿入を短時間で自然に獲得することはほとんどあり得ない。」という所見を述べた。しかし、直後に多くの研究者等から解析手法自体には大きな誤りはないにしても結果の解釈について、例えばこのような挿入は他のSARS類似ウイルスでも見られる、あるいはUncannyという表現が科学的でなく適切でない、あるいは読者に遺伝子操作を示唆しているかのようにとられかねない、等の批判のコメントが寄せられ、2月2日には著者ら自身が論文を取り下げた。BioRxivでは、2月時点で下記(引用者訳)の注意喚起を全てのプレプリントのWebページに記載している。

bioRxivはコロナウイルス2019-nCoVに関して新しい論文を多数受け取っています。注意:これらは未査読の予備報告です。それらを結論的なものと見なすべきでなく、臨床・衛生関連の行動指針であると見なすべきでなく、また、ニュース媒体では確立された情報と報道すべきではありません。


感染経路

「中国本土における2019年コロナウイルス感染症の流行状況」も参照

初期の感染の中心地とされる武漢華南海鮮卸売市場は名目上水産物専門の市場であるが、記者の調査によると様々な野生動物も同地で取引・処理されていた。鍾南山や中国科学院の研究グループによると、今回もSARSと同じく感染源がコウモリであり、タケネズミ・アナグマ・ヘビ・センザンコウなどの野生動物を介在して人に感染したと見られるとされている。感染経路は他のコロナウイルスと同じく飛沫感染(結膜を通じて感染したケースあり)と接触感染であるが、エアロゾル感染の可能性もあるとみられる。

しかし、2020年2月24日には中国科学院など中国政府系の研究機関が、発生源が武漢市の海鮮市場ではない可能性を示す研究結果を公表した。12カ国から集められたウイルスの遺伝子データの解析の結果、複数のタイプが見つかり、それぞれの拡散状況などから、ウイルスは他の地域で発生し、その後、武漢市の海鮮市場で拡散した可能性があるとし、2019年12月8日と2020年1月6日の2回、大きな拡散があり、2019年11月下旬か12月の初めには、すでにヒトからヒトへの感染が起きていた可能性を指摘した。また、湖北省武漢の当局は、これまで最も早く発症(2019年12月8日)したとされていた患者は武昌区に住んでおり、感染源と指摘された海鮮市場に行っていなかったことが明らかになった。

1月24日、伝染病の患者を収容する武漢金銀潭医院および中国呼吸系統疾病臨床医学研究中心の研究グループは医学誌『ランセット』で最初の41人の感染者を研究する論文を発表した。論文によると、病原体のウイルスはヒトからヒトへの感染(ヒト - ヒト感染)は明らかで、発症初期に発熱の症状がない例もある。また、そのうち27人は華南海鮮卸売市場に行ったことがあったが、12月1日に発症した最初の患者は華南海鮮卸売市場へ行ったことがない。なお、最初の41人の感染者の死亡率は15%であり、SARSと同じレベルである。

同じ日付の香港大学袁国勇教授の論文によると、広東省深圳市に居住する一家6人で武漢市に行ったのち、5人の感染が確認された。うち1人はさらに深圳で現地の1人を感染させた。また、この5人の感染者のうち、1人の子供は感染しながら発症しなかったため、知らずに周りの人を感染させた可能性も高いと見られる。

2月7日、武漢大学病院で検出された感染者数のうち4割は、同大学病院で院内感染したものだと言う内容の論文が発表された。

中国政府の対応

詳細は「中国本土における2019年コロナウイルス感染症の流行状況」を参照

以下では中国政府の対応および関連事象も扱う。

発見と情報規制

2019年12月
  • 12月26日-27日、湖北省中西医結合医院呼吸与重症医学科主任の張継先医師が原因不明な肺炎を発見、報告した。
  • 12月30日、武漢市中心病院救急科主任の艾芬医師は、原因不明の肺炎患者のウイルス検査報告を医師のSNSチャットグループに投稿した。同院の眼科の李文亮医師は、患者からSARSコロナウイルスが検出された検査結果を偶然見かけて、同日午後5時43分に同級生のWeChat(ウェイボーとも)グループで「華南海鮮市場で7人のSARS感染者が確認された」と発信、検査結果と肺のCT検査の写真も送った。同日午後6時42分に「コロナウイルスの感染が確認され、どのタイプかまだ調査中」と補足した。
  • 12月31日、新型肺炎の発生について中国側は初めてWHO中国事務所へ報告した。
2020年1月
  • 2020年1月1日、武漢警察が「インターネット上で虚偽情報を掲載した」として医師ら8人を呼び出した。李医師も当局から31日未明に呼び出され、デマを流したとして「自己批判文」への署名を強要された。艾芬医師は勤務先の病院経由で武漢政府から「パニックを避けるため、情報を外部に公表してはならない」と通知され、その後、病院幹部に「デマを流した」と責められ、今後は一切口外しないよう厳命された。その後、艾は1月初旬に「人から人への感染」を確信するが、発言できなかった。中国政府が人から人への感染を認めたのは1月20日になってからだった。艾芬医師は「もし1月1日に皆が用心できていれば(情報が公表できていれば)、このような多くの悲劇はおきなかった」と後悔の念を後に述べた。
  • 1月3日、武漢市公安局が、「社会秩序を混乱させた」「デマ伝播者」の一人として李文亮に訓戒処分を下した。一部メディアによれば、同日に中国当局は初めてアメリカに新型ウイルスの情報を通達し、その後2月までに計30回情報提供を行った。
  • 1月6日-1月10日、武漢市両会(「人民代表大会」「政治協商会議」)。両会期間は「円満成功」が至上命題であり、負の情報は報告されないため、武漢政府は1月6日から10日にかけての両会期間中は感染者を公表しなかったという見解もある。また1月6日には武漢の湖北新華医院が、新型肺炎に関する情報を外部に漏洩するなと院内に指示した[信頼性要検証]。
  • 1月7日、中国の研究者により本感染症の病原体が新型のコロナウイルスであることが報告され、更に5日後の1月12日にはウイルスの全遺伝子配列が世界中に公開された。
  • 1月10日頃から、1月25日の春節の大型連休(春運)が始まり、延べ14.76億人の大移動が始まった。
  • 1月11日-17日、湖北省両会。1月12日から17日にかけての湖北省の両会期間中にも感染者は公表されなかった。
  • 1月18日、武漢の集合住宅地「百歩亭」には18万人が住むが、ここで4万世帯以上が料理を持ち寄る万家宴が実施された。武漢政府は放置した。この催事で感染拡大に拍車がかかったとみられる。

