華厳寺

ページ名:華厳寺
曖昧さ回避この項目では、岐阜県にある寺院について記述しています。京都市にある寺院については「華厳寺 (京都市)」を、韓国の全羅南道にある寺院については「華厳寺 (求礼郡) 」をご覧ください。
華厳寺(けごんじ)
所在地岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲徳積23
位置テンプレート:ウィキ座標2段度分秒
山号谷汲山(たにぐみさん)
宗派天台宗
本尊十一面観世音菩薩(秘仏)
創建年延暦17年(798年)
開基大口大領、豊然上人(開山)
正式名美濃国谷汲山華厳寺(みののくにたにぐみさんけごんじ)
別称谷汲山(たにぐみさん)
札所等西国三十三箇所三十三番
東海白寿三十三観音三十三番
東海三十六不動尊三十三番
文化財毘沙門天像(重要文化財)
ファイル:Gifu-kegonji5616.JPG

参道

ファイル:Gifu-kegonji5660.JPG

笈摺堂

ファイル:華厳寺01.jpg

仁王門の巨大な草鞋

ファイル:華厳寺02.jpg

満願堂

ファイル:Gifu-kegonj0060.JPG

「精進落としの鯉」

ファイル:西国三十三箇所1.PNG

33が華厳寺(西国三十三箇所位置図)

華厳寺(けごんじ)は、岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲徳積にある天台宗の寺院。山号は谷汲山(たにぐみさん)。本尊は十一面観音、脇侍として不動明王と毘沙門天を安置する。西国三十三箇所第三十三番札所、満願結願の寺院で桜、紅葉の名所としても知られ多くの観光客で賑わう。西国三十三箇所の札所寺院では唯一、近畿地方以外にある。

目次

歴史[]

永禄3年(1560年)成立の『谷汲山根元由来記』によると、華厳寺は延暦17年(798年)、会津黒河郷の豪族大口大領なる人物によって創建されたという。『由来記』によれば、大口大領は都の仏師に依頼して自らの信仰する十一面観音の像を造立した。彼は観音像とともに会津に帰ろうとしていたが、途中、美濃国の赤坂(現・岐阜県大垣市)で観音像が動かなくなってしまった。赤坂の北五里の山中に観音所縁の霊地があるというお告げを受け、大口大領は同地に草庵を建立。延暦末年に、当地で修行していた僧・豊然上人(ぶねんしょうにん)の協力を得て華厳寺を建立した。

延暦20年(801年)、桓武天皇の勅願寺となり、延喜17年(917年)には醍醐天皇が「谷汲山」の山号と「華厳寺」の扁額を下賜。天慶7年(944年)には朱雀天皇が鎮護国家の道場として当寺を勅願所に定め、仏具・福田として一万五千石を与えたという。「谷汲山」という山号については、寺付近の谷から油が湧き出し、仏前の灯明用の油が汲めども尽きなかったことに由来する。

西国三十三箇所霊場の中興者と伝承される花山法皇は徒歩で巡幸し、当寺を第三十三番札所の満願所と定め、禅衣(笈摺)、杖、及び三首の御詠歌を奉納したと伝え、鎌倉時代には後白河法皇が花山法皇の跡を慕って同行千有余人を従えて巡幸したという。なお、西国三十三箇所巡礼について触れた最も古い史料である『寺門高僧記』所収の「行尊伝」及び「覚忠伝」では、第三十三番の霊場は三室戸寺になっており、園城寺(三井寺)の僧・覚忠が三十三所霊場を巡礼した応保元年(1161年)には、華厳寺は満願所ではなかった。また、三種の御詠歌(後出)のうち、「世を照らす」の歌は作者が判明しており、花山法皇ではなく、前出の覚忠の作歌である[1]

建武元年1334年足利氏と新田氏の戦乱が起こり、新田氏一族堀口美濃守貞満の乱をはじめとする戦乱で幾度となく諸堂伽藍を焼失するが、本尊ならびに脇侍等は山中に移し難を逃れた。

江戸時代には薩摩国鹿児島慈眼寺住職道破拾穀上人によって再興された。

御詠歌[]

  • 万世の 願いをここに 納めおく 水は苔より 出る谷汲(過去)
  • 世を照らす 仏のしるし ありければ まだともしびも消えぬなりけり(現在)
  • 今までは 親と頼みし 笈摺を 脱ぎて納むる 美濃の谷汲(未来)

伽藍[]

総門をくぐると、左右にソメイヨシノの桜並木、土産物店、飲食店、旅館などの立ち並ぶ参道が続き、距離にして約1km、徒歩10分ほどで仁王門に達する。仁王門から本堂まではゆるやかな登りの石畳の参道となり、右手には放生池、地蔵堂、茶所、一乗院、十王堂、羅漢堂、英霊堂、三十三所観音堂、左手には法輪院、明王院、一切経堂、本坊などがあり、本坊の一画には大師堂、内仏客殿、庫裏が建つ。

参道突き当りの石段を上ると本堂があり、その右手に鐘楼堂、本堂背後には阿弥陀堂、笈摺堂、子安堂、そこからさらに石段を上った先に満願堂が建つ。このほか、満願堂から徒歩約意1時間ほどのところに奥の院がある。山内には他に妙法ヶ滝、「菅原道真参籠の岩屋」などがある。

