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新型コロナウイルス感染症の世界的流行 > 国・地域毎の新型コロナウイルス感染症流行状況 > アジアにおける新型コロナウイルス感染症の流行状況 > 中国本土における新型コロナウイルス感染症の流行状況
中国各省における10万人あたりの感染率 10万人あたり114.96人感染(湖北省) 10万人あたり3-5人感染 10万人あたり1-3人感染 10万人あたり0.5-1人感染 10万人あたり0.5人未満感染 | |
中国各市の感染ケースの累計確認状況 | |
疾病 | 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) |
---|---|
ウイルス株 | SARSコロナウイルス2 (SARS-CoV-2) |
最初の発生 | 中華人民共和国湖北省武漢市 |
場所 | 中華人民共和国 |
出現した日付 | 2019年12月1日 |
確定症例数 | 87,331人 |
回復者数 | 82,176人 |
死者数 | 4,634人 |
中国本土における2019年コロナウイルス感染症の流行状況では、中華人民共和国のうち香港・マカオを除く中国本土における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行状況について述べる。
「新型コロナウイルス感染症の世界的流行 (2019年-)」も参照
■ 累積回復者 ■ 治療中 ■ 累積死亡者 ■ 新規確認表示
中国本土におけるCOVID-19の症例数 (
死亡 回復 検査済 臨床診断 検査済または臨床診断 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 最近15日 | ||||
---|---|---|---|---|
日付 | 症例数 (臨床診断を除く) | 症例数 (臨床診断を含む) | ||
2020-12-24 | 86,913(+0.02%) | |||
2020-12-25 | 86,933(+0.02%) | |||
2020-12-26 | 86,955(+0.03%) | |||
2020-12-27 | 86,976(+0.02%) | |||
2020-12-28 | 87,003(+0.03%) | |||
2020-12-29 | 87,027(+0.03%) | |||
2020-12-30 | 87,052(+0.03%) | |||
2020-12-31 | 87,071(+0.02%) | |||
2021-01-01 | 87,093(+0.03%) | |||
2021-01-02 | 87,117(+0.03%) | |||
2021-01-03 | 87,150(+0.04%) | |||
2021-01-04 | 87,183(+0.04%) | |||
2021-01-05 | 87,215(+0.04%) | |||
2021-01-06 | 87,278(+0.07%) | |||
2021-01-07 | 87,331(+0.06%) | |||
2020年2月10日以降の湖北省のデータは、検査による症例数ではなく、医学的な肺炎の徴候を示す画像診断に基づく臨床診断による症例数を含む。2020年2月10日から15日までの間の臨床検査データは、これとは別にも入手可能である。2020年2月16日以降のデータは、別の臨床検査による症例数を含まない。2020年2月19日以降は、新規の臨床検査症例数のみが合計に計上されている(ただし、それ以前に計上された臨床診断による症例数は除外されていない)。2020年4月17日、武漢市当局が、これまで報告されていなかった、在宅で発生したCOVID-19による死者数の計上に関する報告を発表したことを受け、また、以前に別々の病院が死者数を二重に数えていた分を差し引くことも含めて、国家衛生健康委員会は4月16日までの累計を修正し、累計症例数325例と死者数1290人を追加する訂正を行なった。データの出典は国家衛生健康委員会の日報(1月25日以前については別のリンクで、1月10日以前については武漢市衛生健康委員会ウェブサイトを参照) |
省・市・自治区 | 感染者数 | 死亡者数 | 退院者数 | 参考資料 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
合計 | うち入国者 | 合計 | うち入国者 | |||
合計 | 82836 | 1639 | 4633 | 77555 | 1087 | |
湖北省 | 68128 | 4512 | 63616 | |||
広東省 | 1587 | 193 | 8 | 1547 | 177 | |
北京市 | 593 | 174 | 9 | 536 | 129 | |
上海市 | 644 | 305 | 7 | 581 | 250 | |