公式発表と都市封鎖:1月-2月

  • 1月20日、午前、国務院総理の李克強は国務院に中国国家衛生健康委員会(国家衛健委)の鍾南山会長を呼んで報告を聞き、リスク意識の強化を指示した。午後、習近平総書記は「感染蔓延の阻止」「迅速な情報開示」を指示した。夜、鍾南山は国営テレビで「武漢でヒトからヒトへの感染が発生した」と警告し、武漢に行かないように呼びかけた。旧正月に伴う大規模な人の移動(春運:1月10日〜1月25日頃)があるため、保健機関は警戒した。それまで武漢以外の地域から感染情報がないのはおかしいとインターネットで語られていたが、習近平総書記の指示以降、各地方政府から情報が開示されるようになった。ネガティブな情報(感染情報)を中央に報告することで失脚や更迭などの処罰を受けることを地方政府が恐れていたためともいわれる[信頼性要検証]。
  • 1月21日湖北省の蔣超良書記らが春節祝賀の演出に参加していたことが国民から批判された。
    • 同日、WHOの調査チームが武漢天河国際空港、武漢中南病院、湖北省疾病予防管理センター、中国疾病預防控制中心(CDC)のP3(バイオセーフティレベル:BSL-3)研究所などを視察した。
  • 1月23日、中国共産党中央政治局常務委員会からの指示で武漢市が都市封鎖を宣言し、バス、地下鉄、フェリー、空港も鉄道も停止した。同日開催された春節祝賀会で習総書記は祝辞を述べただけで新型肺炎には一切触れなかった。
  • 1月24日、「湖北日報」記者張欧亜は微博で「武漢幹部は交代せよ」と述べ、即時削除された。
  • 1月25日(春節)、党政治局常務委員会議を開催し、政府は海外旅行禁止を決定(27日から)。
  • 1月25日、武漢の作家方方(汪芳)は微博で武漢の防疫状況を記録する形の『武漢日記』を投稿しはじめた。その記録の真偽に巡りSNSで論争を引き起こした。
  • 1月26日、国務院は春節を3日延長、各種学校の開校も延長した。
  • 1月27日、浙江省、上海市が企業の操業再開を2月10日以降とし、学校開講を2月17日以降とした。湖北省は操業再開を2月14日に延期。
  • 1月29日、 中国疾病予防管理センター (CCDC)が米国医学雑誌に発表した論文で、最初の感染者はおそらく12月8日に現れ、「人から人への感染」はすでに2019年12月中旬以降発生していたと報告している。
  • 1月30日、湖北省黄岡市衛生健康委員会主任唐志紅を含む24人が防疫不行き届きのため免職、または処分された。

2020年1月時点では、中国の対策は2003年のSARS流行時と比較して、一部の外国の首脳らから称賛された。トランプ米大統領 や、ドイツのイェンス・シュパーン(英語版)保健相は中国の懸命な対策とその透明性はSARSの時とは大きな違いがあると賞賛した。シンガポールのハリマ・ヤコブ大統領、リー・シェンロン首相、ロシアのプーチン大統領らは「迅速で断固とした対応」を賞賛した。

2020年2月-

  • 2月5日、中国政府は微博(ウェイボ)や微信(ウィーチャット)、ByteDance(字節跳動)の抖音(ドウイン)などのソーシャルメディアの検閲強化を発表した。
  • 2月6日夜、中国メディアは李文亮医師の死去 (享年34)を報道した。
    • 同日、武漢の現状をスマートフォンなどを用いてTwitterやYouTubeなどに投稿していた北京の弁護士の陳秋実が行方不明となる。親族は警察から「隔離された」との連絡を受ける。
  • 2月7日、武漢市民の方斌はに強制連行のため集団が部屋に押し入ってきた動画を投稿して以来途絶える。
  • 2月11日、WHOは新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) による疾患の正式名称を「COVID-19」に決定した。WHOは2015年に、新たなヒト感染症・ウイルスの名称に地理的な位置、人名、動物や食品に関する名前、特定の文化や産業に関する名前を含むべきでないとする方針を定めていた。名称を決めるにあたってWHOの職員は「メディア報道が武漢や中国を使っているが、我々は汚名を着せないようにしたい」と述べた。ジョンズ・ホプキンス健康危機管理センターのクリスタル・ワトソン准教授も「人々が『中国ウイルス』などの呼称を使い始めると、特定の人々に対する反感を巻き起こす危険がある」と述べていた。しかしその後、米国や日本では発生の起源を明確にするためにウイルス名に「武漢」(Wuhan)の名称を入れるべきだとする意見も出た。中国外務省や国営メディアは「武漢ウイルス」のような言葉が出るたび火消しに走っている。
  • 2月14日、「日本の尊厳と国益を護る会」の代表幹事である青山繁晴参院議員は「WHOが決めた『COVID-19』は覚えにくいし、病気の本質が理解しづらい。『武漢熱』と呼ぶべきだ」と述べた。2月16日に青山参院議員はブログで発生源の武漢に信頼できる国際調査団が入れないという決定的な問題があるとし、アメリカのCDCが何度も入ろうとしたが中国政府に阻止されたと述べ、またWHOが「感染症に地名を入れない」という方針を打ち出したのも中国が陳馮富珍 (マーガレット・チャン) を事務局長に送り込んでからであると論じた。
  • 同14日、曽益新国家衛健委は、無症状病原体保有者について、情報公開の対象外とすると発表した。PCR検査で陽性で発熱や咳のような症状がない場合、14日の隔離を施しその間感染症状が現れなければ、感染者として発表しないという基準に変更する。
  • 2月16日、湖北省は同省全域を封鎖し、緊急車両など以外の車の通行を禁止し、不要な外出や集会に対しては強制措置を取るとした。生活必需品も集団購入して配送する配給制となった。同省の孝感市は外出を禁止し、違反行為には十日以下の拘留を課すと通知し、麻城市は他人の症状を通報した人に五百元(約7,800円)の奨励金を支払うとした。
  • 2月22日、人民網が、日本のテレビ朝日が、CDCが過去数ヶ月間にインフルエンザで死亡した米国の患者1万人のうち、新型コロナウイルス感染による肺炎患者が含まれていた可能性があると考えており、すでにニューヨークやロサンゼルスなどの大都市で大幅な検査体制の見直しが始まったと報じた。このニュースは新浪微博で掲載され、中国のネットユーザーの間で、2019年10月に武漢で開催された軍人スポーツ選手競技大会「ミリタリーワールドゲームズ」に参加した米軍関係者が中国に持ち込んだ可能性についても指摘された。
  • 2月26日、中国中央テレビの元キャスターの李澤華がYoutubeで生放送中逮捕される。翌日に釈放されたが、レッドゾーンに進入したため隔離されたと、本人が説明した。
  • 2月27日、中国共産党中央宣伝部編集の「大国戦『疫』」を出版し、「領袖の決断」を称賛して最高指導者の役割を強調した。国営メディアは本書は中国共産党の指導者と社会主義制度の顕著な優位性を明らかに示したと賞賛した。しかし、インターネット上で「子どもは学校に行けず、武漢人は外出もできないのに(感染症への)勝利を口にするのか」などと反発が広がり[要出典]、3月1日に購入できなくなった。
  • 同27日、鐘南山国家衛健委は「ウイルスの発生源は必ずしも中国とは限らない」と発言した。また中国では「4月末までに感染はほぼ抑制される」と予測を述べた。

