MARVEL_SUPER_HEROES

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マーヴル・スーパーヒーローズ

原作

マーベルコミックス


曖昧さ回避 この項目では対戦型格闘ゲームについて記述しています。スーパーファミコン用横スクロールアクションゲームについてはマーヴルスーパーヒーローズ ウォーオブザジェムをご覧ください。

『マーヴル・スーパーヒーローズ』(MARVEL SUPER HEROES)は、アメリカン・コミックスを題材とする2D対戦型格闘ゲーム。カプコンが開発し1995年11月に同社よりアーケードゲーム(CPS-2基板)として出荷され、後にセガサターン、プレイステーションに移植された。

なお本項においてはゲームタイトルおよび当時の記述に基づき、表記をマーベルではなくマーヴルに統一する。

目次

概要[]

マーヴル・コミックのスーパーヒーローとヴィラン(悪役)たちが、それを持つものに無限の力を与えるという「インフィニティ・ジェム」を求めて闘いを繰り広げる。マーヴルのクロスオーバー(作品間をまたがって展開する作品)シリーズの『インフィニティ・ガントレット』を原作とし、ゲームとしては『X-MEN Children of The Atom』の続編に当たる。

キャプテン・アメリカ、超人ハルクなど独立タイトルを持つ人気ヒーローたちが競演するとあって、とくにアメリカで大いに人気を博した。日本においても、東映の特撮作品でよく知られるスパイダーマンに人気が集まり、またスーパーヒーローならではの派手な演出が話題を呼んだ。なお、キャラクター選択は前作と同じくキャラの知名度よりも見た目の分かり易さが重視され、その結果ヒーロー側は原作に準じているものの、ヴィラン側はマグニートーにジャガーノートなどほとんど無関係なキャラになっている。またヴェノムやガンビットは候補に上がりながらも没になっている[1]

前作『X-MEN』の派手さはそのままに、よりシステムを洗練させている。特徴的なのは、相手を上空にはじき飛ばしさらに追撃する「エリアルレイヴ」で、これは後の『MARVEL VS. CAPCOM』シリーズに引き継がれることになった。一方で、永久コンボがいくつも見つかるなど対戦バランスの調整に課題を残した。

小学館プロダクションが前作と同時期にアニメとタイアップして出していた日本版Xメンに代わり、『マーヴルX』というオムニバス形式でマーヴルコミックを掲載する単行本が定期刊行され、それにともなってゲームの舞台もXメンからマーヴルユニバースへと移行。日本のゲームファンに、登場するキャラクターのバックボーンを知らしめる切っ掛けにもなったが、原作に出ていないキャラも多いことから「何故ゲームのキャラが出ていないのか?」といったちょっとした誤差が生じることになった。

海外では絶賛されていたが、日本ではそれほどヒットしなかったため、開発スタッフは「海外ではヒットした」という報告にもそれほど手応えを感じなかったという。また、開発の段階でマーヴル側から許可が下りなかった技などに関してもしつこく許可を求めたことから「最悪のライセンス会社」と言われた[1]

なお、このゲームのシークレットファイルを刊行に当たって、カプコンが見せたイラストがマーヴル側に認められ、以降カプコンがメインビジュアルのイラストなどを描くことを許可されるようになった(ただしシークレットファイル自体は刊行されなかった)[2]

システム[]

スーパージャンプ[]

高さ2画面分にも及ぶ大きなジャンプ。レバーをすばやく下、上と入力する(または、キックボタン3つを同時に押す)ことで使用可能。次に述べるエリアルレイヴ(AERIAL RAVE)の重要な要素となる。

エリアルレイヴ[]

後のシリーズを方向付けることになった特徴的なシステム。エリアルレイヴとは、端的に言えば空中連続技のことで、相手を空中に跳ね上げそれをスーパジャンプで追いかけて追撃する連続技のことを呼ぶ。海外版では『AIR COMBO』(エアコンボ)と呼ばれる。

各キャラクターの通常技の中には、それぞれ相手を上方向へ大きく吹き飛ばす特性を持っているものが存在し、これらはエリアル始動技と呼ばれる。エリアル始動技は、相手へヒットさせた瞬間にレバーを上に入力するだけで自動でキャンセルからのスーパージャンプに移行できるため、吹き飛ばした相手を追いかけての追撃を容易に行なえる。さらに、スーパージャンプ中は一部のキャラクターを除いて「弱P→弱K→中P→中K→強P→強K」の順に攻撃をつなげる「6ボタンチェーンコンボ」が可能であり、エリアル中にこの特性を生かすことで、華麗な多段連続技を決めることが可能。