  • 仁王門 - 入母屋造、三間の二重門。奥の間左右に仁王像を安置。その手前、通路の左右に巨大な草鞋が奉納されている。
  • 本堂 - 明治12年(1879年)、豪泰法印によって再興。入母屋造、正面五間、側面四間の外陣部の奥に、棟を直行させて内陣部が接続する。本尊は十一面観世音菩薩、右脇侍(向かって左)は不動明王、左脇侍(向かって右)は毘沙門天(重要文化財)である(いずれも非公開)。堂内右手に納経所、地下に戒壇巡りがあり、正面向拝の左右の柱には「精進落としの鯉」と称する、銅製の鯉が打ち付けられている。西国札所巡礼を三十三番札所の当寺で満願した者は、その記念にこの鯉に触れるならわしがある。
  • 笈摺堂 - 本堂背後にある小堂。当寺には花山法皇が禅衣(笈摺)、杖、及び三首の御詠歌を奉納したとされる。この堂には今日も西国三十三箇所巡礼を終えた人々が奉納した笈摺、朱印帳等が置かれ、多数の千羽鶴が奉納されている。隣には花山法皇の御詠歌に由来する「苔の水地蔵尊」がある。
  • 子安堂 - 笈摺堂の左隣に建つ。本尊は子安観音。安産・子宝祈願、赤子の身体健康を願い、たくさんのよだれかけが奉納されている。
  • 満願堂 - 本堂左手裏の急な石段を上った先に建つ小堂。本尊は十一面観世音菩薩。

文化財[]

重要文化財
  • 木造毘沙門天立像 - 像高168.2cm。本堂内、本尊の向かって右手に安置するが、一般には公開されていない。本尊の左手に安置する不動明王像は近世の作であるが、この毘沙門天像は平安時代初期、9世紀にさかのぼる古像である。本像は、陰うつな表情、太造りの体躯、頭部が体部にめり込むような表現など、日本の毘沙門天像の中でも異色の作である。[2]
その他
  • 木造十一面観音立像 - 満願堂に安置。一木造、像高215.7cm。衣文や目鼻立ちのなど彫り方が荒々しいが、作風は古風で、平安時代前期、9 -10世紀にさかのぼる作と推定される。[3]
  • 木造不動明王立像 本堂安置
  • 木造金剛力士立像 仁王門安置

本堂本尊の十一面観音立像は、厳重な秘仏で、写真も公表されておらず、制作年代、構造等の詳細は不明である。西国三十三所巡礼の中興者とされる花山法皇の一千年忌を機に、2008年から2010年にかけて、西国三十三所の全札所寺院にて「結縁開帳」が行われ、華厳寺の本尊は2009年3月1日から3月14日まで開帳された。寺や西国三十三所札所会の発表によると、1955年以来の54年ぶりの開帳である。

所在地[]

  • 〒501-1311岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲徳積23(旧谷汲村)

前後の札所[]

西国三十三箇所32 観音正寺 -- 33 華厳寺

交通アクセス[]

  • 鉄道・バス
    • JR大垣駅乗り換え樽見鉄道谷汲口駅から名阪近鉄バスで8分[4]
    • JR大垣駅乗り換え養老鉄道養老線揖斐駅から名阪近鉄バスで25分
  • 自動車
    • 名神高速道路(関ヶ原IC)、(大垣IC)、(岐阜羽島IC)から共に約60分・約35km
    • 東海北陸自動車道(各務原IC)から60分・約35km

脚注[]

  1. 参考文献(和田、1998)pp8 - 10, pp216 - 217を参照。
  2. この像は、2008年、奈良国立博物館、名古屋市博物館で開催された特別展『西国三十三所 観音霊場の祈りと美』に出品された。
  3. この像は、2008年、奈良国立博物館、名古屋市博物館で開催された特別展『西国三十三所 観音霊場の祈りと美』に出品された。
  4. 樽見鉄道谷汲口駅には駅員がおらず、券売機も存在しない。帰路は車内で整理券を取り、大垣駅で下車する際に現金で運賃を支払い、なおかつ、係員から「降車証明書」をもらわないと同駅の改札口を出られない。

参考文献[]

  • 奈良国立博物館・NHKプラネット近畿編『西国三十三所 観音霊場の祈りと美』(特別展図録)、奈良国立博物館、名古屋市博物館、NHKプラネット近畿、NHKサービスセンター刊、2008(解説執筆、頼富本宏、清水健ほか)
  • 和田嘉寿男『御詠歌の旅 西国三十三札所を巡る』、和泉書院、1998
  • 『日本歴史地名大系 岐阜県の地名』、平凡社

関連項目[]

  • 揖斐関ヶ原養老国定公園
  • 日本の寺院一覧
  • 日本の寺の画像一覧

テンプレート:Commons

外部リンク[]

  • 西国三十三番満願霊場 谷汲山華厳寺公式公式ホームページ
  • 西国三十三所観音霊場公式ホームページ
  • 谷汲観光協会

テンプレート:Buddhism-stub



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