2020年3月-

  • 3月2日、習近平総書記は「ウイルスがどこからきたか明らかにするべきだ」と述べた。
  • 3月4日、国営新華社は「世界は中国に感謝するべきだ」と主張した。この記事は、武漢で肺炎が流行した時、米国は中国をネガティブに扱い、中国人の入国を禁止し、中国を世界から隔離した。中国が米国へのマスクと薬品の輸出を禁止すれば米国は困るが、中国は人間愛によって禁止しなかった。新肺炎の流行は中国で起こったが、発生源は中国以外の可能性もある。中国と接触することがない国でも感染について中国は謝罪する理由がない。中国はウイルス抑え込みに成功した。世界は中国に感謝している。米国は中国に謝罪すべきなのに謝罪していない、と主張した。ほか、中国各メディアは、アメリカ、日本、韓国などの対策が不徹底とし、「中国の制度の優位性」を強調した。
  • 3月5日、中国外務省の馬朝旭次官は「世界の公共衛生に対する中国の貢献は、全世界で認められた」と訴えた。
    • 同日、趙立堅副報道局長はFOXテレビの司会者ジェシー・ウォターズの中国は謝罪すべきだという要求に対して「ウイルスの発生場所について定説はなく、中国と他の国のいずれも被害者だ」「中国の感染症対策は責任ある大国のあるべき姿だった」とし、2009年にアメリカなどを中心に流行したインフルエンザに対して誰もアメリカに謝罪を要求しなかったと反発した。
  • 3月6日、王忠林武漢市党委書記は「武漢市民は習近平総書記と中国共産党に感謝すべきだ」とする「感恩教育」を展開した。しかし、この「感恩教育」は中国国民の不満を引き起こし、インターネット上では批判され、「武漢市民に感謝する」と方針を転換させた。
  • 3月7日に「長江日報」は感恩教育について報じたが、市民の批判を受けて削除された。
  • 3月8日、湖北省党委員会書記応勇は、武漢の人々が「党の統制措置を積極的に支援し、協力した」と称賛した。当局は箝口令を出し、メディアが「感恩教育」事件について言及することを禁じた。同日、「長江日報」は武漢政府は武漢市民に心から感謝していると報道した。ジャーナリスト褚朝新は、当局は人民の公僕であるが、当局が仕える人々は死に、病気になっているとし、良心があれば武漢の人に感謝の強制はしないと批判した。武漢病院での情報隠蔽を内部告発した後死亡した李文亮医師の例でも、中国のソーシャルメディアは当局への怒りを示した。
    • 同6日、マイク・ポンペオ米国国務長官が「こうした事態を引き起こしたのは、武漢コロナウイルスだということを忘れてはいけない」と述べた。これに対して趙報道官は証拠なしに『中国ウイルス』と呼んで中国に責任を押しつけようとしている」とし、ウイルスの発生源が中国かどうかは結論付けられていないと反発した
  • 3月10日、習近平総書記(国家主席)が初めて武漢市を訪問した。習総書記は「武漢市民は英雄だ」とし、「自宅待機が長くなり不満の一つも言いたくなるのは理解できる」と市民に配慮する発言もした。環球時報は武漢訪問について「楽観的な気分となり、春の雰囲気が盛り上がった」と報じた。
    • 同10日、WHOのテドロス・アダノム事務局長は中国国営CCTVのインタビューで、中国政府のリーダーシップと国民の協力を称賛し、「国際社会は中国が勝ち取った機会を十分利用すべきだ」と述べた。
    • 同10日、武漢流行初期にウイルス検査を担当していた武漢市中心病院救急科主任の艾芬医師が、インターネットで共産党系の中国誌「人物」に公開した記事「笛をくばる人」で、武漢政府による口封じがあったと発表した。艾芬の記事は投稿後2時間で当局に削除された、またSNSで記事は英語・日本語・ドイツ語に翻訳されたが、これも削除された。しかし、AI(人工知能)を用いた検閲から削除されないよう、写真・篆書体や甲骨文字や毛沢東の書体などの書道・DNA配列・点字・楽譜・逆さ読み・QRコード・バーコード・モールス信号・絵文字など33種類の形式で転載されていった。3月11日夜以降は転載記事は削除されなくなった。インターネット上では「(李医師と)同じ悲劇を繰り返すな」「これ以上の言論封殺は許さない」など批判が続いた。人民日報の姉妹紙『環球時報』は「これは不満を表した一種のネット上の芸術だ。大したことではない」と言及した。胡錫進同紙編集長は3月11日、SNSで「中国ではネット上に集まった意見は、削除されても政策には反映される」と述べた。
  • 3月11日、党機関紙「人民日報」は「武漢の名は英雄として歴史に再び記される」と習総書記が述べた言葉を1面の見出しに使った。
    • 同日、WHOのテドロス事務局長は「パンデミックと言える」「過去の2週間で中国以外での感染者数は13倍に増え、国の数は3倍になった」と発表。
    • 同11日、ロバート・オブライエン大統領補佐官は、中国政府が初期感染の段階で情報を隠蔽し、WHOやCDCの派遣を受け入れなかったため、世界の対応が遅れたと主張する。
  • 3月12日、中国の衛生当局は「中国は感染のピークを越えた」と宣言。