浙江省 | 1268 | 50 | 1 | 1261 | 44 | |
天津市 | 190 | 54 | 3 | 182 | 49 | |
河南省 | 1276 | 3 | 22 | 1254 | 3 | |
重慶市 | 579 | 3 | 6 | 573 | 3 | |
四川省 | 561 | 21 | 3 | 558 | 18 | |
山東省 | 787 | 24 | 7 | 768 | 16 | |
湖南省 | 1019 | 1 | 4 | 1015 | 1 | |
江西省 | 937 | 2 | 1 | 936 | 2 | |
雲南省 | 185 | 11 | 2 | 181 | 9 | |
遼寧省 | 146 | 21 | 2 | 143 | 21 | |
海南省 | 168 | 6 | 162 | |||
貴州省 | 147 | 1 | 2 | 145 | 1 | |
安徽省 | 991 | 1 | 6 | 985 | 1 | |
福建省 | 355 | 59 | 1 | 349 | 54 | |
山西省 | 197 | 64 | 160 | 27 | ||
寧夏回族自治区 | 75 | 3 | 75 | 3 | ||
広西チワン族自治区 | 254 | 2 | 2 | 252 | 2 | |
河北省 | 328 | 10 | 6 | 318 | 6 | |
江蘇省 | 653 | 22 | 646 | 15 | ||
黒竜江省 | 939 | 386 | 13 | 586 | 116 | |
陝西省 | 286 | 41 | 3 | 253 | 11 | |
新疆ウイグル自治区 (新疆生産建設兵団を含む) | 76 | 3 | 73 | |||
甘粛省 | 139 | 47 | 2 | 137 | 47 | |
吉林省 | 110 | 17 | 1 | 99 | 7 | |
内モンゴル自治区 | 198 | 123 | 1 | 121 | 71 | |
青海省 | 18 | 18 | ||||
チベット自治区 | 1 | 1 |
12月8日、武漢市で原因不明の肺炎患者が最初に報告された。国家衛生健康委員会も既に専門家を現地に派遣した。
12月31日午後、武漢市衛生健康委員会は合計27件の症例があり、そのうち7人が重症で、2人がまもなく退院すると報告した。
なお、この時点でカナダの健康モニタリング企業BlueDotがAIを用いた解析でウイルス拡散(アウトブレイク)の可能性を警告した。
2020年1月[編集]2020年1月1日、江漢区市場監督局と衛生健康局は局地的流行の中心地とされる華南海鮮卸売市場を閉鎖した。1月3日、武漢市の警察当局はSNSで肺炎に関するデマを拡げたとして、医師ら8人に対して訓戒処分を下した。
1月5日の武漢市衛生健康委員会の発表によると、午前8時の時点で原因不明の肺炎の患者は合計59人で、そのうち7人が重症であり、他の患者の容態は安定していた。すべての患者は武漢市内の医療機関で隔離治療を受けており、死亡者はいなかった。発症例のうち、最も早いものの発症時期は2019年12月12日、最近のもので12月29日であった。疫学調査によると、一部の患者は華南海鮮卸売市場の入居者で、ヒトからヒトへの感染の形跡は確認されず、医療スタッフの感染も発生していなかった。またインフルエンザ、鳥インフルエンザ、アデノウイルス感染症、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)などのウイルスはいずれも検出されなかった。1月7日、原因不明の肺炎は新種(新型)のコロナウイルスにより引き起こされたことが判明した。
1月8日、武漢市衛生健康委員会は、8人の患者の退院を発表した。8人の患者は数カ所の病院で隔離されたが、のちに全員が武漢金銀潭病院に収容された。
1月9日夜、61歳の男性患者が死亡した。1月11日、武漢市衛生健康委員会は、肺炎の患者計41人のうち、1人が死亡、7人が重症で、2人が既に退院したと発表。また、医療スタッフを含む739人の接触者全員に症状は見られなかった。
1月15日0時過ぎ、69歳の男性患者が死亡した。2人目の死亡者である。武漢市衛生健康委員会の発表によると、1月18日に1人、19日に1人、20日に2人、21日に3人の患者が死亡した。22日以降に死亡者数が急増した。
1月21日の湖北省衛生健康委員会の発表によると、武漢市近郊の黄岡市でも12人の感染者が確認された。また、同月22日に荊州市でも6人の感染が確認された。一方、中国国内メディア・三聯生活週刊の取材によると、武漢市内の病院のウイルス検出薬品と収容能力は既に限界に達したため、感染の疑いのある一部の患者は病院に収容されず毎日通院しなければならなかった。
1月25日、武漢市で感染者と思われる62歳の医師が肺炎により死亡したが、地元の保健当局は、死亡した医師はすでに退職していると発表した。
