光孝天皇

ページ名:光孝天皇

光孝天皇(こうこうてんのう、830年〈天長7年〉- 887年9月17日〈仁和3年8月26日〉)は、日本の第58代天皇(在位:884年2月5日〈元慶8年3月5日〉- 887年9月17日〈仁和3年8月26日〉)。諱は時康(ときやす)。

仁明天皇の第三皇子。母は藤原総継の娘、贈皇太后沢子。

光孝天皇
第58代天皇
在位期間

884年2月5日 - 887年9月17日

元慶8年3月5日 - 仁和3年8月26日

即位礼884年3月23日(元慶8年2月23日)
大嘗祭884年12月13日(元慶8年11月22日)
元号元慶

仁和

時代平安時代
先代陽成天皇
次代宇多天皇
誕生830年(天長7年)
崩御887年9月17日(仁和3年8月26日)

仁寿殿

大喪儀887年9月22日(仁和3年9月2日)
陵所小松山陵(後田邑陵)
漢風諡号光孝天皇
時康
別称仁和帝、小松帝
元服843年3月6日(承和10年2月2日)
父親仁明天皇
母親藤原沢子
女御班子女王

藤原佳美子平等子

子女宇多天皇

ほか(后妃・皇子女節参照)

皇居平安宮
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目次

略歴[編集]

幼少より太皇太后橘嘉智子の寵愛を受ける。843年(承和10年)、父仁明天皇の御前で元服して親王となり、四品に叙せられる。以後、中務卿、式部卿、相撲司別当、大宰帥、常陸太守、上野太守と、親王が就任する慣例となっている官職のほぼすべてを歴任し、 882年(元慶6年)、一品に叙せられ親王の筆頭となった。

陽成天皇が母方の叔父である藤原基経によって廃位されたのち55歳で即位。藤原基経は母方の従兄弟にあたる。『徒然草』には即位後も、不遇だったころを忘れないようかつて自分が炊事をして、黒い煤がこびりついた部屋をそのままにしておいた、という話があり、『古事談』にも似たような逸話がある。基経を関白として、前代に引き続いて政務を委任した。その際、基経は陽成天皇の弟であり、やはり自身の甥である貞保親王にいつか天皇を継がすであろうと斟酌し、即位と同時にすべての子女を臣籍降下させ、子孫に皇位を伝えない意向を表明していた。だが、基経は妹である高子と仲が悪く、その子である貞保親王を避けていた為に次代の天皇の候補者が確定していなかった。じきに病を得たため、仁和3年8月25日に子息・源定省(後の宇多天皇)を親王に復し、翌8月26日に立太子させた。同日に天皇は58歳で崩御(死亡)し、定省親王が践祚した(宇多天皇)。

宮中行事の再興に務めるとともに諸芸に優れた文化人でもあったとされる。和歌・和琴などに秀でたともされ、桓武天皇の先例にならって鷹狩を復活させた。また、親王時代に相撲司別当を務めていた関係か即位後相撲を奨励している。晩年は、政治改革を志向するとともに、親王時代の住居であったとされる宇多院の近くに勅願寺創建を計画するも、いずれも実現を見ぬままに終わり、跡を継いだ宇多天皇の「寛平の治」及び仁和寺創建に継承されることになる。

『日本三代実録』に「天皇少く(わかく)して聡明、好みて経史を読む。容止閑雅、謙恭和潤、慈仁寛曠、九族を親愛す。性、風流多く、尤も人事に長ず」と評されている。

  • 830年(天長7年)、生誕。
  • 836年(承和3年)1月7日、四品に叙品。
  • 843年(承和10年)2月2日、元服。
  • 848年(嘉祥元年)1月13日、常陸太守に任官。
  • 850年(嘉祥3年)5月17日、中務卿を兼任。
  • 851年(仁寿元年)11月21日、三品に昇叙。中務卿・常陸太守如元。
  • 853年(仁寿3年)、常陸太守を止む。
  • 856年(斉衡3年)6月、上野太守を兼任。
  • 860年(貞観2年)1月15日、上野太守を止む。
  • 864年(貞観6年)、上野太守を兼任。(系図纂要は、上総太守としている)
  • 866年(貞観8年)1月13日、上野太守を止め、大宰帥を兼任。
  • 870年(貞観12年)2月7日、二品に昇叙。大宰帥・中務卿如元。
  • 871年(貞観13年)1月28日、大宰帥を止む。
  • 873年(貞観15年)1月13日、上野太守を兼任。
  • 876年(貞観18年)12月26日、中務卿を止め、式部卿を兼任。
  • 877年(元慶元年)10月17日、上野太守を止む。
  • 880年(元慶4年)1月11日、常陸太守を兼任。
  • 882年(元慶6年)1月7日、一品に昇叙。式部卿・常陸太守如元。
  • 884年(元慶8年)1月11日、大宰帥を兼帯。2月8日、受禅。

系譜[編集]

