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テンプレート:ウィキポータルリンクパワースポット(power spot)とは、地球に点在する特別な“場”のこと[1]。エネルギースポット、気場とも言う。疑似科学の一種である。
パワースポットという表現は清田益章による和製英語である。英語圏で実際に用いられている例もあるが、日本の影響と思われる。[2][3][4]
暁玲華によると、パワースポットのパワーとは、インディアンのいう聖なる知恵のことをいい、ニューエイジ用語に英訳されたときにパワーと名付けられたという。パワースポットとは、聖なる知恵の天啓を受ける場所という意味で、ニューエイジの思想が日本に入ってきたときにすでに紹介されていた。
『世界のパワースポット: 癒しと自分回復の旅ガイド』という本では、パワースポットには人を癒すとされる水があったり、人に語りかけるとされる岩があったり、あるいは磁力を発する断層があったりすると解説されている[5]。
荒俣宏は、「パワースポットは大地の力(気)がみなぎる場所と考えればよい」と述べ[6]、そもそもパワースポットという言葉こそは新しいが、昔から大地の力を得ようとする試みはあった、と指摘した[6]。荒俣は日本で言えば「熊野三山詣で」がとても古い事例であると説明した[6]。荒俣は、本来なら厳しい修験を行ってはじめて得られる力を、その場所に詣でるだけで得られる、身分性別を問わず得られる、という画期的なものであった[6]とし、ただし何の宣伝もなしに人を集められるわけではなかったので言い伝えが用いられた[6]、同様に伊勢神宮にお参りする「お伊勢参り」でも「修験者しか得られないパワーを性別身分を問わず得られる」と宣伝した、と説明した[6]。All Aboutでは、パワースポットやスピリチュアルスポットなどと呼ばれるようにもなった場所も、本来は信仰の場であって自然崇拝が行われていた場であったところが多い、とされている[7]。そういう場所は伝統的に霊場とか聖地sacred placeなどの呼称で呼ばれていた。(→#歴史)
荒俣は「パワースポットでは自分なりに大地の気を感じることが大切だ」とした[6]。
宗教学的な見地からは、ミルチア・エリアーデは、自然に対する信仰のうち、山、岩などは天上・地上・地下を結ぶ宇宙軸を、大地や水などは死と再生を象徴するもので世俗生活の根底にあり、それを支える世界観の重要な部分をなしていると分析した[8]。
荒俣宏は、昔から大地の力を得ようとする試みはあった、と指摘している[6]。All aboutでもパワースポットやスピリチュアルスポットなどと呼ばれるようにもなった場所も、本来は信仰の場であって自然崇拝が行われていた場であった、と説明されている[9]。
自然崇拝においては風・雷・雲などのほかに、山・大地・川・湖なども崇拝の対象とされている[10]。地上の場に関しては特に農耕民族ではそうである[11]。山は神聖な場所と見なされ、神霊のすみかと見なされたり同時に死者の国と見なされることが少なくない[12]。日本では富士山、英彦山、白山などの形状が秀麗な山や、雨を降らせると見なされている山(雨降山)、特異な形状や温泉・池などが認められる山などが、古くからそして現在でも崇拝されている[13](山岳信仰)。川や湖の神聖視は特に北米のインディアンの諸族に見られ、水の精や水神が住むところだとされ伝説や神話が数多くある[14]。
日本では、1990年代始めには超能力者を称する清田益章が「大地のエネルギーを取り入れる場所」として「パワースポット」という語を使用した[15]。
2000年代に入ると、大衆向け風水やスピリチュアリズムに対する人々興味が高まった。また神社仏閣などを巡る聖地巡礼ブームが起きた。江原啓之は神社仏閣を「スピリチュアル・サンクチュアリ」呼び、これらを訪れればパワーが得られると述べた[16]。
2010年8月にはYOMIURI ONLINEで、「特別な力が得られる場所として、日本の全国各地で「パワースポット」と呼ばれる神社や山岳に人気が集まっている。」とされた[17]2010年9月23日にはNHKハイビジョンで『くまもとの風、大地と天空のミステリー くまもとパワースポット大紀行』という番組が放送され、10月18日(NHKワールドプレミアム)などにも再放送された。
荒俣はパワースポットで何を感じるかは人により様々だとする[6]。そこにある自然を通して癒しを求めるのもよいし、やる気を得るのでもよい、とし、感じ方は人それぞれでよい、とした[6]。
パワースポットについての説明は様々である。
江原啓之は、スピリチュアリティでは神社などに宿るパワーは神のパワーだとしている[18]。
小林祥晃は、「大地のスーパー・パワー」を題材にしたテレビ番組において、初めて風水にパワースポットという語を使用した、と述べた[19]。李家幽竹は、パワースポットは20年ごとに気の流れが変わり場所も変動するが神社仏閣は気を長期間留める特殊な建築法をしているのだ、とした[20]。また、パワースポットとみなされるのは神社が圧倒的に多く仏閣は少ないが、これについて若月佑輝郎は、仏閣は人々の悩みや悲しみが集まるためパワーが劣るのだと語った[21] 。小林祥晃は、繁華街もパワースポットであり、パワーに惹かれて人が集まった結果であるとした[22]。御堂龍児は、「(風水における龍穴は)"超能力者や気功をやっている人"が言うパワースポットは別物である」と述べた[23]。