感染の拡大により、武漢市側は1月23日午前10時より人の出入りを制限し始め、武漢市内の空港、鉄道駅、フェリー、バスおよび武漢地下鉄は営業停止となり、閉鎖された。記者の取材によると、多くの人が10時前に武漢市を脱出しようと漢口駅に集まっていた。近郊の黄岡市も夜24時から人の出入りを制限し、市内の交通機関を停止した。また、同日から鄂州市・天門市・仙桃市・潜江市・赤壁市・枝江市・利川市・咸寧市・荊門市・当陽市・黄石市・恩施市・孝感市も市内の交通機関を停止した。武漢当局は、26日午前0時から市の中心部で許可された車以外通行を禁止することを明らかにした。無料のタクシー合わせて6000台をすでに配備したとし、市民の自家用車での外出を禁じた。
また、中国国内で多くの地域で湖北省出身者に対して厳格な検疫措置をとっており、湖北省の住民がSNSで差別にあったと投稿したこともある。
新型コロナウイルスによる肺炎の患者を治療するために、武漢市内で火神山医院と雷神山医院が1月から急ピッチで建設された。また、この模様はインターネットでライブ配信された。
2020年2月[編集]
中国各省・各特別行政区の初感染ケースの確認日付: 2020年1月11日
2020年1月20日
2020年1月21日
2020年1月22日
2020年1月23日
2020年1月25日
2020年1月29日
中国国内での感染拡大により、多くの地域では住民の外出や交通機関の運行が制限されている(濃赤)。一方、感染者が多く発生しているものの、完全に制限されていない地域もある(薄赤)。2020年1月19日、広東省深圳市で1人の感染が確認された。患者は元日の前後に武漢市に訪れたことがあり、1月3日に深圳市に戻った直後に発熱があったという。
1月20日、広東省深圳市・珠海市などで新たに13人の感染が確認。
1月25日以降に新型コロナウイルスの感染が確認された症例の中国内および台湾での広がりを示すアニメーション
1月20日、北京市大興区で2人の感染が確認。同日夜に広東省深圳市・珠海市などで新たに13人、北京市で新たに3人、上海市で1人の感染が確認。うち珠海市の3人は家族間の感染と見られる。ほとんどの症例は武漢市での滞在歴がある。
1月21日から、主に武漢市から出てきた人の移動により湖北省以外の中国各省でも確認感染者の数が増加し続けていた。
1月23日、22日に河北省滄州市で死亡した80歳男性は感染が確認され、湖北省外の初めての死者となった。
1月24日、黒竜江省綏化市で1人の感染と死亡が確認された。
感染の拡大により、故宮博物院や上海ディズニーランドなど春節の連休で人気な中国国内の施設は1月25日より休業した。また、24日に中国高速鉄道の天津車両基地に所属する乗務員数人は感染が確認されたため、当該車両基地はしばらく閉鎖された。
1月26日、広東省政府は公共の場でのマスク着用を義務付け、違反者に対する罰則を導入した。
中国中央テレビによると、北京市政府が1月26日から市境を超えるすべてのバスの運行を停止すると報じた。
1月27日、北京市で50歳の男性感染者が死亡した。この感染者の死亡は北京市内で初めての死者となった。患者は上海市在住の電力会社の元管理職で、1月8日-12日に武漢市に出張し、13日にまた上海から北京に出張し、22日に現地で感染が確認された。
1月29日、31の省・自治区・直轄市の中で唯一感染者が確認されてこなかったチベット自治区でも疑いのある患者が発見され、同日に感染が確定した。これにより、中国全土で感染者が確認されたことになる。
2020年2月[編集]3月に入って以降、中国では海外から入国した感染者の数が国内発生数を大幅に上回るようになった。
3月2日、浙江省青田県でイタリアから帰国した7人の感染が確認された。
3月5日、甘粛省でイランから入国した11人の感染が確認された。
3月6日、北京市でイタリアから入国した4人、上海市でイランから帰国した1人の感染が確認された。
3月7日、経過観察施設に指定されている福建省泉州市のホテルが倒壊した。
3月9日、北京市でイギリスから入国した1人、広東省東莞市でスペインから帰国した留学生1人の感染が確認された。
3月11日、広東省深圳市でフランスから入国した1人、中山市でスペインから入国した2人、河南省鄭州市でイタリアから帰国した1人、甘粛省でイランから入国した2人の感染が確認された。
3月22日、前日にシンガポールから上海経由で済南市に到着したサッカーベルギー代表、山東魯能所属のマルアン・フェライニの感染が確認された。
3月26日、新たな感染者は55人で、54人が海外からの入国者・帰国者であった。
3月27日、国家衛生健康委員会の発表によると新たな感染者は54人で、全員が海外からの入国者であった。内訳は上海市17人、広東省11人、福建省6人、天津市5人、浙江省4人、北京市、遼寧省各3人、内モンゴル自治区、吉林省各2人、山東省1人であった。
2020年4月[編集]4月に入ってから、黒竜江省・内モンゴル自治区・上海市などでロシアから入国した感染者が大量に発生していた。
2020年6月[編集]6月13日前後、北京市豊台区にある食品卸売市場・新発地卸売市場で50人以上のクラスターが発生した。当局は感染源が輸入の冷凍サーモンではないかと分析した。