[表示]光孝天皇の系譜

兄弟には、文徳天皇、宗康親王 、人康親王、本康親王、源多、源光がいる。また嵯峨源氏の源是茂を養子としている。

系図[編集]

(54)仁明天皇(55)文徳天皇(56)清和天皇(57)陽成天皇(源)清蔭〔陽成源氏へ〕
惟喬親王貞純親王(源)経基〔清和源氏へ〕
(58)光孝天皇(59)宇多天皇(60)醍醐天皇
人康親王藤原基経妻真寂法親王

(斉世親王)

敦実親王(源)雅信〔宇多源氏へ〕

后妃・皇子女[編集]

  • 女御(皇太后):班子女王(833-900) - 仲野親王女
    • 第一皇子:源元長(?-883)
    • 第十二皇子:是忠親王(857-922) - 一品式部卿、子孫は光孝源氏・光孝平氏
    • 第十三皇子:是貞親王(?-903) - 三品大宰帥
    • 第十五皇子:定省親王(宇多天皇)(867-931)
    • 第四皇女:忠子内親王(854-904) - 清和天皇女御
    • 第五皇女:簡子内親王(?-914)
    • 第八皇女:綏子内親王(?-925) - 陽成院妃
    • 第十六皇女:為子内親王(?-899) - 醍醐天皇妃
  • 女御:藤原佳美子(?-898) - 藤原基経女
  • 女御:藤原元善子 - 藤原山蔭女
  • 女御:平等子 - 平好風女
  • 更衣:滋野直子(?-915)
    • 皇女:繁子内親王(?-916) - 伊勢斎宮
  • 更衣:讃岐永直女
    • 第九皇子:源旧鑒(?-908)
  • 更衣:藤原元子
  • 宮人:菅原類子 - 菅原是善女
  • 宮人:正躬王女
    • 皇女:穆子内親王(?-903) - 賀茂斎院
  • 宮人:丹治氏
    • 皇女:源緩子(?-908)
  • 宮人:布勢氏
    • 第十二皇子:滋水清実(?-?)
  • 宮人:藤原門宗女
    • 養子:源是茂(886-941)
  • 生母不詳の子女
    • 第二皇子:源兼善(?-879)
    • 第三皇子:源名実(?-?)
    • 第四皇子:源篤行(?-?)
    • 第五皇子:源最善(?-?)
    • 第六皇子:源近善(?-918)
    • 第七皇子:源音恒(?-?)
    • 第八皇子:源是恒(?-905?)
    • 第十皇子:源貞恒(857-908)
    • 第十一皇子:源成蔭(?-?)
    • 第十四皇子:源国紀(?-909)
    • 第十六皇子:源香泉(?-?)
    • 第十七皇子:源友貞(?-?)
    • 第一皇女:源遅子
    • 第二皇女:源麗子
    • 第三皇女:源竒子(?-919)
    • 第六皇女:源崇子
    • 第七皇女:源連子
    • 第九皇女:源礼子
    • 第十皇女:源最子(?~886)
    • 第十一皇女:源偕子
    • 第十二皇女:源黙子(?-902)
    • 第十三皇女:源是子
    • 第十四皇女:源並子(?-906)
    • 第十五皇女:源深子(?-917)
    • 第十七皇女:源周子(?-912)
    • 第十八皇女:源密子
    • 皇女:源和子(?~947) - 醍醐天皇女御
    • 皇女:源謙子(?-924)
    • 皇女:源袟子
    • 皇女:源快子(?-910)
    • 皇女:源善子

ほか后妃・皇女多数

諡号・追号・異名[編集]

光孝天皇の諡号を奉られた。漢風諡号を持つ古代最後の天皇であり、漢風諡号の奉呈はその後、千年近く経った江戸末期の光格天皇による復興まで待つことになる。在位中の年号を以て仁和帝(にんなのみかど)、また山陵の名を以て小松帝(こまつのみかど)とも呼ばれた。

在位中の元号[編集]

  • 元慶
  • 仁和

陵・霊廟[編集]

陵(みささぎ)は、宮内庁により京都府京都市右京区宇多野馬場町にある後田邑陵(のちのたむらのみささぎ)に治定されている。宮内庁上の形式は円丘。「小松山陵(こまつやまのみささぎ)」とも。

江戸時代には陵の所在はまったくの不明となっており、明治期になり京都市右京区宇多野馬場町の現陵の場所に定められた。ただし、比定に確たる根拠があったわけではなく、仁和寺の西南にあたる現在の場所は文献記録とも矛盾すると指摘されている。

上記とは別に、京都府京都市右京区御室大内にある宮内庁の御室陵墓参考地(おむろりょうぼさんこうち)では、光孝天皇が被葬候補者に想定されている。

また皇居では、皇霊殿(宮中三殿の1つ)において他の歴代天皇・皇族とともに天皇の霊が祀られている。

和歌[編集]

小倉百人一首にとられる。

君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪はふりつつ(きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもでに ゆきはふりつつ)

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