    • 同12日、オブライエン米大統領補佐官が中国政府が武漢での感染情報を隠蔽したために世界の対応が遅れたと発言したことを受けて、趙報道官は「米軍が感染を武漢に持ち込んだかもしれない。(米国は)透明性を持て!データを公開すべきだ!アメリカは中国に説明せよ!」とTwitterに投稿した。またウイルスの発生源が米軍の研究施設であると推測する記事も紹介した。同日、外交部報道局長の華春瑩も「中国の新型コロナウイルスと呼ぶのは絶対的に間違いで不適切」とTwitter上で反論した[信頼性要検証]。米国務次官補のデイヴィッド・スティルウェルは、崔天凱駐米大使に陰謀論は話にもならないとし、「中国はパンデミックを引き起こした後、これを世界に知らせなかったという非難を免れる道を探している」と抗議した。
    • 同12日、イタリアへの支援に向け四川省の大学と中国赤十字の専門家チームが出発した。中国メディアは一帯一路の絆は強くなり、中国への感謝の声があふれていると伝えた。イタリアはG7で唯一中国の巨大経済圏構想の一帯一路に参加している。
  • 3月13日、2019年11月17日湖北省出身の55歳の男が新型コロナウイルスの最初の症例であった可能性が中国のデータから発覚しているが、中国当局はデータを公開しなかったとサウスチャイナ・モーニング・ポストが報じている[信頼性要検証]。
  • 3月13日、WHOのテドロス事務局長は「今や欧州がパンデミックの中心地となった」と述べ、感染防止の主戦場が中国から欧州に移ったとの認識を示した。
    • 同13日、中国外務省の耿爽副報道局長は、米政府高官らが中国とウイルスを結びつける発言について、中国への攻撃だと非難した。
    • 同13日、趙立堅報道官は米軍伝染陰謀説の根拠として、「日本のテレビ朝日が「新型コロナウイルスの発生地は中国ではなく、米国である」と報道したと紹介するラリー・ロマノフの記事を紹介した。
  • 3月15日、ノーベル文学賞受賞作家のマリオ・バルガス・リョサは、中国が独裁体制でなく自由で民主的な国であり、感染症の発生当初に情報を隠蔽しなければ、世界はこれほどの感染拡大に直面しなかったと訴えた。中国当局は「悪質だ」と反発した。3月16日、副報道局長の耿爽は「無責任な言論」だと反発した。
  • 3月16日午前、欧州など各地の感染者数が初めて中国本土を上回った。
  • 同16日、中国外交統括役の楊潔篪はポンペオ米国務長官と電話会談し、互いに抗議した。楊は「中国に泥を塗るたくらみは思い通りにならず、中国の利益を損なう行為は必ずや毅然とした反撃に遭う」と警告し、ポンペオ米国務長官は「今はデマや奇妙なうわさを流布する時ではなく、すべての国が一致して共通の脅威と戦う時だ」と強調した。
  • 3月17日、ドナルド・トランプ米国大統領はTwitterで「中国ウイルス (Chinese Virus)」と投稿した。
  • 3月22日、サウスチャイナ・モーニング・ポストは、2月末時点で中国の感染者4万3000人以上が「無症状」を理由に統計から除外されていたと報じた。無症状者は感染者全体の3分の1とみられ、2月末の中国の公式発表約8万人に症状者を含めると12万人を超える。無症状患者は医療監視下に置かれたという。
  • 3月25日のG7外相会合で、アメリカ国務省は「武漢ウイルス」と表記すべきだと主張したが、各国は受け入れず、共同声明の採択は見送られた。ポンペオ米国務長官は「中国はウイルスが世界に及ぼすリスクを認識していたのに、早期の情報共有を怠った」と中国を批判した。
  • 3月26日、習近平国家主席がG20の緊急ビデオ首脳会議に参加し、「ウイルスに国境はなく、感染拡大は共通の敵だ」と述べ、G20は「ウイルスは国境にとらわれない。この共通の脅威に対して共同戦線を張ることに強くコミットする」とする共同声明を発表した。サウスチャイナ・モーニング・ポストは米中が対立をいったん棚上げし、感染防止のメカニズムの構築を優先することで一致したと報じた。
  • 3月27日、習近平国家主席との電話会談を終えたトランプ大統領はTwitterで「中国はウイルスについて十分な理解を深めている。我々は緊密に連携している」と投稿し、従来の「中国ウイルス」に代えて「コロナウイルス」と呼称した。

各国の対応

「新型コロナウイルス感染症 (2019年)#公衆衛生施策上の対応」および「国・地域毎の2019年コロナウイルス感染症流行状況」を参照

感染が拡大するに従い、世界各国で旅行制限、検疫、外出禁止令などの公衆衛生上の対応が取られた。感染源となった武漢をはじめとする地域がロックダウン(都市封鎖)されたり、各地で様々な外出禁止措置が取られたりしたほか、感染者を含む乗客を乗せた英国船籍のクルーズ客船「ダイヤモンド・プリンセス号」が日本近海で検疫を受けたり、イタリアでも全土で移動制限措置が取られたりした。一部の空港や鉄道駅では、体温チェックや健康状態の申告書の提出を求めるなどのスクリーニング方法が実施され始めている。また、市中感染が進行中の地域への渡航に対する注意・警戒情報(自粛要請・中止勧告含む)の発令や実際に感染地域からの渡航を制限・停止するなど渡航規制の強化、さらにEUなどで国境を封鎖する国も出てきている 。