2020年7月[編集]7月17日、新疆ウイグル自治区の州都・ウルムチ市で集団感染が見つかったため、当局は同市を封鎖した。また、ウルムチ地下鉄も運行停止。
7月22日、遼寧省大連市の水産加工会社で集団感染が発生、市側は全市民を目標にPCR検査を始めた。
「新型コロナウイルス感染症の世界的流行 (2019年-)#中国政府の対応」も参照
以下では、政府の対応およびその対応対象や関連事象も含む。
2019年12月[編集]12月時点で武漢市は感染者を27人と公式発表していたが、実は104人であった、と後の2月17日の中国疾病予防管理センター発表で報告された。さらに、1月1日から10日まではその6倍の653人、1月11日から20日までは5417人に増加していたとも報告している。
2020年1月[編集]
李克強国務院総理
北京地壇公園の旧正月(春節)
「zh:2019冠狀病毒病中國大陸疫區封鎖措施」も参照
2020年1月23日午前2時、中国共産党中央政治局からの指示で武漢市対策本部が「第1号通告」で感染拡大を防ぐための都市封鎖を宣言した。同日10時から市内のバス、地下鉄、フェリー、長距離バスを暫時停止、空港も鉄道駅も閉鎖された。
2月16日、湖北省政府は、同省全域に封鎖を宣言した。緊急車両など許可を得た車以外の通行を禁止し、不必要な外出や会合への参加に対しては強制措置を取ると宣言した。生活必需品も集団購入して配送する配給制となった。この封鎖措置によって、同省住民約6千万人が外出禁止に近い状態となり、省都武漢以外では医療体制がもともと貧弱で、感染すると十分な治療を受けられない可能性があった。
2月17日、孝感市は市民の外出を禁止し、違反行為には一律で十日以下の拘留を課すと通知した。また、麻城市は自ら症状や他人の症状を通報した人に五百元(約7800円)の奨励金を支払うとした。
2月18日、武漢政府が非感染者の指定病院を公表。3月2日、湖北省副省長は湖北省内ですべての感染者と疑似感染者が入院し治療を受けていると発表した。
2月24日、武漢市当局は市内滞在の市外戸籍者の帰還許可を出したが、数時間後に上級機関の許可ができていないとして撤回した。
3月6日、中国国務院は、流行の初期段階で湖北省の3,000人以上の医療スタッフが感染し、そのうち40%が病院での感染(院内感染)であったと発表、また中国各地から湖北省へ派遣された4万以上の医療関係者はまだ感染が報告されていないと発表した。この都市封鎖によって深刻な医療崩壊(後節参照)も起きている。
4月8日、武漢市に対する封鎖が解除。
最終的に、方艙医院は16ヶ所が設置され、病床数は1万3467床に達し、休止されるまでの約30日間に軽症患者約1万2000人を受け入れた。
国家衛生健康委員会の馬暁偉は、方艙医院の設置について「今後、公衆衛生上の緊急事態や深刻な災害、感染病の流行などが発生した場合に対応し、医療資源の増強を速やかに組織する上で新たなモデルケースとなった」と強調した。
「COVID-19の検査#中華人民共和国の検査体制」も参照
2020年2月5日に中国疾病制御センターは「無症状感染者を確定患者数に含める指示したが、2月7日に無症状感染者は単独で別途の人数とすると変更した。
2月12日以前は、症状、CTスキャン、PCR検査の3つの条件がそろわないと「確定患者」には分類されていなかった。
しかし、防疫案第四版で、無症状感染者と確定患者を分けて管理するという方針を採用した。PCR検査キット数が不十分だった湖北省に限り「症状とCTスキャン」で診断されれば患者とみなすようになった。こうして感染者の分類は以下のようになった。
この基準の採用を開始したのが2月12日だったため、湖北省ではその日だけ患者数が激増した。
2月14日、国家衛生健康委員会が「無症状感染者に関しては対外的に公表しないと決定した」と公言した。
中国政府は、スマートフォンの位置情報の収集かつ3億台近い監視カメラによる顔認識で、患者およびその患者と接触した「濃厚接触者」の行動を追跡する監視システム(天網)を駆使した。発見された濃厚接触者には検査が強制された。
江西省瑞昌市、遼寧省阜新市、広東省広州市などでは公安当局がドローンやロボット、ヘルメットマウントディスプレイを通じたサーモグラフィーによる体温監視や消毒剤の散布、マスクを着用しない市民への警告などを行った。
無症状感染者は、臨時施設の方艙医院(コンテナ病院)に隔離し、14日後に無症状かつPCR検査で陰性であれば、さらに24時間後の再度検査で陰性であれば隔離を解除する。14日後に陽性の無症状者は隔離を続けた。
「新型コロナウイルス感染症の世界的流行 (2019年-)#中国政府の対応」も参照
国営メディアは、習近平総書記が2020年1月7日(当初は1月20日と位置付けていたが前倒しした)以来、会議や外交や指示を行ってきたと、指導力の卓越さを強調し、習近平総書記の指導力があったからこそ、中国は早期に感染拡大を終わらせ、世界に貢献したと宣伝(プロパガンダ)する狙いがあるとみられている。