地磁気が強い場所ほどパワーが強いとして、携帯型ガウスメーターでパワースポットの地磁気を計測することはしばしば行なわれる[24]。テレビ番組「奇跡体験!アンビリバボー」では、地磁気は「交流磁気」であり、強い地磁気を浴びること自体がパワーの原因だとした[25]。
佐々木茂美は、地磁気が打ち消しあう場所で「ゼロ磁場」なる状態が発生し、そこに「五次元宇宙」からのエネルギーがもたらされると主張した[26]。伊那市の公式ホームページでは「中国湖北省蓮花山のゼロ磁場を発見した有名な気功師 張志祥氏により、分杭峠のゼロ磁場が発見されました」としている。[27]若月祐輝郎は、「断層がぶつかり合うと大気中に電磁波が放出され、それを浴びることにより「暗在系」なる世界からのエネルギーがもたらされる」とした[28]。
また、楢崎皐月[29][30]が『静電三法』[31]で土壌中の電位差によって土地自体が持つパワーがあるとし、プラスのエネルギーを持つ「イヤシロチ(弥盛地)」とマイナスのエネルギーを持つ「ケガレチ(気枯地)」が存在するとし、ケガレチであっても土壌中に木炭を埋設すればイヤシロチに変えられると記述した[32]。これは後に船井幸雄らが継承し主張した[33]。船井幸雄は「イヤシロチ」にいると筋肉が柔らかくなるので、前屈をしてみればイヤシロチかどうかが分かると主張している[34]。この説はそのまま『水琴の音で、パワースポットをあなたの部屋に』という本のパワースポットの説明に取り入れられている[35]。
セドナ
セドナはページ・ブライアントなる霊能者がパワーが渦のように吹き出ている「ヴォルテックス」なる場所があると言っており[36]、スピリチュアリストの聖地の観を呈し、多くの観光客が訪れている。
荒俣宏は世界のパワースポットと言われている場所は国定公園や世界遺産になっている場所が多い、と説明した[6]。荒俣はお奨めの世界的パワースポットとして、ギアナ高地、フィリピンのボホール島のチョコレートヒルズ、日本のフォッサマグナ(中央構造線)を挙げた[6]。
読売新聞の記者は「富士山や伊勢神宮、京都府の鞍馬山などの人気が高い」とした[17]。
小野は、(築地本願寺などを設計した)伊藤忠太によって設計された建物群は新しいパワースポットとして注目を集めていると説明した[6]。
江原啓之はブームの加熱ぶりを視野に入れつつ、ブームに乗って神仏への畏敬の念を持たずに「スタンプラリーのように」パワースポット巡りをする行いについては批判した[38]。
2010年8月20日の読売新聞 YOMIURI ONLINEの記者は、出雲市佐田町にある須佐神社の神職が「数年前まで年間1、2万人だった参拝客が、今では10万人はいるのでは」と話しながらも「携帯のカメラで大杉を撮影するのに夢中で、鳥居や本殿は素通り。神社はお参りするところなのに」と困惑した、と伝えた[17]。
毎日新聞の記者は、既存の宗教界からは、参拝者が増加していることに肯定的な評価と、オカルト信仰などにつながりかねないと危惧する声もある、とした[39]。同記者は鞍馬山博物館の学芸員が「最初は戸惑いもあったが、いろいろな信仰の形があっていい。本堂の前だし比叡山も眺望でき、心が落ち着く根拠はある。信仰の世界に目を向ける人が増えるのはいいこと」としつつ「パワーをもらうだけでは終わらず、人に親切にするなど、仏の心に気付いてほしい」と述べたという[39]。
神社新報は論説において、昨今の「パワースポット・ブーム」などを根柢から否定するつもりはないとしつつも、神社の教化活動の主な目標は、単なる俗的な御利益信仰および特定神社の宣布ではなく、「より広い御神威の発揚と御神徳の昂揚」であるとし[40]、宗教施設の関係者が高名な有識者に対し、自分の施設をパワースポットであると紹介するよう依頼する事例があるとの風聞に対しては「宗教者自身の資質にも関わる」としてこれを批判。「いたづらに流行に飛びつかうといふ姿勢は慎むべきである」「話題作りのために、安易に伝統を破壊するやうな行為だけは、厳に慎んでもらひたい。」とした[41]。
また神社新報は論説において、「パワー」を求めて神社にやってくる人々に対しては、神前での拝礼の重要性、神社の由来、神徳を説くことが必要であり、「パワースポット」とされることが当該神社に相応しいかを考えるための情報提供をすること、神社の伝統的な信仰を蔑ろにするような「パワースポット」化をどのように駆逐するかを考えることを神社人の責務であると述べている[41]。
大槻義彦は2010年4月自分のブログで、自然の中でまれには特殊な場所、特殊な時間というものもあることはある、例えば、超低周波(音波)が発生する場所や集中する場所、また電磁波も集中しやすい場所がある、という点についてテレビ番組でコメントしたと書いた[42]。また大槻は同ブログでパワースポットなるものは何の根拠もなくはなからデタラメであるとし、その目的は観光や人集めそれに絡んだお金儲けでしょう、とした[42]。また大槻は2010年10月同ブログで、日本放送協会がパワースポットを番組で取り上げることを批判した[43]。
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