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犬夜叉の異母兄であり、純血の犬の大妖怪。膝裏ほどもある長い銀髪の美青年で、神楽いわく「優男」。額に三日月形の紋があり、頬には二本の紋様がはいっている[1]。
大妖怪である両親の血を色濃く受け継いでいるため、妖力や腕力、瞬発力、洞察力、生命力などすべての能力が一般的な妖怪とは比べものにならないほど秀でている。四魂の玉にも無関心。鼻が利き、風のにおいだけで遠くで起きた出来事をおおむね把握し、情報を得ることができる。
登場初期はそこそこ表情豊かで口数も多かったが、登場を重ねるたびに無表情かつ無口になっていく。大妖怪であり「犬の大将」と呼ばれた父への誇りに強くこだわり、一族の血統を重んじて半妖や人間を見下していたが、多くの出会いを経て考え方が変わっていく。
初期は「邪魔だ」というだけで人間を簡単に殺害したり、無女や巨大鬼などの手下妖怪をも簡単に葬るなど、非道な存在として登場。当初は半妖である犬夜叉のことを強く蔑み、父の形見の妖刀である鉄砕牙を奪うため犬夜叉に何度も襲いかかってかごめまでも殺そうとした。しかし、鉄砕牙を覚醒させた犬夜叉に敗北し、左腕まで失ってしまう。
その後は犬夜叉を狙う奈落に利用され、鉄砕牙をつかむため左腕に四魂のかけら入りの人間の腕を装着し、再び犬夜叉を襲うが、犬夜叉の執念により鉄砕牙をあきらめて戦いを中断し、立ち去る。鉄砕牙はあきらめたものの、刀々斎に自分の新たな刀を打たせるべく、次は龍の腕を左腕に装着して犬夜叉を強襲。鉄砕牙を折るべく攻撃を繰り返すが、犬夜叉が風の傷を放ち敗北。だが、犬夜叉が風の傷を加減したことで命は取り留める。
鉄砕牙とは別に、父のもう一つの形見の妖刀・天生牙(てんせいが)を持つが、天生牙は「何者も斬ることができない」癒しの刀であったため、「斬る刀」である鉄砕牙に強い執着を向け、犬夜叉と幾度か戦闘をおこなった。刀々斎の刀はあきらめたが、鉄砕牙を超える強い刀を手に入れるために奈落の分身の一体である悟心鬼の牙から打ち出された妖剣・闘鬼神(とうきじん)を手に入れると、以後はそれを長らく得物として振るう。
ところが、奈落の心臓たる化身の妖怪・魍魎丸との二度目の対戦にて闘鬼神は折れてしまう。魍魎丸との戦いの最中に、魍魎丸に神楽の死を侮辱されたことをきっかけに、殺生丸に「死を悼む心」が芽生える。その変化を感じた天生牙が刀々斎を呼び寄せ、新たに武器として鍛え直された天生牙で、敵を直接あの世へ送る冥道残月破(めいどうざんげつは)を放つことが可能となる。冥道残月破はなかなか円形に近づかなかったが、冥界でのりんの二度目の死によって「愛しきものを失う悲しみと恐れ」を知り、円形に近くなる。
父の敵であった死神鬼から冥道残月破と天生牙の実態を知らされると激しく動揺し、さらに父がいずれは殺生丸の会得した冥道残月破をも犬夜叉の鉄砕牙に譲らせるつもりであったという真相に気づき、父の自分に対する扱いに激しい憤りを覚えるが、その中で父の真意について彼なりに熟慮する。
そして、犬夜叉が鉄砕牙の真の継承者であることを確かめるため、周囲の反対を押し切って犬夜叉に一対一の戦いを挑む。激しい戦いの末、犬夜叉の継承者の証を見届けると、自らの意思で冥道残月破を犬夜叉に譲り、父の形見に対する執着を捨てる。鉄砕牙への執心から完全に解放されたということから、曲霊との戦いの中で父を越える大妖怪へと覚醒し、失ったはずの左腕とともに殺生丸自身の刀である爆砕牙(ばくさいが)を手に入れた。
最終回では、りんに着物を届けるなどして頻繁に人里を訪れている。その帰り、かごめに「お義兄さん(おにいさん)」と呼ばれて、意表を突かれたような表情をしていた。
アニメ版では、初登場時からすでに原作中盤以降の無口に近いキャラとなっている。理由は不明だが、完結編においては原作に多数存在した殺生丸が手傷を負うシーンが、曲霊との戦闘の一部を除いてことごとくカットされている。総じて殺生丸と戦った魍魎丸、曲霊、奈落の弱体化が見られる。中でも原作で殺生丸を圧倒していた魍魎丸は、殺生丸に完敗するという正反対の改変を施されて大きな弱体化を背負うこととなった。
邪見は、数十年前からずっと殺生丸に仕えている従者である。普段の殺生丸はほとんど彼のことを気遣うようなそぶりを見せないが、灰刃坊の闘鬼神で両断された際には天生牙で彼の命を助けた[2]。また、アニメでは人頭杖を授けている。