宣伝書籍「大国戦“疫”」[編集]2020年2月27日、習政権と中国共産党中央宣伝部は、著書「大国戦『疫』:2020 中国阻撃新冠肺炎疫情進行中」を出版し、「習同志が指導した防疫戦争の全貌を紹介する」と習政権のウイルス対策をアピールした。同書は習総書記の指示と演説内容を紹介し、「領袖の決断」を称賛して、新型コロナウイルスとの戦争における最高指導者の役割を強調した。国営メディアは「本書は中国共産党の指導者と中国の特色ある社会主義制度の顕著な優位性を明らかに示した」と賞賛した。
しかし、インターネット上で「子どもは学校に行けず、武漢人は外出もできないのに(感染症への)勝利を口にするのか」などと反発が広がり、3月1日に購入できなくなった。
感恩教育 (党への感謝の強制)[編集]感恩教育事件の後、ジャーナリスト褚朝新は、「あなた(当局)は人民の公僕であり、あなたの仕事は人々に奉仕することです。しかし、あなたが仕える人々は破壊され、死に、病気になっている。恥ずかしく思うべきだ。」と良心があれば武漢の人に感謝を強制することはしないと批判した。
中国共産党では公務員は「人民の公僕」とされたが、習政権では「父母官(父母のような公務員)」とされ、小学校の教科書などでも説かれた。これは毛沢東の「感恩領袖 (感謝される指導者)」にもとづく。
医療関係者として武漢病院での情報隠蔽を内部告発した後死亡した李文亮医師の例でも、中国のソーシャルメディアは当局への怒りを示した。
検閲と言論統制[編集]「中国のネット検閲」、「中国における検閲」、「グレート・ファイアウォール」、および「金盾」を参照
李文亮医師の告発がネットで知られていくにつれ、中国政府は検閲や情報統制、言論統制を強化していった。武漢の現状をスマートフォンなどを用いてTwitterやYouTubeなど外部に発信した北京の弁護士の陳秋実は2020年2月4日に行方不明となり、武漢市民の方斌は2月7日に強制連行のため集団が部屋に押し入ってきた動画を投稿して以来途絶え、中央テレビの元キャスターの李澤華などの市民ジャーナリストも拘束された。
2020年2月初頭、武漢の現状をスマートフォンなどを用いてTwitterやYouTubeなど外部に発信したことで、北京の弁護士の陳秋実や武漢市民の方斌、中央テレビの元キャスターの李澤華などの市民ジャーナリストが拘束された。
陳秋実は2月4日のインターネットへの投稿を最後に途絶えた。陳は発熱していなかったにも関わらず、感染の危険があるため強制的に隔離されたといわれている。
2月5日、政府は微博や微信、ByteDanceの抖音(ドウイン)などのソーシャルメディア・プラットフォームの監視を強化すると発表した。
方斌は2月7日、連行するため防護服を着た集団が部屋に押し入ってきた動画を投稿した。
医師の告発[編集]李文亮李文亮医師は、艾の投稿を紹介して早期に警鐘を鳴らしたが、武漢の公安当局から訓戒処分を受け、その後新型肺炎で死去した。
新型肺炎が発生した初期の2019年末にウイルス検査を担当していた武漢市中心病院救急科主任の艾芬医師が、2020年3月10日、インターネットで閲覧できる共産党系の中国誌「人物」に公開した記事「笛をくばる人」で、武漢政府による口封じがあったと発表した。
艾は2019年12月30日、原因不明の肺炎患者のウイルス検査報告を医師のSNSチャットグループに投稿した。艾は処分は受けなかったが、2020年1月1日、勤務先の病院経由で武漢政府から「パニックを避けるため、情報を外部に公表してはならない」と通知され、その後、病院幹部に「デマを流した」と責められ、今後は一切口外しないよう厳命された。その後、病院では肺炎患者が急増し、艾は1月初旬に「人から人への感染」を確信するが、発言できなかった。中国政府が人から人への感染を認めたのは1月20日になってからだった。艾芬医師は「もし1月1日に皆が用心できていれば(情報が公表できていれば)、このような多くの悲劇はおきなかった」と後悔の念を述べた。
李文亮医師は、艾医師の同僚で、艾の投稿を紹介して早期に警鐘を鳴らした
艾芬の記事は投稿後2時間で当局に削除されたが、SNSなどで転載され続け、「言論の自由」を求める声が中国国内で高まった。記事は英語、日本語、ドイツ語に翻訳されたが、これは削除されていった。さらにAI(人工知能)を用いた検閲から削除されないよう、写真、篆書体や甲骨文字や毛沢東の書体などの書道、DNA配列、点字、楽譜、逆さ読み、QRコード、バーコード、モールス信号、絵文字など33種類の形式で転載されていった。3月10日の艾芬医師の告発以降、中国国内をはじめ各地で中国政府の初動体勢が批判されている(後述)。
検閲当局は3月11日夜以降は転載記事は削除されなくなった。インターネット上では「(李医師と)同じ悲劇を繰り返すな」「これ以上の言論封殺は許さない」など批判が続いた。
これに対し、人民日報の姉妹紙『環球時報』は「これは不満を表した一種のネット上の芸術だ。大したことではない」と言及した。胡錫進同紙編集長は3月11日、SNSで「中国ではネット上に集まった意見は、削除されても政策には反映される」と述べた。