エリアルヒットマークのエフェクトが正式に追加されたのは「X-MEN VS STREET FIGHTER」からであり、今作では他の通常技のエフェクトと同じである。

前作『X-MEN』でも、空中連続技自体は向き不向きはあれ全てのキャラクターで工夫次第で可能であったが、エリアルレイヴという名称となり、システムとして正式に体系化されたのは今作からである。

前作のシステムで、そのキャラクター独自の特殊効果を発揮できる「キャラ特性」を使うにはゲージを消費したが、本作ではウルヴァリンの「ヒーリングファクター」や「飛行」など、コマンドを入力すればゲージを使用せずとも発動できる。なお、前作では「飛行」中でも空中ガードが可能であったが、本作では不可能になった。

インフィニティ・ジェム[]

原作に登場する、無限の力を持つ「インフィニティ・ジェム」であるが、ゲーム中では使用キャラクターの性能を一定時間アップさせる効果がある。全ジェム共通のコマンドを入力することで使用可能で、キャラクターが複数のジェムを持っている場合は、事前に専用のボタン操作で使用順の入れ替えもできる。存在するジェムは以下の6つ。

  • パワー - 攻撃力が上がり、通常技に削り効果が追加される
  • タイム - 移動速度が上昇する
  • スペース - スーパーアーマー(単発攻撃をくらってものけぞらない)状態になる
  • リアリティ - 攻撃ボタンを押すごとに、火の玉やつららなど、各ボタン対応の飛び道具を同時に飛ばす
  • ソウル - 体力が一定量、徐々に回復する
  • マインド - インフィニティ・ゲージ(後述)が一定量、徐々に増加する

これらの効果に加え、各キャラクター(隠しキャラクターを除く)には「得意ジェム」がそれぞれ1種類あり、通常の効果に加えてさらに特殊効果を得ることができる。ただし、パワージェムが得意ジェムの場合、攻撃力上昇の効果はなくなり、そのキャラクター固有の特殊効果のみが現れる。例えば、スパイダーマンの得意ジェムはパワーで、使用すると自分の分身を発生させる効果がある。

ジェムを使用する際近くに相手がいれば、与えるダメージはわずかながら相手を吹き飛ばせる。また、相手の攻撃をガードしている最中にも使用でき、ガードをキャンセルして相手の攻撃を打破するのに使える。これをジェム・カウンターと呼ぶ。

ジェムは、対コンピュータ戦では、初期状態の1個から特定ステージの相手を倒して勝ち進むごとに所持個数が増えていく。対人戦では、各ラウンドごとのファーストアタック発生時にそれを行なった側へ、または両キャラクターそれぞれの体力が一定量をきった時にそのキャラクター側へ、ジェムが新たに降ってくる。どちらの場合も、相手キャラクターに必殺技をヒットさせれば相手のジェム(そのとき使用待機状態にあるもの)を落下させることができるため、試合中のジェムの奪い合いが可能。前述のジェム・カウンターのヒット効果は必殺技と同じで、くらった相手は持っているジェムを落とす。

なお、最終ボスのサノスのみ、必殺技をくらってもジェムを落とさないという特性があるため、サノスからジェムを奪うにはインフィニティ・スペシャルをヒットさせなければならない。

インフィニティ・ゲージ[]

体力ゲージの下にある別のゲージは「インフィニティ・ゲージ」と呼ばれ、攻撃を出したりダメージを受けたりする度に溜まっていき、これが溜まりきると強力な必殺技「インフィニティ・スペシャル」、ガード中に相手に反撃できる「インフィニティ・カウンター」を使うことができる。

インフィニティ・ゲージは、溜まりきるとストックとして保持することができ、ストックの数だけインフィニティ・スペシャルまたはインフィニティ・カウンターを使用できる。ストックの上限はキャラクターごとに設定されており、強力なインフィニティ・スペシャルを持つキャラクターほどストック上限が少ない傾向にある。

2Pカラーについて[]