渡航制限

流行の発生を受けて、シェンゲン圏内のほとんどの国と地域、およびアルメニア、オーストラリア、インド、イラク、インドネシア、カザフスタン、クウェート、マレーシア、モルディブ、モンゴル、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、スリランカ、台湾、ベトナム、およびアメリカ合衆国 が、中国市民や最近中国を訪問した者に対する一時入国禁止や、中国市民に対する査証(ビザ)の発行停止および査証発行要件の強化を実施している。

サモアに至っては、中国での滞在歴がある自国民の入国さえも拒否し始めており、その決定の適法性を巡って広く非難を呼んでいる。

欧州連合 (EU) はシェンゲン協定を一時効力停止してイタリアとの間に国境管理を導入する考えを拒否した。

日本からの渡航者に対し入国制限をしている国が2020年3月27日時点で176カ国・地域、世界の約9割に相当し、2月25日時点の7カ国から25倍となった。また、3月31日時点で日本はアメリカ、ヨーロッパ、中国、韓国を渡航中止勧告と入国拒否の対象国に指定することを決定した。

3月5日、日本政府は韓国大邱市で大規模感染がみられたことを理由として、第三国の国籍者を含む韓国からの渡航者に対して2週間の隔離措置と、ビザ免除措置の一時停止を発表。韓国政府は翌日、日本政府の決定に対する外交的報復措置として 日本人のみを対象としてビザ免除措置の効力を停止したほか、既に発給済みのビザを無効とした。

アメリカは3月13日にシェンゲン協定締結国26カ国に対し30日間の入国禁止を実施、16日には制限をアイルランドとイギリスにも拡大する。19日にはアメリカの全国民に海外渡航の中止を求める勧告を出した。

北朝鮮は1月21日(武漢の都市閉鎖は同23日)に中国からの旅行客の受け入れを中止し、事実上の国境封鎖を行った。

在外国民の避難


ウクライナは武漢から自国民および外国市民を避難させた。武漢市および湖北省で公共交通が封鎖されたため、いくつかの国は、中国当局による離着陸許可を得て、チャーター便を手配して同地域から自国民および外交職員を本国へ避難させることを計画した。カナダ、アメリカ合衆国、日本、インド、フランス、オーストラリア、スリランカ、ドイツ、およびタイは、早くから自国民の避難を計画していた。一方、パキスタンは中国から自国民を避難させないと言明した。2020年2月7日、ブラジルは34名のブラジル人や家族、および4名のポーランド人、1名の中国人、1名のインド人を避難させた。このポーランド人、中国人、インド人は、ブラジル機が本国へ向かう途中に降り立ったポーランドで降機した。本国に帰国したブラジル国民はブラジリア近くの軍基地で検疫された。同日、215名のカナダ人が中国の武漢からカナダ軍基地トレントン(英語版)へ避難(176名は第1便、39名は米国政府がチャーターした第2便)し、2週間検疫された。2月11日、別の便で185名のカナダ人が武漢からカナダ軍基地トレントンに到着した。オーストラリア当局は2月3日と4日に277名の国民を検疫施設に転用したクリスマス島にある収容所に避難させ、そこで14日間待機させた。ニュージーランドの避難者を乗せた航空便(オーストラリアおよび太平洋諸国の市民も搭乗)は2月5日にオークランドに到着し、オークランドの北、ファンガパラオアにある海軍基地で検疫された。アメリカ合衆国はクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号に乗船しているアメリカ人を避難させると発表した。2月21日、「ダイヤモンド・プリンセス」号から避難した129名のカナダ人を乗せた航空機がオンタリオ州トレントンに到着した。インド政府は国民をイランから避難させるため、空軍を向かわせる予定であることを発表した。

国際援助

  • 2020年1月26日、ゲイツ財団は、500万ドルの寄付を表明し、2月5日、更に1億ドルをWHOに寄付すると発表した。寄付金はワクチンの研究費と処置の取り組み、ならびに「危険にさらされているアフリカおよび南アジアの人々」を守るために使われる。
  • 日本は、武漢にいる日本国民を救出するためのチャーター便の手配を調整する過程において、まず無人となる往路便で、日本国民のためだけでなく中国の人々のためにもなる、大量のマスクおよび防護服から成る支援物資を武漢に輸送することを約束すると茂木敏充外務大臣が表明した。1月26日、チャーター便が武漢に到着し、100万枚のフェイスマスクを武漢市に寄付した。支援物資の中には東京都から寄付された医療用防護服2万着も含まれていた。1月28日、水戸市は5万枚のマスクを友好交流都市である重慶市に寄付した。2月6日、岡山市は22,000枚のマスクを姉妹都市の洛陽市に送った。政権与党の自由民主党は2月10日、党所属の国会議員全員の3月分の歳費(給与)から一律5,000円を天引きし、集まった200万円を中国に寄付するという象徴的な行動を見せ、これについて同党の二階俊博幹事長は「我が国にとって、中国でのウイルスの大流行を見るとき、身内や隣人が苦しんでいるのを見ているようであります。日本の人々は中国を助けることを厭わず、この大流行がなるべく早く終息することを願っております」と述べた。ピースウィンズ・ジャパンはスタッフを中国に派遣し、同国に送るフェイスマスクやその他の物資の配布を手伝うと発表した。
  • 人道支援団体「ダイレクト・リリーフ」はフェデックスと協力して輸送・物流支援を受けながら、手袋と病衣を含むその他の個人用保護装備とともに、1月30日までに支援の要望があった20万枚のフェイスマスクを緊急空輸し、武漢協和医院(中国語版)に届けた。
  • 1月30日、アメリカの大学で学ぶ中国人留学生の一部はグレーター・シカゴ地域の合同グループと共に5万枚のN95マスクと1,500着の防護服を湖北省の病院に送った。
  • 2月5日、中国外務省はベラルーシ、パキスタン、トリニダード・トバゴ、エジプト、およびイランを含む21カ国が中国に支援物資を送ってきたと表明した。
  • 2月8日、アメリカ合衆国国務省は中国に約18トン分のマスクや防護服など感染対策の支援物資を空輸し、最大1億ドルの資金援助も行うと表明した。ピッツバーグ市は姉妹都市である武漢市に医療物資を送ると発表、ピッツバーグ大学医療センター (UPMC) も支援計画を発表した。
  • マレーシアは1800万人分の医療用手袋を中国に寄付することを発表した。
  • フィリピン赤十字社(英語版)からも140万ドル相当のフィリピン製フェイスマスクが寄付され、武漢に発送された。トルコは医療用装備を発送し、ドイツは10,000着の化学防護服を含む様々な医療用品を配送した。
  • 2月19日、シンガポール赤十字社は226万ドル相当の支援物資を中国に送ると発表した。