統計の改ざん[編集]2020年3月15日に北京大学の姚洋国家発展研究院長は論文で「地方当局者は『新たな感染者を1人でも出せば処分する』という指令を受けている」と異例の指摘をした。湖北省では3月18日-19日に新たな感染者が確認されていないが、中国は感染症鎮圧の目標達成を装うために統計が改ざんされていると指摘された。
中国当局は2月14日に検査で陽性であっても発熱や咳のような症状がなければ感染者として発表しないという基準に変更していた。
3月22日、サウスチャイナ・モーニング・ポストは、2月末時点で中国の感染者4万3000人以上が「無症状」を理由に統計から除外されていたと報じた。無症状者は感染者全体の3分の1とみられ、2月末の中国の公式発表約8万人に症状者を含めると12万人を超える。無症状患者は医療監視下に置かれたという。
3月23日、新規感染がないと当局は発表しているが、武漢では現在も1日に数人〜十数人の無症状陽性患者が出ていると中国疾病対策予防センターの匿名の職員が財新に明らかにした。
「新型コロナウイルス感染症の世界的流行 (2019年-)#中国政府の対応」も参照
1月29日、中国におけるコロナウイルスに関する概要の説明を受けるアメリカのトランプ大統領。感染の拡大が武漢市に集中していた2020年1月時点では、ウイルスに対する中国の対応は、2003年のSARS流行時と比較して、一部の外国の首脳らから称賛された。
この他、中国政府に対する評価ではなく中国のカトリック共同体に対して向けられた発言であるが、2020年1月26日にフランシスコ教皇は、バチカン市国のサン・ピエトロ広場で行われた日曜ミサで「ウイルスの流行と闘うため、中国のカトリック共同体による大いなる献身が既に施されている」と称賛し、「中国全土に広がったウイルスが原因で病苦に遭っている人々」のために締めの祈りを開始した。
3月には、中国メディアによると習主席(総書記)はアントニオ・グテーレス国連事務総長と電話会談し「中国は感染国に援助し、国連やWHOの行動を支持する。すでにWHOには2000万ドルの援助を申し出た」と伝え、グテーレス事務総長は「中国には今後も世界でリーダーシップを発揮してほしい」と感謝した。
北京市民で北京大学法学部出身の薛扶民氏がネット上で実名の告発文を発表し、『大国戦「疫」』や「私たちの生活は蜜より甘い」などのプロパガンダを展開している中国共産党の宣伝担当の王滬寧に辞任を要求した。薛氏は告発文で、王滬寧が「ひたすら『戦績』を吹聴したことで、共産党と中国が嘲笑の的となった」と批判し、「ウイルスを世界に蔓延させたことに謝罪すべきだ」と主張した。
北京の作家、王蔵本氏は2020年3月4日、ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材で、薛の勇気を称賛し、「私たちは再度、独裁政権のプロパガンダが天理人性に背反することを認識することができた。疫病の惨烈さや苦難に満ちた命の悲劇が、多くの人を目覚めさせている」と述べた。
ニューヨーク市立大学政治学科の夏明教授は「習近平政権は、新型肺炎が政権発足以来、最大の危機だと表現している。王滬寧氏は性急なプロパガンダを展開した」と分析した。
武漢市民の批判[編集]武漢官僚の「やらせ」批判[編集]2020年3月5日、孫春蘭副総理ら中央指導組は食料や医薬品の配給状況を聞くため、武漢市の高層マンション地区を視察した。3月6日までにSNSのウェイボーに、住民が孫春蘭副総理らに罵声を浴びせる様子を捉えた映像が投稿されて拡散し、多くは削除された。生活の改善ぶりをアピールした地区管理者の「やらせ」に批判が集まった。映像では、地区管理者はボランティアと「野菜や肉は各家庭に着実に届いている」と報告。だが、その様子を窓から見ていた住民らが「全部ウソだ!」「何にも来ない!」「庶民は値段の高い食材を買わされている」と叫び声を浴びせた。ボランティアも用意されたやらせで、批判された。
人民日報は同6日の記事で、映像には触れずに「地元当局が肉や野菜を届けているかのように装っているが、実際には行き届いていないと訴えている」と伝え、「中国政府は湖北省や武漢市に徹底した調査とともに、形式主義や官僚主義を断ち切るよう求めた」として住民の要望に対応するとした。
香港の有線電視などはこの動画を放送し、当局からの削除を受けていない。動画が削除されない背景には、かつての北京で頻繁に見られた地方からの直訴と同じ構図があり、党中央は地元政府に反発する武漢市民の声を真摯に聴くという姿勢を見せているためでないかと指摘されている。
武漢の作家の批判[編集]また、武漢の作家の方方(本名・汪芳)がブログ『封城日記』で、武漢政府や武漢市中心医院幹部を批判している。2020年3月10日には「勝利ではない。終息だ」とし、安易な勝利宣言を戒めた。3月11日には艾芬医師の告発記事が削除の対象となっていることを批判し、病院幹部の辞職を求めた。方方氏の記事は習近平指導部ではなく、地方官僚や医院の幹部への批判であることからブログの閉鎖はされていないと指摘されている。