りんは、妖狼族の手下狼に噛み殺されたところを殺生丸が天生牙で初めて蘇生させた人物である。彼女との出会いから当初の冷酷さが弱まっていくことになる。冥道に踏み込んだ際、二度目の死を遂げた彼女に対し、りんの命と引き換えに得るものなど何もないと自身に怒り、悲しんだ。その後、殺生丸の母により蘇生され、邪見を通して殺生丸がりんの復活を喜ばしく思っていることが明かされる。
最終決戦でのりんは曲霊によって人質となり、犬夜叉一行と殺生丸が奈落の体内への侵入を余儀なくされる要因となる。奈落との戦いが終わったあとは、妖怪の世界と人里のどちらでも選べるようにと楓の元で人里で暮らす訓練をしている。殺生丸も、着物などを持って楓の村をたびたび訪れている。
なお、アニメオリジナルの続編である『半妖の夜叉姫』では、後年に殺生丸とりんが結ばれて子をなしたことになっているが、この展開についてはファンの間でも賛否の意見が大きく割れている。
琥珀は、かつて奈落の命令でりんと殺生丸を襲った。これに対して殺生丸は、彼が奈落に操られていることを見抜いていて殺さなかった。彼が奈落の部下でいた間は、そのにおいを追って奈落を追跡したこともあった。のちに夢幻の白夜から逃げていた琥珀を救い、桔梗の死を知らせ、それ以来は彼の同行を許している。
神楽は、奈落の分身として殺生丸と面識を持ったが、奈落打倒のため幾度となく殺生丸に頼ってくることもあった。これに対して殺生丸は、当初は敵として接し、「助ける義理はない」として取り引きを断ったが、徐々に「これ以上動いても無駄だ」などと助言もおこなうようになる。
奈落に致命傷を負わされ、瘴気で消えゆく神楽には天生牙は使えず、殺生丸は彼女の最期を静かに看取った。その死を「無駄死に」と侮辱した魍魎丸に対峙した際は、神楽の死によって他者のために怒り、悲しむ心が生まれたとされる。これが冥道残月破を得るきっかけとなった。
大妖怪の血を受け継いでいるため、完全な妖怪の姿へと変化することができる。真の姿は巨大な化け犬だが、普段は人型をかたどっている。化け犬の姿は激烈な破壊力を誇るが、滅多に使わない。作中で完全に変化したのも犬夜叉と最初に戦った時、母と再会した時、そして曲霊との戦いの時の計3回のみである。
空も自由に飛ぶことができ、殺生丸自身が強力な毒を持っていることもあって大抵の毒に対しては高い耐性を持っている。ただし、曲霊の放つ「悪霊の毒」と奈落が本気になった際に放った高濃度の瘴気にはさすがに耐えられなかった。
一方で、犬夜叉から風の傷を受けて瀕死の重傷になったこともあった。また、これは犬夜叉が手加減をした風の傷で、なおかつ天生牙の結界も働いた上での結果であり、生身で風の傷に耐えることができる妖怪も少なくないことを考えると、耐久力自体は一般的な妖怪とさほど変わらない。
技は劇中で下記に加え、何度か鉄砕牙を手に取って風の傷を放っている。神無の鏡の力で天生牙に鉄砕牙の力を写し取り、金剛槍破も使用した。アニメではさらに爆流破と赤い鉄砕牙も使用した。
とわとせつなの実父で、もろはの父方の伯父。戦国最強の犬の大妖怪。とわとせつなは時代樹に明かされるまでその名を認知しておらず、過去の関係者も一部を除いて親子関係を把握していなかった。
14年前、「剛臆の試し」と称して生まれて間もないとわとせつなを森に隠し、女禍から奪った「金」と「銀」の虹色真珠を与えた。さらに是露と「縁」が繋がったりんを守るため、犬夜叉たちが是露を殺すことを懸念して麒麟丸に同行する形で犬夜叉とかごめを追いつめ、2人を黒真珠に封じ込めた。その後は長らく行方をくらましていた。麒麟丸と道を同じくしているとされているが、麒麟丸から依頼されていた「阿久留の風車」を見つけても見逃しており、理念を同じくしているわけではない。
娘たちに助力することなく遠巻きに見守っているが、麒麟丸に追いつめられた際には姿を現し、さらにせつなが殺された際にはとわに天生牙を貸し与えた。産霊山を降りるとわたちと合流した際、りんが夢の胡蝶を通してせつなから夢を授かって「銀燐の呪詛」の進行を遅らせていたことや、せつなの夢の胡蝶を斬れば彼女が眠れるようになる代わりにりんの呪いが再び進行することを明かし、せつなの「母を救いたい」という覚悟を確かめた上で胡蝶を斬り、もろはが犬夜叉と対面できたことを聞いてどこかへと去る。
『犬夜叉』本編ではあれだけ忌み嫌っていた半妖が自身の娘として生まれていることについて、原作者の高橋留美子は2020年10月26日のTwitter掲載の「るーみっくえすちょん」にて「他者との触れ合いで、成長やら変化やらした」「人間なんてと軽蔑していた過去の自分に拘泥せずに新しい生き方を受け入れる」「それは奥さんになった女性の影響大と言えるのでしょう」と回答している。
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