学校閉鎖 (一斉休校)


各国での学校閉鎖の状況 一部地域の学校を閉鎖した国・地域

 全国の学校を閉鎖した国・地域

世界各国で集団感染を防ぐために学校や大学が閉鎖され、少なくとも15億人の児童・生徒・学生が影響を受けている。

また、国連教育科学文化機関 (UNESCO) は、世界各国で学校を閉鎖していることによる教育の中断を懸念し、遠隔学習プログラムの実施を推奨している。

都市封鎖 (ロックダウン)

詳細は「 2019年コロナウイルス感染症流行による外出制限・封鎖」を参照

「ロックダウン (封鎖)」も参照

  • 中国:2020年1月23日、武漢市で都市封鎖を宣言。ドイツ連邦保健省、シュパーン保健大臣、ロベルト・コッホ研究所は3月11日に、武漢の強制隔離は感染者の急増を防ぎ緩やかにする効果は期待できるが、新規感染の数を減らすものではなく、ウイルスの消滅を意味しないとし、隔離の効果への過度の期待はできないと述べた。シャリテ医科大学のクリスチャン・ドロステン (Christian Drosten) は、中国当局のデータは意図的に操作されており信頼に値しないとし、また中国の社会活動が元通りになれば再流行が起こると予測した。3月27日から武漢の道路や鉄道の封鎖が解かれはじめた。ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のケイシャ・プレムは「武漢の移動制限の拙速な緩和は避けるべき。感染『第2波』が早まりかねない」と強調した。


武漢でのCOVID-19のパンデミックが抑制され、イオンモールは営業を再開しました。

  • 日本:2月20日、イベント主催者に必要性の検討を要請。2月27日、スポーツやイベントなどの集会の2週間の中止・延期・規模縮小を要請し、3月2日からの一斉休校を要請した。3月19日に専門家会議は、感染が爆発的に急増(「オーバーシュート」)すれば、強硬なロックダウン措置(都市封鎖・店舗閉鎖・外出自粛など)を取る必要があると提言した。しかし、3月13日に成立した改正新型インフルエンザ等対策特別措置法には罰則規定が無いため、罰則を規定する立法か超法規的措置を行わない限りは政府や各都道府県自治体によるロックダウンは不可能であり、外出自粛の要請(最終的な意思決定は国民に任せる)が限界である。
    • 北海道:2月28日、緊急事態を宣言、週末の外出自粛を要請、3月1日に「人が大勢集まり、風通しが悪い場所」に行かないことを要請、緊急事態宣言は19日で終了、外出自粛は4週連続で呼びかける。
    • 名古屋市:3月9日、感染の疑われる市民に不要の外出禁止を条例で求めた。
  • イタリア:2月22日、ロンバルディア州ローディ県10自治体やヴェネト州のヴォーを封鎖。3月7日、ロンバルディア州全州、エミリア=ロマーニャ州、マルケ州、ピエモンテ州、ヴェネト州に拡大、ミラノやヴェネツィアも含まれ、4月3日まで学校・スキーリゾートの閉鎖、スポーツ・冠婚葬祭などイベントの中止、バー・レストランの営業制限が命令された。3月10日、北部に限定されていた移動制限と休校、レストランや喫茶店の夜間営業停止が全土に適用。また3月12日-25日まで、生活必需品販売店や薬局などを除く全商業活動休止。しかし、住民の外出は止まず、8日間で5万1000人の違反者が出たため、3月17日に政府は、感染を隠して外出した場合、虚偽の申告で公衆を危険にさらしたとして、懲役最長12年を科すと厳罰化した。またロンバルディア州は携帯電話のGPSによって市民の行動を監視していると明らかにした。3月19日ロンバルディア州知事は「ジョギングも自転車に乗るのもやめてほしい」「訴えを聞いてもらえなければ軍隊を出動する」と言った。
  • 韓国:大邱市は3月7日、新興宗教団体「新天地イエス教会」の関係者が入居する建物で46人の集団感染が確認されたため、2棟を封鎖した。


規制により人通りがなくなったスペインの通り (2020年3月15日)

  • スペイン:3月14日に非常事態を宣言。買い物や出勤以外の外出を制限。国境も事実上封鎖。
  • フィリピン:3月15日から4月14日までマニラ首都圏を封鎖、3月17日にルソン島全域も封鎖。
  • レバノン:3月15日、外出禁止措置を実施。
  • チェコ:3月16日、都市封鎖を実施。
  • EU:3月16日、EU域内への不要な渡航の30日間禁止を提案。入域制限地域はアイルランドを除くEU加盟26カ国と、シェンゲン協定に参加する非EU4カ国の計30カ国を想定し、状況によって延長も検討。欧州委員長のフォンデアライエンは「移動が少ないほど、ウイルスを封じ込めることができる」と述べた。
  • ドイツ:3月16日から学校を閉鎖し、17日から美術館、映画館、スポーツ施設、コンサートホール、バー、動物園などが営業停止、公演も各種イベントも禁止し、事実上の都市封鎖(ロックダウン)。18日から飲食店の営業時間を午前6時から午後3時までに制限し、テーブルの間隔は最低1.5メートル以上、入店は最大30人までという条件付きである。午後3時以降は、テイクアウトもしくは配達のみ。スーパー、薬局、ガソリンスタンド、銀行などは営業可能で、ふだんは営業禁止の日曜も営業可能とした。さらに国境も閉鎖している。


フランスパリの地下鉄駅(2020年3月24日)