2020年3月11日、ドイツ連邦保健省、シュパーン保健大臣、独疾病予防ロベルト・コッホ研究所(RKI)ロザール・ウィラー所長は共同でプレスリリースを発表し、中国の強制的な隔離措置はウイルスが世界から消えることを意味しないとし、隔離は感染者の急増を防ぎ緩やかにする効果は期待できるが、新規感染の数を減らすものではないとし、隔離の効果に過度に期待することはできないと指摘した。
また、シャリテ医科大学のウイルス学者であるクリスチャン・ドロステン(Christian Drosten)氏は、中国当局のデータは意図的に操作されており、信頼に値しないとし、「中国はこの問題を終わらせようとしている。態度を180度変えた。今は、新たな感染者がすべてイタリアから来ているという印象を与える操作を行っている」とし、また、「中国の社会活動が元通りになれば再流行が起こるだろう」と予測している。
「5つの一」政策に対する批判[編集]中国民用航空局が2020年3月26日に発表した「5つの一」政策により、海外帰国便の便数が大幅に減少し、航空券の価格の上昇などにより多くの海外在留者が帰国できなくなり、特に海外滞留の留学生が3月末時点で142万人に達した。これにより海外在留者の間で中国政府によるチャーター便を要求する動きが始まり、「棄民政策」との批判も高まった。
ウイルスの呼称・発生地に関する争議[編集]「武漢肺炎」も参照
発生源とされる武漢華南海鮮卸売市場の空撮。左手に見えるのが正面玄関。消毒チームが付近の消毒を行っている(2020年3月4日)。2020年1月以降、流行が世界全体に拡大していくに従い、中国政府の対応への批判も多数なされるようになった。また、アメリカや日本では発生の起源を明確にするためには「武漢」の名称を入れる(「武漢肺炎」「武漢ウイルス」「武漢コロナウイルス」など)ことが適切だとする意見も出てきた。中国外務省や国営メディアは「武漢ウイルス」のような言葉が出るたび火消しに走っている。
WHOは2015年に「名称についてのガイドライン」で、新たなヒト感染症・ウイルスの名称に地理的な位置、人名、動物や食品に関する名前、特定の文化や産業に関する名前を含むべきでないとする方針を定めている。武漢でアウトブレイクが発生した新型ウイルスの名称について、WHO新興感染症対策部門のマリア・ファン・ケルクホーフェ氏は2月7日に「名称によってどの場所も連想されないようにするため、暫定の名称を付けることが重要だ」とし、「多くのメディア報道が、今もなお武漢や中国を使って呼んでいるのを皆が目にしていると思う。われわれはしっかりと汚名を着せないようにしたい」と述べた。また、WHOの感染症専門家シルビー・ブリアン氏は中東呼吸器症候群 (MERS) やスペイン風邪といった地域名などを用いた呼称も、「関連する地域や民族に汚名を着せかねないために避けるべき」としている。WHO健康危機管理プログラムのマイケル・ライアン氏も「この病気に関連付けられた汚名が着せられないように期するのはわれわれ全員の責任であり、民族に基づいた個々人に対して不必要かつ無用な人物像を描いてしまうことは、全くもって全面的に容認できない」と語った。ジョンズ・ホプキンス健康危機管理センターのクリスタル・ワトソン准教授は「正式名称がないと、たとえば人々が『中国ウイルス』などの呼称を使い始めてしまい、特定の人々に対する反感を巻き起こす危険がある」と述べた。
2月11日、WHOは新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) による疾患の正式名称を「COVID-19」に決定した。
2020年2月[編集]2月14日、「日本の尊厳と国益を護る会」の代表幹事である青山繁晴参院議員は「WHOが決めた『COVID-19』は覚えにくいし、病気の本質が理解しづらい。『武漢熱』と呼ぶべきだ」と述べた。
2月16日にジャーナリストの山田順が「武漢肺炎」「武漢ウイルス」は当初中国でもそう呼んでいたし、アメリカでも“Wuhan coronavirus”と呼んでいたとし、「わざと「武漢」を使わないほうが、偏見・差別・風評被害を助長することになる。しかも正確ではない。「新型肺炎」「新型コロナウイルス」では、知らない読者の推測を招く。つまり、読者をバカにしている。この言い方でわかるだろうと勝手に決めつけている。名称は、正確でなければならない。福島原発から福島を外してほかの言い方をするのと同じだ」と論じた。
この他、2月時点でASEANでも英語の「Wuhan Virus(ウーハン・ウイルス=武漢ウイルス)」という呼称が用いられるようになってきているという。
2020年3月[編集]2020年3月には米中政府間でウイルス呼称に関する争議が激化した。