前作の『X-MEN』では、2Pカラーは通常の1Pカラーと比べて大きな変化は見られなかったが、今作からは色彩豊かな違いがはっきりしたものとなった。アイアンマンはシルバーセンチュリオンアーマー、ハルクはグレイハルクといった、キャラクターによっては心憎い配色がなされている。マグニートーの場合は黄を基調とした色使いとなっている。これに関しては、カプコンスタッフも許可が下りるとは思わず、驚いたという[1]。なお、キャラクター選択画面で各キャラクターに対応したレバーを入れ続けることのより、この2Pカラーを任意で選択可能(選択画面で上段配置のキャラクターは↑を、下段配置のキャラクターは↓を入れ続ける)。

ストーリー[]

かつてヒーローたちが倒したはずの強敵・サノスが死の女神デスの力で復活し、無限の力をもたらす宝石インフィニティ・ジェムを手に入れた。サノスはデスの寵愛を得るために全人類の半分を抹殺するなどの凶行を繰り返す。この宇宙的危機を救うためにヒーローたちが立ち上がり、サノスを倒すべく彼の宮殿へと向かった。

登場キャラクター[]

()内に英語版ウィキペディア内の各キャラクター記事へのリンクを示す。

ヒーロー[]

キャプテン・アメリカ (Captain America)第二次世界大戦中、対ナチス・ドイツのために志願して特殊血清を投与され、超人兵士となった。ヒーローチーム「アヴェンジャーズ」のリーダーであると同時に、マーヴル・ユニバースの全てのヒーローたちのリーダー的存在である。ハルク (Hulk)科学者ブルース・バナー博士が実験の失敗でガンマ線に曝されて突然変異した、怪力を持つ緑の肌の大男。マーヴル・ユニバース最強のパワーを持つ。アイアンマン (Iron Man)ベトナム戦争で心臓に重傷を負い、生命維持装置として科学の粋を集めたパワードスーツを身につけている。アヴェンジャーズの一員としてキャプテン・アメリカらと共に戦う。スパイダーマン (Spider-Man)放射線を浴び突然変異した蜘蛛に噛まれ、蜘蛛の能力と怪力を手に入れた。力に慢心するが、それが原因で保護者である叔父を失うこととなり、以後は正義のためにその力を振るう。ウルヴァリン (Wolverine)前作「X-MEN Children of The Atom」から引き続き登場。手の甲から飛び出す爪と超回復能力を持つミュータントで、ヒーローチーム「X-メン」のメンバー。ウェポンX計画と呼ばれる謎のプロジェクトの実験体で、爪を含めた全身の骨格に最強の金属アダマンチウムを移植されている。サイロック (Psylocke)前作「X-MEN Children of The Atom」から引き続き登場。サイキック・ブラストと忍術で戦うX-メンのメンバー。イギリス人のサイオニック(精神能力者)で、アクシデントで東洋人の女忍者カンノンと身体が入れ替わってしまっている。ヒーロー側のキャラクターは、サノスを倒すと石化させられたヒーローたちをジェムの力で助けた後にエンディングに移行する。

ヴィラン[]

ジャガーノート (Juggernaut)秘境で発見した宝石の魔力により巨体と強靱な肉体、怪力を手に入れた。X-MENの指導者プロフェッサーXの義兄である。粗暴で知性に欠ける。前作では中ボスとして登場し、セガサターン版限定で条件を満たさなければ使用することができなかったが、アーケード版では本作が初めて操作キャラクターとしての登場となった。『インフィニティ・ガントレット』原作には登場しない。マグニートー (Magneto)磁力を自在に操る最強のミュータント。ミュータントによる人類の支配を是とし、X-MENとしばしば対立する。前作では最終ボスとして登場し、アーケード版と家庭版共に使用はできなかったが、本作では初めて操作キャラクターとしての登場となった。『インフィニティ・ガントレット』原作には登場しない。ブラックハート (Blackheart)地獄の支配者メフィストの息子。メフィストを倒して支配者の座を奪おうとするがかなわず地獄を追放される。ゴーストライダーの宿敵。『インフィニティ・ガントレット』原作には父メフィストが登場するが、ブラックハートは登場しない。シュマゴラス (Shuma-Gorath)異次元の神。ゲームではタコのような姿で登場するが本来は不定形で、見る者にとって最も恐ろしいものの姿で現れる。マーヴルの歴史中2度しか登場していない非常にマイナーなキャラクターであり、カプコンが使用許可を求めた際にマーヴル側の担当者もその存在を知らなかった、という逸話がある。当然、『インフィニティ・ガントレット』原作にも登場していない。