  • フランス:3月17日から15日間、買い物や通勤を除き、外出を制限し、違反者は処罰。
  • イスラエル:3月17日、外出禁止措置を実施。
  • ベネズエラ:3月17日、外出禁止措置を実施。
  • ベルギー:3月18日、外出禁止措置を実施。
  • マレーシア:3月18日から31日まで全国で都市封鎖。スーパーマーケットや薬局、水・電気・通信事業者、刑務所や防衛関連を除き、全ての政府と民間の事業所、学校が閉鎖される。イスラム教の行事を含む大規模集会は禁止、レストランは配達サービスのみ営業可能。日系工場の停止でサプライチェーンへの影響が懸念されている。
  • イギリス:3月18日、20日から一斉休校を実施すると発表。ロンドン市は3月19日から最大40カ所の地下鉄駅を閉鎖、カーン市長は必要でない限り公共交通機関を使わないよう要請。
  • アメリカ合衆国:カリフォルニア州は3月19日、外出禁止令を発令した。食品店、薬局、銀行などは営業を継続する。
  • インド:3月19日、デリー首都圏で全ての飲食店、スポーツジム、ショッピングモールを閉鎖し、22日から全土で外出を禁止。
その他
  • オーストリア、イギリス、ドイツ、イランは外出禁止までは至っていないが、移動を制限。
  • チュニジア、ボリビア、セルビア、米ニュージャージー州、米自治領プエルトリコ、フィリピンの首都マニラでは、夜間外出禁止。

国際機関の対応

WHOの対応策

詳細は「2019年コロナウイルス感染症流行に対する世界保健機関の対応」を参照

WHOは、テドロス・アダノム事務局長が「中国の流行管理に対するアプローチを信頼している」と表明し、一般の人々に対しては「冷静さを保つ」よう呼びかけ、中国当局の流行への対処および封じ込めの取り組みを称賛した。WHOは、2003年のSARS流行時に中国当局が情報を秘密にしたことによって、流行の予防および封じ込めの取り組みが遅れた結果、非難されたことと対照して、現在の危機的状況について、中央政府が「定期的に情報を更新したことによって、旧正月の休日に入る前にパニックを回避した」と述べた。

2020年1月23日、中央当局が武漢の公共交通機関の運行禁止措置の実施を決定したことに反応して、WHOのガウデン・ガレア中国代表はたしかにWHOが推奨していることではないとしつつ、「交通機関が最も集中しているこの地域で流行を封じ込めるために積極的な関与をした非常に重要な指示だった」と話し、この禁止措置について「公衆衛生の歴史上、前例のない試み」と呼んだ。また、中国でのヒトからヒトへの感染は主に家族や患者の治療にあたる医療従事者にとどまっているほか、中国の外ではヒトからヒトへの感染が確認されていないことなどから、このケースが現時点では「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態 (PHEIC)」には該当しないとしたが、中国政府に対し、感染源や感染経路の特定をWHOなどと協力して行うよう求めた。

1月24日、WHOは最新の報告書を発表し、ベトナムのケースについてヒトからヒトへの感染が起きたとみられると明らかにした。同じくコロナウイルスで過去に流行したMERSやSARSと同じように、咳やくしゃみなどで飛び散る飛沫や直接的な接触などで感染する可能性があるとして対策を呼びかけている。

1月31日、中国国外でヒトからヒトへの感染が確認され、その他の国々で感染者数が増加したことを受けて、WHOは流行事態に関して「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態 (PHEIC)」を宣言した。2009年の豚インフルエンザの世界的流行時に初めて発動されてから6度目となるPHEICの宣言となった。テドロス事務局長はPHEICについて、今回の事例では「中国における不信任決議ではなかった」が、全世界的な、特に強固な医療体制が整っていない低・中所得諸国への感染拡大のリスクがあるため、宣言に至ったことを明らかにした。渡航制限の実施に対しては、「国際的な旅行および通商に不必要に干渉する方法をとる理由はない」とし、「WHOは貿易および移動を制限することは推奨しない」と述べた。一部報道ではWHOはテドロス事務局長の出身地が中国から多額の援助を受けているエチオピアであるため、中国の措置を称賛して出入国制限を勧告しないなど後手に回り、さらに空路による感染防止に関する情報を加盟国に提供している国際機関であるICAOも柳芳(中国語版)事務局長が中国出身ということで、WHOとともに国際機関への中国の影響力によって排除された台湾(中華民国)が「エアポケット」(空白地帯)になっていると報じられた。

2月2日、WHOは世界的に伝染病が流行するパンデミックのように誤った情報が拡散される「インフォデミック」が新型コロナウイルスに便乗して起きているとする注意喚起を行った。

2月3日、WHOの報道官は中国に多国籍の専門家チームが派遣されることを発表した。

2月5日、WHOは、たとえウイルスが現れたとしてもウイルスに感染した人を検出する体制が整っていない低所得諸国の体制整備が喫緊の課題であるとして、それらの国々の戦略的な感染防止のための基金に6億7500万ドルを寄付するよう、国際社会に向けて呼びかけた。さらにテドロス事務局長は、「我々の強さは最も弱い人々との絆によって決まる」と述べ、国際社会に対して「今日投資することです。さもなくば、後々より多く支払うことになるでしょう」との声明を発表した。

2月11日、WHOは記者会見で、疾病の名称をCOVID-19と定めたと発表した。同日発表された別の声明で、テドロス事務局長は国連のアントニオ・グテーレス事務総長と短い話をして「国連の総力を挙げて対応にあたる」との同意を得たことを明らかにした。その結果、国連の危機管理チームが立ち上げられ、国際連合機関全体の対応の調整を図り、WHOはチームが「医療対応に焦点を絞れるようにし、他方で他の機関がその専門的知識をもって、流行が世界の社会、経済および開発にもたらす幅広い影響に立ち向かうことができる」ようにした。

2月14日、WHOの主導で、中国との合同ミッションチームが立ち上げられ、国際的なWHOの専門家が現地に入り、中国国内の流行管理を支援し、ワークショップを開催して「疾病の重症度および伝染性」を評価し、国家級の重要な機関との会合を持ち、野外視察を指導し、「都市部と農村部を含む、省級および県級での流行対応活動の影響」を評価した。

2月24日、WHOは「パンデミックとは呼ばない」事を発表した。

2月25日、WHOは「世界は起こり得るコロナウイルスのパンデミックへの備えをますます進めるべきである」と宣言し、現時点の流行状況をパンデミックと呼ぶには時期尚早だが、それでもなお、諸国はそれへの「備えをするべき局面に」あると述べた。イランでコロナウイルスの流行が拡大している事例に対しては、同日WHOが合同ミッションチームをイランに派遣し、同国の状況を見極めると発表した。