マスクや人工呼吸器の不足が深刻化している欧州では、マスクや人工呼吸器など医療物資の供給を活発化させて影響力を拡大する中国に対して「マスク外交」を行っていると警戒する声があがった。また、アメリカのブルッキングス研究所は日本もマスク外交の対象になっていると主張しており、日本政府は中国で1000万枚のマスクを調達している。中国国営環球時報は3月11日に「マスク外交」と呼ぶ欧米の論調に対して「支援してくれた外国への恩返しは、当然の道理だ」と反論した。
また、アメリカはマスクや抗生物質を中国からの輸入に依存しており、2019年から米中両国は激しい米中貿易戦争を繰り広げて互いに報復関税をかけ合っていたが、トランプ政権はマスクや人工呼吸器など一部の医療用品については対中関税から免除することとなった。ウイルスをめぐる米中の摩擦で医療物資の供給網を牛耳る中国が対抗措置をとる可能性も懸念され、3月4日に中国国営新華社通信は「中国が報復すればアメリカは医薬品不足になってウイルスであふれかえるだろう」と警告し、3月19日には上院議員のトム・コットン(英語版)と下院議員のマイク・ギャラガー(英語版)は医薬品の対中依存解消を目指す法案を米議会に提出した。
4月5日までに新型コロナウイルスの蔓延に対して責任があるとして中国は各国で提訴されており、G7だけでも総額は3.2兆ポンド(約431兆円)になると計算されている。
イギリスの外交シンクタンクヘンリー・ジャクソン協会が4月5日に発表した報告では、中国政府は国際保健規則(International Health Regulations,IHRs)第6条の情報通報の義務と第7条の「予期されない又は特異な公衆衛生上の事象が発生した場合の情報の共有」に違反していると主張し、中国政府は新型コロナウイルスのヒトからヒトへの感染が明らかになったデータを発覚後、最長3週間にわたって開示しなかったこと、2020年1月2日から2020年1月11日までの間の感染数に関する誤った情報をWHOに提供したこと、感染発覚後も同国民の海外渡航を規制しなかったことなどを指摘した。報告書は、イギリスは正式な政府支出に基づいて3510億ポンド(4490億ドル)の損害賠償を請求することが可能で、アメリカは1兆2000億ドル、カナダは590億ドル、オーストラリアは370億ドルの損害賠償請求が可能であると報告した。
中国の反論[編集]中華人民共和国国務院直属の中国国際放送局(CRI)は4月7日放送で、損害賠償請求は「でたらめ至極」だとして、中国は感染症情報を即時公表し、国際機関および国際社会とすべてを共有し、「中国は莫大な犠牲を払って、全世界の感染症予防・抑制活動の最前線で防衛線を構築し、貴重な時間を稼ぎ出した」と反論した。ヘンリー・ジャクソン協会の報告は一種の人種差別主義であり、国際的な防疫協力への大きな妨害となると反論した。
また4月9日には、国営放送中国中央電視台のCGTNは中国政法大学助教授Zhu Zhengによる、ヘンリー・ジャクソン協会の報告は国際法に無知であるとの反論を報じた。また、同日、賠償請求はイアン・ダンカン・スミスなどの保守党幹部の邪悪な意図を示す政治的な誹謗であり、中国への偏見を持つ一部の政治家の行動はイギリスの国家利益を損なうと報じた。
在ロンドン国際法律家委員会(International Council of Jurists,ICJ)とインド弁護士協会は、国連人権理事会に対し新型コロナウイルスのパンデミックをもたらした中国政府に損害賠償を請求するよう求めた。ICJ会長アディッシュ・アガーワラ(Adish C. Aggarwala)は中国は生物兵器を開発してきたと批判。アガーワラ会長は、WHOが宣言したこのパンデミックは中国政府が超大国の位置に付くための陰謀によるもので、他国を細菌戦との戦いとその犠牲にしたと声明で述べた。
詳細は「2019年コロナウイルス感染症による社会・経済的影響#中国」を参照
武漢の都市封鎖によって医療崩壊が発生した。武漢の病院では病床不足や人手の不足が続き、患者が待合室や廊下にあふれ、院内感染も進んだ。高熱が出ても入院先が見つからず、自宅療養を強いられる者も多く、また感染する医療関係者も多い。乳腺がんの化学治療を受ける予定だった患者の治療が延期になるなど、新型肺炎以外の患者にも影響が及んだ。
武漢の大学病院のグループは2020年2月7日に、感染者の約4割が院内感染とみられると米国の医学雑誌に発表した。この論文で、1月1日から28日にかけて感染が確認された患者138人のうち、41%に当たる57人が医療スタッフや別の病気で入院していた患者で院内感染した可能性を指摘しており、このうち70%に当たる40人が医療スタッフであった。
一方、WHOと中国の合同専門家チームが2月29日に公表した調査報告書によると、2月20日までに中国で感染が確認されている約5万6千人を追跡調査した結果、中国における人から人への感染は主に家庭内で起きていたことが分かっている。
中国が「感染者全員入院、治療」の方針を打ち出し、臨時的病院の使用と全国の医者からの支援のもと、この状況が大きく緩和した。
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