ボスキャラクター[]

ドクター・ドーム (Doctor Doom)本作の中ボス。東欧のラトベリア王国の、鎧とマントと鉄仮面を身に付けた科学者にして、独裁政治で国を統治する専制君主。アイアンマン同様、特殊な力でなく科学技術を用いた戦いを行う。人一倍の権力欲と独占欲の持ち主であり、全世界を支配する野望を抱く。ファンタスティック・フォーの宿敵であり、大学ではリード・リチャーズの同級生だったが実験の失敗で退学になったことでリードを逆恨みしている。『インフィニティ・ガントレット』原作ではヒーローたちの味方として登場するが、隙あらばジェムを我が物にしようと企んでいる。なお、本作中ではドクター・ドゥームではなく「ドーム」と表記されている。サノス (Thanos)本作の最終ボス。木星の衛星タイタン出身。「狂えるタイタン人」と呼ばれ、破壊を好む残忍な性格。過去にヒーローたちと闘って死亡するも、死の女神ミストレス・デスの力によって蘇る。サノスはデスの寵愛を受けるため、インフィニティ・ジェムを手に入れるために破壊を繰り返す「狂神」と化す。

ゲストキャラクター[]

アニタ(Anita)カプコンサイドからのゲストキャラクター。日本版のみ登場。『ヴァンパイア ハンター Darkstalkers' Revenge』に登場するダークハンターのドノヴァン・バイン (Donovan Baine) と行動を共にする、心を閉ざした幼い少女。本作ではアニタ自身がドノヴァンの魔剣ダイレクを使って闘う。ただし彼女の使用する剣はドノヴァンの物よりも一回り小さく、また刀身もピンク色でリボンが付けられている。アーケード版では対戦画面や勝利メッセージ画面でサノスのグラフィックが流用されていたが、家庭用移植版では対人戦画面のグラフィックのみ新規に描き下ろされ、対戦中の名前表示やサノスとの会話も修正された。勝利メッセージはアニタ本人の台詞ではなく、スタッフのメッセージやパロディ、ジョークなどで構成されている。固有のエンディングは用意されていないが、アーケード版では剣を残して石化したヒーローたちを助けた後にスタッフロールが2回流れる。家庭用移植版ではヒーローたちを救出せず、スタッフロールも1回のみ。彼女は落ち物パズル『スーパーパズルファイターIIX』の家庭用版にも登場し、本作と同じく「ラブフォーユー」を使う。フィニッシュ時に技名が表示されるなど、本作を意識した演出となっている。ドクター・ドームとサノスとアニタ(日本版のみ)は、アーケード版では特殊な設定をした状態で、家庭用版では一度ゲームをクリアした後でそれぞれ隠しコマンドを入力することで操作キャラクターとして使用可能になる。

移植版[]

セガサターン版とプレイステーション版は、どちらもキャラの動きのアニメパターンの削減が目立っていた。解像度の関係で画面構成も少し異なり、SS版では顔グラフィックが体力ゲージの下に表示され、PS版は体力ゲージがAC版の9分割から8分割へと変更された。

なお、セガサターン版の方は拡張RAMカートリッジ(別売り)に対応しており、使用すると読み込める画像枚数が増えてだいぶ滑らかな動きになるが、それでもなお完全再現には至らない。

新声社から、ゲーメストムックVol.27として本作の攻略本が発売されており、表紙はカプコンのスタッフが描いたイラストが使われている。その中身は、攻略・スタッフの対談、投稿されたイラストコーナーなど、充実した内容になっている。

『Sony Records』からオリジナルサウンドトラックが発売された。本編で使用されている全ての楽曲が収録され、ブックレットには音楽開発スタッフとゲーム開発スタッフの対談が収録されている。

脚注[]

  1. 1.01.11.2 ゲーメストムックシリーズVOL27「マーブルスーパーヒーローズ」(新声社)のスタッフ対談にて
  2. カプコンの小冊子シークレットファイル『M・S・H vs ストリートファイター』のスタッフ対談にて

関連項目[]

  • 前作
    • エックス・メン チルドレン オブ ジ アトム
  • VS.シリーズ
    • エックスメン VS. ストリートファイター
    • マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター
    • マーヴル VS. カプコン
    • マーヴル VS. カプコン2
    • マーヴル VS. カプコン3
  • 原作コミック
    • en:Infinity Gauntlet(リンク先は英語版)


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