2月28日、WHOの当局者は全世界規模でのコロナウイルスの脅威の評価が「高い」から警戒・危険度評価基準のうち最高レベルの「非常に高い」に引き上げられることを発表した。WHOの緊急事態プログラムの統括責任者を務めるマイク・ライアンが声明で、「ここに地球上の全ての政府が行うべき、現実を把握する方法がある。目を覚ますこと、準備をすることだ。(政府の皆様方は)近づいて来ているであろう、このウイルスに備えておく必要がある。(皆様方には)自国民に対する義務があり、世界に対して準備を整えておく義務がある」と警鐘を鳴らし、正しい対応策をとれば世界を救うことができ、「最悪の事態」を回避することができると呼びかけた。さらに、ライアンは現在のデータでは公衆衛生当局者が全世界的なパンデミックを宣言する正当な根拠にはならないと述べ、パンデミック宣言は「我々が本来認めているとおり、地球上のすべての人間がウイルスに曝されている」という意味になるだろうと話した。

3月6日、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの違いについてまとめた報告書を発表した。

3月11日、WHOのテドロス事務局長はこの流行事態についてパンデミック(世界的流行)相当との見解を初めて示した。

研究機関の対応

2020年1月中旬に発行された旅行医学専門誌『Journal of Travel Medicine』上では、国際航空旅客動態を分析することにより、感染拡大経路パターンの予測を立てた記事が掲載された。それによると、国際航空運送協会 (IATA) が公表した2018年の旅客動態データに基づき、武漢からの旅客量が最も多い20都市の中で、バンコク・香港・東京および台北が上位4都市に挙げられている。インドネシアのバリ州は感染症への対応能力が最も低い地域とされ、日本の東京と大阪市およびオーストラリアのシドニーとメルボルンは対応能力が最も高い都市とみなされている。

1月24日(アメリカ時間)、イギリスのランカスター大学とグラスゴー大学、そしてアメリカのフロリダ大学の研究者からなる研究チームが2月4日までに武漢だけで、感染者が35万人を超える可能性 (164,602人から351,396人)を示した科学論文を発表した。また、同研究チームは、武漢で感染したと診断された患者は実際の感染者数の5.1%だという。つまり、感染者の95%は感染したと診断されていない、もしくは自覚のない患者ということになる。さらに同研究チームは、1人の感染者が他の人に伝染させる可能性のある人数を3.6人から4.0人と予測。WHOの1.4人から2.5人という予測より遥かに多い。

2月4日、東北大学医学系研究科教授で医師の押谷仁が「中国が初期対応としてSARS流行時と同等の対策をとったが、疫学的特徴が異なるために感染が広がったのではないか」と推測し、現状では封じ込め対策よりも被害を抑える行動にシフトすること、中国やWHOへの批判は利益がなく国際社会が協力すべきだという意見を表明している。

社会・経済的影響

詳細は「2019年コロナウイルス感染症による社会・経済的影響」を参照

1929年の世界恐慌以来の大きな世界経済後退であるコロナ・ショックが起きた。また、東アジア系外国人などに対する排外感情および人種差別(中国語版、英語版)の事例や、主にSNSを中心にオンラインメディアで、ウイルスに関する事実無根の憶測や陰謀論の拡散など関連した誤情報などの事例が報告されている。この現象について、WHOは「インフォデミック (infodemic)」という新語を提唱し、注意喚起を行っている。

社会・経済システムの根本的な変化

コロナ・ショック 以降、経済活動を進める上でオンラインの利活用が必須になった。

時期により、2019年までのBeforeコロナ、2020年以降コロナ収束までのWithコロナ、コロナ収束後のAfterコロナ と分けられるような経済システムの変化が予測されている。

Withコロナの時代において、社会が混乱状態に陥ったが、これをチャンスと捉え、平時では時間が掛かる入学・入社時期の変更、手続きの簡素化、デジタルトランスフォーメーションを加速する動きがある。また、従来存在しなかった、シャットイン・エコノミー(家に閉じこもる経済)の出現が確認されている。シャットイン・エコノミーでは、デリバリーやオンラインに依存した経済活動となり、物理的な要素が重要な殆どの文化が存亡の危機に陥った。

Withコロナ時代の変化

コロナウイルスからの緊急避難の過程で下記のような変化が起きた。

パンデミックへの理解

1918年から1921年にかけて世界で流行したスペイン風邪の記録資料「流行性感冒: 「スペイン風邪」大流行の記録」が2020年4月30日までWebで無料公開され、重版された。同書は内務省衛生局が1921年に作成したものである。

2020年東京オリンピックへの影響

詳細は「2020年東京オリンピック#2019新型コロナウイルスによる影響」を参照

緊急事態宣言の発出

世界各国が緊急事態であると認識し、国民に対する行動制限を行った。日本では史上初めて緊急事態宣言が発出される事態となった。当初は2020年4月7日(当初は東京都など1都1府5県が指定され、4月16日に対象地域を全国に拡大)から5月6日までの1か月の期間を設定していたが、収束の傾向が見えず、ワクチンによる集団免疫も確立されていないことから、期間延長の議論が政府内で開始され、4月29日には全国知事会の会合で、東京都をはじめ大半の知事から緊急事態宣言の延長を求める声が相次いだ。政府の専門家会議も非公式会合で、「全国を対象に引き続き宣言を延長すべきだ」という認識で一致した。4月30日には安倍首相が記者会見で「5月7日からかつての日常に戻ることは困難」として、宣言を延長する意向を表明した。政府は対象地域を全国としたまま、1か月程度延長する方向で調整を進め、5月1日の専門家会議で現況の分析や判断基準の明確化を行った後、宣言が失効する直前の5月4日に延長期間を5月31日までと決定し、公表した。その後緊急事態宣言の一部解除を5月14日と5月21日に行い、5月25日に全面解除された。

新型コロナウイルス感染症の流行を題材とした作品

  • パオロ・ジョルダーノ『コロナの時代の僕ら』(早川書房、2020年4月24日)
  • 山本航暉『ゴッドハンド輝 〜沈黙のコロナ2020〜』(漫画作品、2020年)
  • 『#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜』(ドラマ作品、日本テレビ制作の水曜ドラマ、2020年)


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